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速報・現地リポート

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2018世界ジュニア選手権大会

●男子団体準々決勝
〈フランス 3−0 イラン〉
○ド・ノドレスト −8、8、−8、6、8 アーマディアン
○ベルトラン −9、8、7、7 アバシ
○レンベルト 13、13、4 アミリ

〈中国 3−1 アメリカ〉
 徐海東 −7、−9、9、10、−6 ジャー○
○徐英彬 5、4、4 クマル
○向鵬 8、6、7 アルゲッティ
○徐英彬 −9、5、9、9 ジャー

〈チャイニーズタイペイ 3−2 インド〉
○馮翊新 6、7、5 チャンドラー
○黎昕陽 2、7、9 タッカル
 タイ・ミンウェイ −5、−7、−9 シャー○
 馮翊新 −5、−7、2、−8 タッカル○
○黎昕陽 1、3、2 チャンドラー

男子団体準決勝の日本戦以外の結果は上記のとおり。日本の相手はインドを3−2で振り切ったチャイニーズタイペイだ。

この男子団体準々決勝で目立っていた選手は、なんと言ってもアメリカのカナク・ジャー。現在はドイツ・ブンデスリーガのグレンツァオで腕を磨くジャーは、中国戦トップで徐海東を撃破し、4番でも徐英彬と大接戦を展開した。

フットワークを使ってひたすら連打する「真っ向勝負」のスタイルだった時期もあるジャーだが、中国戦の2試合では巧みなループドライブやナックルを混ぜた巧みな台上処理、前に落とすブロックなどクレバーなプレーを披露。中国のベンチは全力で声援を送るほど追いつめられていた。
  • トップでジャーが徐海東を破った瞬間

  • 徐英彬はミスにこの表情。それほど追いつめられていた

●女子団体準々決勝
〈中国 3−1 アメリカ〉
○銭天一 6、2、6 レイチェル・ヤン
○石洵瑶 8、6、8 クリスタル・ワン
 黄凡真 −14、8、−11、8、−9 エイミー・ワン
○銭天一 7、9、10 クリスタル・ワン

〈韓国 3−0 チャイニーズタイペイ〉
○ユ・ハンナ 9、−6、7、9 蘇珮綾
○申裕斌 4、3、4 蔡育勤
○魏藝智 −4、8、−7、2、9 陳亭ティン

〈ロシア 3−0 香港〉
○コリシュ 4、6、−4、11 李嘉宜
○タイラコワ 8、9、6 黃芊柔
○カザンツェバ 9、6、−8、10 周穎詩

女子団体準々決勝、日本戦以外の結果は上記のとおり。準決勝は日本対ロシア、中国対韓国という組み合わせになっている。

ロシアは香港をストレートで破り、メダルを確定させた。エースのタイラコワをはじめ、4人揃って長身のシェークドライブ型で,ラリー戦になると粘り強い。香港は李静監督の熱い声援も届かず。

中国は3番黄凡真が、エイミー・ワンの金属音を放つバック強打に敗れ、初戦で早くも失点。アメリカは全員中国系選手で、監督も元中国代表の高軍。この試合を見ていたボランティアスタッフの女性が「どうしてこのコートは中国選手しかいないの?」と聞いてきたのも無理はない。
  • 準決勝で日本と当たるロシアのエース、タイラコワ

  • 中国戦で黄凡真を破ったエイミー・ワン

  • 熱い声援を送るロシアベンチ

強烈なチキータを放つ選手が揃う、ヨーロッパの暴れん坊・ルーマニアに3−0で完勝した日本男子。チキータが得意な「ルーマニア封じ」の作戦として、田㔟邦史は右利きのふたり、2番田中と3番戸上に対して「フォア前&バック深く」という、明快なサービスの指示を出した。このシンプルな戦術で「頭が冷静になった」と試合後に戸上は語った。

一方で2番田中に対しては、フォア前へのサービスは中盤から巻き込みの逆横回転サービスに変えさせた。プレテアが(フォア前の)逆横回転サービスに対して、ほとんどチキータをせず、ストップでレシーブしてくることを把握していたからだ。数多くの国際大会に帯同し、警戒すべきルーマニア選手の試合を何度も観てきた経験が生きた。

田㔟監督のベンチでの指示は、サービスの球種とコースに関するものが多い。その理由について聞いてみると、「サービスでの得点率が上がれば、レシーブは自分の好きなことができる。レシーブは相手のあることだし、長短も読めないですが、サービスは自分で好きなようにできる。まずはサービスからの得点率が大事かなと思います」。

「ルーマニアは一番嫌な相手だったけど、だからこそ一番情報を持っていたのもルーマニアかもしれない」(田㔟監督)。難敵・ルーマニア戦の勝利は、田㔟監督が数多くの国際大会を転戦して収集した情報と、それを解析できる戦術眼の勝利でもあった。選手とベンチが一体となっての快勝だった。
  • 戦術をシンプルにして、選手たちの緊張をほぐした田㔟監督

  • 強打者のプレテアに対し、田中はフォア前へのサービスを有効に使った

●男子団体準々決勝
〈日本 3−0 ルーマニア〉
○宇田 9、11、9 シポシュ
○田中 9、3、9 プレテア
○戸上 −7、−7、7、7、8 キリタ

男子団体準々決勝、女子と同じくルーマニアと対戦した日本男子は、こちらも3−0でルーマニアを撃破!

団体戦になると強い「お祭りチーム」のルーマニアに対し、日本はトップ宇田で勝負。強烈なチキータとバックドライブを誇るシポシュに対し、1ゲーム目10−9から強烈なチキータを決めて先取する。「今回はミドルへのチキータが決まっていた。競った時のサービスとレシーブのコントロールがうまくできたので勝ち切れた」(宇田)。試合の後半ではレシーブも3球目もバックハンドにこだわらず、両ハンドでうまく緩急をつけてシポシュを崩した。

2番田中対プレテアは、1ゲーム目10−9で田中の下回転サービスにレシーブミスしたプレテアが、ボールをフェンスに叩き込んでイエローカード。そこからの投げやりなプレーはこの選手にはよくあることだが、「試合前にコーチや監督から、あれが相手の作戦と聞いていたので、自分は集中力を切らさずに1本1本戦うことを意識しました」と田中。相手に復調のきっかけを与える前に、バック対バックで確実に相手のバックをつぶした。

苦戦したのは3番戸上。「序盤は思った以上に足が動かなくて、自分で混乱してしまった」と試合後に振り返った。課題であるスロースターターを克服しようという意気込みが、逆に足を止めてしまったような試合内容。2ゲームを先取されたが、3ゲーム連取で大逆転した。どこからでもチキータで攻めてくる相手に対し、「田㔟監督からフォア前への横回転サービスとバックへの長いサービスだけでいいというシンプルな戦術をいただいて、それで一旦頭が冷静になったのが良かった」(戸上)。後半は硬さも取れ、持ち味のキレのある両ハンドがよく決まった。

日本男子の準決勝の相手はチャイニーズタイペイ。「どんぐりの背比べ」という感じのチームだが、サービス・レシーブではルーマニアほど簡単には崩れないだろう。殊勲者の宇田は「明日のタイペイ戦も自分のプレーを最大限に発揮して、決勝に進出して中国に勝てるように頑張りたい」と力強く語った。
  • この1年の成長を見事に証明した宇田のプレー

  • 2番田中、バック連打の緩急と安定性は圧巻

  • 3番戸上、2ゲームを失うも踏ん張って逆転

  • 戸上を追いつめたルーマニアのキリタ

●女子団体準々決勝
〈日本 3−0 ルーマニア〉
○大藤 5、−5、7、4 ドラゴマン
○長崎 7、5、7 プライアン
○木原 8、7、7 ザハリア

日本女子、ナーバスな初戦でも冷静なプレーでルーマニアを一蹴!
これで準決勝進出、銅メダル以上が確定!

トップで強心臓ぶりを見せつけたのは中学2年生の大藤だ。ABC− XYZでXYZになった日本は、エースの長崎は2・4番での起用がセオリーで、トップには使いにくい。そこでトップに起用されたのが大藤だった。2ゲーム目こそ大量リードを許して敗れたが、長身から両ハンドの合わせ打ちを見せるドラゴマンの揺さぶりにも動じず、安定した両ハンドドライブで対応。チャンスボールにはフルスイングのフォアドライブを見せた。

「団体戦の初戦で、自分の試合も1番だったのですごく緊張したんですけど、自分なりのプレーができて良かったです」と試合後の大藤。その緊張感を、見た目でもプレーでも周囲に感じさせないあたりが大物たる所以(ゆえん)だ。

これで勝利に大きく近づいた日本は、2番長崎、3番木原が1ゲームも落とさずにストレート勝ち。長崎は両ハンドの前陣のラリーで、打球点の早さとコースの厳しさでプライアンを追いつめ、冷静に仕留めた。木原は若手の注目株・ザハリアのストレートへの連続バックハンドに押される場面もあったが、「どういう戦術で戦ってくるか、少し不安があったんですけど、1ゲーム目で相手のプレーがわかってからは安心できました」と試合後に語った。

「決勝で中国に勝つためにここに来たので、まず決勝に行けるよう、明日良い試合ができるよう頑張ります」と声を揃えた日本女子トリオ。日本にはさらにカットの相馬という秘密兵器もいる。明日の準決勝はロシアとの対戦。ラリーになるとうるさい相手だが、冷静に3−0で締めたい試合だ。
  • トップで勝利し、ベンチで笑顔を見せた大藤

  • 大藤に敗れたルーマニア女子のエース・ドラゴマン

  • 2番長崎は1ゲーム目こそリードされたが、安定したプレー

  • メダルの実感は…ちょっとないですが、しっかり準決勝へ!

●女子団体準々決勝・組み合わせ
日本 vs. ルーマニア
ロシア vs. 香港
チャイニーズタイペイ vs. 韓国
アメリカ vs. 中国

●男子団体準々決勝・組み合わせ
中国 vs. アメリカ
イラン vs. フランス
チャイニーズタイペイ vs. インド
日本 vs. ルーマニア

男女の準々決勝のドロー(組み合わせ)が発表された。日本は男女ともルーマニアと対戦。まず現地時間16時から女子が、続いて18時半から男子が準々決勝を戦う。

女子のルーマニアはユース五輪銅メダリストのドラゴマンがいるが、渡邊隆司監督はこう語っている。「ルーマニアはドラゴマンもいますけど、いつもどおり1試合ずつしっかり戦うだけ。やりやすい相手を引いたと思います。一番警戒していたのは韓国。申裕斌もいるし、ユース五輪に出ていた崔海恩やカット打ちのうまい選手もいるし、オーダーが難しかった」。

団体戦の試合方式は今大会から変更。昨年までは日本も第2ステージのグループリーグ2試合を戦ってから準々決勝を迎えていたが、今大会はいきなり準々決勝で、2試合を戦ってきた相手と戦わねばならない。「去年までの方式でも、チーム全員を使いながら良い雰囲気を作っていくのは難しかった。今年はさらに難しい。気を引き締めてやりたい」(渡邊監督)。

男子のルーマニアには、プレテアとシポシュという経験豊富なツインエースがいる。ともに油断できない強打者で、勢いに乗ると手がつけられない。日本はトップと3番で確実に勝利し、試合を優位に進めたい。
  • 長﨑、日本女子のエースとしての活躍に期待

  • 大藤、練習を見ていても初出場の堅さはない

 会場では男女とも予選グループが終了。異変が起こったのは男子だ。インド対ドイツは3−1でインド、イラン対ロシアはなんと3−0でイラン、さらにアメリカ対シンガポールも3−0でアメリカが勝利。従来の勢力図ならば格上であるはずのチームが軒並み敗れ、インド・ルーマニア・イラン・アメリカが準々決勝に進出した。

 勢力図を激変させた立役者たちは、攻撃力にすぐれた強打者たちかと思いきや、さにあらず。むしろ守備力にその特長がある。ドイツから2点を奪ったインドのタッカルは、相変わらずの堅いバックブロックとバック強打、飛びつきざまにフォアストレートに放つカウンターを見せた。

 ロシアのエース、左腕のシドレンコをストレートで破る金星を挙げたのは、イランのアバシ。バック面に粒高ラバーを貼り、粒高面でのレシーブ、さらにフォアでの前陣カット性ショートという必殺技から、腕も折れよと強烈なパワードライブを打ち込む。さすがのシドレンコも最後は集中力が切れた。

 アメリカはユース五輪銅メダリストのカナク・ジャーに加え、緩急とコース取りにすぐれたアリゲッティというクセ者がいる。ともにラリー戦では粘り強い攻守で得点を重ねる。男子は間もなくドローの結果が出るはずだが、日本にとっても要注意のチームばかりだ。
  • アバシの前陣でのカット性フォアショート。これがブツ切れ

  • 落胆に沈むロシアベンチ。イランがここまで強いとは…

  • タッカル、表情は崩れるが、ブロックは崩れない

  • 知的なオールラウンダー、アリゲッティ

 会場で練習を行っていた中国男子の4選手。18歳の徐海東と于何一、17歳の徐英彬、15歳の向鵬という布陣だが、最年少の向鵬が一番大人びて見える。他の3人がまだあどけなさを残す中で、何というか「性根が据わっている」面構えなのだ。ボールタッチの柔らかさでは及ばないが、12年大会で優勝した当時の樊振東を思い出す。

 アジアジュニアでは于何一や牛冠凱という先輩たちを激戦の末に下し、ジュニアチャンピオンに輝いたほどの実力者。世界ジュニアは初出場だが、日本男子も最も警戒すべき相手だ。「中国の4人の中では実力は同じくらいですけど、アジアジュニアで優勝した向鵬が一番強いんじゃないかと思います。全中国運動会でも張継科と3−4の接戦をやっている」(田㔟監督)。

 浙江省出身で小学1年生から卓球を始め、母親の献身的なサポートで頭角を現した向鵬。今年の全中国選手権では尚坤や孔令軒を破ってベスト16に入った。中国の『ピンパン世界』のインタビューに対し、「張継科や馬龍がぼくのお手本。彼らのような成績を収めたいし、最大限の努力を払って悔いは残したくない」と語っている。今大会で衝撃的なデビューを飾るのか。
  • まだ15歳の向鵬。日本も要注意だ

 オーストラリア、ベンディゴからこんにちは!
 昨日の深夜にメルボルンに到着した王国編集部の柳澤タロー。そこから組織委員会の車で、深夜の高速道路を飛ばすことおよそ1時間半。午前1時過ぎにホテルに到着しました。

 今日、大会第2日目は午前中に男女団体グループリーグの第3戦、次いで現地時間16時(日本時間14時)から女子団体準々決勝、18時30分(日本時間16時30分)から男子団体準々決勝が進行。グループリーグの終了から15分後に、準々決勝のドローが行われる予定だ。

 朝一番の練習会場では、日本男子チームが汗を流していた。「みんなここに来る前に(NTCで)1週間くらい合宿をやってきて、まずは体調を崩している選手がいないのが一番。調子もまあまあ良いと思います。いきなり準々決勝からなので、選手も緊張感はあると思いますけど、大会の雰囲気をつかみながら調子を上げていってほしい」(田㔟邦史監督)。

 団体戦でチームの柱となるのは愛工大名電高3年の田中佑汰。団体戦になると抜群の勝負強さを発揮する。「田中は前回の団体決勝進出の立役者であることはまちがいない。その経験を生かして、さらに今回活躍してほしい。あとはシングルスでメダルを獲って、ジュニアを卒業してシニアで頑張ってほしいですね」(田㔟監督)。練習を見ていると、得意のバックハンドに加え、フォアハンドも球威が増し、プレー全体に迫力が出てきた。準々決勝でのプレーが楽しみだ。
  • 前回大会の団体戦のヒーローである田中、今大会も期待大

  • 初出場の戸上。国際大会でも経験を積み、上昇気流に乗っている

 8月のアジアジュニア選手権・男子団体で、イランとチャイニーズタイペイを連破して決勝に進出したのがインドだ。今、ジュニアの卓球界ではインドが熱い。

 今大会のインド男子チームのエースはタッカル。普段は冷静な哲学者のような風貌だが、試合になるとすごい形相でボールに食らいつき、とにかく相手の攻撃をよく止める。シニアで活躍するグナナセカランも似たようなタイプだが、驚異的な安定性を誇るバックブロックから、機を見てカウンターを狙うスタイル。2番手のチャンドラのプレーもよく似ている。

 インドは女子のカマスも優勝候補の一角。前回大会では日本の木原美悠を破り、ユース五輪ではベスト4に入ってその名を轟かせた。ボールに回転をかけるセンスに優れ、男子選手顔負けの強力なフォアドライブを操る。異質型の選手が多かったインドに、突如現れた本格派のシェークドライブ型だ。

 アジア競技大会では男子チームが日本を破って銅メダルを獲得するなど、近年のインドの急成長は興味深い。2016年から再びインド男女チームを指導するイタリア人のコンスタンティーニ・コーチには、今大会でぜひ話を聞いてみたい。

 また、インド系ということでは、男子シングルスの第1シードであるジャー(アメリカ)も注目の選手。12年ハイデラバード大会に出場した時は、まだあどけない少年だったが、身長が伸びてパワーもつき、ユース五輪では銅メダルを獲得するまでに成長した。最後の世界ジュニアで、初の頂点を狙う。
  • インド男子のエース・タッカル、バックのど根性ブロック

  • 底知れぬポテンシャルを感じさせるカマス