海外での防犯方法

日本のニュース(NHK)で「中米で二人の女性が襲われ、一人が死亡、もう一人も重傷を負った」と知りました。「中米の何処の国だろう?」

まさかのグアテマラでした。私が4年間住んでいた国。今でもJICAボランティアの方が活動されています。

被害に遭われた「エホバの証人」の普及活動をされていた二人の女性は本当にお気の毒で、心からお悔やみ申し上げます。

 

私がグアテマラで活動していた当時、「エホバの証人」に出会ったことがありました。二人組の女性でした。

「この国には貧しい家庭が沢山ある。藁で作ったような家に住み、今日食べる物も無い。兄弟も多く、生まれてきた赤ちゃんが亡くなってしまうのも私たちは目にしてきた。

この地域の貧しい人たちのお手伝いをしているんです。神様の教えを伝えながら。あなたもこの聖書、読んでみてください。スペイン語版しかないけど……」 (←地味に勧誘してくる)

旅費や生活費はどうしているのか聞くと「日本でアルバイトをしてお金を溜めて、旅費とこっちでの生活費に充てています。それを繰り返しています」と教えてくれました。

「それを繰り返しています」って。……なんか、もう、凄いですよね。自分で稼いだお金を、全て人の為に使っているんですよ。 そして、信じる宗教の普及の為に。あれ? あなたはもしや、マザー・テレサですか?

彼女らはとてもパワフルで明るく「なんか、すげぇなこの人達……」と圧巻されたのを覚えています。

そんな彼女らのシスターがグアテマラで殺害、襲われたと知って本当にショックを受け、悲しくなりました。っていうか、何でそんな人たちが襲われなきゃいけないの? 犯人、地獄行き決定。

 

ペルーのニュースで二人組の男が強盗をする瞬間の防犯カメラの映像が放送されました。

防犯カメラって、「犯罪」を「防ぐ」と書いて「防犯」なんですよね?

なのにどうして「まさに今犯罪中」の出来事をボケーっと映しているの? 防いでみなさいよ、あなた「防犯カメラ」なんでしょ?

防犯カメラに映っていたのは、黒い服を着た二人組の男。

一人が胸に十字架を書いて神様に祈る仕草をした後、そこに通りかかった一般人に襲い掛かりました。あれ? ちょっと待って?

今、胸に十字架を書きましたよね? 教会で信者がよくやる「アーメン」っていう仕草。

あなた、強盗でしょ? 人から物を盗む前に、「おお神よ、無事に強盗が成功いたしますように……アーメン」って祈ったの? で、神様は何て言った?

「迷える子羊よ、お主の願いを叶えてやろう」とでも言いました? 絶対に言いませんよね?

それとも「おお神よ。今から私は強盗を図りますが、わたしたちに負債のある者をゆるしましたように、わたしたちの負債をもおゆるしください」とでも祈ったのでしょうか? それって、神様許してくれるの?

 

JICAボランティアの2ヶ月間の研修中、「安全対策」という授業がありました。「発展途上国は犯罪、交通事故や自然災害等も多いです。被害を受けないよう、しっかりと学んでください」

授業が終わると講師の先生から「パプアニューギニアとグアテマラへ行かれる隊員の皆さんはこちらに来て下さい」とマイクで呼ばれました。

「この二国は年間殺人人口が世界で1位と2位なんです(当時)。あなた達には特別に個別アドバイスしますね」と直々ご指導受けました。

 

「良い服装を身に付けないこと。わざとみすぼらしい格好をする。靴もサンダルとかがベスト。カバンもスーパーで貰えるビニール袋を使うこと。変な人がいたら逃げる。もし強盗に遭ったら絶対に抵抗しない事。殺されるからね

 

チビリ上がった私は先生の教えを「家訓」のように徹底しました。グアテマラでの生活は常にサンダル、ビニール袋をぶら下げて、時にはノースリーブで町を闊歩し、金目の物は持ち歩かない。

この国では絶対に目立ってはいけないんです。「こいつを襲ってもメリットなんて一つもねーよ」と思わせる事が肝心。

「こいつ……、空手出来そうだな」と思わせてもイケない。なぜなら相手を身構えさせてしまうから。ていうか、空手なんて出来ませんし。組手を組まれたら一瞬で気絶する自信がありますよ。

一番良いのは人畜無害。他に何の影響も及ぼさないような、平凡で取り柄のない人になること。

そうは言ってもここは中米グアテマラの小さな町。アジア人女性がノースリーブで町をウロウロするだけで目立ってしまいます。

「ニーハオ!」「アニョハセヨ!」「カラテ!」という言葉を投げかけられ、いつも「カラテ!」だけにニコリと笑って反応するので「コイツは空手家かな? 空手家の子かな?」と思わせてしまったかもしれません。そしてこのムキムキな二の腕。

町の人はこのアジア人をまさか卓球のコーチだとは夢にも思わなかったはず。

当時のJICA調整員のお兄さんにも言われました。「西田さんすごく太った時期があったやんか? その時に西田さんノースリーブ着とったから目の行き場所に困ったわ(笑)」

 

どうして目立っちゃうかな。目立っちゃダメなのにな……(泣)

 

 

しかし生物学上、そして戸籍上は一応「女」です。男性が変な気を起こさないように日々厳重に注意をしなくても全然大丈夫な顔立ちと身体つきですが、世の中には「変なのが好き」という変わり者が存在するらしく、グアテマラ在住中何度かそんな事も起きかけました。

しかし、ここは二の腕の西田泉。もし突然男性に押し倒されても「この二の腕が黙っちゃいないゼ!」と言うかと思いきやこの二の腕、全て見せかけですから(泣)。全然役に立ちませんから(泣)。

幸い、何事もなく今もこの通り無事に生きています。良かった。本当に良かった。男性の皆さんが変な気を起こさない顔立ちで。身体つきもグラマーでなくて。

お父さん、お母さん、お陰で私は無事です。

もちろんサンダル、ビニール袋、ノースリーブ姿も一役買っていたと確信しています。

 

皆さま、外国は本当に危険なところです。悪い人も沢山います。もし海外旅行などへ出掛ける際にはサンダル、ビニール袋、ノースリーブは必需品となりますので、くれぐれもお忘れのないよう。

海外での防犯方法” への 2 件のコメント

  1. このニュースを聞いた時、すぐに西田さんの顔が浮かびました。
    日本も物騒な事件が多くなりましたが、それでも海外に比べればやはり平和だと思います。西田さん、これからもどうかお気をつけてお過ごし下さい。

    1. ふなちゃんさん
      コメントありがとうございます!
      確かに、日本も物騒な事件が増えましたが、海外に比べればまだ安全ですね。
      「自分の身は自分で守る」などと言いますが、
      中国で起こった事件で、バスの走行中にその運転手を乗客が殴ってバスごと橋から落ち、乗客何十名も亡くなった話なんか、一緒に居合わせた罪のない乗客が可哀相すぎますよね。
      ペルーでもそういった交通事故が後を絶えません。
      バス等の公共車に関わらず、乗用車、タクシーの運転が荒すぎます。
      横割り、クラクションを鳴らしまくる、罵声をあげる、車内からゴミを道路に投げ捨てる、道を譲らない、スピードを出す、歩行者を優先しない、信号無視する、車の点検を怠る、一方通行の道路を逆走する、逆走したオジサンが注意されたら逆上して車内からピストルを出して脅し、唾を吐きかけ悪態をつく。
      歩行者は歩行者で渡ってはいけない道路を渡る、子供を連れて渡る、ベビーカーを引いて渡る、高齢者の手を引いて渡る、車専用道路を自転車で通る、信号無視して道を渡るなど、当たり前の世界です。

      これらを目にした時に、いちいち腹を立てていたら私の精神状態が危なくなるので、なんとかスルー出来るようになってきました。これからも精進したいと思います。

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