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全国高校選手権(インターハイ2018)

●男子ダブルス準々決勝
田中・加山(愛工大名電)3−0 浅利・重村(遊学館)
橋本・横谷(愛工大名電)3−0 月館・加藤(日大豊山)
田原・曽根(愛工大名電)3−1 加賀美・高須(愛工大名電)
中橋・星(鶴岡東)3−1 西・岸田(上宮)

名電勢が勝ち上がる中、孤軍奮闘しているのは中橋・星の鶴岡東だ。
前陣でのバックにミスがなく、少しでも甘いボールが来れば、フォアで叩き込んでいく鶴岡東ペア。
戸上・宮川とのスピード対決に勝利した西・岸田でさえ止めることはできなかった。

学校対抗を前にはずみをつけたい。鶴岡東が準決勝で名電ペアに挑む。
  • 田中・加山は完璧な試合で勝ち上がる

  • 橋本・横谷は強気の攻めでストレート勝ち

  • 同士討ちに勝利した田原・曽根。攻めが鋭いふたりだ

  • このバックスイングからとてつもないフォアを打つ中橋・星

●女子ダブルス4回戦(ベスト8決定)
大島・野村(愛み大瑞穂) 3−0 萱嶋・河野(明誠)
白神・日口(白子) 3−0 佐藤・工藤(五所川原商業)
里川・船場(明徳義塾) 3−2 宮崎・高橋(四天王寺)
青木・小畑美月(横浜隼人) 3−2 千葉・平川(遊学館)
出雲・相馬(遊学館) 3−0 桑原・川北(正智深谷)
後木・杉渕(駒大苫小牧) 3−2 板花・中田(愛み大瑞穂)
永道・稲吉(希望が丘) 3−0 青木・吉田(福井商業)
浅井・原田(桜丘) 3−0 高田・岡田(明徳義塾)

女子ダブルス4回戦の結果は上記のとおり。なんとベスト8に進出した8ペアは、いずれも違う高校のペア。愛工大名電がベスト8に4ペア入った男子とは違い、群雄割拠の状況を呈している。

ここでの波乱は、学校対抗でもダブルスに起用されている四天王寺の宮崎・高橋が、明徳義塾の里川・船場に敗れたこと。四天王寺勢はベスト8を前に姿を消した。
  • 四天王寺ペアを破った瞬間の明徳ペア

  • ベンチの佐藤利香監督のもとへ笑顔で駆け寄った

  • 白子の白神・日口ペア。右ペン表の白神(左)は昨年も女子複3位

●男子ダブルス4回戦
田中・加山(愛工大名電)3−0 近藤・渡辺(明豊)
浅利・重村(遊学館)3−2 岩本・神野(明徳義塾)
橋本・横谷(愛工大名電)3−1 深沢・岡田(浜松修学舎)
月館・加藤(日大豊山)3−1 田村・山下(杜若)
加賀美・高須(愛工大名電)3−1 六本木・森下(東山)
田原・曽根(愛工大名電)3−2 相沢・福原(埼玉栄)
中橋・星(鶴岡東)3−1 手塚・稲木(静岡学園)
西・岸田(上宮)3−2 戸上・宮川(野田学園)

ベスト8に名電が4つ。さすがの強さを見せつけている。
そして、戸上・宮川の野田学園ペアは西・岸田(上宮)とのレベルの高い打ち合いに敗れた。
4回戦が終わり、休みなく準々決勝が行われる。体力はもちろん集中力の勝負になるだろう。
  • 4つの名電ペアが勝ち進む

  • 西・岸田は気迫の勝利。メダルのチャンスを掴んだ

学校対抗準々決勝で鶴岡東が野田学園に勝利。
波乱と表現するには失礼なほど、鶴岡東は強かった。
一時期はオールフォアの鶴岡東を呼ばれたが、今大会は印象が違った。
バックのうまさと固さがあり、むしろどの校よりもオールラウンドタイプの選手に仕上がっている。加えて、持ち前の一撃のフォアの強さは活きているので、打ち合いにも強い。

以前はフォアに自信があるゆえに、無理をして回り込んで、逆に不利な展開を呼び込んでしまったが、杉野森監督の改革により、鶴岡東は変わった。

バック技術が向上したことでフォアの打球点が早くなり、得点率も上がっている。がむしゃらにフォアを打つのではなく、決まるフォアを打つ。
特に中橋のフォアは今大会随一の一級品、2番手の星もとてつもないフォアを打つ。

他校が両ハンドをバランス良く強化する中で、バランス+必殺のフォアを持っている鶴岡東。

選手たちの体は強く、集中力も高い。よく鍛えているという印象だ。
準決勝の相手は昨年2位の遊学館。こちらもパワーのある選手ばかりだ。

肉弾戦となる準決勝、見逃せないカードだ。
  • 中橋のフォアはシニアクラス

  • 長身の星のパワーも凄まじい

  • 野田学園越えを果たし、次は遊学館へ挑む

  • 遊学館のエース・川村が立ちはだかる

 インターハイを取材中の編集部タローは、結構な「苗字フェチ」。スーパーやコンビニで珍しい名札をつけている人がいると、どうしても気になってしまいます。

 男子シングルス1回戦で、その「苗字センサー」をビシビシ刺激したふたりの選手。ひとりは兵庫・滝川第二高の鶴亀蓮太郎(つるかめ・れんたろう)選手。何という縁起の良い名前。滝川第二、ベスト4躍進の陰にはこの選手あり、か。シングルスでは見事に1回戦を突破。

 もうひとりは名前と苗字の合わせ技、鹿児島・れいめいの指宿岬(いぶすき・みさき)選手。実に旅情にあふれてます。躍動的なフットワークで、フォアのパワードライブを連発するサウスポー。中陣でも懸命な粘りを見せていました。
  • 兵庫・滝川第二の鶴亀蓮太郎選手

  • 鹿児島・れいめいの指宿岬選手

大会第3日目の8月6日は、男女シングルス1回戦からスタート。この後、男女ダブルスが4回戦から決勝まで、一気に4ラウンド進み、最後に男女学校対抗の準決勝が控えている。

男女シングルスでは、各県の厳しい予選を勝ち抜いたヒーローたちが熱いプレーを見せている。王国取材班チョイスで、プレーが光った選手をご紹介しましょう。
  • 鳥取・米子高専の柳原武司。小気味良いバック強打を決めて、うれしい1回戦突破

  • 青森・東奥学園の葛西良偉(らい)。ラケットは中国式だが、伝統のペンドラ

  • こちらもペン、熊本・開新の石崎瑞貴。県予選の慶誠戦ラストで勝利した殊勲者

  • リストバンドに「絆」の文字。根性の連打を見せる滋賀・近江の三ヶ山優斗

  • 千葉・木更津総合の洞毛瑠香は、学校対抗でも活躍。安定したドライブ連打を見せる

  • 秋田の進学校・秋田高の眞坂樹。進学校で平日1時間半の練習ながら、全国の舞台へ

「相手はどれだけリードしようと、1本も気を抜かなかった。選抜のような試合をしようとしたが、力がなかったですね」と準々決勝後に東山の宮木監督は語った。
愛工大名電は3回戦で慶誠相手にダブルスを落としたことで喝を入れられたか。
やや不安定だった田中・加山のダブルスは別人のように強固となり、東山にストレート勝ち。緩んでいたほんの少しの隙がなくなったように思える。

1年生の曽根は慶誠、東山戦では前半に出場。競った場面もあったが、自分の間合いを崩さず、難敵に勝利。やや緊張していたが、ゲームの中で持ち直す力はさすがだった。それまで後半に控えていた曽根だが、決勝で戦うことを想定したオーダーだろう。実力以上に場慣れは大きい。

地元でのインターハイでの優勝は、愛工大名電にとって至上命題。
準決勝の相手は今大会絶好調の滝川第二だ。圧倒的有利の中で、一分の隙を見せるか、叩き潰しにいくか。準決勝の戦いぶりで決勝の行方もみえてくる。
  • キーマンになる曽根

  • 東山の田仲の独特なタイミングに惑わされず、勝利をあげた

  • エース対決を制した田中もエンジン全開

  • 大旋風を起こしている滝川第二。勢いを止めずにぶつかりたい

 女子学校対抗の準々決勝、大会5連覇中の四天王寺は、希望が丘戦2番で期待の新人・本井が敗れ、今大会初の失点を喫した。2台進行で記録には残らないが、5番では希望が丘高の石田眞行監督も「カット打ちができる」と信頼を寄せる藤森が、四天王寺のチョッパー大川に対し、接戦を展開していた。ヒヤリとする場面だったが、4番宮崎はバック対バックでの揺さぶりに対する強さを見せ、永道にストレート勝ちを収めた。

 「四天王寺の宮崎翔ちゃんは小学生の頃は熊本で、永道は小さい頃はずっと勝っていた。それは精神的に大きいだろうと話はしたんですけど、今日はちょっと出来が悪かったですね。九州大会で優勝した時はすごく攻めていて良かったけれど、今日はレシーブが下がり気味で、ちょっとプレッシャーをかけ過ぎた部分があったかもしれない」(希望が丘・石田眞行監督)。

 これで四天王寺は、1995〜2000年に記録した6連覇に並ぶ、6大会連続優勝まであとふたつとした。武田明子、小西杏、藤井寛子、藤沼亜衣など多くの日本代表を輩出した前回の6連覇に比べれば、強烈な個性を備えたスター選手はいない。しかし、どの選手のプレーからも感じられるのは、圧倒的な練習量。「両ハンドのラリー戦なら、先にミスするのは相手だ」という絶対的な自信を感じさせる。鍛え込まれた強さは健在だ。

 トップを任されているエース塩見に加え、宮崎が変化のある投げ上げサービスからの威力ある攻撃で、単複2点獲りが見込める存在になっている。宮崎を支えるダブルス巧者、左腕・高橋の渋い働きも光る。

 女子学校対抗準決勝の対戦カードは、四天王寺対愛み大瑞穂、遊学館対明徳義塾。プロ集団のごとく、各選手が任務を遂行していく四天王寺と、エースの野村をはじめ、どの選手もコートやベンチで笑顔が弾ける愛み大瑞穂。両校の対戦は興味深い。エース・出雲とスーパー1年生・相馬を擁する遊学館に、団体戦に燃える軍団・明徳義塾が挑む一戦も楽しみだ。
  • 希望が丘戦でチームの勝利を決めた宮崎

  • 宮崎(右)/高橋のダブルスも確実な得点源

  • 遊学館の大型新人、カットの相馬は余裕すら感じさせるプレー

  • 夏に燃える集団・明徳は今年も確実に勝ち上がってきた

数ある写真の中から、ナイスフォトを抜粋し少しだけ紹介
さらに迫力のある写真は本誌に登場予定です
滝川第二、初のベスト4

3回戦の調子の波は途切れなかった。
上宮との試合は3−0のストレート勝ち。あっさりと同校初の表彰台を決めた。

愛工大名電、野田学園、遊学館、鶴岡東、東山など、メダル&ベスト8常連校と言われる一角とは対戦していない。
しかし、希望が丘を倒してきた新潟産大附に競り勝ち、その勢いをしっかりと持続。

「ラッキーだよ」と滝川第二の松尾監督は笑う。
稲垣と橋田の単複、鶴亀のバック表での攻守、絶対的エースはいないが、ひとりひとりが伸び伸びと自分のプレーをし、ベンチは全力で応援する。
エースに頼らないからこそ、全員が自分が点を取るんだ!という気迫がある。

インターハイという大きな舞台は、彼らを成長させた。

「うちは全然実力がないんだ。でも失うものもない」(松尾監督)。
少しでもメダルという欲がちらついてしまったら、結果は変わっていたかもしれない。
敗れた上宮の小林監督は「よくやっている相手だから勝てるんじゃないかという受け身の気持ちになってしまった。内容は悪くなかったが、最後の1、2点を取れない。普段私たちが知ってる滝川第二より強かったですよ」

心の動きでプレーは変わる。高校生ならなおさらだ。
しっかり引き締め、メダルを決めても浮かれない。そこに滝川第二の強さを見た。
  • 見事な手腕で選手を導いた松尾監督

  • この勢いはどこまで続く!?