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平成30年度全日本選手権速報

●ジュニア男子5回戦
宇田(JOCエリートアカデミー/大原学園) 6、4、6 後藤(静岡学園高) 
堀川(愛工大名電高) −11、6、6、8 鈴木(愛工大名電中)  
谷垣(愛工大名電中) −10、−3、9、9、10 宮川(野田学園高) 
今泉(野田学園中) −6、6、9、6 久世(県立知立東高) 
松島(木下グループ) 7、−10、5、10 阿部(希望が丘高) 
横谷(愛工大名電高) 6、−8、10、−4、8 杉本(希望が丘高) 
篠塚(愛工大名電中) 10、9、4 加山(愛工大名電高)   
戸上(野田学園高) 3、9、7 伊藤(安田学園中)

ジュニア男子5回戦。宇田と戸上はそろってストレートでの勝利でベスト8入りを決めた。両者とも初戦から1ゲームも落としていない。もうひとり快進撃を続けているのが小学生の松島。5回戦でも高校生の阿部を破りベスト8入りを決めた。明日の準々決勝は横谷(愛工大名電高)に挑む。

試合後の会見で優勝について聞かれ、「強い人ばかりなので、まず1ゲームずつ頑張ります。ぼくはバックハンドが得意なので、相手が右利きならぼくのバックでフォアに飛ばして、次を狙うことができます。最近はフォアの練習をずっとやっています」と松島。最後には「相手は年上の人ばかりなので向かっていくというか、自分は負けず嫌いなので、とにかく勝つことに集中しています」と力強いコメントを残した。

  • ベスト8入りを決めた松島

 全日本に出場する社会人プレーヤーはその職種も様々。市役所などの公務員に信金、銀行、卓球メーカーなど多岐にわたる。そんな中で「ぽっぽや(鉄道員)」も全日本に挑んだ。

 現在、JR東日本高崎に勤務する宮澤淳の仕事は「電車の運転士」。国家資格を取得し運転士となり、この1月でちょうど丸1年になるという。群馬の沼田高から駒澤大に進み、その後JR東日本高崎へ就職。現在社会人8年目の30歳。今大会の男子ダブルスでは高校、大学と、自身と同じ道を進んでいる駒澤大1年の髙橋翼とのペアで出場。後輩をしっかりリードし、良いアニキぶりを見せていた。

 全日本は10回目の出場。社会人になってからもダブルスには出場していたが、シングルスの出場は大学以来7、8年ぶりの出場だという。泊まり勤務などもあり、不規則な生活の中での練習となるが、「大会が近づいたら部員で連絡を取り合って、非番の部員同士で集まって練習しています。誰もつかまらない時は、地元の高校にお邪魔させてもらうこともあります」(宮澤)とのこと。
 社会人にとっては宿命の「練習量の減少」については「若い子相手にまともにやりあったら勝てないので、サービス・レシーブの組み立てだとか、僕はフォアに表ソフトを貼っているので、あえて緩いボールを送ったりして崩すことを意識しています。学生の時にはあまり意識していなかった緩急だとか、コース取りは社会人になってすごく注意するようになりました」(宮澤)と頭でカバーしている。

 そして社会人らしく、会社の名前を背負って自分がプレーすることの意義も感じている。
 「会社に卓球部ができたのが僕がきっかけで、『大学で卓球をしていた子が入社した』ということで実業団登録をしてもらった。それから後輩が続けて入社してくれて、去年の全日本実業団ではベスト16まで行けた。群馬で卓球をやっている企業は少なくて、こうやって卓球を続けていくことで、大学まで卓球を続けてきた子が会社に興味を持ってくれるきっかけになれば良いなと思っています。そのために僕自身もなるべく長く頑張りたい」(宮澤)

 ちなみに奥様は青山学院大から日本リーグの豊田自動織機でもプレーした早田知世さん。今年度の全日本ラージボール選手権には夫婦で出場し、知世さんは見事女子シングルスで優勝を果たした。一番気合いを入れていた混合ダブルスはランク決定戦で敗退、宮澤も男子シングルスで敗れる中での知世さんの優勝は「いやいや連れていかれた妻が優勝してしまってすごく悔しかった(笑)」とほほえましいエピソードも。「今度は混合ダブルスとぼくの男子シングルスでも優勝したいです」と夫婦での日本一も目標に、これからも仕事と卓球に奮闘の日々を送る。


●男子シングルス1回戦
斎藤稜馬(福井県スポーツ協会) 11、5、6 宮澤淳(JR東日本高崎)
 長崎美柚と組んだ混合ダブルスで、準決勝進出を果たした張本智和。張本のみが臨んだミックスゾーンでの囲み会見で、「対戦したペア(軽部/松本)は去年2位で実力があるので、厳しい戦いになると思っていましたけど、1ゲーム目に逆転できたのが大きかった。まだ凡ミスもあるなかで3−1で勝つことができて、まだまだ強くなるという伸びしろは感じました」とコメントした。

 2020年の東京五輪では競技種目に加わる混合ダブルス。「去年もワールドツアーの混合は1回くらいしか出ていなくて、あまり意識は高くなかったんですけど、オリンピックに出たいという思いはシングルスと団体だけじゃない。3つめの混合も絶対出るという気持ちでいます」と張本は語る。目の前にある山は、すべて登らずにはいられない、という感じだ。ダブルスでの経験が不足している張本にとって、女子選手と組み、スピードや回転量の不足をカバーしながら相手の長所を引き出していく混合ダブルスでの実戦は、大きな意味を持つ。

 発言は強気でも、自信に満ちた表情で堂々と言い切るので、傲慢という印象は少しも与えない。15歳という少年から青年への端境期にありながら、その自信に満ちた表情から風格すら漂わせる張本。全日本の魔物も、ちょっと近寄りがたい雰囲気だ。明日(4回戦)からスタートする男子シングルスについては、「混合ダブルス以上に良いプレーをして、圧倒的な力を見せつけたい」と語った。
  • 頂点まであとふたつとした張本(右)/長崎

  • メダルを決め、長崎は笑顔

●混合ダブル準々決勝
森薗/伊藤(岡山リベッツ/スターツSC ) 7、9、3 上村/木村(大阪桐蔭高/専修大) 
田添健/浜本(木下グループ) 6、10、10 皆川/上野(立命館大/龍谷大学友会体育局卓球部) 
上村/阿部(シチズン時計/早稲田大) 7、−6、6、−12、8 張/森薗(Y.Y卓球クラブ/TOP名古屋) 
張本/長崎(JOCエリートアカデミー) 12、−5、4、4 軽部/松本(鹿児島相互信用金庫/サンリツ)
●男子シングルス1回戦
五十嵐(早稲田大) 8、8、6 大貫(卓心会)

 男子シングルス1回戦、昨年の全日本マスターズ・フォーティ3位の42歳・大貫譲司が、見事に栃木県予選を勝ち抜いて出場。巧みなサービスと堅いブロックを武器に、学生でも指折りの強打者、早稲田大の五十嵐と好ラリーを演じた。
 岡部中、埼工大深谷高から中央大に進み、同世代のトップ選手として活躍した大貫。中学・高校では日本男子NTの倉嶋洋介監督と同じ釜の飯を食べた。「今回もベンチに入ってと頼んだんですけど、上(観客席)で見て笑ってましたね笑」(大貫)。

「自分なりには精一杯やれたと思います。今持っている力は出せましたね。ラケットの角に当たって稼いだのと、サービスで稼いだのと。でも、最後はバレて全部フォアに持ってこられた。これが限界かなと思います。全日本の栃木県予選が、いつもマスターズの2週間くらい前なので、練習を兼ねて出たら通ってしまった。ちょっと場違いだったかなと思うんですけど。

 今の選手は、ボールの違いもありますけど、みんな良いボールを打つし、良いボールを何本も打ったり、逆を突いて攻めないと点が取れない。もともと自分はサービスからブロックで点を取るタイプだったんですけど、今はブロックなんかしてたらダメですね。少しずつ、自分なりにプレーは変えてきたんですけど、ついていけない」(大貫)

 ベンチに入ったのは「いつか全日本に出られた時のために」と小学5年生の息子さん、蓮弥くんが入った。お父さんの奮闘ぶりに、「思っていたより、点数を取れてた」と蓮弥くん。すでに全日本カデットやホープスにも出場する全国プレーヤー、近いうちに全日本の舞台に立つことだろう。
  • 大貫、巧みなサービスを見せた

  • ベンチに入った息子さんの蓮弥くんと、試合後に握手

●ジュニア女子4回戦
長崎(JOCエリートアカデミー/大原学園) −5、11、5、5 横井(ミキハウスJSC)
藤田(横浜隼人高) 9、−9、4、−7、7 赤江(貝塚二中)
稲吉(希望が丘高) −8、7、−5、3、8 桑原(正智深谷高) 
新井(丸子橋卓球スタジオ) 7、−5、9、6 信田(富田高)
麻生(香ヶ丘リベルテ高) −9、−10、2、9、5 出雲(遊学館高) 
木塚(済美高) 4、5、−9、12 伊藤(ヴィスポことひら)
出澤(大成女子高) −10、4、−1、13、9 小塩(JOCエリートアカデミー) 
川北(正智深谷高) −7、12、−8、9、7 菅澤(ミキハウスJSC) 
大藤(ミキハウスJSC) 5、8、3 原田(桜丘高)
谷渡(富田高) 9、8、9 津隈(遊学館高) 
岡田(明徳義塾中・高) −8、−7、11、9、4 皆川(神須学園高) 
青木(横浜隼人高) 6、7、−10、−9、8 張本(木下グループ) 
相馬(遊学館高) 8、7、10 田中(希望が丘高)
浅井(桜丘高) 4、−9、5、9 松井(横浜隼人高)
中森(ミキハウスJSC) 9、8、9 海保(武蔵野高)
木原(JOCエリートアカデミー) 10、−8、4、2 福岡(三田学園高)

ジュニア女子も4回戦が終了!
大会最年少、小学4年生の張本美和(上写真)は昨夏のインターハイベスト8、左腕の青木(横浜隼人高)にゲームオールで惜敗した。ゲームカウント0−2の劣勢から2−2に追いつき、最終ゲームも1−5から5−5、8−8と最後まで粘りを見せたが、ここで台上に浮いたボールに対するバック強打がミス。最後は青木が3点連取で試合を決めた。張本、今日は女子シングルス2回戦にも出場する。


長崎、大藤、相馬、木原という世界ジュニア代表組はいずれも勝ち上がり、ベスト16進出。カットのホープ小塩は、ゲームオール9−11で惜しくも敗れている。
  • ゲームオールで惜敗した張本

  • カットの小塩も逆転負け

  • 順当に勝ち星をあげている木原

 小学5年の松島輝空、小学4年の張本美和(ともに木下グループ)らキッズプレーヤーの活躍が目立つ中、昨日の男子ダブルス2回戦に、今大会最年長の51歳・大栗寛(徳島銀行)が出場。39歳の井上慎太郎(徳島銀行)とのベテランペアで全日本に挑んだ。

 対戦相手は親子ほど歳の離れた早稲田大の平野晃生/五十嵐史弥。左右からパワーボールを放つ若手2人に、ペン表らしいテクニックで食い下がるも、「思っていた以上に球威があった。力の差を感じた」とストレートで敗戦。大栗にとって24回目の全日本は初戦で幕を閉じた。
 試合を振り返り「組み合わせを見て、なんで1回戦がなくて2回戦からなんだと思いました。歳を見て優遇されたのかなと(笑)。(平野/五十嵐の)1回戦の試合を見ていたけど、どちらもうちより強いなと。できるなら1回戦からやりたかった。ただでさえ強いのに、相手も1回試合して勢いがついてくる。こちらも同じ状況で戦える1回戦からやりたかったですね」(大栗)と語った。

 大栗にとっては2年ぶりの全日本出場。「予選を抜ければ、最年長だろうとは思っていた」(大栗)というが、51歳でも全日本に対する情熱は衰えない。
 「全日本は若い頃から出ているけど、特別な思いというか、これに出たいという気持ちが自分の卓球人生のモチベーションにつながっている。可能であれば60歳まで、還暦で全日本に出られるように頑張りたい。そして出るのなら、1回でも多く勝ちたいですね」(大栗)

 今年度、大栗が出場した全国大会は全日本ラージボール選手権、全日本マスターズ、そして全日本選手権・一般の部となかなか見ない組み合わせ。全日本ラージでは40歳男子シングルスで3位に入賞しているが、ラージでのプレーからも硬式でのプレーにヒントを得たという。
 「ラージのほうがボールも軽いし、ラケットも軽い。軽いラケットだとバックが振りやすくて、最近ラージでバックハンドを振るようになって、感覚がつかめてきた。それを硬式でも活かせるようにと思って練習しているんですけど、なかなか試合ではできない。でも、ラージで感覚を養っていって、もう1年くらいやれば硬式でももっとバックハンドが触れるようになると思う」(大栗)。

 若い選手の活躍が目立つ卓球界だが、彼らに対しても「若い力に対抗、というのは違う」と口にした。
 「卓球って大人から子どもまで一緒になってできるスポーツなので、卓球を通じてコミュニケーションが取れるのが良いところだと思う。徳島の中でもそうだし、そういう意味ではずっと続けていきたいなと思っています。練習でも試合でも、年齢関係なく、やれば友達もできるし、人との関わりができる。そこはすごく良いスポーツだと思っている。やっぱり楽しいから続けているのもありますよね」(大栗)
 長く卓球を愛し、勝負にかけてきたからこそわかる、卓球のすばらしさがにじみ出た言葉だろう。

 最後に、なかなかベテラン勢の壁を越えられない徳島の若手について聞いてみた。
 「中・高校生の指導のほうもしていかないといけないのかなとも考えますし、僕らを倒して全日本に出ていってくれればなと思うこともある。でもそこは壁となって、『超えてみろ』と立ちはだかりたいという気持ちもあります」(大栗)

 そう言って卓球少年のような笑顔を見せた大栗。卓球に魅了された51歳の全日本への挑戦はまだまだ続く。
  • 90歳コンビで出場の大栗(右)/井上

●ジュニア男子4回戦
宇田(JOCエリートアカデミー/大原学園) 8、3、8 内田(野田学園高)
後藤(静岡学園高) 3、6、−9、5 坂田(敦賀高)
鈴木(愛工大名電中) 9、−8、−5、8、4 佐藤(鶴岡東高)
堀川(愛工大名電高) −7、10、10、5 高村(富田高)
宮川(野田学園高) -8、3、1、-10、3 前出(松生TTC)
谷垣(愛工大名電中) 8、4、8 米倉(希望が丘高)
今泉(野田学園中) 4、−7、11、6 原田(石田卓球クラブ) 
久世(県立知立東高) 5、-8、4、-4、6 手塚(明徳義塾高)
松島(木下グループ) 10、14、-6、11 平賀(明豊高)
阿部(希望が丘高) 6、6、11 三浦(河北台中)
横谷(愛工大名電高) 2、5、3 田原(明豊中)
杉本(希望が丘高) 9、−9、9、−9、7 松田(野田学園高)
加山(愛工大名電高) 3、4、−9、6 松岡(野田学園高)
篠塚(愛工大名電中) 9、4、7 柏(JOCエリートアカデミー/帝京)
伊藤(安田学園中) 7、8、−5、−9、7 曽根(愛工大名電高) 
戸上(野田学園高) 5、7、2 安江(明徳義塾中)

ジュニア男子4回戦が終了し、ベスト16が決まった。優勝候補の一角に挙げられていた曽根が、中学3年生の伊藤に惜敗。ゲームカウント0−2から2−2に追いつき、最終ゲームも6−3でリードしたが、ここから伊藤が足の止まった曽根のフォアを強気で攻め、7点連取で一気に逆転した。
また、ブツ切りカットと強力なフォアハンドを誇る原田も、ここで進撃ストップ。

そして小学5年生の松島は、このラウンドをも勝ち上がり、ベスト16進出を果たした。対戦相手の平賀は、ロングサービスと左腕の松島のバックサイドを切る連続ドライブを見せ、対策を練ってきたことを感じさせたが、勝負所でミスをしない松島。休日は10時間以上に及ぶという、豊富な練習量の成せる業か。
  • 大器・曽根、シングルスでの活躍に期待

  • 貴重なカット型の原田、ベスト16入りを目前に敗れる

  • 松島の快進撃は、どこまで続くのか?

★大会第3日目・1月16日のタイムテーブル

9:30〜  ●ジュニア男子4回戦(ベスト16決定)
      ●男子シングルス1回戦
10:40〜 ●ジュニア女子4回戦(ベスト16決定)
11:50〜 ●混合ダブルス準々決勝
12:25〜 ●女子シングルス2回戦
13:35〜 ●ジュニア男子5回戦(ベスト8決定)
14:10〜 ●男子シングルス2回戦
15:20〜 ●ジュニア女子5回戦(ベスト8決定)
16:30〜 ●女子シングルス3回戦
17:05〜 ●男子シングルス3回戦
18:15〜 ●女子ダブルス3回戦(ベスト16決定)
18:50〜 ●男子ダブルス3回戦(ベスト16決定)

男子シングルスは1〜3回戦、女子シングルスは2〜3回戦が進行。スーパーシード以外の選手がすべて登場する男子シングルス1・2回戦では、最大のダークホースと目される吉村和弘、日本リーグで絶好調のチョッパー御内健太郎、リコーが誇る強打者・有延大夢など、スーパーシード勢にまさるとも劣らぬ実力者たちが登場する。女子シングルスでも2回戦で浜本由惟(木下グループ)、木原美悠(JOCエリートアカデミー)などが登場し、大会最年少の張本美和は2回戦でカットの池上玲子(愛媛銀行)に挑戦する。

ダブルス3種目は、男女ダブルスが3回戦まで進むが、スーパーシードのペアの登場は明日の4回戦から。混合ダブルスは準々決勝が進行し、表彰台に上る4ペアが決定する。ジュニアはベスト16を決める4回戦、ベスト8決定の5回戦の2ラウンドだ。
  • 混合複で表彰台を狙う田添健/浜本。浜本は女子シングルス2回戦にも登場

 カテゴリー、年代を超えた試合が各コートで繰り広げられるのも全日本ならでは。中学3年の香取位圭(卓桜会栃木卓球センター)が日本リーグ・十六銀行の加藤知秋に挑んだ。

 「相手は格上なので、元気に思い切ってやるだけ」と語った香取。年末年始には一般での戦いを想定し、湘南工大附属高に通う兄・利煕など、男子選手との練習を重ね調子は上々。試合は巻き込みサービスが効き、「ミマパンチ」ばりにフォアで押し込むような「ミカパンチ」が炸裂。しかし2ゲーム目以降は加藤も警戒したか、それ以降は徹底したバック攻めで香取の勢いを封じた。

 ジュニア女子は栃木県予選で敗退した香取だが、女子シングルスの予選ではなんと優勝で通過。今大会は実力及ばずに大会を去ったが小学6年から香取を指導する原代表は「高校できっと伸びてくれる」と期待を込める。
 「今は卓球が雑だけど、ここ最近は成長を感じるし、身体能力も高い。だから、これからまだまだ伸びると思うんです。他のメンバーがホープスとかでランキング入りしているのに、こいつだけあとちょっとでランキング入りを逃してきた。どうにかウチにいるうちにランク入りさせたかったんですけどね。でもチームの中心としてやってきてくれて、本当に感謝しています」(原代表)

 春からは高校生となり、強豪の正智深谷に進学する予定。正智深谷の平亮太監督からも「まだ荒いけど、これが固まっていって成熟した時を考えると魅力を感じる」との言葉をもらったという香取。桜のつぼみが花開くのは、一度厳しい冬の寒さにさらされてから。数年後のインターハイを盛り上げるのは、冬を越えて底知れぬポテンシャルを開花させた彼女かもしれない。

●女子シングルス1回戦
加藤知秋(十六銀行) 5、10、5 香取位圭(卓桜会栃木卓球センター)
  • 日本リーガー相手に、臆せず向かっていった香取