昨年8月の北京五輪で現役を引退し、その後の進路が注目されていた卓球界の女王・王楠が、中国共産主義青年団の中央委員会で任務に当たることが明らかになった。中国のマスコミでも「卓球界から政界への転身か」と大きく報道されている。
王楠が所属することになった中国共産主義青年団(略称:共青団)は、中国共産党の下部に位置する若手エリート団員の育成組織。中央委員会はその中から選出されるエリート中のエリートだ。団員資格は14~28歳で、現在30歳の王楠は少々年齢オーバーだが、競技スポーツの選手ということで優遇されたのだろう。3月23日に北京市の前門東大街にある中央委員会の事務所を訪れた王楠は、初めての任務として香港からの訪問団の受付を担当した。
実業界への進出が有力視されていた王楠だが、これまでに政治的な活動も多く行ってきた。21歳で中国共産党に入党し、5年に1度開かれる共産党大会には遼寧省代表として2大会連続で参加している。昨年5月に胡錦濤国家主席が訪日し、福原愛選手と早稲田大で卓球を楽しんだ際も、隣に王楠の姿があったことは記憶に新しい。北京五輪を控えた大事な時期だっただけに意外な感じがしたが、あれもひとつの布石だったのかもしれない。
王楠が政治家として、実務の要職に着くことは考えにくいが、卓球界の女王としての抜群の知名度を活かし、さまざまな活動に参加していくことになりそうだ。
Photo:王楠、充電を終えて活動開始
Photo:北京五輪女子団体決勝を観戦に訪れた胡錦濤国家主席(右)とIOCのロゲ会長(左)。胡錦濤主席の観戦が急きょ決定したため、選手たちが緊張することを予想して、百戦錬磨の王楠のトップ起用が決められた