〈五輪代表チーム 5-0 最強「仮想敵」チーム〉
○王楠 -8、-7、7、7、9 木子
○李暁霞 -6、1、13、-10、8 曹臻
○郭躍 10、-10、6、-9、6 王シ(男子)
○張怡寧 6、-10、7、4 高欣(男子)
○張怡寧/王楠 3-2 胡冰涛/王シ(男子)
女子エキシビション・マッチ、第3試合は注目の「性別大戦」である郭躍vs.王シ。この王シの実力が半端ではない。ブンデスリーガ1部のゲナンに所属し、昨シーズンは終盤戦の11連勝を含む27勝を挙げ、ボル(ドイツ)やコルベル(チェコ)といった強豪をおさえて「リーグ最多勝男」になっている。仮想選手なのに、どう考えても韓国の金キョン娥、朴美英よりはるかに強いのだ。
いかに強打者の郭躍とはいえ、絶望的とも言えるこの対戦相手。しかし、郭躍はコース取りとドライブの落点の変化で敢然と立ち向かう。会場に詰めかけた1,000人を超える観客は、もちろんそのほとんどが郭躍の味方。第1ゲームは前後にうまく攻めた郭躍が12-10で奪取、続く第2ゲームも10-7でゲームポイントを奪うが、ここから王シに5本連取を許してゲームカウント1-1。
第3ゲーム、気合いを入れ直した郭躍がパワードライブで攻め立て、郭躍11-7王シ。第4ゲームは王が7-3とリードし、郭躍もよく追い上げたが王シ11-9郭躍。第1・2試合に続き、第3試合もゲームカウント2-2のゲームオールにもつれる。
第5ゲームは一進一退のシーソーゲーム。6オールまでポイントが離れない。しかし、ここから郭躍が思い切りの良い3球目強打を連発。ヨーロッパの強豪のパワードライブを何球でも拾う王シのカットを押し切って見事勝利を挙げた。
「郭躍の爆発力は見事だった。女子選手と男子選手では、やはり筋力や体力に差があるが、郭躍は粘り強く戦って勝利を収めた。彼女のメンタルは非常に良い状態だ。逆に王シは郭躍の打法やリズムに対応できていなかった(施之皓監督)」。世界選手権団体戦では、2大会連続して決勝で敗れている郭躍だが、この1勝は首脳陣からの信頼を勝ち取るに足る勝利だ。
郭躍の勝利で五輪代表チームが勝利を決めたが、試合はラストの5番まで行われた。4番で張怡寧が対戦した高欣(右シェーク異質速攻型)も相当な実力者。昨年8月に行われたユニバーシアード・バンコク大会では、シングルス準決勝で荘智淵(チャイニーズタイペイ)、決勝で侯英超(中国)に勝って優勝している。もちろん高欣が100%の実力を出したとは言えないだろうが、そんな選手に3-1で完勝してしまう張怡寧、恐るべしだ。ラストのダブルスも、張怡寧/王楠がカットペアの胡冰涛/王シを粘り強く攻めて競り勝ち、深夜に及んだ試合を勝利で締めくくった。
5試合中4試合がゲームオールの激戦だったが、要所をきっちり押さえて5-0の完全勝利を収めた国家女子チーム。さすがに「史上最強チーム」の評判はダテではない。絶対負けられないプレッシャーを、すでに絶対負けない自信へと昇華させつつあるのか…?
Photo上:郭躍、豪腕唸る
Photo下:ユニバーシアード王者に完勝した張怡寧