ついに、ドクター(私)から「皆様にご報告してもよろしい」とGoサインが出ましたのでご報告させて頂きます。
ある日、レンソ&西田泉夫妻にコウノトリがやって来まして、有精卵を預かる事になりました。
コウノトリって、赤ちゃんを連れてくるものだと思っていましたが、そうではないんですね。
妻はその有精卵を保温すべく、日々つわりと闘っていた次第です。
実は一回目の保温に失敗していることもあり、今回皆さまへのご報告は慎重になりました。
「二度とこんな悲しい思いはしたくない」今回は慎重です。
ちまたでは「妊娠したら仕事は辞めるか、続けるか?」などとよく言われていますが、私の場合、仕事場(練習場)に向かうまでの50分間のタクシーの移動でギブアップ。
帰りの50分なんて、想像しただけで身震いがします。
数日間、ずっと「気持ち悪い(泣)」と言いながら耐えていましたが、ある日のタクシーでどうしても我慢が出来なくなりました。
「ちょっ! ごめんなs……ふ、袋ありますか? 吐きそう……!」
突然の申し出に女性タクシー運転手をパニックにさせ、それ以上にパニックだった私は涙目で
「オエッ! ウオエ~ッ! ウッウ~ッ」と「まさに今、ゲロを吐くよ!」という体勢をしばらく続けていました。 (←袋なし)
すると女性タクシー運転手が「香水ありますけど、かけますか?」とトンデモナイことを言い出したので私は
「ノォー!!!」
と全力で叫び、途中で降ろしてもらいました。
っていうか「香水ありますけど、かけますか?」って、何それ?
あなた、馬と鹿を間違えるタイプでしょう? 絶対にそうだ。
その日は練習に行けず。
次の日もタクシーで吐きそうになりました。
タクシーに乗る前に
「実は今、妊娠していて、途中で具合悪くなって吐くかもしれませんがその時はどうもすみませんでした」と搭乗の挨拶を軽く済ませると、
「後部座席に座ると具合が悪くなるので、助手席に座っても良いですか?」と、有無を言わせずに助手席に乗り込み、
しばらくして吐き気を催し「すみません、降ろして下さい!」と途中下車。
道端に独りたたずみ、ビニール袋を口元にセット、準備は万端! いつでもOKよ!
さぁ、カモ~ン!
「オエッ! ウオエ~ッ! ウッウ~ッ ×3」 (←結局、吐けない)
「大丈夫ですか?」と心配する運転手さんに「大丈夫じゃないです」と言い返し、その日は無事に練習場に辿り着きましたが、どうにも気持ち悪くて練習を見ている場合ではありませんでした。
そんなんじゃ選手達や他のコーチにも失礼だし、私も可哀相だし、何よりもお腹にいる有精卵に何かあったら、誰が責任取ってくれるんですか? (←ちょっと怒ってみる)
「自分の身は自分で守れ」などと言いますが、この小っちゃな小っちゃな有精卵は自分で自分を守れますか守れないでしょう!
それならば、母親の私が、全力で、この子を、守るっ! オエッ! ウオエ~ッ! ウッウ~ッ オロロロロ~ (←もよおすだけで、結局吐けない)
妊娠されても仕事を続けているお母様もいると思いますが、心の底の底から尊敬します。私には無理でした……。
どうか、「この弱虫め」「甘えてんじゃねーよ、ブス!」「妊娠は病気じゃない」等と言わないで下さいね(泣)。そんな事、自分で解ってますから。自分は弱い人間なんだって、知ってますから……。
卓球協会から解雇されなかったにも関わらず、コーチを辞めざるを得なかったのは「つわりが酷くてタクシーに乗れなくなったから」でした。