「アシスタントを辞退し、個人レッスンだけで生活してみたい」
きっかけは14歳の男の子との出会いまでさかのぼる。
サッカーボールを手に、泥だらけのユニフォーム姿。ガムを噛んでいた少年が初めて一心くんに会った時にこう言ったそうです。
「よう、中国人」
彼の名をマルティン。
オーナーの渡辺くんからマルティンの担当を頼まれた一心くん。
案の定、遅刻をしてくるは練習は真面目にやらないはでずっと手を焼いていた。
しかし、一心くんは彼と真摯に向き合いぶつかり合い、次第に心を通わせていった。
日本に帰る予定だった最後のオープン戦で、マルティンは予選リーグで敗退。そして、涙ながらにこう言ったそうだ。
「真面目に練習をしてこなかった今までの自分をぶっ殺したい」
一心くんは思った。「こう言ってくれたマルティンをこのまま残して俺は日本に帰っても良いのか? コーチとしても、選手としても、このままペルーを後にして、後悔はしないだろうか?
アシスタントを辞めて、個人でやっていくには渡辺さんに迷惑をかけてしまうかもしれないけど、僕は……」
一心くん(中央)とマルティン(右) ※写真掲載許可済み
マルティンだけではなく、他にも色々ときっかけはあったそうですが、最終的に個人でやっていくことに決めました。
「俺、一心、19歳。俺はペルーで頑張るぜ!」と張り切っていたらパンデミックがやってきました。
~続く~