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中国リポート

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★★★ 07中国超級リーグ・男子第9節 ★★★
[八一工商銀行 3-1 天山万杰隆]
[海寧皮革城鵬翔 3-1 四川全興]
[江蘇江南電纜 3-0 江蘇華都琥珀]
[魯能・中超電纜 3-2 寧波北侖海天]
[遼寧錦州万通 3-0 浙商銀行]

◎馬琳、痛恨の2失点。注目の一戦!
[魯能・中超電纜 3-2 寧波北侖海天]
 楊暁夫 -7、-9、4、-7 柳洋○
○張継科 4、12、-5、8 馬琳
 楊暁夫/江天一 8、5、8 柳洋/李静○
○江天一 7、7、-10、6 馬琳
○張継科 -9、6、-9、8、3 李静

 全18節のうち、ちょうど折り返し地点を迎えた男子超級リーグ第9節。
 7月28日に上海・廬湾体育館で行われた寧波北侖海天と魯能・中超電纜との一戦。トップで3番手の柳洋が楊暁夫を下し、馬琳の2得点が期待できる寧波北侖海天としては万全のスタート。ここで2番に出場した馬琳、相手の張継科にはこれまで大きな大会ではほぼ無敗だったが、1-3でまさかの敗戦。1-1のタイに持ち込まれる。
 ダブルスで柳洋/李静組がストレートで完勝し、ふたたび寧波北侖海天に傾いた流れを、4番で台無しにしたのはまたしても馬琳。対戦相手の江天一は左シェークドライブ型、まだジュニアを卒業したばかりの19歳。しかし、多彩なサービスで馬琳のレシーブを狂わせ、自分のペースへ持ち込んだ。ラストでは勢いに乗る張継科が、名将・李静に逆転勝ちして試合を決めた。これで魯能・中超電纜は6勝3敗で同率2位。開幕前の目標は「残留」だったが、もう少し上方修正しても良さそうだ。

 「馬琳は2試合とも動きが鈍かったし、3球目攻撃での優位を発揮できていなかった」とは魯能・中超電纜の谷青成ヘッドコーチ。2004年に広東全球通、2005年に陜西銀河国梁、そして2006年に陜西銀河と、3年連続で優勝チームのエースとして活躍してきた馬琳。以前にも述べたとおり、「馬琳を得た者が天下を制する」という言葉に偽りはない。しかし、今シーズンの状況はかなり厳しい。「敗戦の罪人」「罪将」と、トップ選手の敗戦にはマスコミも容赦ない批評を浴びせている。

 その他の試合では、八一工商銀行が天山万杰隆を3-1で破って7勝2敗と単独首位。天山はダブルスで勝利した劉国正の頑張りに応えられなかった。海寧皮革城鵬翔はエース王励勤が2試合ともストレート勝ちで四川全興に完勝した。
 
Photo上:05年に山東省から中国香港へ移住した江天一。6月のVWオープン荻村杯では松下浩二(グランプリ)を破っている
Photo中:馬琳、痛すぎる2失点(写真は世界選手権ザグレブ大会)
Photo下:第9節では敗れたが、ダブルスで6勝2敗と健闘する楊暁夫(写真は02年のプロツアーファイナル。古い写真でゴメンナサイ…)

☆☆☆ 07中国超級リーグ・女子第8節 ☆☆☆
[北京首創 3-0 江蘇麗華快餐]
[遼寧鞍鋼 3-1 北大方正]
[山東魯能 3-2 河北金能]
[重慶康徳遠景 3-0 八一工商銀行]
[上海電信理工 3-2 深セン長園新材]

◎ついに全勝チームが消える。注目の一戦!
[上海電信理工 3-2 深セン長園新材]
 饒静文 -7、-6、-6 劉詩ブン(雨+文)○
○帖雅娜 -5、2、11、8 曹幸ニィ(女+尼)
○饒静文/劉娟 -9、9、-6、3、7 曹幸ニィ/周芳芳
 帖雅娜 8、-10、-4、-9 周芳芳○
○劉娟 -8、6、7、6 劉詩ブン

 ここまで男女を通じて唯一の全勝チーム、深セン長園新材(センは土+川)。実質的には広東省チームで、昨年福原愛がエースとして参戦していた広東佐川急便とメンバーは変わらない。このチームの躍進を支えているのは、なんといってもエースの劉詩ブン。昨年はシングルス通算5勝8敗だったのが、ここまでシングルス11勝1敗と別人のような成績。張怡寧、李暁霞、李楠らを下し、快刀乱麻の大活躍を見せている。

 1991年4月12日生まれ、4歳半で卓球を始めたという劉詩ブンは現在16歳。身長155cmとやや小柄なため、「小トウ亜萍」というあだ名がつけられている。広東省チームに籍を置いているが、出身は遠く離れた遼寧省撫順市。実は王楠もこの撫順市の出身で、王楠を育てたコーチとして有名な張晶清コーチ(女性)が、広東省の偉倫体育学校に移る際に劉詩ブンを連れてきたのだ。「まだ小さいから」と渋る両親を粘り強く説得し、7歳の劉詩ブンを呼び寄せたというのだから、よほどその才能に惚れ込んだのだろう。

 8連勝がかかったこの試合、エースの劉詩ブンがトップで饒静文を寄せ付けず、快調なスタートを切った深セン長園新材。しかし、2番手のベテラン、曹幸ニィが2・3番で単複2点を落とし、苦しい展開に。4番で右シェークドライブ型の周芳芳が帖雅娜を下す殊勲の星を挙げ、勝負はラストへ。「正直に言うと、5番に持ち込んだ時点で我々のチームの勝ちだと思った」と楊華杰ヘッドコーチが語ったように、勝利はすぐ目の前にあった。しかし、1ゲームを先取してからの劉詩ブンは勝利を意識したのか、プレーに精彩を欠き、思い切りの良さが影を潜めた。第2ゲームから3ゲームを連取され、深セン長園新材は今季初黒星を喫した。
 ここまで勢いに乗って勝ち進んできたチームだけに、ここからが正念場か。次節の対戦相手は強豪・遼寧鞍鋼だ。

Photo上:ラストで手痛い敗戦を喫した劉詩ブン。あこがれの選手は「愛ちゃん」なのだとか
Photo中:勝負強さを見せる劉娟。裏面使いの左ペンホルダー
Photo下:昨シーズン、ベンチで福原にアドバイスする楊華杰ヘッドコーチ

★★★ 07中国超級リーグ・男子第8節 ★★★
[天山万杰隆 3-2 海寧皮革城鵬翔]
[浙商銀行 3-2 魯能・中超電纜]
[八一工商銀行 3-2 江蘇華都琥珀]
[寧波北侖海天 3-1 江蘇江南電纜]
[四川全興 3-1 遼寧錦州万通]

◎侯英超の2得点も届かず。注目の一戦!
[八一工商銀行 3-2 江蘇華都琥珀]
 ジャク(曜の右側)一鳴 -5、-7、-6 侯英超○
○王皓 -8、-4、11、8、9 張超
○徐克/ジャク一鳴 7、9、6 張超/張ユク(金+玉)
 徐克 -7、-8、-8 侯英超○
○王皓 1、8、6 張ユク

 中国卓球の重要なキーワードのひとつに、かつて中国共産党のスローガンとしても使われた「百花斉放」がある。「色とりどりの花が一斉に咲き乱れる」ことで、転じて卓球界では「常に戦型の多様性を保て」という意味で使われる。
 しかし、最近では次第にシェーク両面裏ソフトの選手が増え、ペン表ソフトやカットの選手が減ってきている。現在、超級リーグの登録選手には男女ともペン表ソフト速攻型の選手はひとりもいない。かつての江加良(85・87年世界優勝)や劉国梁(96年五輪優勝)のプレーを知る人には寂しい話だろう。また、カット主戦型も男子にひとり、女子にふたりいるだけだ。

 その男子唯一のカットマンが、世界ランク11位の侯英超(ホウ・インチャオ)。切れたカットとナックルカットの変化の激しさ、変化サービスからの強烈な3球目攻撃は先輩の丁松(95年世界3位)譲り。182cmの長身と懐の広さを生かして、ボールを巻き込むような独特のカーブロングをうまく使っていく。
 八一工商銀行戦でもチームのエースとして、若手のジャク一鳴と徐克をともにストレートで退け、2点を挙げた侯英超。カット打ちに絶対的な強さがある王皓をうまく外し、オーダーとしては成功だったはず。しかし、勝負のダブルスがなす術なく敗れては、勝ち星は遠のくばかり。結果的には、大逆転負けを喫した2番の張超vs.王皓が勝負のカギとなったか…。
 これで江蘇華都琥珀は1勝7敗と単独最下位。メンバーは悪くないのだが、開幕直前にかき集めた急造チームの弱点か、一人ひとりの勝ち星がチームの勝利に結びつかない。一方の八一工商銀行は若手の奮闘で6勝2敗と首位に立っている。

Photo上:貴重なカット主戦型、06年ITTFプロツアー・グランドファイナル3位の侯英超
Photo下:侯英超にはストレート負けしたが、ダブルスで貴重な一点を挙げた徐克。06年世界ジュニア2位

☆☆☆ 07中国超級リーグ・女子第7節 ☆☆☆
[北京首創 3-2 北大方正]
[遼寧鞍鋼 3-2 重慶康徳遠景]
[深セン長園新材 3-0 八一工商銀行]
[山東魯能 3-1 江蘇麗華快餐]
[河北金能 3-0 上海電信理工]

◎北京ダービーは大激戦に。注目の一戦!
[北京首創 3-2 北大方正]
○丁寧 13、11、9 姚彦
 郭炎 8、-7、4、-4、-8 孫晋○
○張怡寧/丁寧 -4、9、-7、9、7 孫晋/馮亜蘭
 郭炎 -7、11、8、-7、-10 馮亜蘭○
○張怡寧 -9、1、-8、6、9 姚彦

 ともに北京市をホームとする2チームが激しく火花を散らした超級第7節。
 北京市チームの監督である周樹森氏(グランプリ・新井周選手の実父)が監督を務め、張怡寧・郭炎と北京市チームのツインエースを抱える北京首創は、いわば正統な北京市チーム。一方、北大方正は孫晋(江蘇省出身)・馮亜蘭(湖北省出身)・姚彦(上海市出身)と、他省出身者で固めた傭兵チームだ。

 ここでちょっとお固い話をしておくと、北京首創のスポンサーは「北京首都創業集団公司」。中国でも有数の不動産デベロッパーで、北京五輪を前に激変する北京市の「影の主役」。北大方正のスポンサー「北京北大方正集団公司」は、中国の東大と呼ばれる最高学府・北京大学が設立、デスクトップ型パソコンでは中国第2位のシェアを誇る。両チームとも、躍進する中国を象徴する大企業がスポンサーについているのだ。

 さて、肝心の試合に話を戻そう。この北京ダービーを予想外の混戦にしてしまった張本人が、北京首創の郭炎。第6節のラストで郭躍を破る殊勲の星を挙げ、エース格の2点起用となったが、まさかの2連敗。2番で敗れた孫晋(27歳/左シェーク異質速攻型)は01年大阪大会を最後に国家チームを引退した選手だし、昨年12月の世界ジュニアで優勝した馮亜蘭(右シェークドライブ型)もまだ格下の選手。身体能力と技術はすばらしい郭炎だが、気持ちが守りに入るとフォアドライブの手数が減ってしまうようだ。ラストの張怡寧vs.姚彦がゲームオール9本と危うい試合だっただけに、北京首創としては冷や汗ものの勝利。残念ながら郭炎は、再び単複での起用に逆戻りだろう。
 前評判では優勝候補筆頭の北京首創。辛勝とはいえ、これで6勝1敗の2位となり、7勝0敗で唯一全勝を守る深セン長園新材をピタリと追走している。

Photo上:努力の人・孫晋。国際舞台から引退後も超級リーグでプレーを続け、北京大学・国際関係学院で学士を取得した。00年シドニー五輪複銀メダリスト
Photo中:郭炎とはゴリゴリのパワー勝負となった馮亜蘭
Photo下:今季シングルス4勝4敗の郭炎。北京五輪出場もかなり厳しい状況だ
★★★ 男子第7節 ★★★
[魯能中超電纜 3-0 天山万杰隆]
[浙商銀行 3-2 寧波北侖海天]
[八一工商銀行 3-1 海寧皮革城鵬翔]
[江蘇江南電纜 3-2 遼寧錦州万通]
[四川全興 3-1 江蘇華都琥珀]

◎若手中心で大健闘の魯能中超電纜。注目の一戦!
[魯能中超電纜 3-0 天山万杰隆]
○楊暁夫 -11、12、6、-11、9 唐鵬
○張継科 6、-7、7、-6、8 許シン(日+斤)
○楊暁夫/江天一 8、10、-8、8 唐鵬/高礼澤

「超級リーグを2倍楽しく観る方法」はいかがでしたか?
今後も「番外編~超級リーガーのフトコロ事情」など、超級リーグに関する情報を随時アップしていく予定!
 さて、超級リーグに詳しくなってきたところで、リーグも中盤戦に入った第7節の結果です。

 2敗のチームが横一線で並び、混戦模様の超級リーグ男子の中で健闘が光るのが魯能・中超電纜。このチームは昨シーズン3位の山東魯能と、6位の江蘇中超電纜の合同チームのような形になっている(ホームは江蘇省)。
 超級リーグは昨年まで「魯能杯」という冠がつけられ、山東魯能は男女とも超級リーグを代表するチームだった。05年のシーズンは孔令輝・劉国正・蒋澎龍、昨シーズンは王皓・李廷佑(韓国)などの強豪選手が在籍している。しかし、今年のメンバーは上の対戦表からも分かるようにかなり地味。「断トツの最下位候補か?」と思われたが、これまでの健闘ははっきり言って予想外だった。6勝1敗と好調なダブルスが、この躍進のひとつのポイントだろう。
 チームのエースは、ザグレブ大会代表にも選ばれた右シェークドライブ型の張継科(チャン・ジィカ)。陳杞、王建軍らを下してシングルス9勝3敗は見事な成績だ。4番手に29歳のベテラン・郭刻歴がいるが、この張継科が19歳、2番手の楊暁夫が21歳、中国香港に移籍した江天一が19歳と、レギュラー3人の平均年齢は20歳を切っている。勝利を重ねて選手たちが自信をつけていけば、優勝戦線を賑わす存在になるかもしれない。

 その他の試合では、八一工商銀行が海寧皮革城鵬翔を3-1で撃破。エースの王皓を2点起用した八一工商銀行に対し、海寧皮革城鵬翔はエースの王励勤を初めてダブルスに起用。王皓に2点取られるのを覚悟でラスト勝負のオーダーを組んだが、ダブルスで王励勤/沙陳武が完敗し、チームもショックの残る敗戦となった。寧波北侖海天もエース馬琳がトップで敗れ、早くも今季3敗目。

Photo上:張継科、次代のホープのひとりになるのか
Photo下:ゲームオールの接戦で張継科に敗れた許シン(日+斤)。06アジアジュニア3位の左ペンドライブ型

Lesson.4 超級リーグの対戦方式を知ろう

 中国超級リーグは、男女とも4単1複で行われる。
 今年、2007中国超級リーグの男子開幕戦のひと試合を例にとってみると‥

[海寧皮革城鵬翔 3-2 江蘇江南電纜]
 王励勤 -7、-7、-9 陳杞○
○陳剣 12、9、-9、6 單明杰
 陳剣/沙陳武 10、-4、-7、-9 單明杰/林晨○
○沙陳武 7、8、-8、9 陳杞
○王励勤 3、6、-10、5 林晨

 1~3番手の選手でオーダーを組み、エースの選手(上の試合では王励勤と陳杞)がシングルスに2回出場するオーダーが多い。互いのエースが2回出場しても対戦しないケースもあるが、ほとんどの場合はエース同士が激突する、見応えのある試合となる。
 一方で、エースの選手をダブルスに下げ、相手のエースに2点取られるのを覚悟の上で、3-2の勝利を狙うオーダーもしばしば見られる。王励勤、馬琳のようなスーパーエースがいるチームでも、ダブルスが勝てないと苦しい戦いが続くことになる。
 この超級リーグの試合方式は、来年行われる北京オリンピックの試合方式と同じ。中国卓球チームは男子で強力なライバルとなるドイツ、韓国との対戦に備え、このオーダーを研究し尽くしているのだろう。ドイツはボル/ズースのダブルスを崩して、エースのボルを2点起用せざるを得ないのか。韓国は柳承敏を2点で使い、呉尚垠と李廷佑のダブルスなのか‥。
 95年天津大会男子団体決勝では、カットの丁松の2点起用を予想したスウェーデンの読みを外し、3番手で丁松を起用して完勝、優勝に大きく前進した中国。オーダーの研究でも卓球王国の名に恥じないものがある。

Photo:チームのエースであり、ダブルスのスペシャリストでもある陳杞。このオーダーでは、なかなか起用が難しい選手かもしれない

Lesson.3 チームは省の代表? それとも企業チーム?

 超級リーグは日本のプロ野球や、スペインのリーガ・エスパニョーラ(サッカー)のようなプロリーグなのだろうか?
 答えは「No」だ。超級リーグの主催は中国卓球協会で、放映権や広告に及ぶまで、すべてを管理下に置いている。選手たちが着るウェアや卓球台、ネットに至るまで、すべて中国卓球協会との一括契約で決められている。国家体育総局・局長補佐の重職にある蔡振華は、「超級リーグは中国のNBA(アメリカのプロバスケットボールリーグ)を目指す」と述べている。しかし、Lesson.2で述べた海外選手の締め出しのように、北京オリンピックのような国家的事業を前にすれば、何よりも協会の指示が最優先される。超級リーグはいわば、中国大陸を舞台にした、壮大な部内リーグと言ったほうが正しいだろう。

 もちろん、所属するチームも純粋なプロのクラブチームではない。移籍してきた選手の寄せ集めのようなチームもあるが、超級リーグのチームは、基本的に省チーム(省は日本で言えば県に当たる)にスポンサーがついたものと考えれば分かりやすい。たとえば女子の遼寧鞍鋼の場合、遼寧省の女子チームに鞍鋼株式会社(製鉄業)がスポンサーとしてついている。
 男子では省チームを超えた選手の移籍もかなり進んでおり、トップクラスの王励勤・馬琳・王皓などは毎年のように所属チームが変わるが、2番手以下の選手はその多くが地元のチームでプレーしている。女子の場合は、ほとんどの選手が地元のチームに所属していて、省チームの原型を留めている。そして、下部リーグの甲Aとの入れ替え戦の対象になる下位2チームは選手の出身地もさまざまで、ホームとなる都市もスポンサーも幾度となく変わる。これが超級リーグの現状だ。

[コラム-Column] チーム名を覚えるだけで大変?

 日本のプロ野球やJリーグでは、球団の身売りは新聞の一面を飾る大ニュース。しかし、超級リーグではスポンサーが1年単位でコロコロ替わる。あくまで母体は省チームだし、「1年お金を出して名前を売れば十分」と思っている企業が多い。超級リーグが始まった1999年からまだ10年も経っていないのに、チーム名が替わっていないのは男女とも母体が軍隊である八一工商銀行だけ。今年の男女10チームのチーム名をぜひ覚えておいてほしい。来年の開幕を迎えた時、同じチーム名(スポンサー名)が半分残っていれば良いほうだろう。
 その最たる例が男子の浙商銀行。今年の超級リーグの最初のチーム登録では、昨年リーグ5位だった浙江海寧鵬翔のスポンサーが撤退し、天津市卓球協会が名乗りを上げて、天津北信中ピンというチームが新しく登録された。待望の地元チームの復活に、天津市出身のハオ帥、李平などはわざわざこのチームに移籍した。ところが、北信中ピンはいわば仮のスポンサーで、正式にスポンサーになったのは浙商銀行(浙江省)。チームは再び浙江省にホームを置くことになり、天津市の選手と浙江省のスポンサーによる“混血”チームが登場した。もちろん練習も試合も浙江省で行う。
 こうなるともうファンや応援団が根付くとは考えにくい。第4節では、全部で9試合あるホームの試合の中で1試合だけ、本来のホームである天津市で戦った浙商銀行。四川全興を相手に見事な勝利を挙げたが、天津の卓球ファンはなんとも複雑な心境で、地元の英雄たちを迎えたのではないだろうか。

Photo上:05年超級開幕式でのひとコマ。昨年は06魯能杯中国超級リーグと冠名にまでなった名門・山東魯能も、男子では戦力を大幅に削減、今年は魯能・中超電纜と合同チームでの登録となった。
Photo下:浙商銀行の2番手、李平。故郷を遠く離れて07年のシーズンを戦う

Lesson.2 超級リーグの歴史を知る

1995 「全国クラブ大会」創設
   ・12チームが広東省順徳市に集結。人材の育成と市場化の推進が目的
1997 初めての海外選手が登場
   ・天津三星チームに助っ人として李恩実(韓国)が加入。
1998 「中国卓球クラブ甲級リーグ」を開始
   ・ホーム&アウェー方式が採用される
1999 「中国卓球クラブ超級リーグ」に昇級
   ・トップ選手の入札制度が始まり、選手の移籍が増加
2001 海外から参戦する外国籍選手が増加
   ・柳承敏(韓国)、蒋澎龍(チャイニーズ・タイペイ)など
2002 中国香港籍の選手が多数加入
2007 海外選手のスポット参戦を制限
   ・登録選手に全試合へのベンチ入りを義務づけた

〔Column-コラム〕 海外選手を締め出した超級リーグ

 超級リーグに初めて参戦した外国籍選手は、上の年表のとおり1997年に天津三星のメンバーとなった李恩実(韓国)。これまでにボル(ドイツ)、サムソノフ(ベラルーシ)、シュラガー(オーストリア)、柳承敏(韓国)、荘智淵(チャイニーズ・タイペイ)、リ・ジャウェイ(シンガポール)など、世界のトップ選手が参戦してきた。ボルvs.馬琳、柳承敏vs.王励勤など、卓球ファンには夢の好カードが観られるわけだ。日本からもこれまでに小西杏、松下浩二、四元奈生美、そして福原愛などが参戦している。
 これらの選手は中国語で「外援(ワイユェン)」と呼ばれている。いわゆる「助っ人外国人」で、その多くは1シーズンに数試合のスポット参戦だった。しかし、2007年のシーズン、中国卓球協会は超級リーグの規定として、出場選手に全試合へのベンチ入りを義務づけた。これは実質的な海外選手の締め出しで、実際に今シーズン、海外選手の参戦は男女ともひとりもいない(中国香港の選手は多数在籍)。来年の北京五輪に向けて、ライバル選手に手の内は見せられないということだろうが、国内でも批判の声が多いようだ。7月2日付の人民日報にも『胸懐(度量)』と題して、「卓球大国ならば広い心を持つべき」という内容の記事が掲載されている。

 かつて90年代前半、中国男子が史上最低の成績に低迷していた時、中国卓球協会は孔令輝らをブンデスリーガやスウェーデンリーグに送り込んで鍛え、95年の世界選手権天津大会で王座に返り咲いた。そういった経緯を考えてみても、今回の海外選手の締め出しには疑問が残る。中国の卓球ファンも、がっかりしているのではないだろうか。
※超級リーグを2倍楽しく観る方法は Lesson.4まで続きます!

Photo上:第1回全国クラブ大会優勝・河南東方制薬のエース・トウ亜萍
Photo下:海外選手第1号、04年アテネ五輪複準優勝の李恩実

 第6節まで終了し、全18節のうち1/3の日程を消化した中国超級リーグ。しかし、「そもそも超級リーグってどんなリーグ?」という疑問をお持ちの方も多いのでは?
 超級リーグのあらましを説明せずに、試合結果ばかりアップするのでは不親切というもの。遅ればせながら、ここで「超級リーグを2倍楽しく観る方法」と題して、超級リーグを詳しく紹介。読めば誰でも、超級リーグ通になれます!!

Lesson.1 超級リーグの「超級」とは?

 超級リーグの「超級」は文字通り「Super」の中国語訳で、超級リーグの正式名称は「中国Pingpang球倶楽部超級聯賽(CHINA TABLE TENNIS SUPER LEAGUE)」※。中国にはスポーツの超級リーグがふたつあり、卓球ともうひとつはサッカー。男女それぞれ10チームで構成され、多層の下部リーグの頂点に存在するトップリーグだ。
 超級リーグの下には甲A・甲B・甲C・甲D・乙A・乙Bと6つの下部リーグがあり、名門チームの場合、2軍・3軍チームやジュニアチームなど複数のチームを下部リーグに所属させていることも多い。今年の超級リーグは6月から9月にかけて、ホーム&アウェーの全18節で行われる。下部リーグは年に2~3回(多くは4月と9月)各地に集合してリーグ戦を消化し、シーズン終了後の入れ替え戦によって、昇級/降級が決定する。

※中国では卓球のことをピンパン(pingpang)球といい、これはピンポン(ping-pong)の音訳。漢字では「兵」の右下の点がない字と左下の点がない字の組み合わせになる。こう書くといかにもまどろっこしい。見た目には「兵兵球」に近いのだが…、中国語のフォントがないと文字化けするし…、という葛藤から始めなければならないのがツラいところ。

Photo:05超級リーグ女子開幕戦のチケット
    チケット上部の帯でピンパン(pingpang)球を確認してください!
☆☆☆ 女子第6節 ☆☆☆
[北京首創 3-2 遼寧鞍鋼]
[北大方正 3-0 八一工商銀行]
[上海電信理工 3-1 重慶康徳遠景]
[河北金能 3-1 江蘇麗華快餐]
[深セン長園新材 3-1 山東魯能]

◎世界最高峰の女子団体戦。注目の一戦
[北京首創 3-2 遼寧鞍鋼]
 丁寧 -9、-7、6、-5 王楠○
 張怡寧 -10、-13、-7 郭躍○
○郭炎/丁寧 -3、5、7、-5、8 王楠/常晨晨
○張怡寧 -8、4、6、3 常晨晨
○郭炎 -8、8、7、10 郭躍

 張怡寧(世界ランク1位)と郭炎(世界ランク4位)を擁し、昨年の超級リーグで優勝した北京首創と、現世界チャンピオンの郭躍(世界ランク3位)、王楠(世界ランク2位)がいる古豪・遼寧鞍鋼の対戦。世界ランク1~4位が顔を揃えるという、まさに世界最高峰の女子団体戦は、北京首創が0-2のビハインドから鮮やかな逆転勝ちを収めた。
 トップで王楠が丁寧(05年世界ジュニア優勝)を、2番で郭躍が張怡寧を破り、序盤は完全に遼寧鞍鋼ペース。勝負のカギを握る2番の“新旧女王対決”で遼寧鞍鋼の郭躍が完勝し、ダブルスの第1ゲームを3本で落とした時点で、北京首創の周樹森監督(グランプリ・新井周選手の実父)は「もはや勝利の可能性はほとんどない」と感じたという。
 しかし、ここで意地を見せたのが郭炎。好プレーを連発して若い丁寧を引っぱり、ダブルスできわどく逆転勝ちすると、ラストでは最近やや分が悪くなってきた郭躍を3-1で撃破。豪快なプレーとは裏腹に「精神面が課題」と言われる郭炎が、北京首創の窮地を救った。

 中国国内では熾烈なライバル関係を築いているこの北京首創(北京市)と遼寧鞍鋼(遼寧省)。2005年の全中国運動会では、やはり0-2のビハインドから北京市が逆転勝ち。逆に2006年の全中国選手権(※)では、遼寧省が0-2から逆転勝ちしている。ホーム&アウェーで計2回ずつ戦う超級リーグ、両チームが再び相まみえる第15節(8月25日)が今から楽しみだ。

Photo上:単複で2点を挙げた郭炎。現世界チャンピオンを破って気を吐いた
Photo下:2番で張怡寧を破るも、ラストで痛恨の黒星を喫した郭躍

※全中国運動会は4年に1度行われる総合競技大会、全中国選手権は卓球競技における全国選手権で1年に1度。大会としてのステータスは全中国運動会のほうがかなり高い。