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中国リポート

トップニュース中国リポート

☆☆☆ 07中国超級リーグ・女子第10節 ☆☆☆
[北京首創 3-0 重慶康徳遠景]
[上海電信理工 3-0 山東魯能]
[深セン長園新材 3-2 北大方正]
[八一工商銀行 3-2 江蘇麗華快餐]
[遼寧鞍鋼 3-0 河北金能]

◎江蘇麗華快餐、なんと遠い1勝。注目の一戦!
[八一工商銀行 3-2 江蘇麗華快餐]
○曹臻 4、-11、-8?、6、1 范瑛
 木子 -8、10、-7、2、-6 林菱○
○木子/李茜 6、-10、4、6 林菱/陳晴
 李茜 -8、-3、-6 范瑛○
○曹臻 4、5、-9、10 陳晴

 ここまで0勝9敗と魔の全敗ロードを行く江蘇麗華快餐と、開幕戦でその江蘇麗華快餐に勝った1勝だけの八一工商銀行(1勝9敗)。女子超級リーグの最下位決定戦となったこのカード。
 八一工商銀行の“八一”は、中国人民解放軍の建軍記念日である8月1日を意味する。解放軍の軍旗や徽章にもこの八一があしらわれている。この人民解放軍に、中国最大の銀行である中国工商銀行がスポンサーとなっているチーム。江蘇麗華快餐は、以前にも述べたが宅配弁当チェーンの麗華快餐がスポンサーだ。

 トップは八一工商銀行の曹臻(ツァオ・ジェン)と、江蘇麗華快餐の范瑛(ファン・イン)のエース対決。曹臻はバック表ソフトのミート打ちに威力がある右シェーク異質速攻型、范瑛はフォア裏ソフト・バック表ソフトのカット主戦型。異質速攻ながらパワーがあり、カット打ちをまったく苦にしない曹臻に対し、范瑛もよく粘ったが最終ゲームはワンサイドゲームになった。
 2番は05年世界選手権3位のベテラン林菱(リン・リン)が、木子(ムゥ・ズ)にゲームオールで勝利。木子は昨年のアジアジュニア3位の右シェーク異質攻撃型。「キノコ」みたいな名前だが、両親は普通に「李」さんだったのを、彼女の祖父が木子と姓まで変えてしまったらしい(ちなみに「木」という姓も中国にはある)。今シーズンは王楠や白楊を破っている。
 3番ダブルスは、この木子と李茜(リィ・チェン)(03年世界ジュニア優勝)の八一工商ペアが完勝。江蘇麗華快餐としては林菱をエースとして2点起用したいところだが、カットの范瑛とペン粒高攻守の陳晴(チェン・チン)のダブルスでは、守備的すぎて勝負にならない。4番手に99年世界混合複優勝の張瑩瑩がいるが、単複で0勝4敗とかつての力はないようだ。どうにも噛み合ないチーム編成が、今シーズンの低迷の原因なのかもしれない。
 4番で范瑛がストレート勝ちし、何とかラストまで持ち込んだ江蘇麗華快餐だったが、陳晴が競り負けてジ・エンド。これでついに10連敗となってしまった。目標は超級残留に切り替えるしかないが、とにかく一刻も早く今シーズンの初勝利を挙げたい。

 その他の試合。山東魯能はエース李暁霞がトップで帖雅娜に敗れ、上海電信理工に完敗。6勝4敗で優勝争いからは一歩後退。深セン長園新材は若きエース劉詩ブンがラストを締め、連敗を2で止めて優勝戦線に踏みとどまった。

Photo上:プロツアーでも4度の優勝を誇る八一工商銀行のエース・曹臻
Photo中:カット主戦型は、超級女子だと范瑛(写真)と王ティンティン(女+亭)しかいない
Photo下:ラストで敗れた陳晴。中国でのニックネームは「怪球手」

★★★  07中国超級リーグ・男子第10節 ★★★
[寧波北侖海天 3-2 天山万杰隆]
[四川全興 3-2 八一工商銀行]
[遼寧錦州万通 3-1 魯能中超電纜]
[海寧皮革城鵬翔 3-1 江蘇江南電纜]
[浙商銀行 3-2 江蘇華都琥珀]

◎問題児・邱貽可が奮闘 注目の一戦!
[四川全興 3-2 八一工商銀行]
○邱貽可 -8、5、4、3 ジャク(曜の右側)一鳴
 馬龍 -9、-8、-7 王皓○
○邱貽可/王建軍 8、10、-4、7 ジャク一鳴/徐克
 王建軍 -9、-6、-3 王皓○
○馬龍 9、3、10 徐克

 いよいよ後半戦がスタートした超級リーグ第10節。 6勝3敗で2位につけた四川全興は、7勝2敗と単独首位で前半戦を折り返した八一工商銀行をホームで迎え撃った。
 通算成績14勝1敗、7試合でストレート勝ちと圧倒的な強さを見せる、八一工商銀行のスーパーエース王皓に対し、四川全興としては当然ダブルスでの勝利が絶対条件になる。2番でここまで14勝2敗とリーグ2位の勝率を誇る馬龍が王皓に挑んだがストレート負け。4番でも王建軍が完敗を喫した。王皓はこれで通算16勝1敗とバツグンの成績だ。
 もっとも、四川全興としてはこの2失点は計算済み。ここで確実に単複で2点を獲り、チームを勝利へ導いたのが右シェークドライブ型の邱貽可(チュウ・イーカ)。フットワークを生かした連続ドライブ攻撃でトップでジャク一鳴を破ると、最近不調のダブルスでも観客の期待に応え、きっちり勝利を挙げた。こうなれば、2-2のラスト勝負を予想して、エース馬龍を温存した四川全興が圧倒的に有利。馬龍は若手の徐克(06世界ジュニア2位)をストレートで下してチームの勝利を決めた。これで四川全興、八一工商銀行ともに7勝3敗。ベテラン馬文革の2得点で勝利した浙商銀行を加え、3チームが首位に並んでいる。

[PEOPLE]中国男子チームの暴れん坊、邱貽可

 四川全興の殊勲のヒーローとなった邱貽可。今年の世界選手権ザグレブ大会でも混合ダブルスに出場しているが、03年世界選手権パリ大会での活躍をご記憶の方も多いのではないだろうか。男子シングルス2回戦で優勝候補のボル(ドイツ)を下し、ベスト8に入って中国男子のホープと言われた選手だ。
 ところがこの邱貽可、実は中国卓球史上に残るといっても過言ではないトラブルメーカー。なにしろ中国版グーグルで「邱貽可」を検索してみると、関連検索の1番目に「邱貽可 処罰」が出てくるくらいだ。その武勇伝(?)の一例を挙げてみると…

・03年ITTFプロツアー・グランドファイナル(広州市)の期間中、外出してベロベロに酔っぱらい、人に担がれてホテルに戻った。1万元の罰金と、半年間の国際試合への出場停止
・05年超級リーグ、遼寧鉄嶺裕路戦でチームメイトの王建軍に対する判定に腹を立て、審判に食って掛かって会場は大荒れ。5千元の罰金
・06年2月、友人たちと遊びに出かけて門限の10時を破り、午前2時にようやく帰着。ブレーメン大会予選会への参加資格取り消し

 …などなど。それでも03・05・07年と個人戦では3大会連続で中国代表に選ばれているのは、将来性を認められているからか、それともパリ大会でのボル戦のご利益なのか…。ともかく、四川全興の優勝へのカギを握るのが、この邱貽可だということだけは間違いない。

Photo上:05年全中国運動会での邱貽可。卓球王国での呼び名は「イカちゃん」
Photo中:03年世界選手権パリ大会ではボルを撃破
Photo下:ラストで徐克に完勝、エースの面目を保った馬龍

 中国の三大ポータルサイトのひとつである『捜狐(sohu.com)』には、多くの人が様々なテーマについて書き込みをする『捜狐社区』というページがある。巨大な掲示板のようなもので、「中国のネットで対日批判が続出」などと報道されるのは、たいていこんなサイトの書き込み。内容もかなりブロークンだし、過激なものも多い。

 そんな『捜狐社区』で昔からよく語られる卓球のテーマに、「八大ピン壇美女(卓球界の八大美女)」がある。世界の卓球界から八人の美人選手を選出するもので、メンバーは語る人によって違うし、時代によって入れ替わりもある。異論のある方もいるかもしれないが、張怡寧、白楊、リ・ジャウェイ、Vi.パブロビッチはここしばらく固定メンバーだ。日本の柏木有希(元全日本ランカー/現東京電力)がメンバー入りしていたこともあるから、中国の卓球ファンもなかなか目ざとい。

 そんな捜狐社区に、またこんな書き込みがあった。『八大ピン壇美女誰是適合ピン球裙(八大美女で最もスコートが似合うのは誰か)』。「多くの卓球ファンにとって、選手がどのようなスコートを履くのかは大した問題ではない。最も大事なのは、どんな選手がスコートを履くのかということだ」と、妙に納得してしまう一文で始まる。
 選ばれた8人は、張怡寧、姚彦、劉詩ブン、白楊、リ・ジャウェイ、Vi.パブロビッチ、四元奈生美、石川佳純。特にナンバーワンを選ぶということもなく、どの選手にも「似合うに違いない」「きっとクールだ」とベタ誉め。身長175cmでボーイッシュな姚彦などは、どうもスコートが似合う感じではないのだが…。どうやら書き込みの主は、典型的な女子選手マニアのようだ。
 ちなみに日本の四元選手には「生まれつきの美貌だけでなく、人の心を動かす艶(あで)やかさがある」、石川選手には「日本卓球界の新星。彼女がスコートを履いて試合に出ればきっと大反響を呼ぶだろう」とのこと。

 張怡寧や彭陸洋が試合でスコートを着用するなど、北京五輪に向けてウェアの革新が進む中国女子卓球界。9月に四川省・成都で行われる女子ワールドカップでは、ウェアのデザインコンテストの入選作をモデルが着て、ファションショーも行われる。

Photo上:ザグレブ大会でスコート姿を披露した彭陸洋。残念ながら八大美女には選ばれなかった
Photo下:やっぱり一番似合うのはこの人? 超級リーグの北京チームでプレーした経験もある四元奈生美

 現在、超級リーグでウェアのサプライヤーになっているのは「安踏(アンタァ)」。1993年、創業者の丁志忠が福建省晋江市で始めたスポーツシューズの工場が、自社ブランド「安踏」の発売をきっかけに急成長。「安踏体育用品有限公司」はスポーツシューズのシェアでは中国ナンバーワンを誇り、「アディダス」「リーボック」などの代理販売も行う総合スポーツメーカーへと成長した。
 1999年には孔令輝と「形象代言人(イメージキャラクター)」の契約を結んでいるが、これが中国のスポーツメーカーが起用した「形象代言人」の第1号。そして2000年シドニー五輪で孔令輝は優勝し、安踏のイメージアップに大いに貢献することになる。現在も急成長を続ける安踏は、まるで李寧の足跡をたどるようにして李寧を猛追している。

 超級リーグでも、2005年に福原愛が参戦した遼寧本鋼がミズノと契約を結ぶなど、各クラブによってどのブランドのウェアを着てもOKだった。しかし、2006年のシーズン開幕前に公布された『2006中国Pingpang球倶楽部超級聯賽競賽指南』には、安踏公司との契約が明記されており、このシーズンから超級リーグのウェアは安踏で統一されたようだ。

 中国リポートでは超級リーグの最新画像がなかなか入手できないため、李寧のウェアを着た国際大会の写真を掲載することも多いが、実際には、選手たちは超級リーグでは必ず安踏のウェアを着用する(紛らわしくてゴメンナサイ)。そしてこのふたつのライバルメーカー、ロゴがよく似ているのだ。実は筆者もしばらくは同じブランドだと思っていた。どちらもナ○キにソックリなのだが、どこか中華風なのがポイント。
 「ナ○キのロゴ」というお題で、李寧→安踏とお絵描き伝言ゲームをやっていったような感じだ。

Photo上:昨シーズン、広東佐川急便のエースとしてプレーした福原愛。上下とも安踏で統一されている
Photo中:ロゴの拡大写真。李寧とちょっと角度が違う
Photo下:う、上が安踏で、下が…李寧?? こうなるとなかなか見分けがつかない。05年のシーズンはまだこんな組み合わせでもOKだった(超級リーグ岡山大会での劉娟のプレー)

 中国選手たちは国際大会と超級リーグで、違うブランドのウェアを着ていることをご存知だろうか?

 中国卓球チームのウェアのオフィシャルサプライヤーになっているのは、中国のスポーツブランドである「李寧(リィニン)」。創業者は1984年ロサンゼルス五輪・体操で3種目優勝を果たし、“体操王子”と呼ばれた李寧氏。1988年に現役を引退した後、1990年に「李寧公司」を創業、わずか10数年で全土に3,000店を超えるフランチャイズ店を持つ、中国最大のスポーツブランドに育て上げた。スウェーデン五輪代表チームとのオフィシャルサプライヤー契約、NBA(米プロバスケットボール)のトップ選手であるシャッキール・オニールとの契約などで、世界的にも知名度が上昇している。

 中国卓球チームは1998~99年にイタリアのフィラ(FILA)と契約していたが、2000年の世界選手権団体戦から李寧と契約を結び、来年の北京五輪でも李寧のウェアを着用する。
 李寧はインドアスポーツ事業部でウェアのデザイン革命に取り組んでいるそうで、その一例が女子選手の“スコート”。ザグレブ大会の予選会では、李寧と個人契約している張怡寧が李寧のスコートを着て登場、「中国卓球史上初めてスコートを着たトップ選手」として大きく報道された。やはりというべきか、郭炎や郭躍はあまり履きたくないようだが、北京五輪では中国女子チームのスコート姿が見られるかもしれない。
(「ロゴに注目! 中国選手のウェア事情-弐」に続きます)

Photo:張怡寧の襟元に注目!
Photo:拡大写真。どこかで見たようなロゴです

☆2007超級リーグ女子 ~第9節までの順位
1. 北京首創(8勝1敗)    6. 上海電信理工(5勝4敗)
2. 遼寧鞍鋼(7勝2敗)    7. 河北金能(4勝5敗)
3. 深セン長園新材(7勝2敗) 8. 重慶康徳遠景(2勝7敗)
4. 山東魯能(6勝3敗)    9. 八一工商銀行(1勝8敗)
5. 北大方正(5勝4敗)     10. 江蘇麗華快餐(0勝9敗)

 北京首創、遼寧鞍鋼、山東魯能の3強に対し、深セン長園新材が7連勝で一気に突っ走った前半戦。しかし、選手層の厚さから言っても、後半戦になるほど3強の優位が際立ってくるだろう。深センが優勝戦線に残るためには、下位のチームに取りこぼしをしないことが絶対条件だ。
 一方、最下位は全敗で前半戦を終えた江蘇麗華快餐。2-3の試合を5試合落としている。シェークドライブ型の林菱はすでにピークを過ぎ、カットの范瑛とペン粒高攻守の陳晴は変化に慣れられて勝ち星が伸びない。スポンサーの“麗華快餐”は有名な宅配弁当チェーン。「ネットや電話で注文すれば、30分以内にお届け」してくれるのだが、チームのほうも現在の所は「当たると美味しい」チームになってしまっているようだ。

超級女子メンバー表はコチラ

☆個人成績 (勝率)
◎女子シングルス
1. 劉詩ブン(深セン長園新材/14勝3敗)
2. 張怡寧(北京首創/11勝2敗)
3. 李暁霞(山東魯能/8勝1敗)
4. 王楠(遼寧鞍鋼/7勝1敗)
5. 曹幸ニィ(深セン長園新材/6勝1敗)
6. 賈君(河北金能/9勝3敗)
7. 郭躍(遼寧鞍鋼/10勝6敗)
8. 孫晋(北大方正/6勝3敗)
9. 馮亜蘭(北大方正/2勝0敗)
10. 周芳芳(深セン長園新材/2勝0敗)
※帖雅娜(上海電信理工)5勝6敗、郭炎(北京首創)4勝5敗

◎女子ダブルス
1. 孫晋/高曦(北大方正/6勝1敗)
2. 李暁霞/彭陸洋(山東魯能/4勝0敗)
3. 陳晴/張暁武(江蘇麗華快餐/4勝1敗)
 ※郭炎/丁寧(北京首創)5勝2敗、王楠/常晨晨(遼寧鞍鋼)4勝5敗

 シングルスでは深セン長園新材の快進撃を支えた劉詩ブンが勝率トップ。実力のある選手が順当に上位に来ているが、世界ランク4位の郭炎はやや不調か。世界チャンピオン郭躍もまだ本調子とはいかない様子だ。
 この中で国際的には無名なのが6位の賈君(ジァ・ジュン)。1986年6月17日生まれの21歳。今シーズンは郭躍、帖雅娜、姜華君、彭陸洋に勝っている。2003年に国家1軍チーム入りしているが、もっと国際試合に起用されてもおかしくない選手だ。しかもモデル並みの美人選手で、中国女子チームでは間違いなくナンバーワン(!)。ブログにはプライベート・フォトが満載なので、興味のある方は頑張ってたどり着いてみてください(もちろん中国語です)。

Photo=上から劉詩ブン、張怡寧、李暁霞。シングルス勝率のトップ3

★2007超級リーグ男子 ~第9節までの順位
1. 八一工商銀行(7勝2敗) 6. 天山万杰隆(4勝5敗)
2. 浙商銀行(6勝3敗)   7. 遼寧錦州万通(4勝5敗)
3. 四川全興(6勝3敗)   8. 海寧皮革城鵬翔(3勝6敗)
4. 魯能中超電纜(6勝3敗) 9. 江蘇江南電纜(3勝6敗)
5. 寧波北侖海天(5勝4敗) 10. 江蘇華都琥珀(1勝8敗)
 
 折り返しの第9節で首位に立っているのは、王皓のいる八一工商銀行。ハオ帥の浙商銀行、馬龍の四川全興が後に続き、若手中心の魯能中超電纜の健闘が光る。北京五輪への出場が予想される馬琳の寧波北侖海天はやや苦戦、王励勤の海寧皮革城鵬翔はこれ以上負けられない。

超級男子メンバー表はコチラ

★ 個人成績 (勝率)
◎男子シングルス
1. 王皓(八一工商銀行/14勝1敗)
2. ハオ帥(浙商銀行/12勝1敗)
3. 馬龍(四川全興/14勝2敗)
4. 王励勤(海寧皮革城鵬翔/12勝4敗)
5. 張継科(魯能中超電纜/12勝4敗)
6. 馬琳(寧波北侖海天/9勝5敗)
7. 雷振華(遼寧錦州万通/8勝7敗)
8. 陳杞(江蘇江南電纜/7勝6敗)
9. 侯英超(江蘇華都琥珀/6勝5敗)
10. 李平(浙商銀行/4勝3敗)

◎男子ダブルス
1. 李静/柳洋(寧波北侖海天/6勝1敗)
2. 單明杰/陳杞(江蘇江南電纜/3勝0敗)
3. 李虎/李平(浙商銀行/3勝0敗)

 シングルスの勝率第1位は王皓、14勝1敗は文句のない成績だ(唯一の敗戦を喫した相手は遼寧錦州万通の周斌)。天山万杰隆以外の9チームのエースがそれぞれベスト10入りしており、それだけ戦力が分散しているのだろう。ダブルスはペアの組み替えが頻繁に行われるため、これまでに10チームで通算24ペアが出場している。
 超級リーグ第10節は8月4日(土)に行われる。

Photo上:強い強い王皓。後半戦で馬琳や王励勤との対戦があるか?
Photo中:第2節では王励勤を破った浙商銀行のエース・ハオ帥
Photo下:メキメキ力をつけている馬龍、後半戦の戦いぶりはいかに?


☆☆☆ 07中国超級リーグ・女子第9節 ☆☆☆
[北京首創 3-2 山東魯能]
[上海電信理工 3-2 江蘇麗華快餐]
[河北金能 3-2 八一工商銀行]
[北大方正 3-1 重慶康徳遠景]
[遼寧鞍鋼 3-2 深セン長園新材]

◎張怡寧、天敵・姜華君を圧倒。注目の一戦!
[北京首創 3-2 山東魯能]
○張怡寧 7、7、5 姜華君
 郭炎 6、-9、-7、-7 李暁霞○
 郭炎/丁寧 5、-4、-10、-10 彭陸洋/李暁霞○
○丁寧 -5、7、5、8 姜華君
○張怡寧 -7、5、-8、13、9 彭陸洋

 ここまで7勝1敗で首位に立つ北京首創と、6勝2敗で同率2位につける山東魯能の一戦は、女子超級リーグ中盤の大一番。試合の模様は、中国中央テレビ局のチャンネル5(スポーツチャンネル)で生中継。会場となった安徽(あんき)省安慶市体育館は、なんと6,000人(!)を超える観客で超満員となった。

 勝負のポイントはいきなり訪れる。トップで対戦したのは五輪女王の張怡寧と、“張怡寧キラー”の異名を持つ姜華君。エースの李暁霞をダブルスに下げ、姜華君をシングルスで2点起用してきたのは、山東魯能としても「姜華君を張怡寧に当てれば…」という思惑があったのだろう。しかし、両親が観戦に訪れたという張怡寧は第1ゲームからエンジン全開。姜華君のフォアをうまく攻めてリードを保ち、11-7で先取。第2ゲームは5-1のリードからやや勝負を焦り、6本連取されて5-7とリードを奪われたが、しっかり立て直して11-7とこちらも6本連取。こうなると第3ゲームは先手を取って一気に攻めた張怡寧が11-5と圧倒。張怡寧キラーを吹き飛ばした。
 しかし、この試合に敗れると北京首創に2勝の差をつけられる山東魯能も、エースの李暁霞が奮闘。2番の郭炎とのパワー対決では、第2ゲームからグングン調子を上げる。第3ゲームの後半には、勝負を焦った郭炎に3球目攻撃のミスが出て、李暁霞が11-7でこのゲームを奪うと、第4ゲームは終始リードを保って勝利。ダブルスでも名コンビの郭炎/丁寧組に対し、勝負の第3ゲームをデュースで制したのが大きく、第4ゲームも先にゲームポイントを取られながらしのぎ切った。山東魯能が2-1と勝利に王手をかける。

 第4試合は丁寧vs.姜華君。丁寧は左シェークドライブ型で、05年世界ジュニア優勝。長身ながらしゃがみ込みサービスも操る速攻タイプの選手。第1ゲームを取ってからやや受け身に回った姜華君に対し、第2・3ゲームでは序盤で大量リードを奪い、姜華君を撃破。ラストの張怡寧につなぐ値千金の一勝。
 満場の観客の中、ラストに再び登場した張怡寧は彭陸洋と対戦。世界選手権ザグレブ大会でベスト8に入り、今まさに伸び盛りの彭陸洋と、第3ゲーム以降はまったくスコアが離れないシーソーゲームを展開。ラストにふさわしい大激戦を、最終ゲーム11-9で張怡寧が制した!!
 この勝利で、北京首創は8勝1敗の単独首位でシーズンを折り返した。

 その他の試合、もうひとつの首位決戦となった深セン長園新材vs.遼寧鞍鋼は、ラストで王楠が劉詩ブンにストレート勝ちした遼寧鞍鋼が2敗をキープ。深センは7連勝のあと2連敗。また、まだ今季未勝利の江蘇麗華快餐は競り合いながら上海電信理工に敗れ、泥沼の9連敗となってしまった。

photo上:両親の前で会心のプレーを披露した張怡寧
photo中:ボーイッシュなルックスで、運動能力も高い丁寧
photo下:姜華君はシングルスで2失点と期待に応えられず…


★★★ 07中国超級リーグ・男子第9節 ★★★
[八一工商銀行 3-1 天山万杰隆]
[海寧皮革城鵬翔 3-1 四川全興]
[江蘇江南電纜 3-0 江蘇華都琥珀]
[魯能・中超電纜 3-2 寧波北侖海天]
[遼寧錦州万通 3-0 浙商銀行]

◎馬琳、痛恨の2失点。注目の一戦!
[魯能・中超電纜 3-2 寧波北侖海天]
 楊暁夫 -7、-9、4、-7 柳洋○
○張継科 4、12、-5、8 馬琳
 楊暁夫/江天一 8、5、8 柳洋/李静○
○江天一 7、7、-10、6 馬琳
○張継科 -9、6、-9、8、3 李静

 全18節のうち、ちょうど折り返し地点を迎えた男子超級リーグ第9節。
 7月28日に上海・廬湾体育館で行われた寧波北侖海天と魯能・中超電纜との一戦。トップで3番手の柳洋が楊暁夫を下し、馬琳の2得点が期待できる寧波北侖海天としては万全のスタート。ここで2番に出場した馬琳、相手の張継科にはこれまで大きな大会ではほぼ無敗だったが、1-3でまさかの敗戦。1-1のタイに持ち込まれる。
 ダブルスで柳洋/李静組がストレートで完勝し、ふたたび寧波北侖海天に傾いた流れを、4番で台無しにしたのはまたしても馬琳。対戦相手の江天一は左シェークドライブ型、まだジュニアを卒業したばかりの19歳。しかし、多彩なサービスで馬琳のレシーブを狂わせ、自分のペースへ持ち込んだ。ラストでは勢いに乗る張継科が、名将・李静に逆転勝ちして試合を決めた。これで魯能・中超電纜は6勝3敗で同率2位。開幕前の目標は「残留」だったが、もう少し上方修正しても良さそうだ。

 「馬琳は2試合とも動きが鈍かったし、3球目攻撃での優位を発揮できていなかった」とは魯能・中超電纜の谷青成ヘッドコーチ。2004年に広東全球通、2005年に陜西銀河国梁、そして2006年に陜西銀河と、3年連続で優勝チームのエースとして活躍してきた馬琳。以前にも述べたとおり、「馬琳を得た者が天下を制する」という言葉に偽りはない。しかし、今シーズンの状況はかなり厳しい。「敗戦の罪人」「罪将」と、トップ選手の敗戦にはマスコミも容赦ない批評を浴びせている。

 その他の試合では、八一工商銀行が天山万杰隆を3-1で破って7勝2敗と単独首位。天山はダブルスで勝利した劉国正の頑張りに応えられなかった。海寧皮革城鵬翔はエース王励勤が2試合ともストレート勝ちで四川全興に完勝した。
 
Photo上:05年に山東省から中国香港へ移住した江天一。6月のVWオープン荻村杯では松下浩二(グランプリ)を破っている
Photo中:馬琳、痛すぎる2失点(写真は世界選手権ザグレブ大会)
Photo下:第9節では敗れたが、ダブルスで6勝2敗と健闘する楊暁夫(写真は02年のプロツアーファイナル。古い写真でゴメンナサイ…)

☆☆☆ 07中国超級リーグ・女子第8節 ☆☆☆
[北京首創 3-0 江蘇麗華快餐]
[遼寧鞍鋼 3-1 北大方正]
[山東魯能 3-2 河北金能]
[重慶康徳遠景 3-0 八一工商銀行]
[上海電信理工 3-2 深セン長園新材]

◎ついに全勝チームが消える。注目の一戦!
[上海電信理工 3-2 深セン長園新材]
 饒静文 -7、-6、-6 劉詩ブン(雨+文)○
○帖雅娜 -5、2、11、8 曹幸ニィ(女+尼)
○饒静文/劉娟 -9、9、-6、3、7 曹幸ニィ/周芳芳
 帖雅娜 8、-10、-4、-9 周芳芳○
○劉娟 -8、6、7、6 劉詩ブン

 ここまで男女を通じて唯一の全勝チーム、深セン長園新材(センは土+川)。実質的には広東省チームで、昨年福原愛がエースとして参戦していた広東佐川急便とメンバーは変わらない。このチームの躍進を支えているのは、なんといってもエースの劉詩ブン。昨年はシングルス通算5勝8敗だったのが、ここまでシングルス11勝1敗と別人のような成績。張怡寧、李暁霞、李楠らを下し、快刀乱麻の大活躍を見せている。

 1991年4月12日生まれ、4歳半で卓球を始めたという劉詩ブンは現在16歳。身長155cmとやや小柄なため、「小トウ亜萍」というあだ名がつけられている。広東省チームに籍を置いているが、出身は遠く離れた遼寧省撫順市。実は王楠もこの撫順市の出身で、王楠を育てたコーチとして有名な張晶清コーチ(女性)が、広東省の偉倫体育学校に移る際に劉詩ブンを連れてきたのだ。「まだ小さいから」と渋る両親を粘り強く説得し、7歳の劉詩ブンを呼び寄せたというのだから、よほどその才能に惚れ込んだのだろう。

 8連勝がかかったこの試合、エースの劉詩ブンがトップで饒静文を寄せ付けず、快調なスタートを切った深セン長園新材。しかし、2番手のベテラン、曹幸ニィが2・3番で単複2点を落とし、苦しい展開に。4番で右シェークドライブ型の周芳芳が帖雅娜を下す殊勲の星を挙げ、勝負はラストへ。「正直に言うと、5番に持ち込んだ時点で我々のチームの勝ちだと思った」と楊華杰ヘッドコーチが語ったように、勝利はすぐ目の前にあった。しかし、1ゲームを先取してからの劉詩ブンは勝利を意識したのか、プレーに精彩を欠き、思い切りの良さが影を潜めた。第2ゲームから3ゲームを連取され、深セン長園新材は今季初黒星を喫した。
 ここまで勢いに乗って勝ち進んできたチームだけに、ここからが正念場か。次節の対戦相手は強豪・遼寧鞍鋼だ。

Photo上:ラストで手痛い敗戦を喫した劉詩ブン。あこがれの選手は「愛ちゃん」なのだとか
Photo中:勝負強さを見せる劉娟。裏面使いの左ペンホルダー
Photo下:昨シーズン、ベンチで福原にアドバイスする楊華杰ヘッドコーチ