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全国高校選手権(インターハイ2017)

●女子学校対抗準々決勝
 四天王寺 3−1 横浜隼人
 木村 9、−3、−10、6、−3 笹尾○
○大川 3、4、2 松井彩音
○梅村/塩見 −8、9、−9、6、9 笹尾/杉本
○ 梅村 5、10、7 杉本

 女王・四天王寺に挑んだ横浜隼人。
 トップで全日本ジュニアチャンピオンの笹尾がキレのあるフォアドライブで木村に打ち勝ち、今大会初めて四天王寺に黒星を付けた。前半を1対1として、ダブルスを取って四天王寺にプレッシャーをかけたかった横浜隼人だったが、ゲームオール11—9で惜敗。
「3番のダブルスまでに2点取って、それでやっと五分だと思っていたので、ダブルスを落としたのが痛かった」と岸監督。4番で杉本が梅村に敗れて、ベスト4入りはならなかった。敗れたとはいえ、笹尾を中心に四天王寺を苦しめたのは事実。見応えのある戦いだった。
  • 笹尾が四天王寺に風穴を空けた

  • ダブルスも惜しかった横浜隼人

●男子学校対抗準々決勝
 遊学館 3−2 東山
 出雲 8、−3、8、−8、−9 田中○
 浅利 −7、12、7、−7、−9 竹内○
○出雲/五十嵐 9、7、9 田中/福本
○五十嵐 10、4、−7、6 六本木
○三上 8、9、6 福本

0−2からの逆転劇。
ドラマチックな展開で遊学館が表彰台を決めた。

前半のシングルスは両者互角の展開だが、東山がペースをつかむ。田中は4ゲーム目を逆転し、竹内は最終ゲームの5−9から7点連取の大逆転。流れは一気に東山へ傾いた。

しかし、団体の勝負はダブルスでガラッと変わる。
東山の宮木監督も「ダブルスが良くない負け方をした。前半で2点取って、ようやくここからなのに後半に良い形で繋がらなかった」と悔やむ。

東山に行きかけた流れを遊学館がダブルスで引き寄せる。
4・5番のシングルスに入ると五十嵐、三上がプレッシャーの中でも臆さずに向かっていき、最後まで攻めの手を緩めなかった。

「メダルにはもう一歩、もう1点が足りなかったということ」と宮木監督。

それでも全国の舞台で躍動した東山の選手たちは強かった。
昨年は連続出場の記録を途切れさせてしまったが、今年は「さすが東山だ」という強さを全国に再びアピールしただろう。古豪は復活の光を見せてくれた。
  • トップで出雲に競り勝った田中

  • 宮木監督は「もう一度、メダルを」と目標を語った

●女子学校対抗準々決勝
四天王寺(大阪)3−1横浜隼人(神奈川)
遊学館(石川)3−0就実(岡山)
愛み大瑞穂(愛知)3−0希望が丘(福岡)
明徳義塾(高知)3−0武蔵野(東京)

 準々決勝の4試合のうち3試合が3−0というスコアだったが、明徳義塾対武蔵野は全ての試合がフルゲームまでもつれる激戦だった。明徳義塾は明日の準決勝で愛み大瑞穂と対戦するが、愛み大瑞穂も選手が揃っているだけに混戦が予想される。
 遊学館と就実の試合は、遊学館が3−0で快勝。遊学館はスーパールーキーの出雲が単複で大活躍し、ベスト4入りを決めた。
  • 抜群のテクニックとクールなプレーでチームを準決勝に導いた出雲

  • 武蔵野のエース・海保をゲームオール11ー9で下した明徳義塾の里川

●男子学校対抗準々決勝
愛工大名電 3−1 鶴岡東
○田中 7、−7、6、7 中橋
 木造 −5、−9、−9 内田○
○木造/高見 −9、8、4、4 中橋/星
○高見 5、8、−10、−8、8 星
 (宮本 3−0 佐藤)

カットにつかまった木造。
打てば打つほどに内田のカットは切れ味を増し、木造は決め球を作れずループドライブでかわすプレーに追い込まれてしまった。
逆に内田は3回戦の関西戦での勢いをそのままに、コートを縦横無尽に走り回る。猛烈に切れたカットで信じられないほど粘り、木造を下す金星を上げた。

「顔洗ってこい!」
ダブルスを前に今枝監督の檄が飛ぶ。
出足こそ悪かったが、徐々に相手をいなし、後半に繋いだ木造。
本来の調子ではないが、名電の連覇のためには木造の復調が必須だろう。ここからシングルスが始まるだけに、調子を上げていきたい。
  • 打っても返ってくるカットに打つ手がなくなった

  • 今大会初黒星で肩を落とす木造

●男子学校対抗準々決勝
愛工大名電(愛知)3−1 鶴岡東(山形)
希望が丘(福岡)3−2 大阪桐蔭(大阪)
遊学館(石川)3−2 東山(京都)
野田学園(山口)3−0 明徳義塾(高知)

当初のタイムテーブルは14時半開始。
しかし、熱戦に次ぐ熱戦で2時間遅れでスタートした学校対抗。
ベスト4は春の選抜と同じ4校に決定した。
●学校対抗3回戦
遊学館 3−1 慶應義塾

強豪の遊学館を相手に互角の戦いを見せた慶應義塾。2番でエースの林が川村から1点を奪取。1番川瀬も出雲を土俵際まで追い詰めた。
慶應義塾にはスポーツ推薦はなく、厳しい受験戦争を勝ち抜いてきた選手たちが卓球でも県予選を勝ち抜いて、この舞台に立っている。
全国でベスト16に入り、まさに文武両道の選手たちと言えるだろう。

「選手は120%のプレー、コンディションでやってくれました。しかし、トップの選手は要所での点の取り方がすごい。きっちり取ってくる。勝てなかったですが、遊学館相手にここまでやれたということは収穫でした。選手たちは自信になったと思います。
 林は中学の時に全国大会には出ていない。強豪じゃなくても頭を使って、プレーすることで全国でも勝てることを証明してくれたと思います。他の選手たちもみんな伸びてくれている。強豪校じゃなくても強くなれるんだという希望になったんじゃないかな。来年は3年生が抜けてきついですが、またイチからチーム作りをします」(慶應義塾・松井監督)
  • ムチのようにしなった腕から放たれる林のドライブ

  • 文武両道を掲げる松井監督

男子学校対抗3回戦で明徳義塾に敗れた北科大。
学校の正式な名称は「北海道科学大学高」。2年前に校名変更をしているため、尚志学園と言ったほうが卓球通には馴染みかも知れない。

明徳義塾との一戦は春の高校選抜のベスト8決定の再戦。しかも明徳のエース・西は北海道出身の選手だ。その西の早さに振り回された形でベスト8入りはならなかった。

「今回は明徳に勝とうと準備してきたし、研究もしてきました。でも西くんの気合いの入ったプレーに飲まれましたね。うちの選手からすると西くんは小学校時代は道内でも抜けていて、雲の上の存在です。その西くんを倒してベスト8入りを果たしたかった。
 道産子だけのチームで全国に挑戦している。尚志学園時代も5年連続くらい16止まりでした。1年でも早くベスト8入りをしたいですね。あの後藤卓也(日本大→NTT東日本)がいた時でも入れなかったベスト8。先輩たちを早く超えさせてあげたいです」(北科大・井上監督)

 何度も壁に跳ね返されながらも挑戦する。北科大の戦いはこれからも続く。
  • 北科大の伊佐治は西にストレート負けを喫した

  • 今大会は目に見えて動きが機敏な西

●男子学校対抗3回戦
愛工大名電(愛知)3−0 富田(岐阜)
鶴岡東(山形)3−2 関西(岡山)
希望が丘(福岡)3−0 新潟産大附(新潟)
大阪桐蔭(大阪)3−1 滝川第二(兵庫) 
遊学館(石川)3−1 慶應義塾(神奈川)
東山(京都)3−2 専大北上(岩手) 
明徳義塾(高知)3−0 北科大(北海道)
野田学園(山口)3-0 北陵(佐賀)

男子学校対抗3回戦が終わり、上位8校が出揃った。
大接戦だったのは鶴岡東と関西の一戦。最後はカットの内田(鶴岡東)が金光(関西)の攻撃を粘りきり、魂の勝利。大きなガッツポーズがトレードマークの内田だが、勝った瞬間は感極まり、床に倒れ込んだ。緊張の場面でも果敢なプレーで自分を突き通した内田。メンタルの勝利と言える。

もうひとつ、東山と専大北上も3−2の大激戦。前半で専大北上のカットマン・吉田が竹内を完封。専大北上が良い流れをつかんだが、キーポイントとなったダブルスを東山が取ったのが大きい。後半シングルスも互角の試合展開だったが、5番の六本木が打ち合いを制して、ベスト8入りを決めた。
  • 力強いドライブを放つ東山の六本木

  • 専大北上の吉田は高いポテンシャルを見せた

  • 東北王者・鶴岡東のベンチは熱い!

  • 激戦を制した内田は、倒れ込んだ!

 3回戦で希望が丘(福岡)に0−3で敗れた聖和学園(宮城)。これまでに春の選抜で2回、インターハイで1回ベスト16入りしており、今大会はその壁を破るのが目標だったが叶わなかった。
 11年前に大学を卒業した岡崎監督が聖和学園に赴任し、そこから卓球部の強化が始まった。生徒と岡崎監督の努力の積み重ねが実り、近年では宮城県を代表するチームに成長。明るく、懸命に戦う聖和学園はチームの雰囲気も素晴らしい。
 「女性の監督の女子チームとしてインターハイベスト8を目標にがんばっています。希望が丘には適いませんでしたが、これからも挑戦する気持ちで取り組みたいと思います」(岡崎監督)
  • チーム一丸となって戦う聖和学園

  • ゲームオールジュースの熱戦を演じたダブルス

 愛み大瑞穂(愛知)と激戦を演じた木更津総合(千葉)。木更津総合の指揮をとる原田監督は、このインターハイをもって勇退が決まっていた。
 原田監督にとって最後の夏になった今大会、木更津総合は躍進を見せた。1回戦で日南学園(宮崎)、2回戦で鹿児島城西(鹿児島)に勝ち、初のベスト16入りを果たすと、3回戦で愛み大瑞穂に肉薄。1年生の小林光優が愛み大瑞穂のエース秋山に勝ち、主将の小林美結もカットの石田にあと一歩まで迫るなど、見応えのある内容だった。
 「私にとって最後のインターハイでしたが、生徒たちは本当によくやってくれました。勝たせてあげることができなかったのは私の力不足。でも、悔いはありません。これまでもベスト16に入れる可能性は何度かありましたが、入ることができなかった。最後のインターハイで最高の成績を出せたことはうれしく思っています」(原田監督)
旧木更津中央時代から数えて36年間の監督生活。木更津総合を千葉県屈指の名門校に育て上げた原田監督の夏は、最高の形になったに違いない。
  • 1年生ながら全勝と活躍した小林光優

  • 試合後に選手とハイタッチをする原田監督