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2018世界卓球ハルムスタッド大会速報

■2018年世界卓球選手権団体戦 最終結果

★男子団体
優勝:中国(9大会連続21回目)
準優勝:ドイツ
3位:スウェーデン、韓国
ベスト8:日本、オーストリア、イングランド、ブラジル

☆女子団体
優勝:中国(4大会連続21回目)
準優勝:日本
3位:香港、コリア
ベスト8:オーストリア、ウクライナ、ルーマニア
※韓国と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は準々決勝を戦わず、統一チームの「コリア」を結成

世界選手権団体戦ハルムスタッド大会、男女チャンピオンシップディビジョンの上位結果は上記のとおり。日本女子は2位、日本男子はベスト8で大会を終えた。

王国取材班が泊まっているホテルの近くには飲食店が多く、大会終盤の夜になるとさながら「もうひとつの世界選手権」。日本選手団も含め、世界各国の選手やメディアが200m四方くらいの一角に集まって、こちらのイタリアンにはオーストリアのフェガールや中国の卓球雑誌『ピンパン世界』の一団、スポーツバーに入ればスウェーデンのヨン・パーソンやシェルベリがいて、手前の立ち飲みのスペースにはフランスのゴーズィやサリフ、元フランス代表のエロワがワイワイやっているという具合だ(もちろん、試合前夜にワイワイやっている人はいないですよ)。

王国取材班が夕食に2回訪れたレストランに、気さくな中国系のオーナー夫妻がいた。後で伝え聞くところによると、お二人とも元卓球選手で、特に奥さんは中国ナショナルチームにもいたほどの腕前。そんな噂がいろいろな方面から耳に入るほど、ハルムスタッドは小さな街でした。我らが「ファーストホテル」の部屋の階下にはパブがあり、週末になると部屋の床が震えるほどの重低音と、歓声が午前3時まで響き渡りました。すぐに慣れて、眠れるようになりましたけどね。

今大会の模様は……5月21日発売の卓球王国7月号に掲載。そうです、帰国してから、いや今夜から、一気呵成に本誌のページを作り上げます。我々の勝負はここからがスタート。ハルムスタッド・アリーナの熱気をお伝えできるよう、腱鞘炎になってもキーボードを叩き続けます。どうかご期待ください。

海にほど近く、悲鳴のような海猫(ウミネコ)の鳴き声が響き渡っていたハルムスタッドの街も、日曜日の夜は不思議なほど静かです。速報をご覧頂いた皆さま、ありがとうございました!
  • 街中にいた海猫(ウミネコ)。結構デカいです

  • 美味なるムール貝は、なぜかココナツミルク&カレー風味

  • 美しい街の風景

  • 街の人たちは訪れた春を謳歌していた

  • 大会期間中、街中に設置された卓球台

男子団体決勝の終了後、表彰式およびプレス・カンファレンス(記者会見)が行われた。今大会のMVPであるビクトル・バルナ賞をスウェイスリングクラブから贈られたのは樊振東。チームへの貢献度から言えば馬龍のほうが上かもしれないが、準決勝・決勝の重要な場面を初めて任されたフレッシュマンを優先したのだろう。

表彰式後の会見で、樊振東は「今回はポジティブな勝利だった。今回の優勝が自分の今後にとって良いものになるだろう」とコメント。「中国男子チームはあまりうれしそうに見えないけど、それは疲れがあるから?」という記者からの質問には、「うれしそうに見えないかもしれないけど、内面ではとてもハッピーだよ」と答えて笑いを誘っていた。

故障者が続出する中で、自分自身も故障を抱えながらチームを引っ張ったドイツのボルは「勝てなかったのは残念だけど、とても良い結果だった。それぞれの選手の体の面での問題があったにも関わらずだ。オフチャロフも故障で、フランチスカも足を痛めていたし、自分も背中を痛めていた。中国とやる前に自分たちとの戦いでもある」と語った。傷ついた体に鞭(むち)を打って、最後まで大会を盛り上げたボル。欧州の皇帝としての礼儀を尽くした。
  • 挨拶するバイカートITTF会長(右)とスウェーデン卓球協会のゾーリング会長

  • MVPの称号を手にしたのは樊振東

  • 地元スウェーデン、17年ぶりのメダルを獲得

  • 劉国正監督(左から3番目)は01年大会優勝の立役者。それから連覇が続く

  • 中国男女チームが勢揃いしてパチリ

  • 表彰式後の会見でコメントするボル

●男子団体決勝
〈中国 3−0 ドイツ〉
○馬龍 4、8、3 ボル
○樊振東 4、5、4 フィルス
○許シン −9、10、7、5 フランチスカ

男子団体決勝では2大会ぶりの顔合わせとなった中国対ドイツの一戦は、中国が3−0で完勝!
男子団体の連続優勝記録を更新する、9大会連続の優勝を果たした!

ドイツは右足の故障を抱え、昨日の韓国戦で張禹珍に完敗したオフチャロフをオーダーから外し、カットのフィルスを2点起用。3番に韓国戦ラストで勝利したフランチスカを置いた。カットのフィルスで中国に勝てるとは思っていないが、少しでもプレッシャーをかけ、ボルの2点と3番フランチスカで勝負し、3−2で競り勝つオーダーだ。

しかし、トップの馬龍とボルのエース対決で、試合の大勢は決まった。ボルも今大会好調の両ハンドのカウンタープレーを随所に見せたが、フォア前に低く正確な右横回転系のサービスを集められ、レシーブに苦しむ。7−4とリードした2ゲーム目、フォア前をバックでストップしようとしてミスが続き、このゲームを落とすと、3ゲーム目は4−0、7−2と馬龍が一気にリード。最後の一本も、ボルのレシーブドライブがネットに突き刺さった。
昨年12月に第一子が生まれた馬龍は、「ゆりかご」のポーズで自らを祝福。要所で強烈なカウンタードライブを交えながら、サービス・レシーブで得点を稼ぐ試合運びは円熟の極みだった。

2番樊振東対フィルスは樊振東の完勝。かつては力攻めのカット打ちが目立っていた樊振東だが、フィルスの安定したバックカットを正確にドライブで返球しながら、フォアのドライブやカーブロングでつないできたボールを狙ってペースをつかむ。
カットがないフィルスのフォアサイドは、樊振東にとって怖さがなかった。ドライブ対ドライブでもミスなく得点を重ね、硬さが取れてきた終盤は対カットでもパワードライブを連発した。

ドイツは3番フランチスカが反撃に出る。許シンのフォアサイドをバックドライブで攻め、中陣に下がった許シンのミドルを突いてから、強烈なフォアドライブを打ち込む。1ゲーム目は11−9でフランチスカ。

しかし、2ゲーム目9−10から3点連取で逆転した許シンは、次第に持ち味であるカウンターが威力を発揮。フランチスカの両ハンドドライブを、クロスにストレートにと鮮やかにカウンターで打ち抜く。中陣での躍動的なフットワークも復活し、4ゲーム目は5−1、9−4と一気にリードを広げ、最後は11−5。優勝を決めて左手にキスをした許シン、会場インタビューで「ぼくの左手は最もパワフルではないけれど、最も創造的」と語った。
  • 強かった馬龍、やはりエースはこの男だった

  • 好調のボル、決勝は敗れるもドイツの銀メダルに貢献

  • カット打ちにも進境を見せた樊振東

  • カットのフィルス、樊振東の豪打は受けきれず

  • 最強の3番、許シンが優勝を決めた

  • 中国に一矢を報いたフランチスカ

  • 優勝を決め、場内の歓声に応える中国チーム

●男子団体準決勝
〈ドイツ 3−2 韓国〉
 フランチスカ 5、−5、−8、−5 李尚洙○
○ボル 10、−10、4、5 鄭栄植
 オフチャロフ −6、−5、−6 張禹珍○
○ボル −9、8、−3、11、10 李尚洙
○フランチスカ 6、8、−4、9 鄭栄植

中国が待つ決勝の舞台へ、勝ち上がったのはドイツ!

トップで李尚洙、2番でボル、両チームのエースが1勝ずつ挙げて3番に回った「独韓戦」。3番で素晴らしいプレーを見せたのは韓国の張禹珍だ。足の故障で、普段に比べて明らかに動きが落ちているオフチャロフに対し、強烈なフォアドライブを次々に浴びせた。フォア面に中国製の粘着性ラバーを使う張禹珍、台上にわずかに浮いたボール、わずかに出るボールに対する一発のパワードライブは目を見張るものがあった。

しかし、ドイツも意地を見せる。昨日の準々決勝・ブラジル戦は腰の故障のため、この準決勝に備えて欠場したボルが奮闘。李尚洙と世界最高峰のラリー戦を展開する。李尚洙のパワードライブに何度もフォアサイドを切られながらも、巧みな緩急から必殺のフォアのシュートドライブを何本も決めた。最終ゲームはボルの4−0のリードから4−4、再び7−4と突き放してから8−8と李尚洙も食らいつく。10−9でボルが先にマッチポイントを握るが、李尚洙のバックブロックがネットインになって10−10。
ここで李尚洙、まさかのサービスミス。次の1本、長い長いラリーの末に李尚洙のフォアドライブがオーバーし、ボルがついに勝利してラストにつなぐ。

ラストは鄭栄植対フランチスカ。両ハンドのパワードライブを炸裂させるフランチスカに対し、鄭栄植は2ゲーム目も中盤で離されてあきらめ顔。しかし、3ゲーム目から少しずつフランチスカの剛球に対応し、前陣での連続ブロックからカウンターを狙っていく。3ゲーム目を返し、4ゲーム目も8−4とリードしたが、ここから再びプレーがバックのブロック一辺倒になってしまう。
9−10と逆転されてマッチポイントを握られ、最後は強烈なフランチスカのバックドライブが鄭栄植のミドルに突き刺さった!
  • フランチスカ、勝利を決めたバックドライブの威力は凄まじかった

  • その場に倒れ込み、喜びを表現した

  • 2勝を挙げたボル。全盛期再び、と思える強さだ

  • オフチャロフに完勝した張禹珍。中国選手との対戦を見たかった

  • 韓国ベンチ、ラスト鄭栄植に必死の声援を送ったが…

 中国戦トップで劉詩ウェンから逆転勝利を収めた伊藤美誠。国際大会での活躍で中国からもマークされる中、改めて中国に対抗できるレベル、そしてスタイルであることを証明した。以下は表彰式後の囲み取材でのコメント。

「1番は出足がすごく良くて、私自身は良い調子で臨めました。(2・3ゲーム目を落として)「いつもの展開だな、やばいな」と思ったんですけど、4ゲーム目を挽回して勝つことができてから良くなりました。でも最後もリードされていたし、どっちが勝つかわからなかった。粘り強さは見せられたかなと思います。

 私自身は最初から、日本が中国に勝つチャンスは全然あると思って臨んでいたし、それはみんなも思っていたと思う。無理だと思ったら無理だし、いけると思って臨んだ。前だったら「中国選手は強いな」と思っていたし、「負けてもしょうがない」という気持ちがすごくあったんですけど、今は負けたらメチャクチャ悔しい。絶対勝ちたい、勝ちに行くという気持ちで臨んでいる。それが成功したのかなと思います。
 めちゃくちゃ動けていたし、足が動いているから技術的にもよかった。苦しい展開の中で、ネットインされても後ろからしのいだり、中国選手にラリーで勝てたのはビックリというか、やってきた練習が良かったなと感じました」(伊藤)

 劉詩ウェン戦の最終ゲームは、5ー1でネットインを拾ってから、後ろに下がって劉詩ウェンのパワードライブをカウンタースマッシュ。「その1本のおかげで勝てた。あの1本がなかったらほぼ負けていたし、そこをしのいで、あきらめないで良かった」と語った。
 「いつもはあきらめていた場面でも、今回は団体戦ということであきらめることがなかったですね。あきらめずに最後まで粘れた。マッチポイントを握られてもサービスを持っていたのでチャンスだなと思いましたね。レシーブの時に1本取れれば大丈夫だと思っていた。勝利を決めた最後の一本は少しラッキーもあったんですけど、すごくうれしくて「良かった!」という感じでした」

 「すごく自信にはなったんですけど、中国選手はもっともっと対策してくると思うので、また続けて勝てるようにしたいなと思っています」と抱負を語った伊藤。「絶対に勝ちに行く」という思いを胸に、時に弾丸のようなスマッシュで、時に綿毛のようなナックルボールで、中国の長城に挑み続ける。
  • 表彰式後の記者会見での伊藤

●女子団体決勝
〈中国 3ー1 日本〉
 劉詩ウェン ー9、8、5、ー8、ー10 伊藤○
○丁寧 6、10、11 平野
○朱雨玲 4、7、8 石川
○劉詩ウェン 6、6、10 平野

 日本、トップ伊藤の先制点も中国には及ばず、1ー3で敗れる…!

 日本はトップ伊藤がいきなり勝利。1ゲーム目終盤に得意の巻き込みロングサービスからの攻めで得点を重ね、1ゲームを先取。しかし、劉詩ウェンは2ゲーム目はロングサービス、3ゲーム目は巻き込みのハーフロングサービスとサービスを変えながら、バック対バックでは少しタイミングを遅く、回転をかけたバックハンドで伊藤のミスを誘う。伊藤はゲームカウント1ー2と逆転を許す。
 4ゲーム目も1ー3となって伊藤がタイムアウト。ここから再びロングサービスを連発して追いつく。ベンチからは馬場監督の「迷わない!」という檄が飛ぶ。10ー8でゲームポイントを握った伊藤は、劉詩ウェンのロングサービスを読み切り、回り込んでフォアスマッシュで引っぱたいて11ー8。最終ゲームに持ち込む。

 最終ゲームは1ー5、4ー7、6ー9と終始リードを許す苦しい展開。8ー9で勝負をかけて回り込んだサービスが短く、レシーブが高く浮いて叩かれ、8ー10。マッチポイントを握られながらも、サービスを握った伊藤が10ー10に追いつく。
 ここでバック連打から先にフォアで攻め、ついに11ー10でマッチポイントを握った伊藤。最後はバックドライブがネットをかすめて入り、さすがの劉詩ウェンも拾えず。その場にしゃがみ込んだあと、立ち上がって満面の笑顔を見せた伊藤。「自分からとにかく攻めていくこと、最後まで自分の卓球をして、攻めることを意識しました」と会場インタビューで語った。

 2番平野は丁寧との対戦。平野はフォアストレートへの鋭いカウンタードライブを連発し、連続バックドライブの攻めも厳しいコースに打ち込んだが、丁寧はバックハンドはタイミングの早いボールを混ぜ、フォアハンドは少しタイミングを遅くして回転をかける。傷めたという左足の影響を感じさせない中陣での連続フォアドライブで、平野のフォア攻めを受け止めた。
 3ゲーム目は両ハンドとも速く攻めていた平野が、フォアドライブのタイミングを少し遅くして、そこに両ハンドの速攻を混ぜていく。9ー5でリードした丁寧だが、「チャンスがあると思って戦い続けた」と試合後にインタビューで語った丁寧。ここから5点連取で9ー10と逆転し、ジュースにもつれたこのゲームも13ー11で奪ってストレートで勝利した。

 3番は石川対朱雨玲。昨日はキム・ソンイを相手に、最後まで素晴らしい闘志と集中力で戦い抜いた石川だが、この試合は出足からどこか元気がなかった。「彼女には最近はずっと3ー0で勝っていたので、自信を持って戦った」と試合後の朱雨玲。朱雨玲のフォアサイドを厳しく攻めても前陣で対応され、バックハンドでの逆襲を許す。2ゲーム目に0ー7までリードされながら5ー8、7ー9まで挽回したが、最後は7ー11。3ゲーム目も中盤で離され、8ー11で敗れた。

 4番は平野対劉詩ウェン。何とかラスト伊藤につなぎたい平野だが、ラリーの基本となるバック対バックで劉詩ウェンの細かいコース変更と緩急に揺さぶられ、無理にコースを変えるとフォアのカウンターを食らう。前陣でのより攻撃的な両ハンド速攻へモデルチェンジを目指した時に、劉詩ウェンがひとつのモデルであった平野。同じスタイルだけに、劉詩ウェンには攻略のポイントがよく見えていた。
 3ゲーム目に平野はうまく両ハンドに緩急をつけ、6ー3、さらに10ー6でゲームポイントも奪ったが、ここから劉詩ウェンが5点連取で11ー10と逆転。最後は台から出た平野のサービスに、レシーブドライブをフォアクロスに決められ、勝負あった。

 日本女子、中国から2004年ドーハ大会以来となる勝利を挙げたが、中国の長城を崩すには至らなかった。次なる2020年世界団体戦、そして東京五輪でリベンジだ。
  • トップ伊藤、中国から見事な先制点

  • 逆転勝利に感極まった

  • 2番平野、決してプレーは悪くなかったが、丁寧の壁厚し

  • 1ゲーム目から丁寧の気迫は凄まじかった

  • 3番石川、中国に傾いた流れを引き戻してほしかったが…

  • 憎らしいほどの安定感を見せた朱雨玲

  • 4番劉詩ウェン、3ゲーム目6ー10から6点連取で優勝を決めた

●女子団体決勝
〈日本 vs. 中国〉
 伊藤美誠 vs. 劉詩ウェン
 平野美宇 vs. 丁寧
 石川佳純 vs. 朱雨玲
 平野美宇 vs. 劉詩ウェン
 伊藤美誠 vs. 丁寧

女子団体決勝のオーダーが発表され、日本は平野美宇を2点起用し、石川佳純を3番に置くオーダー。一方、中国も昨日2点で起用された朱雨玲が3番に回り、劉詩ウェンをトップに起用してきた。いよいよ試合開始まであと30分だ。
 男子団体準決勝トップで、中国の馬龍とスウェーデンのマティアス・カールソンが対戦。馬龍が3ー0で勝利を収めた。

 マティアス・カールソンはフォア面に表ソフトを使用している。勝利を決めた最後の一本は、馬龍の強烈な回転のバックドライブに対する、カールソンのフォア強打のミス。現代卓球で、表ソフトで戦うことの難しさを象徴する一本だったが、もともと80年代にペン表ソフト速攻で一斉を風靡(ふうび)したのは中国。その中国の代表選手である馬龍が、ヨーロッパの表ソフトを使う選手と戦う。なかなか興味深い一戦だった。

 一方で、馬龍とマティアス・カールソンの対戦は、ふたつのスウェーデンスタイルの邂逅、巡り合いと言えるのかもしれない。

 マティアスはヨーロッパ卓球の中では「異端児」のように映るが、71年世界チャンピオンのステラン・ベンクソンが現役後期にバック面に表ソフトを使用したり、60年代から70年代にかけて活躍したシェル・ヨハンソンがフォアの「ハンマースマッシュ」を得意とするなど、スウェーデンには表ソフトやミート打ちを取り入れたひとつのスタイルの流れがあった。それは1960年代に荻村伊智朗がスウェーデンで指導を行ったことに端を発する、日本からの影響もあるだろう。

 1980年代後半、スウェーデンはオールラウンドなシェークドライブのプレースタイルを創造した。ワルドナーのフォアのミート打ち、「コブラ」と呼ばれたパーソンのバックハンドスマッシュにかつての伝統は感じられるが、プレーのベースとなるのは回転量が多く、死角のない両ハンドドライブ。そして中国のペン表ソフト速攻を打ち破った。

 スウェーデンが創造したシェーク両ハンドドライブのスタイルは、現在も世界の卓球界の主流になっている。ペン表ソフト速攻に限界を感じた中国は、スウェーデンから取り入れたシェーク両ハンドドライブのスタイルを、何世代もかけて独自に進化させてきた。強力なフォアハンドを誇りながら、バックハンドの攻守に抜群の完成度を誇る馬龍は、中国式シェークドライブスタイルの最先端にいる。

 クラシックなスウェーデンスタイルの流れを継ぐマティアス・カールソンと、80年代のオールラウンドなスウェーデンスタイルに中国の速攻卓球のエッセンスを注入した馬龍。中国応援団の「マーロン!」の歓声と、スウェーデン応援団の「マーティアス!」の声援が飛び交う中、ふたつのスウェーデンスタイルがハルムスタッドの地で交錯した。
●男子団体準決勝
〈中国 3ー0 スウェーデン〉
○馬龍 6、5、11 M.カールソン
○樊振東 11、ー8、3、2 K.カールソン
○許シン 6、11、5 Jon.パーソン

女子団体決勝に先立って行われた男子団体準決勝、中国対スウェーデン戦は中国が3ー0で勝利。

中国はトップ馬龍が先制点。一撃必殺の回り込みドライブはほとんど見せることなく、バック対バックの展開でバックハンドの鉄壁の攻守を見せ、確実に勝てるローリスクなプレーに徹した。
スウェーデンの2番K.カールソンは樊振東の両ハンド強打によく反応し、威力あるフォアドライブや、前に小さく落とすバックドライブでミスを誘うなど、樊振東から1ゲームを奪って会場を沸かせた。しかし、3ゲーム目以降は樊振東の強烈なフォアドライブに吹き飛ばされた。

3番の許シン対Jon.パーソンは3ゲーム目はジュースまでもつれたが、フォア前のレシーブを苦手としていて、ラリー戦でのバックハンドが守備一辺倒のJon.パーソンは、許シンにとって最もやりやすいタイプの選手。Jon.パーソンも2ゲーム目は台上からバックドライブで攻めて勝負を賭けたが、試合を通じて許シンはフォア前へのサービスと、回り込んでバックサイドへのドライブからの連打。このパターンを繰り返していれば良かった。

中国はこれで9連覇にあとひとつと迫った。決勝でも馬龍・許シン・樊振東の強力トリオで、準決勝のもうひと試合、韓国対ドイツの勝者を待ち受ける。
  • 馬龍のバックサイドはまさに鉄壁。参りました

  • トップで敗れたM.カールソン

  • 樊振東から1ゲームを奪ったK.カールソン。強打によく反応した

  • 許シンは強烈なループドライブと恐るべきカウンターを見せた

  • スウェーデン応援団、劣勢にどこか寂しげ…

5月5日、週末の土曜日。ハルムスタッドは春の陽気に恵まれ、会場のハルムスタッド・アリーナにもたくさんの観客が詰めかけている。午前11時から男子団体準決勝、スウェーデン対中国の一戦が行われるからだろう。

会場外の大会公式グッズのショップは、クレジットカードのみの取り扱いで、現金はNG。スウェーデンは世界でも有数の「キャッシュレス社会」だそうで、そういえば今回の取材では、一度も現地通貨のスウェーデン・クローネを見ていない。いずれ日本も、こうなるんでしょうか。
  • 快晴のハルムスタッド・アリーナであります

  • セキュリティチェックはそれなりに厳重……か?

  • 公式グッズショップには人だかり

  • チケットもスマホで表示して、ピッと通過

  • 大会名物、LIEBHERRの重機のアーチ。VOLVOの地元に乗り込んできました