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2017世界ジュニア選手権大会

ただ今、イタリアは12月4日の午前1時を回ったところ。日本選手団のホテルがあるアルコは相当冷え込んでおり、明日の早朝は氷点下5度まで下がるとのこと。しかし、ホテルはセントラルヒーティングで、部屋はTシャツ1枚でも過ごせるくらい暖かい。

中国が2大会ぶりに7種目を完全制覇した今大会。日本勢は、団体で銀メダル2枚、個人戦では女子シングルスと男女ダブルスの各種目で合計5枚の銅メダルを獲得して大会を終えた。今大会の詳細な報道は、早くも12月21日発売の卓球王国2018年2月号に掲載。大会を戦った代表選手たちの声、モアガド(スウェーデン)をはじめ新鋭が飛び出した各種目の結果など、現場にいたからこその「ライブ感」をお伝えできるよう、頑張ります。

これで2017年世界ジュニア選手権の速報を終わります。速報を見て下さった皆さん、ありがとうございました!
  • 『STAG』ブースで打ち合った少年と、木原選手のツーショット

  • フェアプレー賞を受賞したゴウルド。チュニジア戦で相手のエッジのアピールを認めた

  • 混合ダブルス表彰でのプレテア/ディアコヌ。…彼はプレテア?

  • 二日前(一番左)はこんな感じ。髪が金髪になってる!

  • プレテアだけじゃなかった、ルーマニア男子が全員金髪に…

[男子団体]
優勝:中国(2年ぶり13回目)
2位:日本
3位:韓国、ルーマニア

[女子団体]
優勝:中国(2年ぶり13回目)
2位:日本
3位:韓国、ルーマニア

[男子シングルス]
優勝:薛飛(中国)
2位:モアガド(スウェーデン)
3位:王楚欽(中国)、牛冠凱(中国)

[女子シングルス]
優勝:孫穎莎(中国)
2位:王曼昱(中国)
3位:加藤美優(日本)、銭天一(中国)

[男子ダブルス]
優勝:王楚欽/薛飛
2位:安宰賢/白鎬均(韓国)
3位:宇田幸矢/田中佑汰(日本)、高見真己/木造勇人(日本)

[女子ダブルス]
優勝:石洵瑶/孫穎莎(中国)
2位:銭天一/王曼昱(中国)
3位:加藤美優/長崎美柚(日本)、木村光歩/木原美悠(日本)

[混合ダブルス]
優勝:薛飛/王曼昱(中国)
2位:安宰賢/金智淏(韓国)
3位:プレテア/ディアコヌ(ルーマニア)、王楚欽/孫穎莎(中国)
  • 女子シングルス3位の加藤美優。2大会連続で表彰台に立った

  • 笑うのが苦手? これが精一杯の孫穎莎

  • 薛飛は3大会目の出場で初優勝

  • モアガドは18年世界団体のマスコット「ハルモー」を手に登場

  • 女子団体で、加藤/長崎のメダル授与が飛ばされるハプニング!

  • 無事にメダルを受け取ってニッコリ

  • 男子ダブルスでも日本の2ペアが表彰台へ

ペン初の世界ジュニア王者、薛飛が初優勝!

●男子シングルス決勝
薛飛(中国) 9、10、4、−9、8 モアガド(スウェーデン)

中国男子の最後の砦、15年大会2位の薛飛が快進撃を続けるモアガドを破り、初優勝!
ペンホルダーでは初の世界ジュニア王者の誕生、しかも4冠王!

準々決勝で徐海東、準決勝で牛冠凱を破って勝ち上がったモアガド。レシーブではチキータを一本も使わず、バックの押し込むようなフリックと小さく切れたストップ、ツッツキを駆使。サービスは薛飛のフォア前にガツンと切って出し、何度もサービスエースを奪った。

しかし、薛飛はモアガドのサービス・レシーブの特徴と、早いタイミングでのカウンターは予測済み。バックプッシュには手を焼きながらも、台から距離を取り、モアガドのカウンターを両ハンドで正確に返球。次第にミスが増えてきたモアガドは、いら立ちを隠せない。

薛飛がゲームカウント2−0の3ゲーム目、モアガドは完全に集中力が落ち、0−3とリードされたところでコーチがたまらずタイムアウト。貴重なタイムアウトを使ってしまい、このゲームも一方的な展開で落とす。

4ゲーム目は薛飛が中盤でリードしながら、モアガドにエッジが続いて1ゲームを返したが、反撃もここまで。準決勝でのプレーは「神の子」と言いたくなったモアガドだが、決勝でのプレーは15歳の少年に戻ってしまった。5ゲーム目、10−8で迎えた3回目のチャンピオンシップポイントを薛飛が決め、両手を上げて咆哮(ほうこう)。1ゲーム目のラブオールから、最後の1球まで声を出し、中国の7種目完全制覇を決めた。

決勝では台にラケットを放り出すなど、態度の悪さでイエローカードも貰ったモアガドだが、今大会での活躍はセンセーショナル。バックのプッシュはプラスチックボールに適した技術で、粘着性ラバーを使う中国選手には特に有効。フォアのレシーブドライブや回り込んでのカウンターの打球点は驚異的に早く、ショートスイングでもミートは相当強い。
危険な刃(やいば)と明晰な頭脳を備えたモアガド。今後の活躍が楽しみだ。
  • 薛飛、優勝を決めて高らかに吠えた

  • 中陣での正確な両ハンドでモアガドを制す

  • 鋭く切れていたモアガドのサービス

  • 中盤から意気消沈、準決勝までの自信満々なプレーは見せられず

  • 薛飛、ベンチの劉志軍監督とガッチリ握手

●女子シングルス決勝
孫穎莎(中国) −6、8、8、−12、−8、6、12 王曼昱(中国)

女子シングルス優勝は、初出場の孫穎莎!
王曼昱をゲームオール14−12という大激戦の末に下した。

孫穎莎が得意のフォアの台上フリック、広角に打ち分ける鋭いフォアドライブで得点すれば、王曼昱はやや台から距離を取り、緩急をつけた両ハンドドライブで応戦する。両選手とも団体戦と個人戦3種目を戦い抜いた末の最終戦。ライバルふたりの対戦は、技術力だけでなく、体力と気力の勝負でもあった。

運動量では孫穎莎が上。しかし、王曼昱も必死でラリーをつなぎ、一気に流れをもっていかれそうな4ゲーム目は2−7のビハインドから11−8と大逆転。ゲームカウント3−2と勝利に王手をかけるが、6ゲーム目は孫穎莎が4−1、7−5、8−6と終始リードを保ち、11−6で最終ゲームへと持ち込む。

最終ゲームもスコアは2点差以上離れず、両者必死で声を出して戦う。9−9からものすごい打撃戦の末、孫穎莎がフォアクロスに決めて10−9。最初のチャンピオンシップポイント。さらに11−10とするが、これも決めきれず。今度は王曼昱、連続バックドライブで12−11とチャンピオンシップポイントを取り返すが、これも実らない。

12−12から、抜け出したのは孫穎莎。台上バックドライブでのレシーブエースで13−12と3回目のチャンピオンシップポイントを握り、最後は連続バックハンドを決めて大きく吠えた!

最後まで勝負の行方はわからなかったが、体力的には王曼昱のほうがやや厳しかったか。ふたりのライバルストーリーは、これからも続いていくだろう。
  • 気力で動き切った孫穎莎

  • レシーブでは鋭い眼光

  • 王曼昱、史上最多の3回目の優勝はならず

  • ベンチに座る孫穎莎と、コートの中の王曼昱。静かな時間が流れる

  • 最終ゲーム終盤はスーパーラリーの連続だった

●女子ダブルス決勝
石洵瑶/孫穎莎(中国) −7、12、4、−8、−10、9、9 銭天一/王曼昱(中国)
●男子ダブルス決勝
王楚欽/薛飛(中国) −10、8、5、5、5 安宰賢/白鎬均(韓国)

男女ダブルスとも、優勝は中国ペア!

女子ダブルス決勝は、中国勢同士の対戦でありながら、激しいラリーの応酬。右利き同士の石洵瑶/孫穎莎に比べ、左利きの銭天一がいる銭天一/王曼昱が有利かと思われたが、孫穎莎が中陣から両ハンドを多彩なコースに打ち分け、互角のラリー戦を展開した。

最終ゲームも最後までもつれたが、団体戦決勝3番で長崎に敗れ、シングルスでも2回戦で敗戦を喫するなど、ここまで元気のなかった石洵瑶が奮起。攻撃的なプレーで11−9で競り勝ち、孫穎莎と歓喜の抱擁を交わした。

男子ダブルス決勝は、韓国ペアが幸先良く1ゲームを先取したが、薛飛が台上プレーで先手を取り、左腕の王楚欽が軽快な動きからパワードライブを打ち込んだ中国ペアが4ゲームを連取した。これで薛飛は男子団体、混合ダブルス、男子ダブルスと3種目で優勝。残る男子シングルス決勝に4冠がかかる。
  • 石洵瑶/孫穎莎、ゲームオール11−9での劇的勝利

  • 石洵瑶にとってはうれしい優勝。笑顔で抱擁

  • 中国男子のエースペアとして、実力を見せ付けた王楚欽/薛飛

●混合ダブルス決勝
薛飛/王曼昱(中国) 8、5、12、−8、8 安宰賢/金智淏(韓国)

混合ダブルス優勝は薛飛/王曼昱!

韓国ペアは金智淏が徹底して前陣に貼りつき、安宰賢は後陣に下がる役割分担で中国ペアに迫ったが、薛飛の強烈なフォアドライブ、裏面ドライブに加え、王曼昱は安宰賢のパワーボールを苦もなく返球していた。男子ペア並みのスケールでタイトルをつかんだ。
  • 優勝した薛飛/王曼昱

  • 混合ダブルスでの中国勢の優勝は13回目

  • 韓国の安宰賢/金智淏は2位

  • 前原正浩・ITTF副会長(前列右から2番目)が表彰式のプレゼンターを務めた

●女子シングルス準決勝
王曼昱(中国) -10、5、10、7、9 加藤

女子シングルス準決勝の第2試合、日本勢で唯一勝ち残っていた加藤美優は王曼昱に1−4で敗れ、2大会連続の銅メダル。

敗れたとはいえ、1ゲーム目に1−6のビハインドから逆転し、3ゲーム目も7−1と大きくリード。長身でバックサイドが非常に強い王曼昱だが、加藤は安易にコースを散らすのではなく、徹底的にバック対バックで勝負。ベンチに入った父・功二さんの「バックに詰めろ!」という指示が飛ぶ中、互いに緩急をつけながらバックサイドでの攻防が展開された。

惜しまれるのはその3ゲーム目。7−1、さらに10−7とゲームポイントを奪ったのだが、ここで王曼昱が強気のカウンターを連発し、10−12と逆転「シャーッ!」と吠えた。その後もスコアは競り合ったが、あと一本が遠かった。加藤、目標としていた優勝には届かなかったが、2大会連続の表彰台は誇れる成績だ。
  • 加藤、バック対バックで王曼昱に引けをとらなかった

  • 3ゲーム目に逆転されたのが惜しまれるが、堂々の3位

  • 試合後のベンチ。右はベンチに入った父の功二さん

  • 王曼昱、ローリスクなプレーにプレッシャーを感じさせた

●男子シングルス準決勝
モアガド(スウェーデン) 11、−10、6、−4、−6、5、8 牛冠凱(中国)

恐るべき才能! モアガドが牛冠凱を破って決勝進出!

弾き打つバックプッシュに、中国を上回るほど打球点の早いフォアドライブの連続攻撃を見せたモアガド。予測能力が高く、相手の待ちを外すのも抜群にうまい。強打の体勢から短くブロックで落としたり、思い切り打球点を落としてループドライブしたり、ほとんどバックスイングを取らないところからフォアストレートへ鮮やかなカウンターを決めたりと、変幻自在のプレーで牛冠凱を翻弄した。とにかくプレーが知的。ミスが出ることがあっても、一球一球に明確な意図が感じられる。

対戦相手の牛冠凱も、強攻はボールを利用されて不利になると、ゲーム中盤ではモアガドにうまく打たせてカウンターを狙い、技術の幅の広さを見せていた。しかし、終盤に入るとモアガドは様々な位置から、様々なモーションのサービスを出して牛冠凱を揺さぶり、リスクを怖れない速攻を見せた。

最終ゲームは9−3、10−6のマッチポイントから10−8まで挽回されたが、ライジングをとらえたフォアドライブで攻め切って勝利。観客席の応援団へ、ひざまずく「決めポーズ」を披露した後、両手を高々と上げて吠えた!

決勝は薛飛対モアガド。中国対スウェーデンの対決が、この世界ジュニアで見られるとは思わなかった。この北欧の鬼才なら、決勝もあるいは……。
  • 強烈なパンチ、モアガドのバックプッシュ

  • これでふたりの中国選手を破った!

  • 牛冠凱、勝利に王手をかけるも逆転を許す

  • モアガド、勝利の咆哮(ほうこう)

  • 試合後、コーチのアドバイスを聞く牛冠凱

●女子シングルス準決勝
孫穎莎(中国) -8、8、-7、-2、4、3、7 銭天一(中国)

女子シングルス準決勝の第1試合は、孫穎莎が銭天一にゲームカウント1−3から逆転勝ち!

ともに16年シーズンから、中国スーパーリーグの深圳大学に所属するふたり。長身の左腕で懐が深い銭天一は、孫穎莎のコース取りを熟知しているのか、堅いバックブロックで孫穎莎を振り回す。対左腕ではフォアストレートも思うように使えず、なかなか主導権を握れなかった孫穎莎だが、5ゲーム目以降は多少リスクを負ってでも銭天一のフォアサイドを積極的に攻めた。苦しみながらも、初出場で決勝へと駒を進めた。
  • 孫穎莎、なぜもっと丈の長いウェアを着ないのだろう…

  • 銭天一、大魚を逃した

元気がなかった王楚欽。薛飛が4−0で完勝

●男子シングルス準決勝
薛飛(中国) 9、9、3、7 王楚欽(中国)

男子シングルス準決勝の第1試合、中国勢同士の対戦は、薛飛が4−0のストレートで勝利。15年フランス大会の準決勝と同じ顔合わせだったが、今回も薛飛が勝利を収め、決勝に進出した。

ゲームの出足から、王楚欽の強烈な変化サービスを苦にせず、ストップと裏面フリックで確実に処理する薛飛。1ゲーム目6−1でスタートダッシュをかけ、挽回されるも11−9で1ゲーム目を先取する。

2ゲーム目以降、ゲームを落としてベンチに戻ってきても考え込むそぶりもなく、すぐコートに戻っていく王楚欽。薛飛の裏面ドライブ、回り込んでのバッククロスのフォアドライブにフォアのカウンターのミスが続き、力なく敗れ去った。苦手意識もあるのかもしれないが、まだタイトルを獲得していない世界ジュニアで、勝利に懸ける執念が最後まで感じられなかった。
  • 薛飛、初のペンホルダーの世界ジュニア王者誕生まで、あとひとつ

  • 王楚欽、フォアサイドをつぶされた

  • 足早にコートを去った王楚欽