秋田卓球会館のコーチ陣と中華でお腹を満たした後は、秋田高校へお邪魔し、左ペン表の則和先生がお出迎えして下さいました。
「則和先生! お久しぶりです。あれ? お痩せになりましたね?」
「おっ、西田。すぐに気が付いたな。そう、痩せたんだよ~ニコニコ」
1時半から5時までピッチピチの高校生とぶっ続けで7試合をし「役目は果たした」と満足した私。
レンソは4試合をこなし、本日のお役目終了。
私は最初に女子選手と5試合しました。最後の試合は、体力と気力の限界を迎えており、「私はいつ倒れるのかしら?」と心配しましたが、最後まで倒れることなく踏ん張りました。フラフラしながら則和先生の所へ行くと……
「わりぃ、西田、もう2試合出来るか?」
「もちろんです!」
チラリと台の方を見てみると、若い男の子2人が軽くジャンプしながら私の登場を待っていました。
最初の男の子に2-3で敗れ、更にフラフラしながら則和先生の所へ向かうと、先生から一言。
「わりぃ、西田、もう1セットだけ頑張ってくれ」
「もちろんですとも!」 親指をグイと立て、ウインクをしてみましたが、心の中で一回、フサッと倒れてみました。
「西田は元気が良いからなぁ~」
「はい、元気だけが取り柄ですから」 「取り柄ですから」辺りから声が小さくなり、かすれて先生には聞えなかったと思います。
1セット勝ちました。
握手をしようと近寄ってくる男の子の手を払いのけ「もう1セットしましょう」と私が言いました。
男の子も先生も驚いていましたが、男の子は嬉しそうに「ではお言葉に甘えて」とジャンプしながら向こう側のコートへ。
2セット目も勝ちました。「参りました」と言わんばかりに男の子が手を差し伸べてきましたがそれもシャットアウト。
「3セット目がまだあるではなかろう。最後まで諦めるな。試合はまだ終わっておらんぞ」
則和先生はビックリして椅子から転げ落ち、男の子も「なんだこのおばさんは?!」と、驚きを隠せない様子。っていうか、おばさんで失礼しちゃうわねっ!
「(見ての通り、おばさん今めちゃくちゃ疲れてるんだから、君は逆転する)チャンスだよ!」というセリフを男の子に言ってみる。
男の子は更に驚いた表情をしながら「なんだこのおばさんは?!」と心の中で絶叫。
結局男の子はチャンスをものに出来ず、おばさんに0-3で敗れたのでした。
「アドバイスをお願いします」
「キミ、良い子過ぎて勝てないんだよ。もっと、自分が絶対に勝つんだ!という気迫を持って戦って欲しい。相手が先輩であろうとも、おばさんであろうとも」
というのも、試合中、男の子は「はいっ! すみません! はいっ! どうぞ。 はいっ! ありがとうございます!」を連発。
「良い後輩キャラ」のまま試合を進めており、「対戦相手」としての怖さが全く感じられなかったのです。
分かります? 例えば、水谷隼くんや丹羽孝希くん、チョーレイくんはこんな試合態度で戦わない筈なんですよ。もっとこう、ふてぶてしいというか「俺が絶対王者なんだ」という貫禄で戦うと思うんです。
だから変な事を言っているのを承知で「キミ、良い子過ぎて勝てないんだよ」と言ったのですが、本日、この子から3回目の「なんだこのおばさんは?!」という顔を頂きました。
則和先生「いや~、まさか3セットするとは思わなかったよ」
「1セットだけで終わらせると、後で絶対に『あのまま試合を続けていれば、絶対に勝てた』と言われるのがオチですからね。例え、もし私が負けたとしても、それはそれで良しです」
みんな、一緒に卓球してくれてありがとう!