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平成28年度全日本選手権速報

 リオ五輪のメダリストとして注目されていた丹羽(明治大)は、男子シングルス6回戦で上田(協和発酵キリン)に負けて、上位進出はならなかった。
 「自分の調子が特別悪いというわけではなかったですが、上田さんのプレーが良かった。うまく対策されているのがわかっていて、試合の中で厳しいボールやコースをついていかなければいけないと思っていたんですが、甘くなってしまったり、ミスが出てしまった。あのレベルの選手に対しては、厳しいボールが入らなければ勝つのは難しいです」と試合後の丹羽。

 これまで何度か両者の戦いを見ているが、丹羽が圧勝しているというイメージがあった。この試合では序盤は丹羽がサービス、レシーブで先手を取って有利に進めていたが、上田が諦めずに“しぶとく”戦い続けたのが勝因だったのではないか。

「国際大会で当たる外国選手には、自分のサービスやレシーブが効くのでうまく試合を進めることができるのがですが、国内大会では慣れられているのでそういうわけにはいきません。ましてや上田さんは中学、高校の先輩で、NT合宿でも練習しているので効きません。厳しいボールが入らなければ厳しいです。
 明治大として最後の全日本だったのでベスト16では終わりたくなかったです。もっと上に行きたかった。でも、男子ダブルスが残っているので明日の準決勝でがんばりたいです」と話した。
●女子ダブルス準々決勝
山本/明神(中央大) 7、-9、-4、9、5 政本/朝田(同志社大)
土田美佳/宋(中国電力) 4、-8、3、-4、7 田代/前田(日本生命) 
若宮/森(日本生命) 10、12、6 平/松本(サンリツ)
平田/永尾(アスモ) -7、8、5、8 阿部/徳永(早稲田大) 

女子ダブルスのベスト4に残った4ペアは、どのペアが優勝しても初優勝という顔ぶれ。実業団の強豪チームから1チームずつ、そして山本/明神が政本/朝田との学生ペア対決に逆転勝ちして勝ち上がった。「メダルがかかっていた試合なので、すごく緊張しました。戦術とかよりとにかく自分は粘ろうと思ってがんばって、山本が決めてくれました。」と明神(みょうじん)。山本は「明日は青森山田の同期だった宋さんと当たるので思い切って向かっていきたい」と語った。
  • 山本(左)/明神、うれしいメダル確定

  • ストレート勝ちを収めた若宮(左)/森

 「今大会は動きも良くて、5回戦ではマークしていた雅己(吉田・愛知工業大)にストレートで勝つことができたので、その後はベスト4入りを目指していましたが、龍崎(JOCエリートアカデミー/帝京)に逆転負けしてしまいました。リードもしていましたし、調子も良かっただけに…本当にもったいない」と男子シングルス6回戦で敗れた後に肩を落としながらコメントした松平賢二(協和発酵キリン)。

 初対決の龍崎に対して、「ほとんど練習もしたことがなくて、試合もしたことがありませんでした。サービスがうまい印象がありましたが、この試合でも途中からうまくレシーブすることができなくて先手を取られてしまいました。バック対バックの展開では速さでは相手に分があるので、緩急をつけなければいけないとわかっていましたが、それを最後まで試合で実行できなかった。それが自分の弱さです」と敗戦を分析した。

 一方、ベスト8に躍進した龍崎は「ホントに、まさかベスト8に入れるとは思っていなかった。すごくうれしいです。全日本にはあまり良い思い出がなかった。高1の時は大会前にインフルエンザにかかって、高2の時は右肩の故障明けだった。結果が出せなくてすごく悔しかったので、今回のベスト8はうれしい」とコメントした。明日の準々決勝では吉田海偉と対戦。豪快なフォアドライブで打ち合いを演じるか。
 吉田海偉(Global Athlete Project)は35歳という年齢を感じさせない豪打を連発して、御内健太郎(シチズン)に快勝した。昨年欠場している吉田にとって、2年ぶりのベスト8入り。もし準々決勝で勝つと、3年ぶりのベスト4となる。

「さっきと同じで楽しいしかないですね。苦しい試合になると思っていたし、簡単に勝てないとは思っていた。最近カットは打っていないけど、Gボールだからカットがあまり切れないし、浅いですね。
 明日はノープレッシャーで思い切ってやります。(準々決勝で対戦する)龍崎はいつもトレセンで練習をしているので良い試合ができるように頑張ります」(吉田)

敗れた御内は「吉田さんと戦うなら攻撃を7割にしないと勝てないと思って、最初から打っていきました。前回対戦した時に時にカットを入れるとそれを狙われてしまったので、自分が攻撃型と思ってやりました。
 ボールが変わってカット型が不利と言われるけど、もっと守備範囲を広くすれば、不利が有利に変わることもあるので、カットの質を高めて、返すボールを一球でも多くすることを目標に高めていきたい。結果としてはランク入りできましたが、以前一度入っているし、16じゃ物足りない。さらに上を目指さないといけない。新しい卓球場もできて、会社も期待してくれているし、勝たないと応援してくれなくなると思うので、勝負の年だと思っています」とコメント。大砲吉田の強打と互角に渡り合った御内。オールラウンダーとしてさらなる成長を期待したい。

●男子シングルス6回戦
吉田海偉(Global Athlete Project) 6、8、-11、9、6 御内健太郎(シチズン時計)
  • 2年ぶりのベスト8入りを果たした吉田

  • 吉田に敗れた御内

 2年前の準優勝者、シチズンの神巧也がリオ五輪メダリストの吉村真晴に勝利。
 調整不足を心配されていた吉村だが、今日はジンタクをほめるしかないだろう。最初から攻めて攻めて攻めまくった試合を見せた。

「真晴は背負うものがすごく大きいのかなと。ぼくはただただ思い切ってやるだけでした。叫び声はいつもです(笑)。最後は感極まって・・ときどきサイレントになります(笑)。今まで何度もやっている相手なので、どんなサービスを出すのかもわかっている。欲張るとよい結果にならないので、1戦1戦、1本1本頑張るしかない。
 2年前もノーシードから勝ち上がってテンションも高かったけど、今回はその経験もあるから落ち着いて戦えました。左手につけているのは弊社の時計でございます(笑)。おしゃれです。ただ試合中は時計を見る余裕がありません(笑)。今日のはダイバーウォッチなんですが、プレッシャーに耐えられる時計です(笑)。
 総合的な力は真晴が上だと思うけど、持ち味のフォアハンドを使って、逃げないで勝負することを心がけた。3ゲーム目を落としたけども、その時にボールの距離感とかをつかんだ感じがします。
 試合前はいつもミスチルを聞いています。『スターティングオーバー』や『光のアトリエ』を聞いています」

 何とも楽しいジンタクの会見。独特のユーモアで記者を沸かせた。

●男子シングルス6回戦
神巧也(シチズン時計) 8、8、-10、3、-5、6 吉村真晴(名古屋ダイハツ) 
  • 吉村との激戦を制し8入りを決めた神

 女子シングルス6回戦で伊藤美誠に勝ち、上がってきた安藤みなみ(専修大)をフルゲームの末に破った橋本帆乃香(四天王寺高)は、見事にベスト8入りを果たした。

「伊藤(美誠)さんが上がってくると思っていたので、対策を考えていたし、待ち構えていた。でも違う相手が来たので気が抜けなかったし、挑戦する気持ちでした。厳しい試合は想定していたけど、勝てて良かったです。ベスト8入りはうれしいのひと言です」

●女子シングルス6回戦
橋本帆乃香(四天王寺高) 9、6、-5、-7、7、-7、7 安藤みなみ(専修大)
  • ベスト8入りを果たした橋本

  • ゲームオールの激戦に敗れた安藤

 4連覇を狙う石川佳純の6回戦(8決定)の相手は、同級生で幼い頃から何度も対戦している仲の良いライバル・森薗美咲。
 石川は1ゲームを落としたものの、危なげなく勝ち進んだ。以下は記者会見での石川のコメント。
 「今日は自分らしいいい試合ができたかなと思っています。全体的にはいいプレーができました。森薗選手とは、2年前の決勝よりいい試合ができたと思います。最初の2本のレシーブを受けて、相手も攻めてきていると感じたので、先手をとって攻めていくという姿勢でやりました。常に強気の姿勢で、攻める卓球をしたいと思います。焦らず、おごらず、最後まで攻める卓球を貫きたいです。
 森薗選手とは子どもの頃から対戦をよくしたし、ライバルであり仲の良い友人です。彼女とはいつも接戦になり、今日は4-3で勝てればいいと思っていました。でも今日は自分が思ってた以上にいいプレーができて、4-1で勝てました。
 全日本というのは特別な場所。勝つことを期待されている中で勝つことを要求されるので、本当にメンタルが強くないといけないです。メンタルの強さが問われている場所だと思っています」

●女子シングルス6回戦
石川佳純(全農) 7、4、4、-13、2 森薗美咲(日立化成)


  • 4連覇へ向け順調に駒を進める石川

  • 石川に1ゲームを奪うに留まった森薗

 男子シングルスの第1シードの水谷隼(beacon.LAB)は6回戦で緒方遼太郎(JOC エリートアカデミー)に完勝し、ベスト8入りを決めた。

 あまりの完敗ぶりに緒方は苦笑い。五輪メダリストに完全脱帽のコメントだった。
「すべてにおいて相手が上だったので、歯が立たなかったです。ラリー戦で得点できなかったので自分の勢いに最後まで乗れなかった。水谷さんとは公式戦で当たったことはないし、練習は何回かやらせてもらったけど、練習の時と戦術が全然違うので良い戦い方ができなかった。ランクに入れたのはうれしいけど、水谷さんにここまでやられるとは思わなかったので、悔しいです」

●男子シングルス6回戦
水谷隼(beacon.LAB) 4、4、6、7 緒方遼太郎(JOCエリートアカデミー/帝京高)
 女子シングルス6回戦がスタート。「黄金世代」の選手たちが次々に敗れる中で、平野美宇は前田美優をストレートで下し、準々決勝進出。2年前の全日本では準々決勝で対戦し、4ー1で前田が勝利していたが、今回は平野の圧勝に終わった。

「自分が何をやってもすごい強打が来て、何もできなかった試合でした。バックサイドへのツッツキが来て、それを持ち上げたのを狙われると思っていたけど、ツッツキが予想以上に切れていて、ドライブでも全然持ち上がらなかった。相手のバックハンドが一本も取れなくて、すごく悔しかったです」(前田)。左利きの選手との対戦では、どちらがより厳しくフォアサイドを攻めるかが勝負のポイント。平野の緩急自在のバックハンドの攻めと、回り込んでのバッククロスのフォアドライブが前田を封じた。
 
 一方、勝利した平野美宇は自分のプレーに満足した様子で記者会見場に入ってきた。「2試合ともとても良い試合ができて良かったです。相手は異質でやりにくいラバーを使っていたけど、それを苦にせず対応できました。前田さんには以前負けていたので、今回勝てて自信になりました。明日からさらに強い選手が出場してくると思いますが、全日本で絶対に優勝するんだという気持ちでやってきているので、明日はまず1回勝って、それから決勝までいきたい」と語った。

●女子シングルス6回戦
平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園) 4、3、6、6 前田美優(日本生命) 
  • ストレートで前田を退けた平野

  • 前田はシングルスはベスト16止まり

●女子ダブルス5回戦
政本/朝田(同志社大) -9、9、8、6 佐藤/橋本(ミキハウス/四天王寺高)
山本/明神(中央大) 9、10、5 松澤/高橋(十六銀行)
田代/前田(日本生命) 7、4、5 阿部/森薗(サンリツ)
土田美佳/宋(中国電力) 7、-11、-8、6、4 梅村/塩見真希(四天王寺高)
平/松本(サンリツ) 9、-6、5、10 鳥居/藤井(愛媛銀行)
若宮/森(日本生命) 12、5、6 堀/松岡(専修大/慶誠高)
平田/永尾(アスモ) 7、9、3 楠川/石田(愛知工業大)
阿部/徳永(早稲田大) -6、11、13、-7、6 鈴木/安藤(専修大)

●男子ダブルス5回戦
水谷/吉田(beacon.LAB/愛知工業大) 7、4、7 笠原/森本(協和発酵キリン)
森薗/渡辺(明治大) -4、6、9、2 濵川/松下(日鉄住金物流)
丹羽/酒井(明治大) 3、8、10 松浦/中林(原田鋼業)
張/高木和(東京アート) 10、5、5 上江洲/松下(愛知工業大)
木造/松山(愛工大名電高) 5、-10、3、7 松平/上田(協和発酵キリン)
宇田/張本(JOCエリートアカデミー) 5、-7、9、-12、8 塩野/村松(東京アート)
藤村/吉村(愛知工業大) 9、9、-11、6 久保田/軽部(シチズン時計)
松生/鹿屋(リコー) -7、-7、13、8、6 英田/厚谷(信号器財)
  • ベスト8入りを決めた若宮/森