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欧州リポート

トップニュース欧州リポート
 現在世界ランキング37位、2015年世界選手権女子シングルスでベスト16に入るなど、スウェーデン女子のエースとして活躍してきたマティルダ・エクホルムが引退を発表。ITTF(国際卓球連盟)のホームページでコメントを発表した。

 引退に関しては、明確な理由はなく様々な要素があった上で「徐々にそうした気持ちが出てきた」とのこと。そのひとつにプラスチックボールへの移行をあげ「回転を重視した私のスタイルでは、プラボールでは不利になる。それを補うためには、さらにトレーニングを積む必要があり、それは私の年齢(38歳)では難しいと感じた」とコメント。また「選手としてでなくても、スポーツに貢献することはできる」と感じ始めたことも引退を決断した理由のひとつだという。

 スウェーデン・リンショーピングで生まれたエクホルムは兄の影響で卓球を始めた。13歳までは卓球のほかにサッカーもしており、卓球の練習は「週2、3回で1回1時間ほどだった」と以前、弊誌のインタビューで語っている。ナショナルチームに入ったのは18歳の頃で、相当に遅いケース。しかしそこから頭角を表し、スウェーデン女子のエースに登り詰め、2017年4月には20位まで世界ランキングをあげた。
 長身を活かし、女子選手にしては珍しくロビングも交えた中陣・後陣からの両ハンドドライブを武器にした男性的なスタイルのエクホルム。これは誰かに指示されたわけなくプレーする中でナチュラルにたどり着いたスタイルだったという。また、10代から20代前半まで男子選手と練習することが多かったことも、ひとつの要因だったと分析した。

 そしてエクホルムと言えば、出場資格を獲得しながらも2度オリンピック出場を逃した「悲劇のヒロイン」。2008年北京、2012年ロンドンと2大会続けて予選を通過しながらも、スウェーデン五輪委員会から「世界でベスト8に相当する実力」という派遣基準を満たしていない、「年齢的に将来性を見込めない」などの理由で出場を承認されず。ロンドン五輪の際は、世界最終予選で優勝しながらも涙を飲んだ。
 落胆するエクホルムを支えたのは、スウェーデン卓球協会や周囲の人々だった。ロンドン五輪の際には、ITTFがエクホルムを会場に招待。こうしたサポートに対し「私が前を向いてプレーするために重要なサポートだった」とエクホルムは感謝を述べた。そして2016年リオ五輪でエクホルムはついに五輪の舞台に立つ。3回戦で田志希(韓国)に敗れたが、「リオでのプレーは素晴らしかった」と北京五輪から8年、34歳でつかんだ初の五輪を振り返った。
 「印象に残るゲームは?」というITTFからの質問に対しては自己最高のベスト16まで勝ち上がった2015年の世界選手権個人戦、地元・スウェーデンで開催された2018年の世界選手権団体戦をあげた。特に2018年大会ではグループリーグで全勝、シンガポール戦では相手エースの馮天薇を下すなど「ハルムスタッドでのパフォーマンスは一番印象深い」と述べている。

 また、「これまで対戦した中で強いと感じた選手は?」という質問にも答えており、「1ゲームで6点以上取ったことがない」と陳夢(中国)をピックアップ。また、当時12歳の伊藤美誠(スターツ)に敗れたことを、「今では納得できるし、笑えるけど、当時はそうではなかった」と印象に残る選手のひとりにあげた。

 引退後は新型コロナウイルス感染症が収まれば、夏の終わりにパートナーの暮らすニューヨークへ移住し、今後どのように卓球に関わっていくかゆっくり考えたいとコメント。また、ハルムスタッド大学でスポーツ科学について学び、学位を取得することも楽しみだと言う。

 2度の悲劇を味わいながら、決して折れない不屈の魂で五輪の舞台に立ったエクホルム。偉大なオリンピアンのこれからに、幸多きことを。
  • リオ五輪でプレーするエクホルム

 数日前、ヨーロッパ卓球連合がホームページとフェイスブックで新型コロナウイルス影響下での選手の過ごし方を紹介している記事をお伝えしたが、その後も続々と選手の近況がアップされている。

 今シーズンはTリーグでプレーしたピッチフォード(イングランド)は自宅のあるノッティンガムに滞在中。「賢く時間を費やして、心身の健康を可能な限り保つ」ように過ごしている。現在は1日1回、屋外での運動が許可されているとのことで、森の中を走ったり、自宅にあるトレーニング器材で運動を行っているという。また、ETTUからの「新しい趣味は見つけましたか?」という質問には、ヨガを始めたとコメントしている。ピッチフォードのイングランド代表の同僚、ウォーカーは父親が地元クラブの体育館を管理しているそうで、タイミングが良ければ、コーチと特別に練習をすることが可能だという。ただ、フルタイムでの練習はできず、ウォーキングや自宅でのエクササイズで体調維持を行っているとのこと。
 ポルトガルのエース、フレイタスは3月11~15日に行われたITTFチャレンジプラス・オマーンオープンに出場するなど、各国の空港を経由し帰国したため、ポルトガルに到着後、検疫を受け、2週間の隔離生活を余儀なくされた。マデイラの自宅で暮らしているものの、感染の危険性を考慮して両親とは対面していないという。家から出られない状況でも、早寝早起き、よく食べて、室内でできる運動を行うなどして過ごしている。
 欧州女子世界ランキング最上位のポルカノバ(オーストリア)は散歩や買い物のために外出することもあるが、人と一定の距離を保つこと、混雑する場所は避けるように生活している。もちろん、フィットネスコーチから与えられたプログラムに沿ってのトレーニングにも励む。また、ピッチフォードと同様に、ヨガにも毎日取り組んでいるそうだ。また、ハンガリーのマダラシュは毎日のエクササイズのほか、ボードゲームとカードゲームを購入し、毎日のプログラムに取り入れている。これも試合での戦術を磨くひとつのトレーニング?

 そして今回も各選手のオススメ映画&ドラマ、書籍をピックアップ。ピッチフォードは前回紹介したシドレンコ(ロシア)と同じくファンタジー小説をドラマ化した「ゲーム・オブ・スローンズ」がお気に入り。ウォーカーはギャンググループを題材にしたドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」のほか、クエンティン・タランティーノ監督の「パルプ・フィクション」、希望の美しさを描いた「ショーシャンクの空に」、マーティン・スコセッシ監督の「カジノ」と90年代の名作映画もピックアップ。フレイタスは感染症の恐怖とパニックを描いた映画「コンテイジョン」を「今の状況化で見るべき」とレコメンドにあげた。
 ポルカノバのオススメはアメリカのコメディドラマ「フレンズ」。書籍ではアメリカの人気作家兼ブロガーのマーク・マンソンの作品が好み。デヌッテ(ルクセンブルク)は理論物理学者のスティーヴン・ホーキング博士と元妻を描いた映画「博士と彼女のセオリー」を推薦。

 先の見えない状況が続くが、こんな時だからこそ垣間見える、選手の意外な一面を楽しんでみるのも悪くない。
  • 帰国後、検疫&隔離を余儀なくされたフレイタス

 イタリアでは新型コロナウイルスによる死亡者が5000名を越えるなど、深刻さを増すヨーロッパ。佳境を迎えつつあったヨーロッパの各国内リーグも中断となり、自国を離れてプレーする選手もほとんどが故郷に帰国。外出を控えるように通達されている国家もあり、各選手とも自宅で長い時間を過ごす日々が続いている。

 卓球王国でも卓球元気ネットワーク(https://world-tt.com/blog/)にて日本トップ選手からのコメントなどを掲載中だが、ヨーロッパ卓球連合(ETTU)は各選手がどのように新型コロナウイルスの影響下で生活を送っているのか、練習できない時間をどのように過ごしているのかなどをホームページおよびフェイスブックで伝えている。

 まず、体が資本のアスリートだけあって各選手とも外出は極力控え、その中でも軽いランニングや室内、自宅でできるトレーニングに励んでいる。自宅に卓球台がある場合はそこで練習もできるが、大きく動き回れるスペースがある選手は少ないようで、多球練習やマシンを使った練習が多いようだ。オフチャロフ(ドイツ)は現在、妻と子どもとともに両親の家で生活しており、ガレージにある卓球台で元プロ選手の父・ミカエルさんに球出しをしてもらい、1日2度の練習を実施。
 スペインで暮らすガルドス(オーストリア)も自宅に卓球台があり、子どもたちの宿題のサポートや面倒を見る合間にサービス練習やマシンを使って1時間半ほどの練習を行っている。9歳、4歳、2カ月と3人の子どものパパであるガルドス。色々と不自由の多い生活だが、普段はワールドツアーにフランスリーグなど各地を飛び回って多忙な日々を送っているだけに、家族と過ごす時間をエンジョイしているとETTUのインタビューに対して語っている。
 卓球台がなくとも、ラリーを楽しんでいるのがルーマニアのスッチ兄妹。自宅のテーブルを卓球台に見立て、兄妹でラリーを楽しむ様子がフェイスブックにアップされている。

 とはいえ、限られた環境でのトレーニングだけでは1日は長過ぎるということで、趣味や勉強に時間を費やす選手も多い。Da.ハベソーン(オーストリア)は「この機会に」と新たな趣味として株式投資に挑戦しているそうだ。3月に開催されたヨーロッパU21選手権優勝のシドレンコ(ロシア)も修行中のドイツから家族の暮らすロシア・サンクトペテルブルクに帰省中。サンクトペテルブルクでは新型コロナ対策が強化されているということで、家からは極力出ないように生活しているとのこと。体調管理に注意しつつ、17歳ということもあってスカイプでの勉強に励んでいる。
 ヨーロッパトップ12で準優勝に輝いた21歳のヨルジッチ(スロベニア)はいくつかのエクササイズと外でのランニングでコンディション管理を行っているが、それ以外の時間はテレビゲームに熱中。ドイツのハン・インも旦那様と合間の時間に任天堂のゲームを楽しみ、ノスコワ(ロシア)はこの機会に新しいプレイステーションを購入。ギリシャ・アテネに住むギオニス(ギリシャ)はオンラインゲームだけでなく、実際に友人と会ってバックギャモン(ボードゲームの一種)も嗜む。
 
 選手たちの余暇の過ごし方でゲーム以上に多かったのがネットでの動画ストリーミングサービス「Netflix」での映画&ドラマ鑑賞。何人かの選手のオススメ作品を見ていこう。
 オフチャロフのオススメはアメリカのサスペンスドラマ「Messiah(メシア)」。奥様とは映画やドラマの好みがなかなか合わないそうだが、この作品はともに気に入ったそうだ。サマラ(ルーマニア)も家で過ごす時間の多くをNetflixで楽しんでおり、スペインの学園ドラマ「エリート」を見終え、アメリカの警察コメディドラマ「LUCIFER(ルシファー)」を視聴中とのこと。ヨルジッチは高校教師が家族のため、危険な副業に挑む「ブレイキング・バッド」がイチオシ。「ブレイキング・バッド」はDa.ハベソーンも推薦の作品に挙げた。ギオニスはアメリカの麻薬捜査官を描いた犯罪ドラマ「ナルコス」が再生リストのトップに。
 17歳のシドレンコは読書も好きとのことで「ゲーム・オブ・スローンズ」に「ハリーポッター」、「シャーロック」や「13の理由」などを小説で読んだ後に、Netflixでドラマ、映画化された作品を見るという。読書に関してはDa.ハベソーンもコメントしており、イギリスの理論物理学者、スティーヴン・ホーキング博士の著書「 Brief answers to the big questions(大きな質問に対する簡単な答え)」をオススメの1冊にピックアップ。人類や宇宙、神など壮大かつ難解な疑問にホーキング博士がわかりやすく答えるこの本は「ビッグ・クエスチョン〈人類の難問〉に答えよう」という書籍名で日本語版も発売されている。

 欧州のトッププレーヤーも日本と同様に満足な練習ができない状況が続くが、こんな時だからこその時間の使い方で再び始まる戦いに備えている。読者の皆様も彼ら彼女らの過ごし方を参考にしたり、オススメ作品を楽しんでみてはいかがだろうか?


●ヨーロッパ卓球連合HP
https://www.ettu.org/en/news/

●ヨーロッパ卓球連合facebook
https://www.facebook.com/ETTUofficial/
  • Da.ハベソーンは株式投資にトライ。読書のチョイスも素敵です

 ドイツ・ブンデスリーガは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月22日に行われる予定だったレギュラーシーズン最終戦となる第22節を開催しないことを発表。上位4チームによるプレーオフは行われる予定で、準決勝は4月17日以降で調整中、決勝は当初の予定どおり6月6日に開催される予定となっている。
 プレーオフを戦う4チームは第21節で決定済み。本来であれば最終戦で順位が決定し、準決勝の対戦カードが決まる予定だったが、第21節終了時点の順位が最終順位となり、1位のザールブリュッケンと4位のブレーメン、2位のボルシア・デュッセルドルフと3位のオクセンハウゼンの対戦に決まった。レギュラーシーズン1位のザールブリュッケンだが、ブレーメンには今シーズン0勝2敗とわずか4敗でシーズンを戦い抜いたザールブリュッケンにとっては天敵とも言える相手だ。ボルシア・デュッセルドルフとオクセンハウゼンは1勝1敗の五分となっている。
 レギュラーシーズンの打ち切りにともない、個人成績も確定。トップ10は下記のとおりだが、今シーズンからブンデスリーガに参戦した尚坤(中国)が1位。レギュラーシーズン1位のザールブリュッケンを牽引した。及川瑞基(専修大)は11勝7敗でワルサー(ドイツ)、イオネスク(ルーマニア)と並び15位だった。

【ドイツ・ブンデスリーガ個人成績】
1位:尚坤(ザールブリュッケン/中国):20勝4敗
2位:ボル(ボルシア・デュッセルドルフ/ドイツ):16勝0敗
3位:アポロニア(ノイ・ウルム/ポルトガル):21勝6敗
4位:ファルク(ブレーメン/スウェーデン):23勝10敗
5位:ディヤス(オクセンハウゼン/ポーランド):16勝5敗
6位:ドゥダ(ベルクノイシュタッド/ドイツ):20勝11敗
7位:ヨルジッチ(ザールブリュッケン/スロベニア):14勝5敗
7位:シェルベリ(ボルシア・デュッセルドルフ/スウェーデン):14勝5敗
9位:カルデラノ(オクセンハウゼン/ブラジル):11勝3敗
10位:ゴーズィ(オクセンハウゼン/フランス):15勝7敗


 また、最下位に終わったユーリッヒは金銭的な事情により、来シーズン1部でプレーするライセンス申請の撤回を発表。2020/2021シーズンは2部で戦うこととなる。2018/2019シーズンに1部に帰ってきたユーリッヒだったが、1年目は0勝20敗と勝ち星なしで最下位。2年目の今シーズンは第9節で初勝利をあげて、シーズン跨ぎの28連敗から脱出したが、この勝利を最後に勝ち星はなく1勝20敗でシーズン終了。2シーズンで1勝40敗と散々な成績で1部を去った。

 そのユーリッヒに変わり、来シーズン1部昇格が濃厚なのが2部のバート・ホンブルク。すでに1部で戦うためのライセンスを取得しており、2部でも10勝2敗2分けで首位と来シーズンの1部昇格は確実な状況だ。デサイ(インド)、シポシュ(ルーマニア)、カツマン(ロシア)、クルジツキ(ポーランド)、ホフマイヤー(ドイツ)と若手ばかりのラインナップで勝利を重ねているが、来シーズン1部で戦うには補強も必要となるだろう。
 新型コロナウイルス感染症の影響で各種大会の延期や中止の発表が相次ぐが、欧州各国の国内リーグは予定どおり開催中。とはいえ、決して平常運転というワケではなく、消毒や握手の自粛など、様々な対策を講じて佳境を迎えた2019/2020シーズンを戦っている。そんな欧州各国リーグの現状を数回に分けて紹介していく。

 今回紹介するのはフランスリーグ。1部は「プロA」と呼ばれ、10チームでタイトルを争う。かつて松下浩二や吉田海偉(東京アート)がプレーし、ここ数年でも丹羽孝希(スヴェンソン)や松平賢二(協和キリン)、田添健汰(木下グループ)もこのリーグに参戦。リーグ全体のレベルで言えばドイツ・ブンデスリーガには及ばないが、参戦選手の名前を見ても、地元フランス勢にヨーロッパの中堅どころ、中国系の選手も多く、ポーランド・スーパーリーグと並んで欧州ナンバー2と言えるレベルだろう。
 2013/2014、2015/2016シーズンにはフレイタス(フランス)、K.カールソン(スウェーデン)らを擁してポントワーズがヨーロッパチャンピオンズリーグを制覇。昨シーズンもアンジェがベスト4まで勝ち上がっている。

 そんなフランス・プロA、今シーズンは「伏兵」クラブの躍進が目立っている。現在、勝ち点32で首位に立っているのがルーアン。2016/2017シーズンに2部にあたる「プロB」を制してプロAに昇格。プロA1年目の2017/2018シーズンは5位、2018/2019シーズンは6位に終わっていたが、今季は第11節で敗れるまで開幕から10連勝。ベテランのガルドス(オーストリア)がエースとしてどっしり構え、A.ロビノ、アックズとフランスの若手2人が活躍。ペン表のカンテロ(スペイン)も6勝1敗と渋い輝きを放っている。
 2位はプロAに昇格して今季が6シーズン目のジュラ・モレ。2017/2018シーズンには3位になったが、プロAでの優勝はない。過去に中国代表でワールドツアーに出場した経験を持つ翟超を柱に、オラー(フィンランド)、スカチコフ(ロシア)が揃う。現在ルーアンとは勝ち点2の僅差で逆転優勝を狙う。3位のセント・デニスも勝ち点28でルーアンとは勝ち点4差で優勝のチャンスあり。セント・デニスは長くフランスリーグでプレーするイェレル(スウェーデン)が今シーズンから加入し、地元フランスのカシンとボウロッサも奮闘を見せている。

 一方、上位常連の強豪は今シーズン苦戦が続く。昨シーズンECLベスト4のアンジェもルンクイスト(スウェーデン)、ジェラルド(ポルトガル)の勝利数が思いのほか伸びず、Jon.パーソン(スウェーデン)が孤軍奮闘中で、セント・デニスと同率の3位。かつてのECL王者・ポントワーズは勝ち点25の5位。ルベッソン、フロールのフランス代表2人に、2013年世界選手権シングルスベスト16のマテネ(フランス)、元ヨーロッパ選手権2位のバウム(フランス)が揃うが、なかなか波に乗れない。
 4度のプロA優勝経験のあるエンヌボンも6位と低迷。ニュイティンク(ベルギー)、ウォーカー(イングランド)、Q.ロビノ(フランス)という代表クラスが並ぶも、5勝7敗と苦しんでいる。

 3月10日現在、全18節のうち各チーム13〜11節までを消化したプロA。シーズンは6月まで続くが、お隣イタリアでも新型コロナウイルスが猛威をふるっており、無事にシーズンを完走できるかは不透明。快進撃を見せる伏兵チームにとっては気が気でない状況だろう。
  • まだまだ強い41歳のガルドスがルーアンを引っ張る(写真は2019年チームワールドカップ)

 スウェーデン・エリートリーグは昨日の試合でレギュラーシーズン全日程を消化。英田理志(愛媛県競技力向上対策本部)の所属するエースレーブが1位でプレーオフに進出。神巧也(T.T彩たま)所属のソーダハムも3位に食い込み、プレーオフ進出を決めている。
 エースレーブはレギュラーシーズン14試合を戦って負け無しの14勝。今シーズンから加入した英田が個人成績で最多勝となる17勝2敗、T.T彩たまでもプレーしたモーレゴード(スウェーデン)が12勝0敗、他にもエチェキ(ハンガリー)が13勝3敗、コシバ(ハンガリー)が9勝と穴のない布陣で勝ち点41を積み重ねた。
 2位は勝ち点34のハルムスタッド。地元スウェーデンのラーネフール(15勝4敗)、オーケストロム(13勝4敗)、アルビドソン(11勝5敗)が活躍。イングランドの若手有望株、ジャーヴィスも10勝をあげた。
 神のほか、坪井勇磨(東京アート)もプレーしたソーダハムは勝ち点23で3位。神が11勝1敗と大車輪の活躍。しかし、ヨート(スウェーデン)が11勝8敗の成績を残したほかはなかなか勝ち星があげられず、2位のハルムスタッドとは勝ち点で差をつけられた。
 4位は勝ち点17のファルケンベリはタンビリヤベチャクル(タイ)、フランゼン(スウェーデン)、アン・シュー(中国)の3人がコンスタントに勝ち星を重ねてチームを引っ張った。
 
 個人成績トップ10は下記のとおり。他、オベシュロ(チェコ)が13勝10敗、タンビリヤベチャクルが12勝8敗の成績。2001年世界選手権団体戦の銅メダルメンバーである40歳・モリーン(スウェーデン)が12勝10敗の成績を上げている。

【2019/2020 スウェーデン・エリートリーグ個人成績】
1位:英田理志(エースレーブ):17勝2敗
2位:彭王維(ムンケダル/チャイニーズタイペイ):13勝0敗
3位:モーレゴード(エースレーブ/スウェーデン):12勝0敗
4位:ラーネフール(ハルムスタッド/スウェーデン):15勝4敗
5位:エチェキ(エースレーブ/ハンガリー):13勝3敗
6位:神巧也(ソーダハム):11勝1敗
7位:オーケストロム(ハルムスタッド/スウェーデン):13勝4敗
8位:コシバ(エースレーブ/ハンガリー):9勝1敗
9位:セダルンド(ムンケダル/スウェーデン):17勝10敗
10位:ヴォステス(シェーブリンゲ/ベルギー):12勝6敗

 プレーオフは準決勝が3月31日から、決勝が4月14日から開催される予定だ。
  • スウェーデンで3シーズン目、看板選手となった英田(写真は2020年全日本選手権)

  • 神はTリーグ、国際大会と掛け持ちのタフな環境で11勝(写真は2019年ジャパントップ12)

  • モーレゴードはレギュラーシーズン負け無し(写真はTリーグでのプレー時)

 ドイツ・ブンデスリーガは第21節が終了。プレーオフに進出する4チームが決定した。レギュラーシーズンは残り1節、第22節は本来ならば4月に開催予定だったが、世界選手権が延期となったため、3月23日に開催される。

【2019/2020 ドイツ・ブンデスリーガ】
<ノイ・ウルム 3-2 ユーリッヒ>
○アポロニア 10、-5、-10、1、9 コズル
 サリフ -12、-9、-4 クレイン○
○ツボイ 7、7、10 オーストワウダー
 サリフ 4、-11、-5、10、-7 コズル○
○アポロニア/ツボイ 7、7、3 R.デヴォス/オーストワウダー

<グリューンヴェッターズバッハ 3-2 グレンツァオ>
○チウ・ダン -11、6、-9、9、6 ジャー
○王熹 1、2、5 シュウィカート
 ラスムッセン -10、-4、-5 リンド○
 王熹 6、-4、9、-6、-11 ジャー○
○チウ・ダン/ラスムッセン 4、9、4 シュウィカート/リンド

<ブレーメン 3-0 フルダ・マーバーツェル>
○スッチ -4、11、8、6 フィルス
○ファルク 6、11、6 ムン・ファンボー
○ゲラシメンコ -3、-9、7、10、11 プツァル

<ザールブリュッケン 3-0 ケーニヒスホーフェン>
○尚坤 -10、6、8、5 及川
○ポランスキー -6、8、7、5 シュテガー
○ヨルジッチ 9、-5、6、7 ゼリコ
★及川瑞基通算成績:単11勝7敗/複1勝2敗

<ミュールハウゼン 3-2 ベルクノイシュタッド>
 Da.ハベソーン -6、-7、5、-5 ドリンコール○
 メンゲル 9、-8、-14、-11 ドゥダ○
○ヤンカリク -11、7、-11、2、4 ミノ
○イオネスク 5、-7、9、6 ドゥダ
○イオネスク/ヤンカリク 14、9、11 ドリンコール/ミノ

<ボルシア・デュッセルドルフ 3-2 オクセンハウゼン>
○ボル 6、-9、6、2 フェガール
 K.カールソン -9、-7、7、-9 カルデラノ○
 O.アサール 8、-7、-7、-7 ゴーズィ○
○ボル 4、-9、6、-9、3 カルデラノ
○ワルサー/K.カールソン 12、6、7 フェガール/ゴーズィ

◆順位表(第21節終了時点)
1位:ザールブリュッケン(17勝4敗)
2位:ボルシア・デュッセルドルフ(17勝4敗)
3位:オクセンハウゼン(15勝6敗)
4位:ブレーメン(15勝6敗)
~~~~~~プレーオフ進出~~~~~~
5位:ミュールハウゼン(13勝8敗)
6位:ベルクノイシュタッド(11勝10敗)
7位:グリュンヴェッターズバッハ(10勝11敗)
8位:ノイ・ウルム(9勝12敗)
9位:ケーニヒスホーフェン(9勝12敗)
10位:フルダ・マーバーツェル(6勝15敗)
11位:グレンツァオ(3勝18敗)
12位:ユーリッヒ(1勝20敗)

 ザールブリュッケン、ボルシア・デュッセルドルフ、オクセンハウゼンに続き、今節の勝利でブレーメンの4位以上が確定。プレーオフ進出4チームが決定した。残り1節を残し、1位のザールブリュッケンと2位のボルシア・デュッセルドルフ、3位のオクセンハウゼンと4位のブレーメンが並んでおり、プレーオフ準決勝の対戦カード決定は最終節に委ねられた。
 
  • ゲラシメンコの勝利でブレーメンがプレーオフを決めた(写真は2019年アジアカップ)

 3月4日からクロアチア・バラジュディンでスタートしたヨーロッパU21選手権が終了。2017年より開催されているこの大会は、U21世界ランキングの上位者を中心に男女各48名の選手が出場。昨年までは男女シングルス、男女ダブルスの4種目での開催だったが、今大会から混合ダブルスが新たに種目に加わった。
 男子は17歳のシドレンコが優勝。現在ドイツ・ブンデスリーガのオクセンハウゼンでプレーする左腕の有望株がそのポテンシャルを披露した。3位にはリオパラリンピッククラス9金メダリストのL.デヴォスが入賞。男子ダブルス、混合ダブルスでも入賞を果たした。
 女子ではキレのあるドライブ速攻のパヴァデが15歳で戴冠。準決勝でディアコヌ、決勝でドラゴマンと、ルーマニアの実力者2人を下して優勝を果たした。
 全体的にルーマニア、フランス勢の活躍が目立ったが、なかなか卓球界では名前を聞くことのなかったモルドバからプチュンチカが2種目で入賞と奮闘を見せた。

【男子シングルス】
優勝:シドレンコ(ロシア)
準優勝:シポシュ(ルーマニア)
3位:プチュンチカ(モルドバ)、L.デヴォス(ベルギー)

【女子シングルス】
優勝:パヴァデ(フランス)
準優勝:ドラゴマン(ルーマニア)
3位:ディアコヌ(ルーマニア)、シェルベリ(スウェーデン)

【男子ダブルス】
優勝:プレテア/シポシュ(ルーマニア)
準優勝:プチュンチカ/マルティンコ(モルドバ/チェコ)
3位:ベルトラン/デノドレスト(フランス)、クヌーデ/L.デヴォス(ベルギー)

【女子ダブルス】
優勝:モスタファビ/フォート(フランス)
準優勝:タイラコワ/カザンツェワ(ロシア)
3位:K.ヴェグジン/A.ヴェグジン(ポーランド)、ドラゴマン/ディアコヌ(ルーマニア)

【混合ダブルス】
優勝:プレテア/ディアコヌ(ルーマニア)
準優勝:レンベール/フォート(フランス)
3位:ベルトラン/モスタファビ(フランス)、L.デヴォス/ラング(ベルギー)

写真提供:ETTU
  • 逸材と期待されるシドレンコが男子単を制覇

  • 15歳にして女子シングルス優勝のパヴァデ

  • モルドバから2種目で入賞と奮闘のプチュンチカ

  • ドラゴマンはパヴァデに迫ったが惜敗

 昨週末、日本で言えば「全日本選手権」にあたる国内選手権が欧州各国で開催。各国で国内チャンピオンが誕生した。とはいえ、世界トップランカークラスは国内選手権には出場しないケースも多く、ドイツ選手権では昨年、自身の持つ最多優勝記録を更新する13回目のVを果たしたボルが欠場。オフチャロフも欠場となる中でワルサーが初優勝を果たした。


【ドイツ】
男子:ワルサー
女子:ミッテルハム

【イングランド】
男子:ピッチフォード
女子:ホ・ティンティン

【ベルギー】
男子:ニュイティンク
女子:ルン・リサ

【フランス】
男子:ゴーズィ
女子:グルンディシュ

【スウェーデン】
男子:シェルベリ
女子:エクホルム

【オーストリア】
男子:Da.ハベソーン
女子:ポルカノバ

【クロアチア】
男子:ガチーナ
女子:パブロビッチ

【ポーランド】
男子:ディヤス
女子:バヨル

【ポルトガル】
男子:ディオゴ・チェン
女子:チャランコ

【チェコ】
男子:ポランスキー
女子:マテロバ

【デンマーク】
男子:リンド
女子:クリステンセン

【ルーマニア】
男子:イオネスク
女子:スッチ

【ロシア】
男子:カツマン
女子:チホミロワ

【スロバキア】
男子:ピスチェイ
女子:ユルコバ

【セルビア】
男子:カティッチ
女子:トドロビッチ

【スロベニア】
男子:コズル
女子:ゼラ
  • 6度目のイングランド選手権優勝となったピッチフォード(写真はTリーグ時)

 2月19〜23日にかけて、スウェーデン・エーレブローにおいてサフィール国際オープン2020が開催。ITTF主催のツアーではないが、スウェーデンの国内クラブ所属選手や、欧州各国から選手が集う国際オープン大会で、今回が48回目の開催となる歴史ある大会だ。例年、関東学生卓球連盟からも選手派遣が行われており、今大会にも参戦。ほか、同会場で行われたITTFワールドジュニアサーキットに出場した張本美和と青木咲智、スウェーデン・エリートリーグでプレーする英田理志、自主参加選手も数名が出場した。
 スウェーデン・エリートリーグの選手も参加する最もハイレベルなクラスである「エリート」クラスから一般の「クラス1」、U21やU18、U16、U14など多数の種目が開催されるのも特徴。男子シングルス・エリートでは英田がルンクイスト、イェレルら元スウェーデン代表に連勝して優勝。女子シングルス・エリートでも黒野葵衣が優勝、張本が準優勝と活躍を見せた。

〈サフィール国際オープン2020・出場日本選手 ※一部〉
★関東学生卓球連盟派遣
男子:西康洋(明治大)、上村太陽(専修大)、岩永宜久(早稲田大)、橋本一輝(中央大)、田中虹太朗(筑波大)、永田佳大(日本体育大)、手塚元彌(法政大)、中橋敬人(駒澤大)
女子:黒野葵衣(早稲田大)、後藤紗葵(中央大)、永道麻依加(専修大)、高山結女子(日本大)、望月樹奈(筑波大)、青木萌恵(東洋大)、後木玲奈(日本体育大)、島津葵(大正大)
★自主参加
男子:松山佳樹・盛武大悟(法政大)
女子:前田愛佳(日本女子体育大二階堂高)
★地元クラブ
男子:英田理志(エースレーブ/愛媛県競技力向上対策本部)
★ジュニアサーキット・スウェーデンオープン参戦
女子:張本美和(木下グループ)、青木咲智(石田卓球クラブ)

【主な種目の結果】
<男子シングルス・エリート>
優勝:英田理志
準優勝:ノルドベリ(スウェーデン)
3位:イエレル(スウェーデン)、呉家驥(ドミニカ共和国)
※ベスト8:岩永宜久・上村太陽、ベスト16:田中虹太朗・橋本一輝・西康洋

<女子シングルス・エリート>
優勝:黒野葵衣
準優勝:張本美和
3位:ヨンソン(スウェーデン)、パヴァデ(フランス)
※ベスト8:高山結女子・後藤紗葵・望月樹奈、ベスト16:永道麻依加・青木萌恵・前田愛佳

<男子シングルス・クラス1>
優勝:手塚元彌
準優勝:A.ルブラン(フランス)
3位:田中虹太朗、F.ルブラン(フランス)
※ベスト8:岩永宜久・盛武大悟・西康洋

<女子シングルス・クラス1>
優勝:黒野葵衣
準優勝:前田愛佳
3位:青木萌恵、後木玲奈
※ベスト8:永道麻依加・高山結女子・後藤紗葵

<U21男子シングルス>
優勝:西康洋
準優勝:上村太陽
3位:永田佳大、A.ルブラン(フランス)

<U21女子シングルス>
優勝:張本美和
準優勝:パヴァデ(フランス)
3位:島津葵、青木萌恵
  • 女子エリート、クラス1で優勝し、2冠の黒野(写真は2019年秋季関東学生リーグ)

  • 手塚は準決勝、決勝をフルゲームで制しクラス1優勝(写真は2019年秋季関東学生リーグ)