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中国リポート

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 先週の2月6日、国家男子チームでは再び部内対抗戦が行われた。 午前中は1軍チームと2軍チームによる対抗戦。1軍チームは王励勤、王皓、馬琳、陳杞、馬龍。2軍チームはハオ帥、邱貽可、李平、張継科、王建軍。試合は2軍チームにハンデが与えられ、さらに8-6、あるいは9-7というスコアからスタート。試合後半の勝負所となるスコアを想定して行われる、国家チーム独特の試合方式だ。2軍チームの邱貽可が王励勤、馬琳、王皓を連破する活躍を見せ、試合は一進一退。最後は王励勤と張継科が両チームを代表して勝敗を決することになり、王励勤がストレートで勝利した1軍チームが、辛くも勝利を収めた。

 そして午後からは、主力選手による本気モードの対抗戦が行われた。5ゲームスマッチで行われたこの対抗戦、スコアは以下のとおりだ。

○王励勤 6、10、8 王皓×
○馬琳 9、9、-6、5 馬龍×
○陳杞 3-0 張継科×

 今シーズン、王皓にはまったく歯が立たなかった王励勤が、なんと王皓にストレート勝ち。前日に集合訓練を訪れ、王励勤に直接アドバイスを与えた国家体育総局の蔡振華副局長は、次のようなコメントを残した。
「昨年後半の王皓の成績は見事なものだった。しかし、そのことがある面では過信につながり、プレーに慎重さを欠く場面がたびたびあった。一方の王励勤は、今回の集合訓練でかなり復調してきているようだ(出典/京華時報)」。

 旧暦の大みそかに行われた対抗戦で、ようやく現世界チャンピオンとしての貫禄を見せた王励勤。これで枕を高くして春節の朝を迎えられただろう。35日間の集合訓練もいよいよ大詰めだ。

Photo:王励勤、部内対抗戦とはいえ、長い連敗のトンネルを抜けた
 今年1月から、中・南部を中心に記録的な寒波・大雪に見舞われている中国。1月31日までで、すでに経済損失が537億9000万元(約8000億円)に上っているというから驚く。1998年の長江大洪水の時などもそうだったが、大国だけに自然が猛威を振るうとなるとスケールが違う。電気や水道などがすべてストップし、暗闇と寒さの中で春節(旧暦の正月)を迎えた地域もある。

 広東省での集合訓練が大詰めを迎えている国家卓球チームも、コーチと選手に義援金を募り、女子チーム6万元(約90万円)、男子チーム8万9千元(約133万5千円)が集まった。男子チームの劉国梁監督は「この数字にはまだ満足していない」そうだ。10代の若い選手が多いことを考えると立派な数字かもしれないし、トップ選手たちの稼ぎを考えるとやや少ない気もする。
 国家チームのマネージャーである黄ピャオ氏は「私たちがこのようにすばらしい施設と環境で調整できるのは、すべて社会が与えてくれたから。社会が私たちを育て、養ってくれている。だから我々も社会に恩返しをするべきだ」と述べている。スポーツチームではその他にも、バドミントンや重量挙げの国家チームから義援金の申し出が相次いでいるそうだ。

Photo:劉国梁監督は「たぶん私と同じように、(金額が)物足りないと思っている選手たちもいるだろう」とチクリ 
 2月2日、広東省中山市の中山体育館で国家女子卓球チームが部内対抗戦の第2ラウンドを開催した。今回の対抗戦では、北京オリンピックと同じ4単1複の試合方式が採用された。
 国家紅隊のメンバーは、前回と同じ王楠・張怡寧・郭炎。一方、国家藍隊は郭躍・李暁霞に加え、右肩の故障から復帰した劉詩ブンが加わった。試合の結果は以下のとおり。

[国家紅隊 3-2 国家藍隊]
 張怡寧 -7、-11、8、7、-9 李暁霞○
○郭炎 10、11、-9、12 劉詩ブン
 王楠/張怡寧 -10、8、-10、-8 郭躍/李暁霞○
○王楠 4、7、4 劉詩ブン
○郭炎 -6、8、6、-9、9 郭躍

 両チームとも3番手の郭炎、劉詩ブンをシングルスで2点起用したのは、ダブルスペアの仕上がりを見るためだろう。
 部内対抗戦の第1ラウンドでシングルス2連敗を喫した張怡寧は、この試合でも2連敗。単複とも積極的な攻撃が見られず、ブロックと緩急の変化だけではしのぎ切れなかったようだ。彼女ほどの選手でも、「心・技・体」がひとつでも欠けてしまうと、熾烈なチーム内での戦いを勝ち抜くことはできない。ダブルスの王楠/張怡寧ペアも、最近では若い郭躍/李暁霞ペアにやや分が悪い。

 トップとダブルスを奪い、藍隊が優位に試合を進めたこの一戦。しかし、紅隊は郭炎が奮起。2-2ラストで迎えた郭躍戦では、落ち着いて両ハンドドライブで攻める郭炎に対し、郭躍がやや攻めを急ぎ、郭炎がゲームカウント2-1とリード。第4ゲーム郭炎3-0のリードで、郭躍のベンチに入った孔令輝コーチがタイムアウト。ここから郭躍が逆転し、勝負は最終ゲームへ。
 最終ゲームもカウントの離れないシーソーゲーム。8-8で郭炎ベンチの施之皓コーチがタイムアウト。カウントが並んだ場面でのタイムアウトは珍しいが、勝負の大詰めで何か秘策を授けたか。郭炎が11-9で激戦に終止符を打った。郭炎、意地の2連勝だ。

 今日2月6日は、旧暦の大みそか。国家男女チームは男子チームが集合訓練を行っている広東省深セン市に集合。年越しパーティでは選手による演劇など、さまざまな出し物が催される。明日7日、つまり旧暦の正月(初一/ジューイー)は待望のオフかと思いきや、なんと休みは半日だけ。しかも訓練基地からの外出は厳禁だ…。

Photo:「忘れてもらっちゃ困る」と対抗戦3連勝の郭炎
 1月30日、広東省中山市で集合訓練中の国家女子チームが、珠海市で第1回目の部内対抗戦を行った。張怡寧・王楠・郭炎という豪華メンバーで固めた国家紅隊、郭躍・李暁霞・丁寧という伸び盛りのメンバーが揃った国家藍隊。中国でいう「藍色」は日本の「青色」のことなので、紅白対決ならぬ紅青対決と相成った。
 試合方式は世界選手権団体戦と同じ、5シングルスのスウェイスリング方式。結果は以下のとおりだ。

[国家藍隊 3-2 国家紅隊]
 李暁霞 -7、-12、10、-9 王楠○
○郭躍 -7、8、5、12 張怡寧
 丁寧 -7、-4、-15 郭炎○
○李暁霞 9、8、-3、7 張怡寧
○郭躍 8、3、5 王楠

 現世界チャンピオンの郭躍が張怡寧、王楠を下し、好調ぶりを見せつけた。
 トップの王楠vs李暁霞は、昨年5月の世界選手権ザグレブ大会では李暁霞、12月のITTFトーナメント・オブ・チャンピオンズでは王楠が勝利。三番目の五輪代表の座を争う因縁の対決は、第2ゲームを王楠が8-10からの逆転で奪ったのが大きく、王楠が競り勝つ。
 二番は、張怡寧vs郭躍の豪華カード。しかし、張怡寧は腰の状態が悪く、軽めのメニューから集合訓練をスタート。調整十分とは言いがたく、1-2とゲームをリードされた4ゲーム目、7-10でゲームポイントを握りながら郭躍の猛攻に屈し、「一姐(イージエ/女子チームのエース)」争いは郭躍に軍配。

 三番は郭炎vs丁寧。すでに五輪出場の可能性はゼロに近い郭炎だが、北京首創の後輩である丁寧を序盤から圧倒。2ゲームを連取し、3ゲーム目も6-10のビハインドからドライブの打ち合いを制し、17-15で逆転勝ち。続く四番は不調の張怡寧が、得意にしている李暁霞に競り負け、試合は2-2のラストへ。
 勝敗を決する5番は、こちらも遼寧鞍鋼の先輩・後輩対決である王楠vs郭躍。五輪出場を目指す王楠が意地を見せたかったが、試合は6-6と競り合った第1ゲームを11-8で奪取した郭躍が、威力あるドライブで常に先手を奪う。第2ゲームは9-3、第3ゲームも7-3と郭躍が大きくリードし、結果的にはワンサイドゲーム。国家藍隊が3-2で紅隊を破った。

 世代交替のせめぎ合いとなった第1回目の部内対抗戦。日本でもプロモーションを兼ねて、観客を入れてのナショナルチームの公開紅白試合などを、積極的に行ってみてはどうだろうか。
 さて、2月2日に行われた、2回目の部内対抗戦の結果は果たして…?

Photo:故障をかばいながら戦い続けたプロツアーファイナルでの張怡寧。さすがの女王も疲労の色が濃い
 2月1日にITTF(国際卓球連盟)から発表された、2008年2月の世界ランキング。男子のトップ10にはまったく変動はなかったが、女子では張怡寧がたった1カ月で世界ランキング1位の座に復帰。一方、1月発表の世界ランキングで初めて1位になった郭躍は3位に後退、李暁霞が自己最高位の2位に入った。
 1月には中国選手が参加した国際大会は1試合もなかったのに、どうしてランキングが入れ替わるのか。ご存知の方も多いと思うが、そのカラクリは各大会の成績によって加算されるボーナスポイントにある。あまり面白い話ではないかもしれないが、少しだけ説明してみよう。

 世界ランキングを決める「ランキングポイント」は、「レイティングポイント」と「ボーナスポイント」を合計したものだ。
 レイティングポイントは、自分よりレイティングポイントが上の選手に勝てば加算され、下の選手に負けると減算される。一方、ボーナスポイントは大会の成績に応じて加算される。たとえば世界選手権の場合は、優勝すると60ポイント、3位には45ポイント、ベスト16には20ポイントが与えられる。
 レイティングポイント、ボーナスポイントはともに大会の格付けによって数値が決められており、世界選手権やオリンピックなどのビッグゲームのほうが、当然加算されるポイントも大きくなっていく。

 レイティングポイントは、たとえ最強無敵のチャンピオンが存在したとしても、相手のポイントが自分より低いほど、加算がゼロに近づいていくので、ポイントの伸びは次第に横ばいになる。
 一方、ボーナスポイントは放っておくとどんどん加算されて、ランキングポイントが天井知らずで上がり続けてしまう。そこで毎年開催の大会の場合、ボーナスポイントは加算された1年後に消滅するようになっている。隔年開催の大会は50%、オリンピックやアジア競技大会など4年ごとの大会は25%ずつ消滅していく。

 大会に出場もせず、誰かに負けたわけでもない郭躍が、世界ランキング1位の座をたった一カ月で明け渡してしまったのも、このボーナスポイントの消滅によるものなのだ。郭躍の1月のランキングポイントは12807.75、2月は12735.75。昨年1月のクロアチア・スロベニアの両プロツアーで優勝したボーナスポイント、36×2=72ポイントが引かれている。張怡寧もこの2大会には出場していたのだが、ベスト16と3位であまり成績が良くなかったため、今回引かれたボーナスポイントも少なかった、というわけ。

 郭躍としてはちょっとガックリ?! しかし、郭躍が1月発表のランキングで1位になれたのも、一昨年12月にプロツアーファイナルなどで優勝した張怡寧のボーナスポイントが一気に消滅し、ランキングポイントが大きく下がったため。まずは痛み分けというところか。

Photo上:張怡寧、あっさり世界ランキング1位に返り咲き
Photo下:ボーナスポイントの波に揺られる郭躍。本人は大して気にしていないかも
2008中国超級リーグの日程が先月31日に発表された。北京五輪終了後の10月4日に開幕し、12月14日に終了するタイトなスケジュールだ。しかも、昨年までのホーム&アウェー方式(全18節)ではなく、男女とも最初に全10チームで総当たりのリーグ戦を行い、その後プレーオフと順位決定戦が行われる。短期開催の苦肉の策とはいえ、プレーオフ制の導入は初めての試みだ。
プレーオフの日程はまだ発表されていないが、総当たりのリーグ戦・全9節の日程は以下のとおり。

[第1節]10.04(土)
[第2節]10.08(水)
[第3節]10.11(土)
[第4節]10.18(土)
[第5節]10.22(水)
[第6節]10.25(土)
[第7節]11.01(土)
[第8節]11.05(水)
[第9節]11.08(土)

この後に行われるプレーオフ準決勝は…、
[リーグ戦1位のチームvs.3or4位のチーム]
[リーグ戦2位のチームvs.3or4位のチーム]

3・4位のチームは1・2位のどちらのチームと対戦するか抽選を行う。最大3試合で、先に2勝したチームの勝利。5・6位、7〜10位のチームもそれぞれ順位決定戦がある

昨シーズン終了後の入れ替え戦で、男子の上海聖雪絨と、女子の黒龍江省チーム、山西省チームが超級リーグに昇格。甲Aリーグに降格するまで、上海聖雪絨のエースだった王励勤のチーム復帰はあるのか。女子の新規2チームは戦力的にやや苦しいが、新戦力の獲得も考えられる。 昨年は外国選手のスポット参戦を禁止した超級リーグだが、今年は参戦を積極的に呼びかけていくという。今からどのような戦いが見られるか楽しみだが、開幕まであと8カ月…。

Photo:甲Aリーグで優勝し、昇格してきた黒龍江省チームのツインエース・王シュアン(王+旋/写真手前)/張瀟玉。
 中国が中央部・南部を中心に「50年に1度」という大雪に見舞われている。今年は2月6日が旧暦の大みそか「除夕」、そして7日が旧暦の正月「春節」で、中国全土でこれから何億人という単位の大帰省ラッシュが始まるのだが、交通網が各地で寸断されているようだ。世界選手権が行われる広州市でも、広州と北京を繋ぐ京広線のダイヤが大幅に乱れ、広州駅で足止めされている帰省客が30万人にのぼるというから驚く。

 一方、北京の街は好天に恵まれている。その北京に先月、アジア・オセアニア地域を統括するITTF(国際卓球連盟)のオフィスが上海から引っ越してきた。卓球競技の会場となる北京大学体育館のすぐ隣のビルだ。
 移転の理由は北京市に本拠を置く中国卓球協会、そして主要なスポンサーのひとつであるフォルクスワーゲンとより緊密な協力体制を築くこと。また、ITTFが北京大学で「ITTFトレーニングアカデミー」を行う予定であることも、理由のひとつだそうだ。このトレーニングアカデミーは、ITTFによる国際的なジュニア育成プログラム。中国卓球協会の協力によって、主に南北アメリカやアフリカの有望な若手選手を育成することで、アジアとヨーロッパだけでなく、世界規模での卓球の発展を目的としている。

 オフィス・ディレクターのスティーブ・デイントン氏はオーストラリア出身のナイスガイで、中国の大学で学んだ流暢な中国語を操る(左写真・黒い服の男性)。左写真は昨年のフォルクスワーゲンオープン荻村杯の時のもので、ちょっとコワモテに写っているが、笑顔が優しい。いきなりペラペラと中国語を話しはじめたので、本部の前で試合を待っていた張怡寧や王楠がビックリした、というエピソードも。
 ちなみに写真右のばっちりカメラ目線の男性は、ITTFプロツアーのコンペティション・マネージャーであるディディエ氏。現役時代はカットマンとして活躍したそうだ。
 1月26日、広東省深セン市で集合訓練を行っている国家男子チームが、広州市に移動してエキシビションマッチを開催。王皓・王励勤・馬琳の「二王一馬」で形成された、世界団体戦1軍チームと、馬龍・陳杞・ハオ帥の2軍チームが激突した。なんとも豪華なエキシビションマッチに、会場には多くの観客が訪れた。
 世界選手権広州大会は5シングルスのスウェイスリング方式で行われるが、このエキシビションマッチは北京五輪団体戦と同様、4単1複の試合方式で行われた。結果は以下のとおり。

[国家一隊 3-0 国家二隊]
○馬琳 -7、12、9、-2、6 ハオ帥
○王励勤 7、8、-6、10 陳杞
○馬琳/王皓 -6、4、6、8 馬龍/陳杞

 トップの馬琳は1ゲームを先取され、第2ゲームも10-7から5度のゲームポイントを逃す苦しい展開ながら、幸運なネットインもあってこのゲームを奪取。馬琳のベンチには劉国梁、ハオ帥のベンチには1軍コーチの肖戦が入り、緊張感は実戦さながら。最終ゲームまでもつれ込んだが、最後は得意のスタートダッシュで8-2と引き離した馬琳の勝利。

 2番では北京五輪の自動出場枠から外れ、今回の集合訓練でもその仕上がりに注目が集まる現世界チャンピオン・王励勤が登場。陳杞の速攻に出足は苦しみながら、持ち味である安定感のあるプレーで2ゲーム先取。陳杞がサービスを変えてきた第3ゲームは落としたが、シーソーゲームとなった第4ゲームは10-10から2点連取で勝負をつけた。「王励勤の状態は先週あたりからかなり良くなってきている(劉国梁監督)」

 3番ダブルスは馬琳/王皓と馬龍/陳杞の対戦。もう後がない2軍チームの馬龍/陳杞が積極的なフォア攻撃で第1ゲーム9-3とスタートダッシュに成功するが、見せ場もここまで。第4ゲームは3-6から9-6と逆転した馬琳/王皓が勝利を決め、3-0で1軍チームがストレート勝ち。2軍チームでも世界団体戦で十分に優勝できそうなメンバーだが、さすがに貫禄の勝利だ。

 昨日の30日には、中山市で集合訓練を行っている女子チームもエキシビションマッチを開催したとのこと。こちらの試合の結果もお伝えします。

Photo:王励勤、広州大会で改めてその存在感を見せつけるのか
Photo:馬琳/王皓はともに呉敬平コーチの門下生。五輪本番でもこのダブルスを組む可能性が高い
 全身をフルに使ったフォアドライブを武器に、99年ITTFプロツアー・グランドファイナル優勝などの成績を収めた劉国正。01年世界選手権・韓国戦ラストの大逆転勝利で、「民族の英雄」と称賛された彼は、今回の集合訓練から「コーチ実習生」としてチームに帯同している。

 劉国正は05年12月に練習中に右ひざ(膝蓋骨)を骨折。一度目の手術が失敗に終わったこともあり、ブランクは1年半にも及んだ。昨年6月の超級リーグ開幕戦で久々にファンの前に姿を見せたが、右ひざの状態も完治には至らず、超級リーグでの出場機会は少なかった。国家チーム内でも若手が台頭しつつあるため、昨年の全中国選手権を最後に引退を決意したようだ。

 北京五輪の後に行われる国家チームのコーチ選考会で選出されれば、正式に国家チームのコーチに任命される劉国正。今回の集合訓練では、男子チームの呉敬平コーチの補佐として、馬琳と王皓の指導に当たっている。馬琳とは同じ仙頭市卓球学校の出身で、国家チームにも同時に選出されたチームメイトだが、国家チーム内の新旧交代は容赦なく繰り返されていく。

 昨年の全中国選手権を最後に引退した孔令輝に続き、今年も中国男子チームの屋台骨を支えたひとりの名選手がユニフォームを脱ぐ。世界選手権・オリンピックではついに個人戦のタイトルを獲得できなかった。精神力の強さは誰もが認めるところだが、身体への負担の大きいプレースタイルで、万全の状態でプレーできる大会は少なかった。
 プレーヤーとして最後の光芒を放ったのは、05年世界選手権上海大会・シングルス4回戦でボル(ドイツ)を大逆転で破った試合か。丸っこい体つきとなんとも愛嬌のあるルックス、ゴムまりのようにコートを駆け回り、豪快なフォアドライブと渾身のガッツポーズ。記録よりも記憶に残る典型のようなこの選手は、そのチームスピリッツを若手選手に注入するべく、コーチとしての道を歩みはじめている。

Photo上:上海大会でボルを破り、観衆の大歓声を浴びる劉国正
Photo下:05年10月の全中国運動会での劉国正。右ひざの大ケガに見舞われたのはこの2カ月後だった
 中国選手のバースディ&出身地、女子編です。現在のところ調査中の選手も多く、確実に分かっている選手のみ掲載します。

〈女子〉
邱鐘恵  1935.12.22  雲南省騰冲県出身

曹燕華  1962.12.01  上海市出身
李恵芬  1963.10.14  河北省石家庄市出身
何智麗  1964.09.30  上海市出身
陳静   1968.09.20  湖北省武漢市出身
喬紅   1968.11.21  湖北省武漢市出身
劉偉   1969.10.27  山東省聊城市出身

トウ亜萍 1973.02.06  河南省鄭州市出身
李菊   1976.01.22  江蘇省南通市出身
楊影   1977.07.13  江蘇省徐州市出身
王楠   1978.10.23  遼寧省撫順市出身

孫晋   1980.03.13  江蘇省南通市出身
牛剣鋒  1981.04.03  河北省保定市出身
郭炎   1982.06.24  北京市出身
張怡寧  1982.10.05  北京市出身
饒静文  1985.03.26  湖北省武漢市出身
李暁霞  1988.01.16  遼寧省鞍山市出身
郭躍   1988.07.17  遼寧省鞍山市出身
姚彦   1988.08.22  浙江省出身
丁寧   1990.06.20  黒龍江省大慶市出身
劉詩ブン 1991.04.12  遼寧省撫順市出身

★部分的に分かっている選手
葛新愛  1953年生まれ   河南省長垣県出身
張徳英  1953年生まれ   上海市出身
童玲   1962年生まれ   四川省自貢市出身
焦志敏  1963年6月生まれ  黒龍江省伊春市出身
陳子荷  1968年2月生まれ  福建省出身

 ここまで選手たちの生年月日を紹介してきたが、…実は中国選手の誕生日はあまり「当てにならない」。若い選手たちの間では、自らの将来性をアピールするため、実際よりも生年月日を若く公表するケースがあるようだ。ルックスはともかくとして、「あの子、実は○○歳らしいよ」と囁(ささや)かれる、まるでグラビアアイドルの世界だ。

 また、全中国運動会や城市運動会の選手名簿を見ると、1月1日生まれの選手が妙に多いことに気づく。どうも「月日がわからないから、とりあえず元日を誕生日にしてしまおう」ということらしい。
 2001年世界選手権大阪大会の直前特集号『卓球世界戦 ~OSAKA2001』を作成する際、筆者は世界のトップ選手のプロフィールを必死で調べたことがある。当時、売り出し中だった張怡寧の誕生日は、ITTFのホームページでは「1982年1月1日」となっていた。「さすが天才は誕生日まで違う!」と妙に納得した筆者は、その大会で2位に入った林菱の誕生日もまた「1月1日」だったにも関わらず、彼女の誕生日を1月1日のままでスルーしてしまった。そして、張怡寧は『卓球世界戦』に元旦生まれのめでたい女の子として掲載されてしまったのである。
 のちに彼女の誕生日は、上記のとおり10月5日であることを知った。若き日の苦い記憶です。

Photo上:両ハンドのカミソリドライブで活躍した李菊。1週間前に32歳になった彼女、現在では江蘇李菊体育用品有限公司の女社長だ
Photo下:『卓球世界戦』をお持ちの方は、張怡寧の誕生日を確認してみて下さい…