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速報・現地リポート

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2018世界ジュニア選手権大会

●混合ダブルス2回戦
宇田/木原 11、6、7 ドボイニコフ/ジロノワ(ロシア)
曽根/大藤 ー13、8、5、9 カッツマン/コリシュ(ロシア)
田中/長崎 7、1、6 ロッシ/ロウレンティ(イタリア)
徐海東/郭雨涵(中国) 5、ー10、4、8 戸上/相馬

混合ダブルスは続いて2回戦まで終了。ベスト16のペアが出揃った。日本は3ペアがベスト16進出を決めたが、戸上/相馬は中国ペアに惜敗。戸上の強烈なカウンター、相馬のナックルカットは中国ペアにも効いていたが、中国ペアは徐海東がループドライブに巧みに緩急をつけて戸上のミスを誘い、郭雨涵が手堅いツッツキとブロックでアシストした。

左写真はイタリアペアに快勝した田中/長崎ペア、右写真は惜敗した戸上/相馬。
●混合ダブルス1回戦
戸上/相馬 7、6、3 トモイケ/G.タカハシ(ブラジル)
宇田/木原 3、ー8、8、4 マイスナー/シュライナー(ドイツ)
田中/長崎 2、8、5 スラバジュラ/セン(インド)
曽根/大藤 5、ー9、7、ー7、4 チュア/チャン・ワンリン(シンガポール)

混合ダブルス1回戦が終了し、日本から出場の4ペアはいずれも初戦を突破した。

ヒヤリとしたのは、今大会の初戦となる曽根と、大藤のペア。曽根の武器であるレシーブでのチキータがなかなか決まらなかったが、試合後に「男子のサービスは低さや回転量を重視しているけど、女子はラリー重視なのでサービスが少し高くなったり、ハーフロングで来たりする。そこに狙いを絞れていなかった」と語った曽根。「普段の試合では1回来るか来ないかというサービスが連続で来たので、ちょっと対応が難しかったです」。

男子と女子の球威の違いがクローズアップされることが多いが、サービス・レシーブでもやはり対応が必要ということだ。試合後、すぐに会場で練習を行っていた曽根。団体戦のベンチで先輩たちのプレーを見て、次のように語った。

「今の自分のままでは、この舞台でしっかり戦い抜くことはちょっと難しいんじゃないかと感じています。自分は4番目で選ばれた身なので、上位は目指しているけど簡単に入れるものではない。一戦一戦、自分の大事なことを意識して、気合いを入れて全員に立ち向かうつもりで頑張っていきたい」(曽根)。さあ、ここから大爆発だ。
  • 苦戦を乗り切り、混合複1回戦を突破した曽根/大藤

  • 「自分ではもっと緊張すると思っていた」と試合後に語った曽根

 今日のお昼から、会場内のバスケットボールコートで「出張動物園」が行われている。オーストラリアに来ても、大会期間中はなかなか遠出もできない選手たち。コアラにカンガルー、ウォンバットなど、オーストラリア自慢の野生動物にふれ合う機会を提供する、なかなか粋な計らいだ。選手たちもしばしコートでの緊張を忘れ、笑顔ではしゃいでいた。
  • 小さなワニと徐海東くん。日本はそのワニちゃんのようにはいかないぞ

  • コートではセンス抜群のスルヤンちゃんもビビりがち

  • カンガルーとスマイル

  • 日本男子の董崎岷コーチは、コアラが似合うイイ男

 大会第4日目を迎えたベンディゴスタジアム。今日も外には夏空が広がっている。まず混合ダブルス1・2回戦が行われ、現地時間17時(日本時間15時)から女子団体決勝、19時(日本時間17時)から男子団体決勝がスタートする予定。男女団体決勝はともに日中対決だ。まず混合ダブルスに出場する日本のペアと、1回戦の対戦ペアをご紹介しましょう。

●混合ダブルス1回戦
戸上/相馬 vs. トモイケ/G.タカハシ(ブラジル)
宇田/木原 vs. マイスナー/シュライナー(ドイツ)
田中/長崎 vs. スラバジュラ/セン(インド)
曽根/大藤 vs. チュア/チャン・ワンリン(シンガポール)

 例年は日本もぶっつけ本番に近い混合ダブルスだが、今回は大会前の調整合宿で男女チームの田㔟監督と渡邊監督が話し合い、混合ダブルスの練習時間もしっかり作って大会に臨んでいる。韓国の男子がエントリーしていないため、韓国の女子選手は外国選手とペアを組んでいる今大会。中国も4ペアがエントリーしているが、メダル獲得、そして金メダルのチャンスは十分にある。

 写真は先陣を切って出場した戸上/相馬。ブラジルの日系人ペア、トモイケ/タカハシペアを3ー0で破った。トモイケは前回も、そして今回も唯一の日本式ペンドライブ型。タカハシはリオ五輪代表で日本にも武者修行に来たブルーナの妹さんだ。
  • 順当に1回戦を突破した戸上/相馬

  • 日系人ペアのトモイケ/タカハシ。タカハシはお姉ちゃんにはあまり似ていない

 4番の宇田対黎シン陽戦、最終ゲーム11ー10で宇田が放ったチキータは、日本男子を苦戦から救う渾身の一撃だった。男子JNT(ジュニアナショナルチーム)の田㔟邦史監督は、「宇田はよく踏ん張ってくれましたね」と語りながらも、期待を込めてさらなる「戦術眼」の成長について語った。

 「黎シン陽は最後、チキータへのカウンターをミスしてくれましたけど、思い切りヤマを張られていた。あれが世界のトップ選手、たとえば中国の馬龍(16年リオ五輪優勝)や樊振東(18年ワールドカップ優勝)だったら絶対にミスしてくれない。相手がミスしてくれなかったらいい、というわけではない。

 最近の若い選手を見ていると、一本バックに打ったチキータをミスしたら、次はフォアにチキータするとか、次はストップしようとか、技術やコースの変更に単調なところがあって、相手に読まれやすい。黎シン陽の最後のカウンターは、宇田がその前に一本フォアへのチキータをミスしていたので、バックにヤマを張っていたのだと思います。

 たとえばバックへのチキータをミスしたら、次はスピードはなくても回転重視のチキータをもう一度バックに送るとか、そういう選択肢や駆け引きも視野に入れてほしい。たとえば、高く浮いたチャンスボールでも6割くらいの力で、体を入れた逆モーションにして相手の待っていないところに打つ。そういうプレーが中国にはありますから」(田㔟監督)

 確かに世界ジュニアの試合を見ていると、どのコートもナイスラリーの連続。しかし、トップ選手ほど一見してプレーは地味なものだ。要所で相手のプレーを読み切るビッグプレーを見せながら、多くのラリーではブロックやストップなどの地味な技術で得点を重ね、逆モーションで相手の待ちを外す。現在の卓球界では、ジュニアのうちからそういった戦術的な成熟が求められるようになっているのだ。
  • トップ田中にアドバイスを送る田㔟監督

 昨年のどこか自信のなさそうなプレーに比べると、本当にたくましくなったものだ。チャイニーズタイペイ戦で2勝をあげ、チームを決勝進出へと導いた宇田幸矢。
 強力なチキータや、バッククロスへの必殺のシュートドライブはそのままに、相手のサービスが台から出れば打球点をギリギリまで落としてループドライブ、4番黎シン陽戦で見せたフォアサイドからのサービスなど、より多彩な一面を見せた。以下は準決勝後のコメント。

「2番の出足は昨日の良い流れのままで入れたし、思い切ってできたと思います。0ー1で回ってきましたけど、自分のプレーができれば勝てるかなという自信はあった。出足から思い切ってできました。

 4番でやった黎シン陽はこの前のベルギーオープンで4ー2で勝ったけど激戦だったので、あまり自信はなかった。自信がないまま入ってしまったので1ー2でリードされて、作戦としてはフォア側からサービスを出して、流れを引き戻せたのかなと思います。フォア側からのサービスは、今大会で初めてではなかったですが、流れを変えたい時に結構使います。

 田㔟監督も最後は自分を信じてやれと言ってくれて、最後は思い切ってチキータにいけて、相手がミスしてくれました。4番でゲームオールジュースで負けると相手チームの流れになるし、5番で確実に勝てるかどうかはわからない。「自分が4番で勝ち抜く」と強く思っていたので、勝った時はうれしかったです。

 決勝の中国戦は今良い流れで調子も良いし、アジアジュニアで中国の徐英彬に、負けたけど3ー4で競ることができた。チャンスは全然あるので、優勝目指して頑張りたいです」
  • 4番でチームの勝利を決め、チームメイトと握手する宇田

●男子団体準決勝
〈日本 3ー1 チャイニーズタイペイ〉
 田中 −9、7、−7、10、−8 黎シン陽○
○宇田 3、8、−8、6 馮翊新
○戸上 2、−9、5、7 戴茗葦
○宇田 14、ー8、ー8、7、10 黎シン陽

〈中国 3−0 フランス〉
○徐英彬 11、8、6 ド・ノドレスト
○于何一 14、−7、4、9 ベルトラン
○向鵬 9、−11、−9、3、7 ランベール

日本男子、チャイニーズタイペイに苦しめられながらも3ー1で勝利し、女子と同じく明日の中国との決勝へ駒を進めた!

日本の前に立ちはだかったのは、トップで田中を破った黎シン(日+斤)陽。小柄ながらスイングスピードが抜群に速く、ブツ切りの下回転サービスと正確なレシーブを備えていた。そして何よりも、自分の読みに対してプレーの迷いがなかった。コースを読み切った両ハンドの強烈なカウンターは、試合を見ていた中国選手たちが驚嘆の声をあげたほどだ。

それでも日本は2番宇田、3番戸上が勝利し、2ー1と逆転。戸上は1ゲーム目に8ー0とスタートダッシュをかけるなど、ようやく本来の爆発力が出てきた。

そして4番の宇田対黎シン陽。宇田は黎シン陽の下回転サービスに対し、持ち味であるチキータからの攻めを封じられたが、中盤からフォアサイドからのサービスを多用し、黎シン陽を崩しにかかった。最終ゲーム、6ー1のリードから徐々に追い上げられ、9ー8となったところで、田㔟監督から「出す位置を変えろ、フォア側から出せ」というアドバイスが飛ぶ。10ー8でマッチポイントを握ったが、10ー9で黎シン陽に強烈な3球目パワードライブをミドルに打ち込まれ、10ー10。

11ー10で迎えた3回目のマッチポイント。それまで下回転サービスをストップしていた宇田が、これで決まれと渾身のチキータ。黎シン陽もこれを読み、大きく回り込んでいたが、3球目のカウンターがネットにかかって勝負あり。4番で決着がついたが、2時間50分を超える大熱戦だった。
  • 宇田が殊勲の2点取り。ゲームオールジュースで黎シン陽を下す

  • 大当たりの黎シン陽をフォア側からのサービスで崩した

  • 抜群の読みを見せた黎シン陽。第二の荘智淵となるか?

  • 3番で貴重な勝利を挙げた戸上

●女子団体準決勝
〈日本 3−0 ロシア〉
○長崎 6、−2、9、−12、12 タイラコワ
○相馬 11、3、5 コリシュ
○大藤 5、3、−9、2 カザンツェバ

〈中国 3−0 韓国〉
○石洵瑶 3、8、6 崔海恩
○銭天一 −6、1、9、2 申裕斌
○黄凡真 12、7、5 ユ・ハンナ

日本、ロシアを3−0で破って決勝進出!
明日の決勝で中国と激突だ!

苦戦したのはトップ長崎。「予想以上に相手のボールが返ってきて、途中から戦術がまとまらなくなってしまった」と試合後のコメント。長崎のサービスをうまくストップし、そこからループドライブとミート打ちのコンビネーションを見せたタイラコワは、想像以上に強かった。

4ゲーム目に握った2回のマッチポイントをしのがれ、相手にネットインが続いた5ゲーム目は先にマッチポイントを許す苦しい試合展開だったが、しのぎきった。

2番相馬は序盤こそコリシュの3球目バックドライブを警戒し、ややプレー位置が後ろになって9−10でゲームポイントを握られたが、ここをしのいでからは一方的な展開。相馬のカットの変化がわからず、コリシュはストップのネットミスやドライブのオーバーミスを繰り返した。相馬のバックハンド強打もよく決まった。

3番大藤は巻き込みのロングサービスを連発し、サービスエースを次々に奪ってカザンツェバを圧倒。中盤はサービスに慣れられ、懐の深い相手のバックハンドに3ゲーム目を落としたが、4ゲーム目はラリー戦を冷静に制した。

日本女子、明日はいよいよ中国との決戦だ!
  • 苦しい苦しい一戦を制した長崎、貴重な勝利!

  • 「最初はすごく緊張した」という相馬だが、中盤からバックの反撃も決まった

 現地に到着して2日ほどは肌寒かったベンディゴだが、ようやく夏の日差しと青空が戻ってきた。抜けるような青空とは、まさにこのこと。

 今から200年ほど前に実在したイングランド生まれの拳闘家、ウィリアム・トンプソンなる人物のあだ名から名付けられたというベンディゴの町。1850年代にはゴールドラッシュに沸いたとか。いますよ、今大会にも才能の原石が。

 写真の一番最後は会場のベンディゴ・スタジアム。まだ新しい建物で、中にはメインアリーナの他にバスケットボールコートが4面もあり、かなり広い。
 今大会の世界ジュニアのシードを決定するシーディングには、「スペシャル・シーディング」という特例が適用されている。U18のランキングポイントの対象大会への出場が4大会に満たない選手で、U21の世界ランキングが30位以内、あるいはシニアの世界ランキングが100位以内の選手に対しては、特別なシードを与えるというものだ。

 日本は男子の田中、宇田、戸上、女子の4選手全員がスペシャル・シーディングの対象となり、シーディングに使われるU18のランキングより高い位置のシードを獲得できた。たとえば長崎はU18の世界ランキングは41位だが、シニア(37位)・U21(5位)の世界ランキングによって第4シードになった。

 「今回の代表選手はジュニアの大会に全然出ていないので、スペシャルシーディングがもらえていなかったら、団体戦の第4シード以内には絶対入れていないと思います。ちゃんとルールを把握して、ちゃんと申請していたのは良かった」と日本女子の渡邊隆司監督は語る。「他のチームのコーチでは、知らない人も多かったですから。申裕斌(韓国)のコーチもワールドツアーで会って聞いてみたら『何それ?』という感じでした」。

 準々決勝からの登場で、1勝でメダル確定というのは少々実感に欠けるが、スペシャル・シーディングという特例をしっかり味方につけた日本チーム。一方で、この特例に関するITTFのアナウンスは、まだ十分とは言えないようだ。

 また、各年代別にランキングポイントを与える現行の世界ランキングシステムでは、世界ジュニアはいくら活躍してもシニアのランキングに反映されない。シニアで活躍するジュニア選手にとってはメリットの少ない大会になり、林昀儒(チャイニーズタイペイ)などの強豪がエントリーしなかった大きな要因になっている。
  • 昨日のルーマニア戦で木原にアドバイスする渡邊隆司監督