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2018世界ジュニア選手権大会

 今大会の開催地ベンディゴは、1850年代から60年代にかけて「ゴールドラッシュ」に沸いた街。世界で最も採掘量が多いと言われたほどの金鉱山があり、非常に裕福な街だったのだとか。昨日、ホテルでタクシーを呼び、街の中心地に出てみましたが、驚くほどの威容を誇る「サクレッド・ハート大聖堂」をはじめ、往年の栄華をしのばせる美しい建物がたくさん残っていました。

 金鉱山で中国人労働者が多く働いていたため、廟や中国人学校などがあるのも特徴。現在はアートでの町おこしにも力を入れている。路面電車も走っていて、なかなか素敵な街なのです。

 ベンディゴは「世界で最も住みやすい都市」と言われるメルボルンから、電車でも車でも2時間ほど。皆さん、オーストラリアにお越しの際は、ベンディゴをお忘れなく。
  • ベンディゴの街並みはとても美しい

  • ビクトリア朝時代の建築物が多く残されている…そうです

  • かつては中国人労働者を多く受け入れていた

  • スポーツ店の軒先で発見。卓球台なのにネーミングがいかつい

  • 中心部のスポット、アレクサンドラの泉

  • 準備中の食堂で、なぜかピンクの電話を発見

  • 圧巻の威容を誇るサクレッド・ハート大聖堂

  • 路面電車がイイ感じです

★12月7日のタイムテーブル

●女子シングルス予選グループ第3戦
10:45(日本時間8:45) 相馬夢乃 vs. ルンドストレム(フィンランド)

●男子シングルス予選グループ第3戦
15:15(日本時間13:15) 曽根翔 vs. ハジン(カナダ)

●女子シングルス1回戦
18:00(日本時間16:00) 大藤沙月 vs. 予選グループの勝者
18:45(日本時間16:45) 長﨑美柚 vs. 予選グループの勝者
18:45(日本時間16:45) 木原美悠 vs. 予選グループの勝者
※相馬は予選グループを勝ち上がると、ドローで対戦相手・試合時間が決定

●男子シングルス1回戦
19:30(日本時間17:30) 田中佑汰 vs. 予選グループの勝者
20:15(日本時間18:15) 宇田幸矢 vs. 予選グループの勝者
20:15(日本時間18:15) 戸上隼輔 vs. 予選グループの勝者
※曽根は予選グループを勝ち上がると、ドローで対戦相手・試合時間が決定

大会もはや第6日目、今日も朝から紺碧の青空。会場では女子シングルス予選グループ第3戦が進行中で、間もなく相馬が3試合目、フィンランドのルンドストレムとの試合を迎える。

相馬と曽根が予選グループを勝ち上がれば、日本の男女代表4選手は揃って本戦に出場。前回までは本戦への出場者は64名で、初戦の対戦相手はそれほど強くなかったのだが、今大会は本戦出場は32名のみ。初戦から相当厳しい組み合わせになるだろう。ドローの結果を待ちたい。
  • 街はクリスマス一色のベンディゴ。ヤシの木を従えた南国のクリスマスツリー

 今日行われたのは男女シングルスの予選グループ。4人で1枚の出場切符を争う戦いが明日まで行われ、今日は全3戦のうち第2戦まで行われた。

●女子シングルス予選グループ1・2戦
相馬 1、5、5、8 コク(フランス)
相馬 7、8、8、9 ホイ(カナダ)

●男子シングルス予選グループ1・2戦
曽根 7、6、3、9 フエンテス(アルゼンチン)
曽根 7、6、8、10 トリノ(ブラジル)

 最初に2試合を終えた相馬は、2戦ともストレート勝ちを収めたにも関わらず、試合後の表情は曇りがち。「調子はあまり良くないです。自分のやりたいように試合ができない。凡ミスが多かったし、相手がたまたまカット打ちができなかったから良かったですけど、内容は良くなかった」と悔しさをにじませた。明日、フィンランドのルンドストレムに勝利すれば決勝トーナメント進出が決まる。

「今の(第2戦の)相手はサービスがすごくて、最後まで同じミスばかりしてしまった。途中で修正できなかった。相手がたまたまミスしたり、自分のネットインとかラッキーなボールが多かったですけど、最後まで対応できなかった。勝てばいいというのは違う。明日、もう1試合スウェーデンの選手との対戦があって、今日よりはもっと返ってくると思うので、しっかり修正していきたいと思います」(相馬)

 一方、曽根はレシーブでのチキータ、3球目でのバックドライブをビシビシ決めた。2戦目のトリノ戦では完勝ムードから、終盤でややプレーが守りに入って追いつかれたが、負ける要素はなかった。明日、カナダの左腕ハジンに勝てば決勝トーナメント進出。普段のプレーができれば問題はないはずだ。

 「シングルスは初めてだったんですけど、自分の卓球ができたかなと思います。感覚をつかめて会場にも慣れてきた。勝つのは簡単ではないですが、自分のプレーができればという自信になってきています」(曽根)。明日も挑戦者として、思う存分戦ってほしい。
  • 相馬、2戦とも完勝ながらプレーに納得せず

  • 相馬に敗れたホイ、連続スマッシュは安定していた

  • 強烈なバックドライブが火を噴いた曽根

  • 曽根と対戦したトリノ、レシーブの構えはコンパクト

  • 本当はこんなに長身のトリノくん

 男子と同じく、シングルス予選グループに出場する相馬以外は、軽めの調整を行った日本女子チーム。渡邊隆司監督が昨日の女子団体決勝を振り返った。

 エース長崎の2点起用は予想されたが、中学2年生の大藤の2点起用について渡邊監督は「大藤は国際大会でも活躍しているし、自力で選考会で代表権を獲得した唯一の選手なので、長崎とのツインエース扱いで、中国の主力選手とも勝負させようと考えていました」とコメントした。
 3番に木原を起用したのは、今年2月のチェコジュニアオープンで相馬が中国の3番手・黄凡真に団体・シングルスで敗れているため。「相馬もチェコジュニアの時よりずっと成長していますが、決勝という舞台で相手に心の余裕を与えたくないと考えて、木原を出しました」(渡邊監督)。

 一方、中国のオーダーについては予想が外れた。中国はアジアジュニア女王の銭天一をエース扱い、2番手が石洵瑶というオーダーを準々決勝・準決勝で選択していたが、決勝では石洵瑶をエース起用。日本は前半で長崎が、昨年の女子団体決勝で破った石洵瑶をつかまえ、大藤には前半で銭天一に当てると、渡邊監督が事前合宿の時から話をしていた。しかし、結果的には1番長崎対銭天一、2番大藤対石洵瑶と、日本の読みとは逆のオーダーになった。

 「中国としては、長崎と石洵瑶を前半で当てるのを嫌がっていた部分もあると思います。1・2番で相性の良さそうな相手を当てて、先手必勝でリードを奪い、少しでも中国にプレッシャーをかけたかった。でも外されましたね。中国も事前にオーダーを考えてきていたんでしょう」(渡邊監督)。

 日本女子の戦いを振り返り、渡邊監督が言及したのは戦術転換の能力を高めることだ。
 「日本では作戦を変えていく練習というのが、練習の中にあまり組み込まれていない。特に女子は、戦術を変えていく練習が必要だと感じています。
 先日、女子JNTが優勝した全日本団体前のJNT合宿で、戦術を切り替える練習を取り入れてみました。10分や8分という時間の中で、自分が試合で使いそうな戦術を3パターン準備して、2本交替の中で切り替えていく。そういう練習方法を確立させていけば、試合でも戦術の切り替えがスムーズにできると思います」
  • 女子団体決勝トップで長崎にアドバイスする渡邊監督

  • 決勝で貴重な経験を積んだ大藤。個人戦の活躍に期待

 昨日は表彰式後、バスでホテルに戻った時には22時半を過ぎていた日本男子チーム。男子シングルスの予選グループが進行する大会第5日目は、予選グループに出場する曽根以外の選手は午後に会場に入り、練習で汗を流した。

 田㔟邦史監督は昨日の男子団体を振り返り、「昨日の試合が終わって3人に話しましたが、3人とも、もしくは日本の卓球が、チキータに少し頼りすぎているところがあると思います」と語った。

 「今はみんなチキータ処理がうまくなってきているので、あまりチキータにこだわらなくていいと思います。昨日はチキータをさせられて、台から距離を取られてという展開が多く見受けられました。そこでストップが選択肢のひとつになりますが、そのストップがうまくいかない。みんなチキータをしようとしてバックハンドの構えで入るので、バックでのストップはできますが、フォアでのストップができないというのも課題だと感じました。

 たとえば、昨日の田中がそうですが、フォア前にショートサービス、バック深くにロングサービスを出されたときに、やはりフォア前はフォアで処理しなくてはいけないし、宇田もその2点にサービスを出されたときにはフォアでのレシーブ技術を覚えなくてはならない。戸上も含めて、フォアでのレシーブ技術が少し足りなかったと思います。

 試合がゲームオール、3−3の9−9になったら、レシーブがチキータだけだと絶対に迷うんですよ。でもフォアのストップもあれば選択肢が増えて、余裕が出てくる。張継科が2014年のワールドカップ決勝で馬龍を破って優勝した時、フォア前はひたすらストップでレシーブしていた。それで最後の最後で、馬龍のサービスをフォア前に誘い込んで、チキータで得点していた。そういう最後の最後を読む駆け引きをしてもらいたいですね」(田㔟監督)
  • 日本選手のプレーがチキータに頼りすぎていると指摘した田㔟監督

  • フォア前をストップでレシーブする徐英彬。派手さはないが、技術の幅があった

 男女団体ともに優勝を飾った中国チーム。試合中に印象的だったのは、試合を終えてベンチに戻ってきた選手に対する態度だ。

 女子チームを率いる閻森監督(00年シドニー五輪男子複優勝)、男子チームを率いる陳振江監督、ともに試合中は「一球一球しっかり待って打て」「相手のボールを利用しろ」などのアドバイスの合間に、「気にするな!」「ナイスプレー!」とポジティブな言葉を挟んでいくが、試合を終えた選手に対する態度は完全に「お説教」。祝福の言葉より先に、試合での課題について、身振り手振りを交えながらの熱弁が何分も続く。

 こうしたコーチたちの態度は、今までの世界ジュニアでも何度も見てきた。「ジュニアはあくまでも通過点」というのが彼らの明確な姿勢だ。だから少しでも修正点があれば、試合の後でも口を酸っぱくして繰り返す。そのしつこさたるや、他の国の追随を許さないものだ。
  • アクションが豊かな陳振江監督

  • 高校の体育教師のような雰囲気の閻森監督

 男子団体決勝に続いて行われた表彰式。男女団体ともタイトルは中国が獲得したが、日本も決勝では中国のライバルとしての存在感を見せた。明日から大会は後半戦。ここからひとつでも中国相手に白星を積み重ねてほしい。

 男女団体の1位チームと2位チームには、メダル&花束とともにカンガルーのぬいぐるみが授与された。表彰式の後、受け取った花束を会場内の食堂のお姉さんにあげて、ものすごく喜ばれていた「デキる男」がいたことは内緒です。
  • 表彰式での日本女子チーム

  • 表彰式での日本男子チーム

  • キュートな日本女子チーム&カンガルーちゃん

  • 戸上くん、個人戦ではゴールドメダルをかじってもらいましょう

●男子団体決勝
〈中国 3−0 日本〉
○于何一 −8、10、3、8 田中
○徐英彬 8、7、−9、5 宇田
○向鵬 10、9、9 戸上

 男子団体決勝で中国に敗れた日本。トップ田中が1ゲーム目、軽快な両ハンド連打で于何一を8−2と圧倒し、11−8でゲームを奪った時は、「これはチャンスあり!」という雰囲気があった。2ゲーム目、10−9のゲームポイントから逆転されて落としても、まだ五分五分という印象だった。

 しかし、3ゲーム目以降、于何一は田中の快速チキータを次々に狙い打つ。コース変更が読みやすかったのか、その精度は非常に高く、勝負所で確実に得点された。少しスピードを落とした回転重視のチキータを混ぜれば、もう少し于何一の待ちを崩せたのではないか。勝機は十分あっただけに惜しい試合だった。

 2番徐英彬は、1ゲーム目のラブオールでの最初の得点が、宇田のフォアドライブに対するバックブロック。低く正確にバックを突いて得点したこのプレーが、試合を象徴する一本だったかもしれない。徐英彬は攻守のバランスにすぐれた馬龍タイプの両ハンド型で、宇田の強烈なパワードライブを何本もブロックし、宇田の連続攻撃のミスを誘う。試合全体を通じて、宇田の強打のミスでラリーが終わるケースが多かった。

 そして3番向鵬が、戸上に対して3ゲーム目10−9のマッチポイントで見せたのは、3球目で見せたフォアストップ。かなり高く浮いていたので、戸上がそれを読んでいれば、難なくパワードライブで打ち抜けたはずだ。しかし、意表を突かれたためにやや出足が後れ、4球目のストップは力なくネットにかかった。

 あえて相手の得意なプレーをやらせて、それを狙う。あるいは相手の待ちを外す。男女とも、中国のジュニア選手離れした得点術に敗れた日本。しかし、これは今後の意識と研究次第で、埋めていける差だ。決勝の反省を生かして、個人戦で中国にリベンジだ。
  • トップ田中、2ゲーム目10−9のゲームポイントを生かしたかった

  • 中盤から田中のチキータを狙っていた于何一

  • 宇田は今日も好調なプレーを見せたが、徐英彬がうまかった

  • 先に相手にやらせる「後の先」の戦術を駆使した徐英彬

  • 気迫あふれるプレーだった戸上、個人戦に期待

  • 15歳の向鵬、決勝で大役を果たした

●男子団体決勝
〈中国 3−0 日本〉
○于何一 −8、10、3、8 田中
○徐英彬 8、7、−9、5 宇田
○向鵬 10、9、9 戸上

日本男子、各ゲームは競り合うも、中国に0−3で敗れて銀メダル。
男子団体優勝は中国!
  • 3番向鵬が戸上を下し、中国の優勝を決めた

●女子団体決勝
〈中国 3ー1 日本〉
○銭天一 9、ー11、ー8、5、9 長崎
○石洵瑶 8、2、3 大藤
 黄凡真 ー4、ー7、8、4、ー10 木原○
○石洵瑶 6、5、9 長崎

日本女子、3番木原が1勝を挙げるも、1−3で中国に敗れて銀メダル。

日本はトップ長崎が、銭天一との左腕対決で大激戦。バック対バックでお互いに緩急をつけ合うラリー展開で、長崎はサービスを出す位置も変えて揺さぶる。
2ー2の最終ゲームもスコアが離れず、8ー9まで競り合ったが、ここで銭のループドライブに対する長崎の3球目フォアドライブがラケットの角に当たってオーバー。そして9ー10の場面でも、長崎のフォアハンドがラケットの角に当たって大きくコートを外れた。銭もレシーブを空振りするなど、相当なプレッシャーは感じられたのだが、長崎もやや力が入ったか。

2番大藤は1ゲーム目、4ー8から8ー8まで挽回したが、石のバックは堅く、攻守の切り替えの速さになかなかついていけない。2ゲーム目に入ると石が一気にギアを上げ、4ー0、7ー1と大きくリード。石は押されたラリーでも、少し高いボールを送って大藤のミスを誘うなど、経験を感じさせるプレーを見せた。大藤の強力なサービスも効かず。

しかし、日本は3番木原が1点を返す。出足からプレーに硬さが見える黄凡真を、バック対バックの高速ラリーと巧みなサービスで圧倒。2ゲームを先取する。ベンチの閻森監督から「1球1球待って打て」とアドバイスが飛び、黄も次第にプレーに余裕が出て、木原の両ハンドをしっかり守ってから反撃。1番に続いてゲームオールへ。

最終ゲーム、黄に6ー3とリードされた木原だが、ここから6点連取で9ー6と逆転、10ー7でマッチポイント。粘る黄に10ー10に追いつかれたが、11ー10の4回目のマッチポイントで、目にも留まらぬフォアクロスのカウンタースマッシュが駆け抜けた!!

ここから反撃にいきたい日本だったが、4番で再び登場した石洵瑶が出足から気迫のプレー。世界ジュニアの女子団体決勝で、前々回は伊藤(美誠)、前回は長崎に敗れている石。名誉挽回の機会とばかり、積極的な両ハンド攻撃を見せた。

長崎は試合の中盤、「ここ1本」というところで強打のミスが多く、主導権を握れなかった。自分が2点取るという気負いが、プレーに微妙な影響を与えてしまったかもしれない。
  • 中国から1勝を挙げた木原。ベンチに戻って会心の笑顔

  • フォアストレートへのカウンターもよく決まった

  • 日本女子、ベンチも燃えた!

  • 名誉挽回とばかりに、闘志満々のプレーを見せた石洵瑶