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欧州リポート

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 今月(1月)に休暇を取っていたボル(ドイツ)のバケーション先はアメリカ。そして、休暇でも5回のヨーロッパ選手権優勝を誇るボルを待っていたのは、やはり卓球だった。アメリカに4つの卓球サロンを展開する「SPiN」から招待を受け、1月19日にはロサンゼルス(LA)、25日にはニューヨーク(NY)でアメリカのファンと卓球パーティを楽しんだようだ。

「SPiN」はNYに本拠地を置き、アカデミー賞女優のスーザン・サランドンがオーナーのひとりとしても知られ、アメリカのセレブも通う卓球サロン。

SPiN LAでの様子は以下のリンクよりご覧いただけます。
http://tabletennista.com/americas/


  • SPiN NYプレスリリースより

★ドイツ・ブンデスリーガ男子1部 1.20

〈フルダ・マーバーツェル 3−1 ボルシア・デュッセルドルフ〉

○王熹 10、−6、3、12 ズース
 R.スヴェンソン −9、7、10、−9、−3 バウム○
○フランチスカ 5、−8、6、5 ワルサー
○王熹 7、2、9 バウム
(観客:850人)

〈リープヘル・オクセンハウゼン 3−0 ヴェルダー・ブレーメン〉
○スカチコフ 8、6、−8、12 荘智淵
○柳承敏 3、7、12 クリサン
○アポローニャ 10、−10、3、−7、8 チオティ
(観客:690人)

〈ズブリュッケ・グレンツァオ 3−0 プリューダーハウゼン〉
○Z.フェイヤー-コナート −6、6、−6、9、10 カラカセビッチ
○ガチーナ 9、6、−6、7 ボージック
○フィルス −9、7、5、5 バッギャリー
(観客:130人)

 1月20日、ドイツ・ブンデスリーガ男子1部の3試合が行われ、エースのボル(ドイツ)が欠場したデュッセルドルフがフルダ・マーバーツェルに敗れ、今季2敗目を喫した。
 この試合でズースとバウムというドイツ男子チームのメンバーに連勝したのがカットの王熹(ワン・シ)。ここ数年、ブンデスリーガでボル以外の選手にはほとんど無敗を保っている中国選手だ。カットマンでありながら、カットは展開が劣勢になった時にバックカットでしのぐくらい。並の選手だったら、ほとんどカットをしてもらえずに負けてしまうだろう。フォアカットははっきり言ってヘタだが、サービスからの3球目攻撃とループドライブに対するカウンタードライブで、見る見るうちに得点を重ねていく。

 オクセンハウゼンとブレーメンの一戦は、かつてオクセンハウゼンのエースとして名を馳せた荘智淵が古巣と対戦。1月12日のデュッセルドルフ戦でボルをストレートで破るなど、好調をキープしていた荘智淵だが、スカチコフに競り負け、チームも0−3で完敗した。

 現在、ブンデスリーガ男子1部の首位は7勝2敗のデュッセルドルフ。2位に6勝3敗のオクセンハウゼン、3位にブレーメン(5勝5敗)が続き、日本の松平健太・丹羽孝希が所属するフリッケンハウゼンが4勝4敗で4位につけている。この4位までがプレーオフ圏内だが、中位から下位のチームの成績は拮抗(きっこう)している。次戦は10月2日に4試合が開催される。
●ドイツ・ブンデスリーガ男子1部
〈マテク・フリッケンハオゼン 3−2 ザールブリュッケン〉
○ワン・ヤン 11、9、7 シュテガー
 吉田 −12、−3、8、−6 トキッチ○
○メンゲル 9、7、8 モンテイロ
 ワン・ヤン −6、9、−6、10、−7 トキッチ○
○吉田 7、−3、−9、7、10 シュテガー

 明けて2013年、ドイツ・ブンデスリーガ男子1部が再開されたファーストマッチで、吉田雅己(青森山田高)が素晴らしい活躍を見せた。プレーオフ進出を争うライバル・ザールブリュッケン戦のラストで、世界ランキング25位のバスティアン・シュテガー(ドイツ)をゲームオール10点で撃破した。

 今シーズンはトップチームで丹羽孝希(青森山田高)と松平健太(早稲田大)がプレーしているフリッケンハオゼン。セカンドチームの一員として、2部南部リーグで15勝1敗と抜群の成績を残している吉田は、試合数限定での1部リーグへの出場となった。
 吉田は2番で11年ヨーロッパ選手権3位のボヤン・トキッチ(スロベニア)に競り負けたが、ラストのシュテガー戦は第5ゲーム10−6のマッチポイントから10−10に追いつかれながらも振り切り、チームの勝利を決めた。
 ブンデスリーガ男子1部の1月11日現在の総合順位は以下のとおり。下写真は世界ジュニア選手権での吉田のプレー。

★ドイツ・ブンデスリーガ男子1部順位 ※1月11日時点
1 ボルシア・デュッセルドルフ(6勝1敗)
2 ヴェルダー・ブレーメン(5勝3敗)
3 リープヘル・オクセンハオゼン(5勝3敗)
4 マテク・フリッケンハオゼン(4勝4敗)
5 ザールブリュッケン(4勝5敗)
6 フルダ・マーバーツェル(3勝5敗)
7 プリューダーハオゼン(3勝5敗)
8 ズブリュッケ・グレンツァオ(2勝6敗)
9 ルールシュタット・ヘルネ(2012年12月21日に撤退)
 1月6日、ETTU(ヨーロッパ卓球連合)は公式HPにおいて、ドイツ男子ジュニアチームのゲオルグ・イムホフ(George Imhof)監督が逝去していたことを伝えた。享年45。
 イムホフ氏が急死したのは昨年12月29日。亡くなる数時間前までサッカーをするなど元気な様子だったが、救急車が到着した時にはすでに死亡していたという。事件性は認められず、病死とみられている。

 イムホフ氏はこれまでにパトリック・フランチスカ(2010年ヨーロッパユース選手権ジュニア優勝)やフィリップ・フロリッツ(2009年ヨーロッパユース選手権ジュニア準優勝)らを指導し、昨年12月9〜16日にインドで行われた世界ジュニア選手権にも元気な姿を見せていた。
 「あまりに早すぎる、そして予期せざるゲオルグの死は、彼の仲間である我々や友人たちの間に、大きな喪失感を残している」ドイツ卓球協会のスポーツ・ディレクターであるダーク・シメルフェニング氏は、イムホフ氏の死に大きな衝撃を受けている。

 ヨーロッパ卓球界の復活の担い手になるはずであった、ひとりの有望な若き指導者の死に、深い哀悼の意を表したい。
 12月14日、メイス(デンマーク)が臀部のケガのため、5カ月間の休養を取ることをFacebook公式ファンページ上で発表した。以前より臀部に痛みを感じており、様々な治療を施したが良くならず、手術に踏み切ったという。手術は成功し約5カ月で復帰できる予定とのことだ。
 2010年のヒザの怪我から復帰し、ロンドン五輪では水谷隼を破るなど、元気な姿を見せていただけに残念なニュースとなった。

メイスFacebook公式ファンページ(英語)↓
http://www.facebook.com/MichaelMazeOfficial

※写真は2012年ジャパンオープン
●男子ブンデスリーガ第7節/11月18日
 ボルシア・デュッセルドルフ 3−0 フリッケンハウゼン

○バウム −6、−4、9、8、5 丹羽
○ボル 5、2、6 ワン・ヤン
○ズース 6、9、9 メンゲル

 2012-2013ドイツ・ブンデスリーガ男子1部の第7節、丹羽孝希(青森山田高)の所属するフリッケンハウゼンは、ホームでボルを擁するボルシア・デュッセルドルフとの大一番。会場には1300人あまりの観客が詰めかけた。

 丹羽は10・11年ヨーロッパ選手権2位のバウムに対し、フォア強打を連発して快調に2ゲームを先取。バウムに1ゲームを返された4ゲーム目も、7−3とリードして勝利まであと一歩だったが、ここから痛い逆転負けを喫した。2番に出場したチョッパー、ワン・ヤンもカットに強いボルにはノーチャンス。3番ではドイツ男子チームの若手メンゲルが、先輩のズースに貫禄の差を見せられ、フリッケンハウゼンは0−3で完封負け。

  デュッセルドルフはこの一戦の前々日にポーランドで男子ECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)の予選リーグを戦うという強行軍だったが、ボル、バウム、ズースというベストメンバーで臨み、フリッケンハウゼンの希望を打ち砕いた。フリッケンハウゼンのヴォールハウプター・ヘルマン会長は、「トップで丹羽がバウムに勝利していれば、結果は違うものになっていたかもしれない」とコメントしている。

 これで丹羽自身の個人成績、チームの総合成績ともに4勝2敗。フリッケンハウゼンは全9チーム中3位につけている。来週の11月25日に行われる、現在4位のオクセンハオゼン戦も重要な戦いだ。柳承敏(韓国)、アポローニャ(ポルトガル)、スカチコフ(ロシア)を擁するこの強豪に対し、フリッケンハウゼンはドイツカップの予選で勝利しているが、果たして今回はどのような結果になるのか。
 卓球が競技に加わった1988年ソウル五輪から今年のロンドン五輪まで、7大会連続で五輪出場を果たしたプリモラッツ(クロアチア)が、クロアチア五輪委員会の副会長に選出された。
 プリモラッツは4人の副会長候補のひとりとして挙げられ、4人揃って選出された。1988年のソウル五輪ではループレスクと組んだ男子ダブルス(大会時はユーゴスラビア代表)で銀メダルを獲得。クロアチア・スポーツマン・オブ・ザ・イヤーにも過去2回選ばれている。
 副会長の任期は4年で、2016年のリオ・デジャネイロ五輪に向けて、地域組織と連携を図り任務を遂行する。

 今回、重要な任務を請け負ったプリモラッツは「とても光栄です。自分にとってだけでなく、卓球界にとっても喜ばしいことだと思っています」と語っている。また、「現役選手を引退する予定は今のところない」ともコメントしているプリモラッツ。4年後のリオでは五輪委員会の副会長としてだけでなく、選手として8回目の出場という偉業も達成されるかもしれない。

※情報提供:ITTF(国際卓球連盟)
参考記事:http://www.ittf.com/_front_Page/ittf_full_story1.asp?ID=29843&Category=Athletes&Competition_ID=&
写真はロンドン五輪
★2012ヨーロッパ選手権 10.17〜21/デンマーク・ヘアニング

〈女子シングルス〉
●2回戦

バラージョバ(スロバキア) 9、8、9、6 パルティカ(ポーランド)
サマラ(ルーマニア) 6、5、4、8 Ve.パブロビッチ(ベラルーシ)
ペソツカ(ウクライナ) 8、8、−4、−6、12、−6、8 グルンディッシュ(フランス)
ドデアン(ルーマニア) −4、5、8、4、9 トート(ハンガリー)
ヴィンター(ドイツ) 5、9、−7、9、3 リー・ジエ(オランダ)
呉佳多(ドイツ) −14、−9、8、3、10、−11、8 スッチ(ルーマニア)
●3回戦(ベスト8決定戦)
ジルベライゼン(ドイツ) 6、8、8、−5、2 ション・イェンフェイ(スペイン)
リュウ・ジャ(オーストリア) 8、10、6、5 バラージョバ
ポータ(ハンガリー) 8、13、−4、−12、−4、8、9 バチェノフスカ(チェコ)
シェン・イファン(フランス) 5、6、−3、12、−6、−7、3 サマラ
Vi.パブロビッチ(ベラルーシ) 6、3、11、−8、−10、5 ペソツカ
ドデアン 7、9、2、−9、−10、6 イバンチャン(ドイツ)
エクホルム(スウェーデン) 7、9、−8、7、5 ヴィンター
リー・シュエ(フランス) −4、7、−10、7、8、10 呉佳多
●準々決勝
リュウ・ジャ 5、8、10、−8、2 ジルベライゼン
シェン・イファン 9、8、5、−10、−7、5 ポータ
Vi.パブロビッチ −8、4、−7、9、9、11 ドデアン
リー・シュエ 5、15、9、4 エクホルム
●準決勝
シェン・イファン 5、−10、3、−5、−6、11、5 リュウ・ジャ
Vi.パブロビッチ 5、−9、4、6、9 リー・シュエ
●決勝
Vi.パブロビッチ 6、9、−9、5、11 シェン・イファン

〈女子ダブルス〉●準決勝
ドデアン/サマラ(ルーマニア) 15、−6、10、−5、−11、8、5 ジルベライゼン/呉佳多(ドイツ)
ポータ/トート(ハンガリー) −7、8、−4、4、11、−13、9 マダラシュ/エールランド(ハンガリー/オランダ)
●決勝
ドデアン/サマラ −7、−8、−9、7、7、19、5 ポータ/トート

 2012ヨーロッパ選手権の女子シングルスは、ベスト4のうち3人が帰化選手、そして3人がカット主戦型。ヨーロッパ女子の閉塞(へいそく)感を象徴するような結果だが、優勝を飾ったのはベスト4で唯一の「純正ヨーロッパ選手」、ヴィクトリア・パブロビッチだった。2010年大会以来、2年ぶり2回目の優勝だ。

 「初めて優勝した時は本当に困難な闘いだったけど、今は私には自信がある。大会が始まる前も、自分が優勝できるという確信を持っていた」と優勝後に語ったVi.パブロビッチ。対カットの強さには定評のあるドデアン(ルーマニア)を準々決勝で破ったことで、「タイトルへのドアが開かれ、私はさらに自信を深めた」(Vi.パブロビッチ)。
 現在はトルコのフェネルバフチェでプレーしているが、ETTUカップに出場する時以外は地元であるベラルーシの首都ミンスクを拠点にトレーニングを積んでいる。今年3月の世界団体選手権で12勝3敗という好成績を残し、一時は40位前後まで落ちていた世界ランキングも19位(2012年10月)と再びトップ20圏内へ戻してきた。ちなみに2回戦で敗れたヴェロニカ・パブロビッチは妹、優勝したヴィクトリアが姉だが、性格は右シェーク攻撃型の妹のほうが積極的なのだとか。

 2位のシェン・イファン(羨宜芳/フランス)は中国・河北省、3位のリー・シュエ(李雪/フランス)は中国・山東省出身の帰化選手で、ともに高い守備力を誇るカット主戦型。シェンは08年ロシア大会以来のヨーロッパ選手権出場で、リーは今大会が初出場。リュウ・ジャや呉佳多に比べると目立たない存在だったが、その実力の高さを示した。同じ帰化選手勢では、今年のジャパンオープン荻村杯を制したション・イェンフェイ(スペイン)は3回戦でジルベライゼン(ドイツ)に完敗し、初出場の10年オストラヴァ大会に続いてベスト16に終わった。

photo上:2大会ぶり2回目の優勝を果たしたVi.パブロビッチ
photo中:いつも苦悶(くもん)の表情でプレーするシェン・イファン
photo下:女子ダブルス優勝はルーマニアのドデアン/サマラ
※写真提供:ITTF
 10月17〜21日、デンマーク・ヘアニングで行われたヨーロッパ選手権。今大会は男女シングルス&ダブルスの4種目のみの開催。男女団体戦は現在、3つのカテゴリーに分かれて予選リーグが進行中で、来年10月にオーストリアで開催される2013ヨーロッパ選手権では、団体戦と個人戦が同時に行われる。
 まず、男子シングルスとダブルスの結果からお伝えします。

★2012ヨーロッパ選手権 10.17〜21/デンマーク・ヘアニング

〈男子シングルス〉●1回戦 ※主な試合のみ掲載
ゴラク(ポーランド) −10、−7、8、−8、7、8、7 ルベッソン(フランス)
コルベル(チェコ) −8、9、−9、3、9、−9、8 ワン・ツォンイ(ポーランド)
フェゲルル(オーストリア) 5、7、7、−10、−10、8 メイス(デンマーク)
●2回戦
ゴラク 3、9、3、−5、−2、8 陳衛星(オーストリア)
トキッチ(スロベニア) 5、−8、−9、5、−10、7、6 何志文(スペイン)
ガチーナ(クロアチア) 5、−8、8、6、−9、−9、4 フレイタス(ポルトガル)
バウム(ドイツ) 9、−6、6、6、6 クレアンガ(ギリシャ)
モンテイロ(ポルトガル) 2、9、−10、−6、5、7 ズース(ドイツ)
サムソノフ(ベラルーシ) 8、6、6、8 プリモラッツ(クロアチア)
譚瑞午(クロアチア) 9、5、−9、−7、9、14 マテネ(フランス)
フランチスカ(ドイツ) 12、10、−9、6、3 シュラガー(オーストリア)
●3回戦(ベスト8決定戦)
ボル(ドイツ) −8、9、5、−9、1、6 ゴラク
ガチーナ 8、5、3、−12、7 トキッチ
クリサン(ルーマニア) ※失格 バウム
モンテイロ −4、8、8、−10、13、8 ルンクイスト(スウェーデン)
サムソノフ 7、7、9、8 フィルス(ドイツ)
シュテガー(ドイツ) −11、−9、8、5、13、−8、9 イオニス(ギリシャ)
譚瑞午 9、−8、−10、5、7、4 フランチスカ
オフチャロフ(ドイツ) 9、−6、6、6、7 アポローニャ(ポルトガル)
●準々決勝
ボル 6、−7、8、17、8 ガチーナ
クリサン 8、5、6、5 モンテイロ
シュテガー 11、4、8、6 サムソノフ
譚瑞午 −1、8、−4、−10、8、9、9 オフチャロフ
●準決勝
ボル −10、7、6、5、10 クリサン
譚瑞午 6、−8、2、13、6 シュテガー
●決勝
ボル 2、6、7、−11、9 譚瑞午

〈男子ダブルス〉●準決勝
K.カールソン/M.カールソン(スウェーデン) −7、−10、9、12、5、−6、10 リウェンツォフ/パイコフ(ロシア)
ガルドス/ハベソーン(オーストリア) 2、8、−7、7、−7、5 オフチャロフ/サムソノフ(ドイツ/ベラルーシ)
●決勝
ガルドス/ハベソーン 10、9、−10、−11、5、−13、10 K.カールソン/M.カールソン

 男子シングルスを制したのはドイツのティモ・ボル。初優勝した2002年のザグレブ大会から10年、新記録となる通算6回目の優勝を飾った。
 わずか5ゲームしか落とさず、相変わらずの強さで優勝を決めたボル。「クリサンとの試合では、ロンドン五輪での敗戦が脳裏にあったのは事実だ。落ち着いて、しかし積極的に、集中力をキープしてプレーする必要があった。クリサンは自分にとって最もやりにくい選手のひとりだよ。ロンドン五輪ではサービスが長くなってしまい、敗戦の大きな原因になったけど、今日はそこに気をつけた」(ボル)。ボルはこれで、ヨーロッパ選手権で通算16個目のタイトル(シングルス×6/団体×5/男子ダブルス×5)。「これが五輪の舞台だったら……」と思っているのは、誰よりもボル本人だろう。

 そして、男子シングルスでサプライズの準優勝となったのは29歳の譚瑞午(タン・ルイウ)。小柄で抜群のフットワークを誇る左シェーク・バック表の異質攻撃型。第4ゲームに10−11でボルにマッチポイントを奪われながら逆転し、1ゲームを返したが、健闘もここまでだった。しかし、準々決勝ではロンドン五輪銅メダリストのオフチャロフに対し、1ゲーム目を1−11で落としながら競り勝ち、ビッグゲームで久々に躍動感あふれるプレーを見せた。

 その他の選手では、男子シングルスで2大会連続2位のバウムが3回戦でクリサンを破り、準々決勝進出を決めながら、試合後のラケット検査で失格。試合前に検査したラケット、試合後に検査したスペアラケットともに厚さが4mmをオーバーしていた。地元期待のメイスはまさかの1回戦敗退で、大会の顔はあまりに早くコートを去った。ポルトガルの三銃士、モンテイロ・アポローニャ・フレイタスはモンテイロのベスト8が最高で、シングルスではなかなかトーナメントを勝ち抜くほどの爆発力を発揮できないようだ。

 続けて女子種目の結果もお伝えします。

photo上:6回目の戴冠を果たしたティモ・ボル
photo中:動きまくり、打ちまくった譚瑞午
photo下:メイスは1回戦でフェゲルル(オーストリア)に敗れた
※写真提供:ITTF
●9月9日
〈TTCマテク・フリッケンハオゼン 3−2 FCザールブリュッケン〉
 丹羽 −9、11、−9、6、−8 モンテイロ○
○ワン・ヤン 7、−11、−9、7、8 トキッチ
 メンゲル −9、8、−11、−8 シュテガー○
○ワン・ヤン 13、−9、8、6 モンテイロ
○丹羽 8、9、9 トキッチ

 9月9日、丹羽孝希(青森山田高)と松平健太(早稲田大)が今シーズン所属するフリッケンハオゼンが開幕戦を迎え、アウェーでザールブリュッケンと対戦。丹羽がブンデスリーガデビューを果たし、トップでモンテイロ(ポルトガル)とのサウスポー対決に敗れたものの、ラストでトキッチ(11年ヨーロッパ選手権3位)に完勝。チームに貴重な開幕戦での勝利をもたらした。
 ブンデスリーガ男子1部は、今シーズンからラストの5番がダブルスではなくシングルスになった。番くるわせが多いダブルスがなくなったことで、1・2番手の実力差がより如実に現れることになる。丹羽にかかるプレッシャーは決して小さくない。

 上の試合結果を見て、2点起用されているもうひとりの中国系選手が気になった方も多いだろう。スロバキアのワン・ヤンは中国名:汪洋。元中国ジュニアチームで、フォア裏ソフト・バック粒高一枚ラバーのカットマン。変化や攻撃よりも守備力の高さが身上だ。2012年スペインオープンで吉田雅己(青森山田高)、韓国オープンで上田仁(青森大)に完敗しており、今ひとつその実力が読めないが、カットマンの少なくなった欧州では意外に効くかもしれない。
 2011年のヨーロッパユース選手権にエントリーされた後、21歳以上であることが発覚。スロバキア卓球協会から出場を取り消され、ペナルティを課されるという不名誉な経歴を持っているが、丹羽にとっては頼れるチームメイトになりそうだ。

※フリッケンハオゼン公式HP
http://www.ttc-matec-frickenhausen.de/

左写真:開幕戦のラストを締めた丹羽孝希
(写真は12年ロンドン五輪)