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速報・現地リポート

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世界選手権横浜大会(個人戦)

●女子ダブルス決勝
郭躍/李暁霞(中国) 8、10、4、-3、7 郭炎/丁寧(中国)

郭躍/李暁霞が抜群のコンビネーションを見せ、大会を通じて2ゲームしか落とさない強さで初優勝を飾った。ともに両ハンドで決定打を放つことができるが、勝負どころでは抜群の読みから、相手の強打を狙いすましたフォアのカウンタードライブを連発。「史上最強の女子ダブルスか?」と思わせるほど群を抜いた強さだった。
郭炎/丁寧も、一昨年のシーズンまで超級リーグの北京首創でペアを組み、チームの2連覇に貢献した強豪ペア。準決勝の韓国のカットペアとの苦しい戦いを辛くも乗り切ったが、郭躍/李暁霞の圧倒的な攻撃力の前に屈した。
●男子シングルス準決勝 
王励勤(中国) 5、-12、9、-7、9、-6、6 馬琳(中国)

王励勤が宿命のライバル対決を制し、3連覇へ王手をかけた。試合内容はまったくの五分。王励勤は試合中盤まで得意のフォアドライブにミスが多く、馬琳とのフォア対フォアの打ち合いで優位に立てなかった。しかし、迎えた第7ゲームで馬琳のロビングをしっかり打ち抜くと、往年のカウンタードライブの切れ味が蘇り、6-6から一気に突き放して試合を決めた。
国内選考会では自力で代表権を獲得できなかった王励勤。しかし、まだまだ死んではいなかった。一方、北京五輪金メダリストの馬琳は、またも王励勤の前に優勝の夢を断たれた。果たして2年後のロッテルダム大会まで、現役でプレーできるだろうか?

■高島の眼 王励勤vs馬琳
馬琳は第1ゲーム、バックサイドから横回転を入れたフォアカットでしのいで得点し、3-1でリードした。しかし、この好プレーでやや気が緩んだのか、そこから王励勤が得意のバックストレートへのパワードライブを決めると、そのまま7点連取。結局王励勤が11-5で第1ゲームを取った。
 そして、ゲームカウント3-3で迎えた第7ゲームでは、出足で王励勤にフォアのイージーミスが出て、馬琳が3-1でリード。しかし、ここから王励勤は落ち着いてバックドライブで得点して追いつくと、6-6から得意のフォアハンド主体のプレーに作戦を切り替え、自分のすべてを注ぎ込んで試合を決めた。しかし、試合は一進一退で、どちらに転んでもおかしくなかった。第1ゲームの出足で一気にリードを広げ、このゲームを奪えなかったのが、馬琳にとっては最後まで響いた。

★王励勤の試合後のコメント
「お互いに苦しんだ試合だった。戦術的には、最初から最後まで強気でプレーした。普段の練習とトレーニングをきちんとやってきたので自信はあったし、勝ちたいという勝利への意欲を持ち、最後まであきらめなかった。7ゲーム目の1-3とリードされた時に、思い切りやろうと開き直ったのが良かった。
 決勝は、ここまで来たら技術、戦術ではなく、自信を持つことしかない。積極的にプレーすることを明日も心がけたい。自分のプレーはまだまだ上に行ける余地があると思っている。オリンピック前後から調子は良くなかったし、ぼくに対して疑問視する声も聞こえてきた。ただ、この1ヶ月間、特に大会前の合宿で練習して回復してきたし、大きな大会で優勝してきた経験が役に立ったし、自分を信じてプレーしたのが良かった」


★馬琳の試合後のコメント
「今の試合は悪い内容じゃなかった。お互いが知り尽くしている相手なので、少しでも油断したら逆転されてしまう。ただ体力がこんなに消耗するとは予想してなかった。松平、朱世赫との試合が激しかったからかもしれない。
 オリンピックが終わって、この半年間あまり良い感触がなかったが、大会前の10日間で合宿をやりながら調子が戻ってきた。グルー禁止後の影響は特にはない。(世界タイトルが取れない?)こればかりは願っても獲れるものではない。ただオリンピックのほうがメダルの重みはあるんじゃないか。
 敗因は、体力的に落ちた点と、リードした時にもっと細かく戦術を変えるべきだった点だろう。これからも世界タイトル自信はあるよ」

王励勤(中国) 5、-12、9、-7、9、-6 馬琳(中国)

ただいま最終ゲームの1-1!
果たしてその結末は!?
●男子シングルス準決勝 第一試合
王皓(中国) 10、8、-10、9、9 馬龍(中国)

王皓が馬龍を下し、初の決勝進出。
初出場の03年パリ大会では陳衛星(オーストリア)、05年上海大会ではメイス(デンマーク)に足下をすくわれ、前回のザグレブ大会では準決勝で馬琳に惜敗。その実力を高く評価されながら、ビッグタイトルには未だ無縁の世界ランキング1位が、悲願のビッグタイトルまであとひとつとした。

■高島の眼 王皓vs馬龍
第1・2ゲームは、王皓の裏面ドライブに対し、馬琳がフォアで回り込んでも差し込まれて詰まってしまい、王皓にカウンターで狙われていた。第3ゲームになると、馬龍が無理に回り込まずバックハンドで返球するようになり、そのバックハンドからフォアハンドへのコンビネーションでこのゲームを取り返した。
そして第4ゲーム、王皓は出足やや力んだのかミスが多く、1-6と離されたが、ここで一本すばらしいフォアドライブが入った。このスーパープレーで流れが変わり、王皓は両ハンドからパワードライブを連発して、11-9と逆転。大きく勝利を引き寄せた。
世界のトップ選手は、自分を良い流れへ引き戻すミラクルショットが打てる。「針で一点急所を突く」というプレーでチェンジペースができるのだ。今大会の王皓には穴がない。裏面でカウンターの連打ができ、無理なくフォアハンドへつなげることができている。
●女子シングルス準決勝
郭躍(中国) 8、5、-10、5、9 李暁霞(中国)

■高島の眼 李暁霞vs.郭躍

郭躍はそれほど調子は良くなかったが、打球タイミングが郭躍のほうが早く、李暁霞は打球タイミングがやや遅れていた。第3ゲームは一発で狙うのではなく、粘りのラリーで競り勝ったものの、試合の流れは終始郭躍だった。
 李暁霞は郭躍に比べて打球点が落ち、ラリー戦で押されてしまうため、「一発で決めよう」と無理に強打に行ったボールにミスが出たのだろう。李にバックで振り回して得点する、というくらいの気持ちの余裕があれば、試合展開は変わっていたはずだ。
 郭躍は決勝で張怡寧と対戦する。張怡寧の今日のプレーはほぼ完璧だった。郭躍が勝機を見いだすとしたら、いかに早いタイミングで張のフォアに持って行けるかがポイントになるだろう。

●女子シングルス準決勝
張怡寧(中国) 8、8、6、-8、-10、8 劉詩ウェン(中国)

■高島の眼 張怡寧vs劉詩ウェン

1ゲーム目の出足から、張怡寧はバック対バックで振り回す作戦、劉詩ウェンはフォアで動いて、フォアで振り回す作戦、というように作戦が徹底していた。張怡寧が固いバックハンドで7-0とスタートダッシュをかけたが、劉詩ウェンも徐々に対応し、質の高いラリー戦は見応えがあった。
2ゲーム目も、フォアで連打できれば劉、バック対バックなら張という展開。フォアハンドの調子がやや良くなかった張は台の中央に構え、バック対バックで勝負しながら、フォアに来たボールは一発で狙う。劉は壁のような張の両ハンドの前にペースをつかめず、3ゲームを連取された。
 しかし、劉もここからフォアハンドとバックハンドのコンビネーションで応戦し、2ゲームを良く取り返した。第6ゲームは終盤の大事な場面でフォア強打にミスが出たが、ラリー戦では分が悪いので「一発で決めよう」という意識が強くなってしまったのだろう。敗れたものの、大きいスイングながら連続で強打することができ、ラリー戦ならば互角の内容だった。将来世界チャンピオンになるだけのポテンシャルはある選手だ。
★岸川聖也
「中国選手とやった時には1ゲーム目は絶対取りたいという思いがいつもあって、2ゲーム目を7-3でリードしていたのに、逆転で取られてしまった。こちらは焦ってしまったし、相手には余裕をもたれたので厳しかった。2ゲーム目の出足で、台上のボールを強気でフリックして何本かリードしたけど、そこからはこちらも強気でいけなかったし、相手もそうさせてくれなかったのが敗因。
 ぼくたちの得意なラリー戦に持っていけば良い勝負ができると思っていたけど、ラリー戦に行くまでにこっちがあちらのボールを止めれなかったし、ラリー戦になってもボールの質が高くて、威力があってラリー戦でも勝てなかった」

水谷「今日の試合は完敗だった。何をしても相手のほうが一枚、二枚上だった。こちらが良いボールを打っても、相手はさらに良いボールを打ってくるという展開だった。リードした時にサービスを変えたけど、それが裏目に出てしまった。中国選手のサービスは二人とも90%くらいがナックルでシンプル。レシーブミスは少なかったけど、単調になってしまった。
 今の段階では勝機はない。もう一度最初から戦い方を確認したいし、相手の得点パターンを研究したい。馬龍は2年前と比べても急成長しているし、今の中国の中でも一番強いと思っているし、世界チャンピオンになるような選手。ぼく自身、この2年間で成長してきたと思うけど、まだ中国選手には及ばないし、韓国やドイツの選手にも勝ったり負けたりなので、これから20歳になって、スポーツ選手として良い時期なので、これから2年間でもっと強くなりたい」


宮崎義仁・男子監督「前回は馬龍とハオ帥がダブルスを組んで、今回は馬龍と許シンが組んでいて、研究して作戦を考えたが、1,2ゲーム目の出足では戦術的には間違っていなかった。ただ一つひとつの技術が回転やコースが厳しかった。日本の二人は技術的にも精神的にも追い込まれた。
 現段階で中国との差は詰まっていない。このままでは差は縮まらないので、練習を見直さなければいけない。今のままでは難しい」

●男子ダブルス準決勝
馬龍/許シン(中国) 6、8、3、5 岸川/水谷

 岸川/水谷ペアの頂点を目指した戦いは、馬龍/許シンの攻撃力の攻撃力に圧倒された。
 第3ゲームまでは、序盤で日本ペアが先行。特に第2ゲームは水谷の逆モーションの流しフリックが決まり、4-0とリードした。しかし、中盤からは台上の甘さを中国ペアに突かれ、連続失点を食い止められない。昨日の準々決勝では勝負所でドライブを決めた岸川に積極性が見られず、フォアのカウンターも決まらず。試合終盤は中国ペアがエンジン全開になり、第4ゲームも5-7から4連続失点。最後は許シンの回り込みシュートドライブがコートを駆け抜け、ゲームセット。
 これで日本選手の戦いはすべて終了。中国の壁を砕くことはできなかった岸川/水谷だったが、地元開催のプレッシャーの中、見事メダルを獲得した戦いぶりはすばらしかった。大きな拍手を送りたい。

■高島の眼 「作戦変更が必要だった日本ペア」

第1ゲームは出足で水谷の台上バックハンドなどが効き、リードを奪ったが、馬龍にキレのあるバックドライブを2本決められ、中国ペアにペースをつかまれた。岸川/水谷は岸川が丁寧に行き過ぎて、台上処理が中途半端なところを狙われ、8連続失点を喫した。
第2ゲームは水谷が積極的な台上の流し強打などを決め、4-0でリードしたが、中盤からやはり7連続失点。岸川/水谷ペアは、昨日の準々決勝で功を奏した「岸川がつなぎ、水谷が攻める」というパターンに固執しすぎた感があった。
第3ゲームになると中国ペアに完全にコースを読まれるようになり、ラリー戦でも先手が取れなくなった。水谷が無理に強打にいっても、レシーブが弱いと球威に押されて無理打ちになり、ミスが出てしまった。
第4ゲームも岸川の調子は最後まで上がらず、開き直ることができなかった。試合全体を通じて大事に行き過ぎ、ソフトに入れにいったところを中国ペアに狙い打ちされた。

 試合全体を通じて、岸川/水谷ペアに作戦変更がなく、同じプレーに終始したのは残念だ。ベンチからも大胆な作戦変更の指示を出していくべきだった。これは世界戦の準決勝という舞台。ふたりとも高い技術を持っているのだから、自分の持っている引き出しをすべて出して戦えば、結果は違っていたはずだ。
高島の眼 郭炎/丁寧 vs 金キョン娥/朴美英

 金はフォアのカットをしっかり切るタイプだが、左利きの丁寧のボールに合わず、浮いてしまう。強いボールには合うが、前後に揺さぶられ、ミドルを攻められるので厳しくなってしまう。また、ループドライブに対しても下がりすぎてしまい、狙っていけない。もっとレシーブからバックハンドで攻めればチャンスがあった。長いラリーにはなるが、カットの変化だけでは得点できない。序盤からもっとリスクをおかして攻めていけば、競ったときに相手は攻め手がなくなる。そこまで追い詰めないとダメだった
●女子ダブルス準決勝 
郭炎/丁寧(中国) 3、9、-12、10、10 金キョン娥/朴美英(韓国)