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速報・現地リポート

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世界選手権横浜大会(個人戦)

 今大会の主要な試合で使用される新しい卓球台で練習する水谷隼と岸川聖也(下写真左)。水谷は終始リラックスムードで、早く大会が始まってほしい、という感じだ。一方、岸川は自らのプレーを確かめるように、黙々とラケットを振っていた。
 福原愛(ANA)は少し表情が硬かったが、ボールのスピードは以前よりもアップしている。女子シングルスは、日本選手は全員決勝トーナメントからの出場。30日の12時15分から、福原らが出場する1回戦が行われる。

 明日は日本人選手の出場は、男子予選グループの丹羽孝希だけ。11時15分からサリバエフ(タジキスタン)、16時20分からオマール(アラブ首長国連邦)と対戦する。開会式は18時30分スタートだ。
 たける、さなえでお馴染みの、卓球王国連載「マンガDEルール早わかり」。そのコミックとイラストの作者でデジタルクリエイターのヒラヤマユウジさんのアートイベントが、大会期間中、会場1階で開かれている。
 「VJ SMASHER -DIGITAL PINPONG 2-」と題されたイベントでは、メディアアートと卓球というスポーツを融合された作品を展示。卓球というスポーツの動きによって変化する映像とサウンドを体感できる。
 ちなみに、イベントスペースには身長140cmのおかめ、たける、くまごろう、さなえの型抜きハリパネが登場(右写真/中央がヒラヤマさん)。また、配られるチラシには、たけるたちのコミックの番外編が掲載される。
 試合の合間に、是非見に行こう!


 また、このイベントは、5月2・3日には横浜ランドマークタワーでも開催される。ロバート・ハリス氏らとのトークショーなどもある。熱心な卓球ファンは試合観戦の真っ直中かもしれないが、多くの人が集まるスペースだけに、卓球ファン以外の方々の注目も集めそうだ。

5月2~3日 14:00~19:00横浜ランドマークタワー プラザ1F ガーデンスクエア
・トークステージ1]14:00~14:20
 出演/ヒラヤマユウジ、卓球パフォーマー
・トークステージ2]17:00~17:20
 出演/ヒラヤマユウジ、ロバート・ハリス(3日のみ)、卓球パフォーマー


●ヒラヤマユウジ公式サイト VARIATION
http://www.hirayamayuji.net/
 福原愛(ANA)が憧れの選手で、その福原とは2006中国超級リーグの広東佐川急便でチームメイトだった劉詩ウェン(雨+文)。王国編集部にもひとり、熱狂的なファンを持つ彼女が、初のシングルス代表として横浜大会に乗り込んできた。超級リーグではトップクラスの勝率を残しており、大会のダークホースのひとり。
 ドイツ・ブンデスリーガでもプレーしている劉、下写真右ではドイツチームの若手とちょっと怪しい雰囲気…?
 故障で世界選手権の第一次国内選考会を欠場するなど、その状態が心配された五輪二冠王の馬琳だが、練習を見る限り打球点の早いフォアドライブは快調に走っている。
 ノングルーで迎える初の世界選手権。粘着性ラバーの中国勢は受ける影響がもっとも大きいのでは…と思われたが、各選手の練習を見る限り、ほとんどスピードは落ちていないようだ。彼らのボールは速く、鋭い。他国の選手とは同じ刀でも、切れ味がまったく違う感じがする。ボル不在となったこの大会、中国にストップをかける選手は現れるのか? やはりここは日本選手に期待したい。
 下写真右は、審判台に座って教え子の練習を見つめる呉敬平コーチ。最強・中国チームを支える支柱のひとつだ。
 今日はすばらしい晴天です! いよいよ大会開幕を明日に控えた横浜アリーナでは、各国の選手たちが練習に汗を流しています。
 右写真はストレッチをしながら、徐々に集中力を高めるメイス(デンマーク)。欧州のエース・ボル不在のこの大会、バッチリ盛り上げてもらいましょう!


 女子シングルスのベスト32シード選手のドローは上記のとおりとなった。 平野早矢香(ミキハウス)は、順当に勝ち上がれば3回戦でボロス(クロアチア)、4回戦で王越古(シンガポール)と対戦。組み合わせとしては悪くないブロックに入っている。一方、福原愛(ANA)は、大会前に世界ランキングをやや落としていたのが響き、3回戦で世界ランキング3位の李暁霞(中国)と当たる厳しい組み合わせになってしまった。しかし、福原は李暁霞とはこれまでほとんど対戦経験がなく、また李暁霞は大会序盤で調子が上がらずに敗れることがしばしばあるので、序盤から一気にペースを掴みたい。もちろん、まずは確実に初戦を突破することが第一だ。
  福岡春菜(中国電力)は、北京五輪団体戦で敗れた帖雅娜(香港)と3回戦で当たる。厳しい相手ではあるが、帖雅娜にとっても嫌な対戦相手には違いないだろう。北京のリベンジを果たしてほしい。

 その他の強豪選手では、第4シードの郭炎のブロックに劉詩ウェン、姚彦と3人の中国選手が固まっている。ルーマニアのツインエース、ドデアンとサマラはともに張怡寧と郭躍のすぐ下に入る不運のドローだ。


 男女シングルスおよび男女ダブルス、混合ダブルスのシード選手のドローが決定した。男子シングルスのドローは上記のとおりとなった。
 まず日本勢は、水谷隼(明治大・スヴェンソン)が3回戦(ベスト16決定戦)でパーソン(スウェーデン)と当たる組み合わせ。今年2月のカタールオープンではストレートで破っており、勝機は十分にありそう。続く4回戦は、同じ左シェーク攻撃型の陳杞(中国)との対戦か。
 韓陽(東京アート)の3回戦の対戦相手はメイス(デンマーク)。ほとんど対戦したことのない相手ではないか。メイスの回転量の多いドライブと、中陣からの粘りを巧みなテクニックできっちり料理したい。そして吉田海偉は、柳承敏(韓国)とのペンドラ強打型対決。08年広州大会では敗れているが、柳承敏も故障で本調子ではないだけに、勝利の女神がどちらに微笑むかはわからない。

 その他の海外の強豪では、トピックスでもお伝えしたように、ボル(ドイツ)が残念ながら横浜大会を欠場。第1シードの王皓(中国)は、準決勝までは比較的分の良い相手との対戦が続く。馬龍(中国)は、4回戦でオフチャロフ(ドイツ)とのライバル対決が実現すれば面白い。第2シードの馬琳にとっては、同じブロックに入った朱世赫(韓国)が厄介な存在となりそうだ。
●水谷/岸川ペアと平野/福原ペアが、世界に挑む! 男女ダブルス&混合ダブルス

 日本のメダルの可能性が最も高いと言われるダブルス。日本ペアを中心に注目ペアを追ってみよう。
 今大会のメダル獲得の最有力候補と言えば、男子ダブルスの水谷隼/岸川聖也(スヴェンソン)。ザグレブ大会でベスト8に入り、メダルまであと一歩に迫った。準優勝だったドイツオープンの戦いぶりを見ても、ベスト8までは確実に勝ち上がりそうだ。そこで中国ペアと当たるか、あるいはヨーロッパペアと当たるか。「最低でもメダル獲得」と語る水谷/岸川は気合十分だが、準々決勝の組み合わせがメダルへのカギとなるのは間違いない。
 日本勢にとって朗報と言えるのは、中国が王励勤と馬琳のダブルスへのエントリーを回避してきたこと。04年アテネ五輪優勝、07年世界選手権優勝の馬琳/陳杞、ザグレブ大会で水谷/岸川が敗れた王励勤/王皓は出場しない。代わりにエントリーした王皓/陳杞、馬龍/許シンも強豪ペアには違いないが、ペアとしての完成度では明らかに水谷/岸川が上。話題をメダル獲得の可能性から、獲得するメダルの色へと変えたくなる…のは早計か。

 女子ダブルスでも平野早矢香/福原愛が、01年大阪大会の武田明子/川越真由以来のメダル獲得が有力。福原はダブルスで申し分のない実績を挙げているし、平野も1月の全日本で初のダブルスタイトルを獲得し、自信を深めているだろう。厚い信頼関係で結ばれたふたりが、高い集中力をキープできれば、相手がアジアの強豪であっても勝機は見出せる。さらに藤井寛子/石川佳純、藤沼亜衣/樋浦令子と、日本女子は出場する3ペアがいずれ劣らぬ実力を備えており、ベスト8に何ペアが勝ち残るか楽しみなくらいだ。
 世界に目を向けると、中国は張怡寧がダブルスへの出場を回避したが、郭躍/李暁霞がやはり優勝候補の大本命。カットペアの金キョン娥/朴美英(韓国)は、日本が何度も煮え湯を呑まされてきた因縁の相手だ。同じ韓国では、唐イェ序/李恩姫もなかなか手ごわい。帖雅娜/姜華君(香港)はこれまでにあまり組んだことがないペアだが、個々の技術力は抜群のものがあるだけに要注意だ。

 混合ダブルスは、これまで9連覇中の中国が強豪ペアのエントリーを回避。ハオ帥/常晨晨、邱貽可/李暁丹、李平/曹臻などの顔ぶれで、こちらもザグレブ大会よりはるかに戦いやすい。シンガポールや韓国、香港はベストメンバーが出場してくるため、メダル獲得はやはり容易ではないが、まず混合ダブルスでメダルを決められれば、日本チーム全体に勢いが出てくるだろう。水谷隼/平野早矢香、松平健太/福原愛ら有力ペアの活躍に期待しよう!

Photo:メダル最有力候補の水谷/岸川(左)と、日本女子のエースペアである平野/福原(右)
● 郭躍の2連覇はあるのか 女子シングルス

 ザグレブ大会では、準決勝で郭躍(中国)が張怡寧(中国)をストレートで下し、初のビッグタイトルを掴んだ女子シングルス。今大会も中国女子の優位は揺るがない。北京五輪で2冠王となった張怡寧が、再び郭躍と相まみえれば好ゲームが期待できそうだ。世界ランキング3位の李暁霞と4位の郭炎にも、優勝のチャンスは十分ある。特に郭炎は今大会が最後の世界選手権、昨年12月のITTFプロツアー・グランドファイナルを制し、ラストチャンスに賭ける。若手では急成長中の劉詩ウェンと丁寧に注目が集まる。カット打ちを得意とする劉詩ウェンに対し、カット打ちをやや苦手とする丁寧は集合訓練でカット打ちの特訓を積み、大会に臨むが、果たしてその成果はどうか。

 中国以外で準決勝に進出するチャンスがあるのは、馮天薇・ワン・ユエグ(シンガポール)、帖雅娜・姜華君(香港)、金キョン娥(韓国)くらいに絞られそうだ。ただ、若手とは良い勝負ができるが、張怡寧・郭躍・李暁霞・郭炎のトップ4を崩すのは厳しいだろう。カットの金キョン娥に期待したいが、張怡寧と郭躍のふたりは対カットの強さにも定評がある。
 ヨーロッパ勢では、「純正」ヨーロッパ選手だとやはりルーマニアのサマラとドデアンに期待したい。また、3月のドイツオープンで馮天薇を破ったVi.パブロビッチ(ベラルーシ)も久々に上位に勝ち上がりそうだ。帰化選手で上位に来そうなのはリュウ・ジャ(オーストリア)、リー・ジャオ(オランダ)、ウ・ジャドゥ(ドイツ)あたりか。また、カットということでリー・ジエ(オランダ)やリー・チェン(ポーランド)も波乱を起こす可能性はある。

 そして日本女子は、全日本選手権3連覇中の平野早矢香(ミキハウス)が、3月のドイツオープンで優勝。準決勝では中国女子のホープである李暁丹を下し、中国勢に対しても徐々に互角の勝負ができるようになっている。前回はサマラ(ルーマニア)に逆転負けを喫したが、今大会はヨーロッパ勢に対しては不安はない。アジアの強豪に照準が絞られる。
 福原愛(ANA)は、早くも4大会目の個人戦代表。ここ1年の国際大会では思うような結果が出ていないが、そろそろ「やってくれそう」な予感がある。20歳で迎える横浜大会、初戦をきっちり乗り切って、調子の波に乗りたい。さらに、次代の日本女子を担う石川佳純(ミキハウスJSC)、変化速攻で大物食いを狙う福岡春菜(中国電力)、国際大会での経験が豊富な藤沼亜衣(日立化成)など、日本女子も充実のメンバー構成だ。

Photo:平野早矢香(左)&福原愛がニッポンを元気に!
 4月28日、横浜アリーナで激戦の火ぶたが切って落とされる「H.I.S.2009年世界卓球選手権横浜大会」。日本の卓球ファンが待ちに待ったビッグゲームの到来だ。
 中国が男女団体とも1試合も落とすことなく優勝し、男女シングルスで3つのメダルを独占した北京五輪。しかし、その後卓球界はノングルー時代を迎え、多くのトップ選手たちは、技術・用具の両面において見直しを余儀なくされた。

 横浜港に波乱の嵐を予感させる、不穏な波が立ちつつある。中国が絶対的な強さを保つのか、それとも…?
 いざ、ヨコハマ。トップ選手のプライドを賭けた戦いを見逃すな!

●王皓と馬龍が優勝候補の双璧か? 男子シングルス

 05年上海、07年ザグレブと、2大会連続で王励勤(中国)と馬琳(中国)の対戦になっている男子シングルス。しかし、現世界チャンピオンの王励勤は、ザグレブでの優勝から国際大会で一度も優勝しておらず、北京五輪2冠王の馬琳は激戦の代償か、故障が連続している。ともにピーク時の強さをキープしているとは言いがたい。
 そうなると、クローズアップされるのは北京五輪銀メダリストの王皓(中国)、そして世界ランキング3位の若武者・馬龍。このふたりが優勝候補の双璧と見た。また中国勢では、国内選考会で大活躍した左ペンドライブ型の許シン(日+斤)も、当たりがつけば面白い存在だ。 他のアジア勢では、韓国のツインエース、柳承敏と呉尚垠がいる。柳承敏の右ひざの故障は気がかりだが、日本のファンに元気な姿を見せてほしいところ。そして世界ランキングを9位まで上げている朱世赫が、今大会の台風の目になりそうな気配だ。

 ヨーロッパ勢で上位に来るとしたら、ボル(ドイツ)、サムソノフ(ベラルーシ)、オフチャロフ(ドイツ)くらいか。シュラガー(オーストリア)、そして日本でも人気の高いクレアンガ(ギリシャ)の欠場は残念なニュースだ。「欧州の皇帝」ボルに、今度こそ中国越えを果たしてもらいたいところ。長く優勝候補の一角に上げられながら、なかなか結果を残せないサムソノフも、鉄壁の両ハンド攻守がノングルー時代に再び輝きを放つか。

 日本勢では、なんといっても若きエース・水谷隼(明治大・スヴェンソン)の活躍が楽しみだ。ザグレブ大会でいきなり世界ランキング12位の李静(香港)を破ったように、水谷がひとたびペースを握れば、世界のトップクラスといえども恐るるに足りない。前回のベスト32から、一気にベスト8以上へ突き進んでほしいところ。韓陽(東京アート)、吉田海偉(個人)も日本代表として経験を積み、下位選手に対する取りこぼしはないだろう。そして松平健太(青森山田高)と丹羽孝希(青森山田中)のふたりの天才児には、大物食いの期待が高まる。ブンデスリーガで高い勝率を残している松平、東京選手権で史上最年少優勝の丹羽、ともに今が伸び盛り。大会期間中にもその成長は止まらないだろう。さらに「野獣王子」こと大矢英俊に、日本リーグビッグトーナメント優勝の松平賢二が、ガッツで大会を盛り上げる。誰からも目が離せない、今大会の日本男子チームだ。

Photo左:今回が最後の世界選手権か? 三連覇の偉業に挑む王励勤
Photo右:ニッポン男子のエース水谷隼、出陣!