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中国リポート

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 男女とも中国の優勝で幕を閉じた世界卓球選手権団体戦。男子は失点(落とした試合)が1、女子は失点2。予想外の抵抗にあった試合もあるが、敗れる雰囲気はまったく感じられなかった。

 中国男子は世界選手権団体4連覇、女子は世界選手権団体8連覇。これはいずれもタイ記録だ。中国男子は81年ノビサド大会から87年ニューデリー大会まで4連覇、中国女子は75年カルカッタ大会から89年ドルトムント大会まで8連覇の記録がある。中国女子は91年千葉大会決勝で、統一コリアに歴史的な敗北を喫していなければ、今回の広州大会でなんと17連覇になっていた。まったく呆れるほどの強さで、それゆえに女子卓球界が盛り上がりに欠けるのも、また無理からぬところだろう。

 ところで、今回の中国チームの主力選手、男子の王励勤・馬琳・王皓、女子の王楠・張怡寧・郭躍の中で、世界選手権団体戦で未だ無敗の選手がひとりだけいる。誰だかお分かりだろうか?
 正解は男子の王皓。04年世界団体ドーハ大会、予選グループAのフランス戦でシーラに3-2で競り勝ってから、今大会決勝で李廷佑に勝利するまで無傷の18連勝。しかもゲームオールに持ち込まれたのはデビュー戦の対シーラ戦だけで、今大会準々決勝のルーマニア戦3番でシモンチクに1ゲーム落とすまで、なんと14試合連続ストレート勝ちの離れワザを見せた。

 体つきがふっくらとして、プレーにもキレを欠いた印象のある今大会の王皓。決勝でも、馬琳の台上処理とパワードライブ、王励勤の固いバックブロックと完璧なカット打ちに比べると、ややもたついた感がある。しかし、「負けない王皓」の存在が、ここ3大会での中国男子の安定した勝ち上がりを支えているのは間違いない。劉国梁監督も男子決勝の後で、「王皓の今の実力なら、これからも世界選手権で連勝記録を伸ばしていけるだろう」とコメントを残した。

Photo上:王皓、いよいよリベンジの舞台、北京五輪へ最終段階
Photo下:『加油!加油!加油!王皓~!!」
 25日に行われた女子団体予選グループAの第2戦、中国vs.北朝鮮戦のトップで、王楠がキム・ジョン(金仲)に1-3で敗れた。2年前のブレーメン大会ではストレートで完勝している相手に対し、第4ゲームは8-1とリードしてから11-13と大逆転負けを喫するなど、王楠らしからぬ敗戦だった。
 北朝鮮戦といえば、王楠には苦い記憶がある。2002年のアジア競技大会・女子団体決勝の北朝鮮戦でキム・ヒャンミ、キム・ヒョンヒに相次いで敗れ、まさかの2失点。北朝鮮に大金星を献上したのだ。抜群の勝負強さでビッグタイトルを総ナメにしてきた王楠にとって、初めての大きな挫折だった。

 五輪出場を狙う王楠の思わぬ敗戦に、中国のマスコミは「爆冷負朝鮮小将王楠泪酒(王楠、朝鮮の若手に予想外の敗戦で涙)」「王楠輸球含涙給自己打零分(王楠、敗戦に涙で語る。今日のプレーは0点)」など、さも王楠が試合後に涙を流したかのように書き立てた。
 これが女王の逆鱗(げきりん)に触れたようで、翌日王楠は「はっきりさせておきたいんですが、私は昨日泣いてませんよ。いつも私が負けるたびに、みんな『王楠は泣いた』と言うけれど、マスコミの方々は私をそんなに弱くて脆(もろ)い人間だと思ってるんでしょうか?(出典:体壇周報)」とキッパリ否定。「泣いた!」「泣いてない!」とまるで小学生の喧嘩になりそうだが、予選グループで負けたぐらいで、簡単に泣くような選手だと思われるのは、女王のプライドが許さないだろう。

 左写真上は、大会取材で奮闘中の渡辺トモが送ってくれた、キム・ジョン戦直後の王楠の様子。その顔に涙は見られないし、施之皓監督もまだまだ余裕の表情。「もし私が試合で涙を流すとしたら、それは北京五輪での最後の瞬間を、飾る涙であって欲しい(王楠)」。北京五輪への最終コーナーで、この敗戦が女王を再び加速させるのか。

Photo:今大会でキム・ジョンに敗れた直後の王楠
Photo:02年アジア競技大会決勝では、予想外の苦戦に口を真一文字に結んで厳しい表情。当時、王楠が敗れるなど誰も想像できなかった
 昨日24日に開幕した世界卓球選手権団体戦・広州大会。ディフェンディングチャンピオンの中国は、男女チームとも1ゲームも落とさず、オールストレートの3-0で勝利を決めた。
 男子の初戦の相手は2001年大阪大会の決勝で対戦したベルギーだったが、セイブ兄弟にブラタノフといまだに世代交替が進まないベルギーは、もはや中国の相手ではなかった。一方の女子も、カット主体のロシアを一蹴。こんな見出しを付けた新聞社がある。「不血刃軽取俄羅斯」。ロシア(俄羅斯)を相手に刃を振るうこともなく勝利したということだが、完勝劇のニュアンスが良く伝わってくる。

 昨日2月24日、試合の開幕の他に、もうひとつ大きなニュースがあった。中国卓球チームのウェアのオフィシャルサプライヤーである李寧有限公司が、アメリカ卓球チームとも向こう5年間、オフィシャルサプライヤー契約を結ぶと発表。アメリカ卓球チームは、すでに女子チームの高軍と王晨が北京五輪への自動出場枠を獲得しているが、元中国代表の両名が李寧のウェアに袖を通しても違和感はあるまい。
 記者会見の席では、さらに李寧有限公司が中心となって「中国・アメリカ卓球交流基金」を設立することが発表された。これは中国・アメリカ両卓球協会が共同で選手育成を図るもので、その計画の第一歩として、今年の夏期休暇からアメリカ卓球協会が選抜した12~16歳のジュニア選手20名が、中国のジュニア選手とともに3週間程度のトレーニングキャンプを実施する。

 会場には、李寧有限公司の李寧会長、アメリカ卓球協会CEOのマイケル・カバナー氏らと共に、1971年のピンポン外交の主役となったティム・ボーガン氏や李富栄氏も姿を見せた。ボーガン氏は71年世界選手権名古屋大会で、アメリカ卓球チーム男子のキャプテンを務めた人物だ。中国チームのバスに間違えて乗り込むという運命的なミスを犯したグレン・コーワンは、2004年に53歳の若さで亡くなっている。

 世界選手権の開幕に合わせ、ピンポン外交の再来を図ったとも言える李寧とアメリカ卓球チームとの契約。昨年3月にも、ピンポン外交35周年を記念するアメリカ卓球協会の訪問団が北京を訪れていた。北京五輪を間近に控えた中国、「ピンポン外交」という不滅のカードが、これからもしばしば切られることになりそうだ。

Photo:07年世界ザグレブ大会ベスト8の王晨
 明日23日、ついに開幕する第49回世界卓球選手権広州大会(団体戦)。中国男女卓球チームはすでに18日には北京を離れ、大会が行われる広州市に入った。
 翌19日には調整練習を開始した中国女子チームの中で、郭躍が左足を捻挫したという情報が入っている。階段を下りていて不注意から転倒し、左足をひねったとのこと。「劉詩ブンとのメンバー交替があるか」という憶測も流れたが、「郭躍のケガは大会に影響するほどのものではない(施之皓監督)」。

 練習場では故障知らずだった選手が、日常生活の不注意で思わぬケガや病気をするケースは少なくない。レストランでトイレに行く際に転倒し、右足首を骨折したワルドナーの例もある(かなりアルコールが入っていたようだが)。郭躍は世界選手権のことで頭がいっぱいで、足元に注意が向かなかったのかもしれない。19日の練習を休んだ郭躍、翌日から別メニューで軽めの調整を続けている。

 男子チームの練習では、劉国梁監督が自らラケットを握った。王励勤と練習していたオーストリアの陳衛星が体調不良を訴えたことから、急遽ピンチヒッターとしてコートに立ち、王励勤の3球目攻撃の練習相手で汗を流した。2002年に引退してから5年以上が経ち、コーチとしての実績と同時に体重も着実に積み上げている劉国梁だが、元五輪金メダリストの右腕は健在のようだ。

Photo:本番前に首脳陣をヒヤリとさせた郭躍。軽傷で何よりでした

 トピックス[07/02/20 アジア五輪予選 出場選手発表!]でもお伝えしたが、中国国内でもその人選が注目を集めていた北京五輪・アジア大陸予選のエントリーが発表された。

 これまでアジア大陸予選に出場する選手について、「広州大会に影響が出ないように」と頑(かたく)なに口を閉ざしてきた中国卓球チームの首脳陣。しかし、思わぬところからボロが出た。香港卓球総会のホームページにアップされたアジア大陸予選のポスターに、王励勤と王楠が大きく載せられていたのだ。
 今回のアジア大陸予選に出場しない朱世赫もポスターに登場していることから、香港卓球総会としては、予選出場が予想される有力選手をただ載せただけなのだろう。筆者も以前にこのポスターを目にしていたが、「もう王励勤や王楠を載せて大丈夫なのか?」と思った程度だった。しかし、ポスターを発見したマスコミがこれを大きく取り上げ、「第三の男」「第三の女」を巡って、思わぬ「海報(ポスター)事件」が巻き起こった。
 当初は「ポスターは世界ランキングの高い選手を載せただけ。正式に代表を発表するまで待ってほしい(チームマネージャー・黄ピャオ氏)」と苦しい弁明をしていた首脳陣も、昨日の正式な選手リストの発表を受け、王励勤と王楠をアジア大陸予選に派遣することを認めた。選手のエントリーはかなり早い段階で済ませていたようで、最後の最後まで代表を明らかにせず、選手の緊張感を保つ中国お得意のやり方だ。

 世界選手権シングルスで3回優勝の実績を持つ王励勤と王楠、まず予選突破は問題ないだろう。五輪にはともに00年シドニー五輪から出場しており、王楠は北京五輪に出場すれば、中国女子初の3大会連続出場となる。王励勤は孔令輝に次ぐ中国男子2人目の3大会連続出場だ。アジア大陸予選の直前に行われる世界選手権広州大会でも手を抜くわけにはいかないが、やはり故障は怖い。中国チームの首脳陣がこの両選手をどのように起用していくのか、注目されるところだ。

香港卓球総会のアジア大陸予選HPはこちら→ http://www.hktta.org.hk/2008AQT/home.html

Photo:ともに1978年生まれの29歳、王励勤(左写真上)と王楠(左写真下)
 先週土曜日(16日)、中国卓球チームは北京で記者会見を行い、世界選手権広州大会(団体戦)にエントリーする団体メンバーを正式に発表した。

[中国男子チーム] ※(数字)は年齢
監督:劉国梁 リウ・グオリァン (32)
選手:王励勤 ワン・リチン   (29)
   馬琳  マ・リン     (28)
   王皓  ワン・ハオ    (24)
   陳杞  チェン・チィ   (23)
   馬龍  マ・ロン     (19)

[中国女子チーム]
監督:施之皓 シ・ジハオ    (48)
選手:王楠  ワン・ナン    (29)
   張怡寧 チャン・イニン  (25)
   郭炎  グオ・イェン   (25)
   李暁霞 リ・シャオシァ  (20)
   郭躍  グオ・ユエ    (19)

 …わざわざ「最終エントリー発表!」と銘打つこともないかもしれない。男女とも「世界ランキングで上から順番に5人選んだ」という感じで、現時点での実績を重視したメンバー構成となった。
 男子ではハオ帥のメンバー入りも有力視されていたが、部内対抗戦で成績が振るわず、劉国梁監督からは「メンタルの弱さが改善されていない」という厳しい指摘を受けた。また、女子では大会が開催される地元・広東省チームの若きエースで、世界ランキングを22位まで挙げている劉詩ブン(雨冠+文)も起用されなかった。北京五輪出場が予想される張怡寧・王楠は故障を抱えているため、万が一の場合のメンバー交替も考えると、若手を起用するわけにはいかないのだろう。

 また、今回のメンバーは、男女チームとも2年前のブレーメン大会とまったく同じメンバーだ。世代交替の早さが印象的だった中国チーム、2大会連続で同じメンバーで戦うのは異例のことで、北京五輪に向け、中国チームの首脳陣も「小心謹慎(石橋を叩いて渡る)」というところか。2000年世界選手権団体戦から、中国チームの主力として活躍してきた王励勤・馬琳・王楠・張怡寧。広州大会が最後の世界選手権団体戦になりそうだ。

Photo:集合訓練では「チーム最年長に近い彼が最もハードな練習をこなしていた」と劉国梁監督も称賛した馬琳。今日2月19日が28歳の誕生日です!
Photo:現世界チャンピオンとして、エースの重責を担う郭躍
 2月14日、中国が輩出した卓球の世界チャンピオンたちの勇姿が刻まれた、特製記念切手&ハガキの発行記念式典が行われた。式典の会場は北京市の人民大会堂。日本の国会議事堂に当たる場所だが、コンサートや映画の試写会も行われることがある。式典には徐寅生、蔡振華、李富栄ら卓球界の要人に、孔令輝・王涛・劉偉・斉宝香ら往年の世界チャンピオンも顔を揃え、多くのマスコミが詰めかけた。

 北京オリンピック委員会(BOCOG)公認で、切手の制作や販売を行う中国集郵総合公司が発行するこの記念切手&ハガキ。『祖国的驕傲 国球的輝煌(祖国の誇り、国球の放つ輝き)』と銘打たれ、93人の世界チャンピオンたちと、彼らの「座右の銘」などが印刷されている。中国がこれまでに輩出した世界選手権のチャンピオン(団体含む)は男子45人、女子45人のちょうど90人。これにワールドチームカップ優勝の張雷・謝超杰(ともに91年大会)・林志剛(94年大会)の3人を加えた93人のラインナップだ。

 スポーツ選手は記念切手の定番アイテム。卓球の切手をコレクションしている方も結構いらっしゃるようだ。北京オリンピック委員会初の公認切手、コレクター垂涎のアイテムになるかもしれない。

Photo:こちらは超・貴重品。1961年に発行された、第26回世界卓球選手権北京大会の記念切手(もちろんコピーです)
 2月12日、広東省中山市で集合訓練を行っていた国家女子1軍チームが最後の部内対抗戦を行った。
 5シングルスのスウェイスリング方式、4単1複の五輪団体戦方式と、さまざまな試合方式で行われてきた国家女子チームの対抗戦。今回は、1軍チームの主力選手8人が4人ずつに分かれ、ひとり2試合ずつ戦って勝敗を争った。張怡寧・王楠・郭躍・李暁霞の「主力隊」と、郭炎・丁寧・劉詩ブン・饒静文の「種子隊」だ。「種子隊」は通常トーナメントでシード(種子)になっているチームのことだが、この場合は文字通り、「まだタネだが将来性のある選手たち」ということか。主力隊から外れた郭炎は「種子隊」の引率役になってしまったようだ。

 実力的には主力チームが圧倒しているように見えるが、国家女子チームの施之皓監督はあえてノーハンデで試合を行った。4−4になった場合のみ、引き分けなしで主力チームの負けとなる。結果は以下のとおりになった。

[主力隊 5−3 種子隊]
○張怡寧 3−2 饒静文
 李暁霞 1−3 劉詩ブン○
 張怡寧 0−3 郭炎○
○王楠  3−1 郭炎
 郭躍  2−3 丁寧○
○王楠  3−1 饒静文
○郭躍  3−2 劉詩ブン
○李暁霞 3−2 丁寧

 8試合中4試合がフルゲーム、3時間を超える大激戦となったが、主力チームが辛くも勝利を収めた。張怡寧、郭躍、李暁霞がそれぞれ1敗する中で、8選手の中で唯一2戦2勝だったのが王楠。広州大会の団体メンバーにも名を連ねており、現役最後のシーズンとなる2008年、調子は上々のようだ。

 女子チームの中で唯一の既婚者でもある王楠。集合訓練中は2月7日の春節、14日の情人節(バレンタインデー)と、不動産会社を経営する旦那さんの郭斌さんとも離ればなれの生活が続く。2005年10月に入籍してからもう2年以上経っているが、8月の北京五輪終了後、郭斌さんの実家がある山東省威海市で盛大な結婚式を挙げる予定だ。不敗の女王は、五輪の舞台を自らのバージンロードにできるだろうか?

Photo:順調な調整ぶりを披露した王楠
Photo:王楠と旦那さんの郭斌さん。モノクロでゴメンナサイ
 韓国の北京五輪アジア予選・代表選考リーグ。大混戦となった男子に比べ、女子はひとりの選手が圧倒的な強さを見せて全勝通過を決めた。8選手が参加した選考リーグの結果は以下のとおり。

[女子]       ※金キョン娥・朴美英はすでに自動出場枠獲得
1.唐イェソ(7勝0敗)
2.郭芳芳(5勝2敗)
3.文玄晶(5勝2敗)
4.高宋美(3勝4敗)
5.沈煕嵐(3勝4敗)
6.金貞弦(3勝4敗)
7.李恩姫(2勝3敗2棄権)
8.徐孝元(0勝7敗)

 昨年9月に韓国国籍を取得した唐娜が7戦全勝で1位通過。唐娜は帰化後、名前を唐イェ(さんずい+内)序(タン・イェソ)と韓国名に改名したため、今後中国リポートでは唐イェソと表記する。世界ランキング31位の李恩姫は右手首の故障のため成績が振るわず、7戦目だった唐イェソとの試合を棄権。世界ランキングが61位まで落ちている文玄晶も、唐イェソに1-4で敗れた。

 選考リーグで別次元の強さを見せた唐イェソ、コリアンドリームを掴み、アジア大陸予選への切符を獲得した…と言いたいところだが、韓国国内ではこの唐イェソのアジア予選出場を巡って論議が続いているようだ。唐イェソが世界的には無名で、世界ランキングを持っていないせいもあるが、やはり中国からの帰化選手を出場させることに対する批判的な意見が根強い。しかし、選考リーグを全勝で通過したのだから、ここから唐イェソの出場が覆る可能性はまずないだろう。

 今月24日からスタートする世界選手権団体戦・広州大会で、韓国代表としてデビューする唐イェソ。現在の実力は未知数だが、間違いなく世界ランキング30位以内には入ってくるだろう。五輪団体戦では、金キョン娥/朴美英のダブルスで戦う韓国女子。シングルス2点の得点力が課題だったところに強力な新人が現れたのだから、帰化選手であることを問題視しなければ、絶妙のタイミングと言えそうだ。

 北京五輪・アジア大陸予選は3月6~9日まで、香港の石キップ(石+鋏の右側)尾公園体育館(Shek Kip Mei Park Sports Center)で行われる。各グループ3~4名の予選グループののち、第2ステージが行われ、男女各7名の選手が予選通過。その他、西・南東・南・中央アジアからも各1名ずつの五輪代表が選ばれる予定だ。

Photo:帰化してから敵なしの強さを発揮している唐イェソ
Photo:ザグレブ大会でも手首にテーピングをしていた李恩姫。将来のエース候補なのだが…
 2月9~10日、韓国では北京五輪アジア大陸予選に出場する、男女各1名の選手の選考リーグが行われた。という訳で、今回は中国リポートならぬ韓国リポート。男子と女子、2回に分けてその結果をお伝えしよう。
 男子選考リーグの出場選手、および成績は以下のとおりだ。

[男子選考リーグ結果] ※柳承敏・呉尚垠はすでに自動出場枠獲得
1.尹在栄(5勝2敗)
2.李廷佑(4勝3敗)
3.朱世赫(4勝3敗)
4.鄭栄植(4勝3敗)
5.金延勲(4勝3敗)
6.趙彦来(3勝4敗)
7.李鎮権(3勝4敗)
8.趙志燻(1勝6敗)
9.李政三(棄権)

 大混戦の男子は、世界選手権広州大会の代表にも入っていない尹在栄(ユン・ジェヨン)が5勝2敗で1位通過。07年世界選手権ベスト8の朱世赫、06年世界選手権団体準優勝メンバーの李廷佑が五輪出場の道を閉ざされるという、予想外の結果となった。
 尹在栄は1983年2月5日生まれの25歳、世界ランキング62位の左シェーク両面裏ソフトドライブ型。一昨年のフォルクスワーゲンオープン荻村杯で彼のプレーを見たが、威力満点の両ハンド強打に加え、素早い回り込みから炸裂させるシュートドライブは切れ味鋭い。07年アジア選手権では蒋澎龍(チャイニーズタイペイ)を破ってベスト8に入っており、選考リーグでは朱世赫を4-1、李廷佑を4-2で破った。

 現在、大韓卓球協会は執行部内の混乱が続いている。過去の実績や対外成績が評価されず、広州大会に続いて五輪予選も選考リーグが開催されたのは、その混乱の中で平等な選手選考を図る苦肉の策だ。
 朱世赫のダイナミックなプレーが北京五輪で見られないのは残念だが、韓国男子チームにとってはメリットもある。北京五輪は4単1複の試合方式。すでに五輪出場を決めている柳承敏、呉尚垠は朱世赫とはダブルスが組みづらい。左シェーク攻撃型で爆発力のある尹在栄のほうが、意外性があり、またダブルスを組ませやすい面もある。

 もっとも、ダブルスのペアリングなら李廷佑を選んだほうがベターだし、各国の強豪選手にとっても、朱世赫の存在はやはり脅威だったはず。まずは尹在栄が、3月のアジア大陸予選を通過できるかどうかに注目が集まる。そして尹在栄が予選落ちを喫した場合、団体戦にのみ出場する3番目の選手を韓国は再び選出しなければならない(この選手はシングルスには出場できない)。煩悶を続けるアジアの虎が、再び吠える日は来るのか。

Photo:ビッグチャンスを掴んだか、尹在栄
Photo:朱世赫、慣れられているチームメイトとの対戦に沈む