ペルーの、フアン 二十三中学校主催のオープン戦を観覧席でボケーっと見ていたら、とある16歳のナショナルチーム選手のお父さんが挨拶しに来ました。
年齢は恐らく60代前半。少し禿げており、少し小太りで、チョビ髭を生やし、メガネをかけています。
「先生、ごきげんよう」
「あら、○○君のお父さん、ごきげんよう」
この日はちょうどバレンタインデー。2月14日。
日本では女性が男性にチョコレートをあげるのが主流ですが、ペルーでは男性が女性に花束や「好きだよ」等と毒々しくプリントされたハート形の風船をプレゼントします。
ペルーでは「愛情」だけではなく「友情」もお祝いするので、友達同士で「友情の日、おめでとう!」と言ってハグをしたり、フェイスブック等で「おめでとう!」等とメッセージを送り合います。
選手のお父さんと時候の挨拶を軽く済ませると、彼が手提げ袋からよそよそしく箱を取り出しました。
「先生、これ、どうぞ」
「あら何かしらこれは?」
箱を持ってみると、なにやらずっしりと重い。
まさか。お父さん。
○○君のお父さん。
2月14日、バレンタインデーにプレゼントなんて……。
ダメですよ。私が人妻という事を知っているでしょう?
貴方も奥さんと二人の子供を持つお父さんでしょう?
しかも試合会場の観覧席で堂々とこんなものをプレゼントするなんて、何という感覚の持ち主!
恐る恐る箱を開けてみると……
私 「……。」
……バレンタインデーに関係なく、不倫とかそういう系の方じゃなくて本当に良かった。
っていうか、何コレ?
「先生、これは私が手作りした回転をかけるのを覚える道具です。身体の使い方を覚えるのにも役に立ちます。中国では上級者がこういうのを使っているのをビデオで見ました。日本でも使われていると思いますが、どうでしょう? 是非、先生もこれをお使いになって下さい。差し上げます。ほら、ここ、バネになっていてビヨンビヨン動いて元に戻るんですよ。卓球台が無い所でも椅子なんかに置けば十分使えますし、持ち運びも楽なんです。それから……、そして……、ここが……、さらに……」
※銀色のバネがビヨンビヨンと動きます。
そういえば、この家族、アレでした。すごくプレゼントしてくるんでした。
最初はお母さんでした。「先生、突然ですが、これをどうぞ」と、本当に突然こんな箱をプレゼントしてきて、
○○君は漫画「ワンピース」が大好きだというので日本に帰った時にトニートニー・チョッパーのぬいぐるみを買ってプレゼントしたら、次の日「イズミ、これをどうぞ」とお返しに牛をプレゼントしてくれました。
牛!
っていうかこの牛、笑えるくらいかっこいいんですけど!
で、今回はお父さんからプレゼント。
○○君には歳の離れたお姉さんが居るというので、次はお姉さんからのプレゼントで決まりだな。
名前も知らないし、会った事もないけど!