卓球王国の『YOUはどうして海外に?』のケース1から5まで拝見させていただきました。
大学の時にスウェーデンリーグでプレーしていて、現在はアメリカで選手兼コーチとしてプレーしている中野優さん。
ケニアでNGOの教師をし、クラウドファンディングで卓球場を作り、目標は1000人のケニア人を雇いたい佐藤孝祐さん。
4か国でコーチを経験し、卓球と教育をセットで考えており、教え子をオリンピックに行かせたい森部淳さん。
アメリカで全米カデットチャンピオンのコーチを務め、現在はイギリスでオンライン卓球ショップとコーチ、英会話レッスンをしているコンスタンティヌ彩能さん。
なぬ? ねぇなんか、すげくね? 皆さん揃いも揃って、「凄い」を通り越してもうね、
尊い。
で、ケース2の人なんですけど。つまり、私なんですけど。
ひそかにね、一度は、インタビュー受けたいと思ってた。
もうね、大人だもの。
そろそろ私もインタビューの おめがねにね、かなう年頃かなって。
そして、ついに、来るときは来た。
40年間隠し持った私の私なりのインタビューを披露する時が、ついに来た。
さあ、来なさい、と。お手並み拝見致しましょうぞ。
最初の質問「秋田銀行を退職し、海外協力隊としてグアテマラに行きました。きっかけはなんだったのでしょう?」
自分でも驚くぐらい素直に、インタビュアーさんは何かの魔法でも使っているんじゃないかくらいの勢いで「銀行員時代に業務がうまくこなせず、多くの人に迷惑をかけていました」って言ってました。
「バカ正直」という言葉を使うなら今だ!
正直にも程がある。えそれ、言わなくても良くない? 黙っていれば、バレなくない?
フハハハハハ! 間抜けは見つかったようだな!
そもそも息子に髪の毛を引っ張られている状態で、嘘が全くつけないという特技が判明。
これがあのバルスかな? ってくらい、息子に髪を引っ張れていたんです。
目がー目がーって、なるくらい顔をくちゃくちゃにされてたんです。
なのに、もう自分の素直さが憎い。インタビューされるがままに答えてましたからね。
もう社交界デビューできる。色んなインタビューとか積極的に受けていきたい。
なんつーの、私もついにインタビューとか たしなむ歳になったというか。
やっぱりインタビューは大人として避けては通れないというか。
これからもチャンスがあれば、どんどん受けていくし。
髪の毛とか思いっ切り引っ張られてるのに、白鳥かってくらい優雅に言ったよね、「銀行員時代に業務がうまくこなせず、多くの人に迷惑をかけていました」って。
しかも、私の口から出るインタビューの答えがすばしっこくって。
「卓球王国さん、言葉が今そっちに行っているので捕まえてくださいっ! 私はこっちでなんとかしますっ!」
「私が押さえておくので、そっち頼みます!」つって卓球王国さんと私でチームを組んで必死に言葉を袋小路に追いつめた。
そんなこんなで、無事、インタビューはクリアし、お遊びの時間は終わった……。
そして本番はここから。私のインタビューが卓球王国の記事になって載ってやがる。全国の本屋さんに置かれてやがる。
……両親がこの記事を見たら何て言うだろう?
お母さんに「私の育て方が悪かったのかしら?」って、涙を溜めさせたりしないだろうか?
義理のお兄さんに、卓球王国にインタビューの記事が載った話しをしたら
「じゃあ買っておくね☆」つって。
いやそれ買わなくていいし。
そりゃね、素晴らしい人達のインタビューなんかがね、随所に散りばめられていますので、それはね、もちろん買って読んで欲しいんですけど。雑誌は買っても良いけど、ケース2の人の記事だけは読まないで欲しいっていうか。
「べっぴんさん、べっぴんさん、一人飛ばして、べっぴんさん」のように、私の記事は飛ばして欲しい。
最近卓球を始めたという可愛い姪っ子たちは、叔母さんの昔の出来損ないの話しの記事を読んで、何て思う?
記事を読んでも、今まで通り澄んだ瞳で「いっちゃん」って呼んでくれる?
今は5歳の息子もやがて大きくなり、年頃になった時にこの記事をたまたま目にし、母の昔の出来損ないの話しの記事を読んで、何て思う?
「お母さん」と呼んでくれるだろうか?
反抗期は長引かないだろうか?
「クソババア! 銀行の仕事も出来なかったくせに、偉そうに俺に指図すんじゃねーぞ!」っつって、壁に穴を開けられないだろうか?
卓球王国さん、すみませんが、最初に書いてある「銀行員時代に業務がうまくこなせず、多くの人に迷惑をかけていました」っていう記事、ちょっと変えてもらえませんかね?
例えばそうだなぁ、
「銀行員時代に、私の居場所はここではないと悟った。私は出発しなければならない。ここではない、何処かへ……」みたいな。
結局、仕事が出来なかったのはその通りなんですけど、あまりにも正直すぎませんか、「銀行員時代に業務がうまくこなせず、多くの人に迷惑をかけていました」なんて!
こんなの、たとえ息子に髪の毛を引っ張られていようが、口が滑ろうが、インタビュアーさんの魔法がかかっていようが、恥ずかしくて誰にも言えませんよっ!
バルスッ!