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欧州リポート

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 デュッセルドルフ・マスターズは第9戦が開催され、第3戦以来の出場となったオフチャロフが3度目の優勝を果たした。

 第8戦から1週間の中断を挟んで行われた第9戦には、フランチスカが初めて参戦し、実力を見せて決勝まで勝ち上がる。決勝はオフチャロフとの本命対決となったが、2ゲームを奪うにとどまった。オフチャロフは今回の優勝で50ポイントを獲得し、合計160ポイントに到達。170ポイントでトップのチウ・ダン(ドイツ)に10ポイント差として8月21〜23日に開催されるグランドファイナルへの出場を確実なものにしている。

 デュッセドルフ・マスターズは8月14〜16日に最終戦となる第10戦を行い、獲得ポイント上位5名とワイルドカードが与えられた3名の計8名が出場するグランドファイナルを実施。9月15日からはポーランド・ワルシャワでヨーロッパ選手権個人戦が開幕する予定となっており、来たるべきビッグゲームに向けて調整を進めていく。


〈1回戦〉
エンゲマン(ドイツ) 4、5、4、6 アン・ユダン(ドイツ)
メンゲル(ドイツ) -8、7、11、8、3 ムン・ファンボー(ドイツ)
ドゥダ(ドイツ) 5、6、3、6 ウルマン(ドイツ)
ジャー(アメリカ) 10、7、-7、-9、7、-9、6 メイスナー(ドイツ)
シェルベリ(スウェーデン) 8、7、3、9 スラニナ(ドイツ)
ファディエフ(ドイツ) 10、6、-10、11、9 ヒップラー(ドイツ)

〈準々決勝〉
オフチャロフ(ドイツ) 6、6、4、-10、6 エンゲマン
ドゥダ 6、-7、2、-7、8、9 メンゲル
シェルベリ -6、10、10、-8、9、4 ジャー
フランチスカ(ドイツ) -9、4、7、4、8 ファディエフ

〈準決勝〉
オフチャロフ -5、3、8、7、-6、8 ドゥダ
フランチスカ 3、-5、4、4、-7、13 シェルベリ

〈決勝〉
オフチャロフ 7、8、-7、7、-12、6 フランチスカ
  • 4度の出場で3度目の優勝を手にしたオフチャロフ(写真は2019年ワールドツアー・グランドファイナル)

 9月15日からヨーロッパ選手権個人戦がポーランド・ワルシャワで開催予定の欧州。新型コロナウイルス感染症拡大の影響による各種大会の中止・延期を経て再開される初めての国際大会となる。ドイツでは6月から「デュッセルドルフ・マスターズ」がスタートするなど、各国とも徐々に活動を再開しており、国内でのゲームイベントや各国代表チーム同士での合同練習などを行い、来るヨーロッパ選手権に向けた準備を進めている。

 ロシアでは7月23〜26日にかけて、国内のトップ選手16名を集めた「ロシアTOP16」を開催。グループリーグの後にトーナメントを行い優勝者を決定した。U21世代の有望株が多く揃うロシアだが、この大会でも18歳のシドレンコが決勝でスカチコフを破って優勝。ロシアのみならず、欧州のホープとして期待されるサウスポーがその実力を見せた。
 また、3位に18歳・グレブネフ、4位は20歳のイヴォニン、5位に19歳のカツマンと若手が上位に食い込んだ。カツマンは昨年の世界ジュニア団体の日本戦で宇田幸矢(明治大)に勝利。グレブネフとともに来シーズンより、ブンデスリーガ1部でプレーする。

【ロシアTOP16】
◆準決勝
シドレンコ 6、9、6、10 グレブネフ
スカチコフ -6、8、5、4、9 イヴォニン
◆決勝
シドレンコ -4、6、3、9、5 スカチコフ


 強豪・フランスではナショナルトレーニングセンター「INSEP」にて、フランス代表による「INSEP プレトーナメント」が行われ、7月に第1戦、昨日まで第2戦が行われていた。練習拠点をドイツに置くゴーズィは不在だったが、ルベッソン、フロールといったフランス代表が勢揃い。第2戦にはドイツ・ブンデスリーガでザールブリュッケンを初優勝に導いた尚坤(中国)も参戦した。
 第2戦を制したのは24歳のランドリエ。準決勝で第1戦優勝のQ.ロビノ、決勝でルベッソンを撃破。ルベッソンは第1戦に続き決勝でフルゲームで敗れた。

【INSEP プレトーナメント第2戦】
◆準決勝
ルベッソン 4-0 尚坤
ランドリエ 4-2 Q.ロビノ
◆決勝
ランドリエ 4-3 ルベッソン


 スウェーデンでは8月14〜16日の第1戦を皮切りに、月1回のペースで賞金付き大会「スウェーデンツアー」を開催する。スウェーデン各地を転戦して試合を行い、11月までに5大会を実施。12月にグランドファイナルでチャンピオンが決定する。
 第1戦にはファルク、Jon.パーソン、モーレゴード、シェルベリらスウェーデン代表が出場する見込みで、国内競争によるレベルアップ、新たなツアーモデルを創出し、スウェーデン国内大会のバリューアップを目的としている。
  • 将来を嘱望されるシドレンコ(写真は2019年世界ジュニア)

 デュッセルドルフ・マスターズは7月23~25日に第7戦が行われ、シェルベリが決勝でドゥダをフルゲームで下して優勝。シェルベリは3度目の出場で初優勝となった。

 第6戦ではヒップラーとエンゲマンの2人が準決勝進出と活躍を見せたが、今回も若手が躍動。7月13日に20歳になったばかりのサウスポー、メイスナーがベスト4入りを果たした。メイスナーは1回戦でデュッセルドルフ・マスターズ初参戦となったベルギーのエース・ニュイティンクに4-1で勝利。準々決勝ではヒップラーとの若手左腕対決に勝利し準決勝へ勝ち上がった。
 
 第7戦を終えて、獲得ポイントトップは先週の第6戦で優勝を果たしたチウ・ダン(ドイツ)で170ポイント。2位は110ポイントでオフチャロフ(ドイツ)、ドゥダ、シェルベリ、O.アサールの4人が並ぶ。獲得ポイントトップ5名は8月末の最終トーナメント出場権を手にし、ワイルドカードで出場する3名と優勝を争う。


〈1回戦〉
ファディエフ(ドイツ) 6、7、6、-7、4 ベルテルスマイヤー(ドイツ)
メンゲル(ドイツ) -6、5、1、4、3 スラニナ(ドイツ)
シェルベリ(スウェーデン) 10、3、7、4 ケーラー(ドイツ)
メイスナー(ドイツ) 9、6、3、-10、6 ニュイティンク(ベルギー)
ヒップラー(ドイツ) 5、7、5、9 サルツァー(ドイツ)
ホフマイヤー(ドイツ) 10、3、6、5 フォックス(ドイツ)

〈準々決勝〉
O.アサール(エジプト) 4、-9、9、4、8 ファディエフ
シェルベリ 8、9、-7、9、-12、7 メンゲル
メイスナー 9、9、-6、11、-8、2 ヒップラー
ドゥダ(ドイツ) 9、5、10、4 ホフマイヤー

〈準決勝〉
シェルベリ 9、-7、9、4、9 O.アサール
ドゥダ 5、7、7、-12、7 メイスナー

〈決勝〉
シェルベリ -16、7、-2、-10、9、9、4 ドゥダ
  • 3度目の出場で初Vのシェルベリ(写真は2019年チームワールドカップ)

  • ベスト4と健闘のメイスナー(写真は2018年世界ジュニア)

 7月17〜19日にかけてデュッセルドルフ・マスターズ第6戦が開催され、チウ・ダンが決勝でシェルベリを下して初優勝。準々決勝から登場したチウ・ダンはメイスナーに2ゲームを奪われ苦戦したが、準決勝、決勝と2試合続けてストレートで快勝。オフチャロフ(ドイツ)らが欠場する中で実力を見せて頂点に立った。チウ・ダンは第5戦で3位に入り、獲得ポイントでトップに立っていたが、今回の優勝で50ポイントを上積みし、合計170ポイント。2位のオフチャロフ(110ポイント)以下を大きく引き離した。
 これまで上位ランカーの壁に跳ね返されてきたドイツの若手勢も第6戦では2人が準決勝に進出。世界ランキング38位のO.アサールを下したヒップラーは21歳のサウスポー。2016年世界ジュニアではベスト8進出を果たしている。エンゲマンも世界ランキング77位のミノに勝利してベスト4入り。こちらは20歳の右シェークドライブ型で2019年ヨーロッパU21選手権準優勝。ヒップラー、エンゲマンともにドイツ・ブンデスリーガ2部でプレーしており、現在の世界ランキングは200位台だが、強豪との対戦が続くデュッセルドルフ・マスターズでステップアップのチャンスをつかみたいところだ。


〈1回戦〉
ヒップラー(ドイツ) -7、6、8、6、8 クレイン(ドイツ)
オルト(ドイツ) -7、5、-6、9、5、9 ファディエフ(ドイツ)
シェルベリ(スウェーデン) 5、7、8、5 ケーラー(ドイツ)
ミノ(エクアドル) -4、3、3、5、10 ベルテルスマイヤー(ドイツ)
エンゲマン(ドイツ) 5、6、7、6 アン・ユダン(ドイツ)
メイスナー(ドイツ) 2、7、6、6 サルツァー(ドイツ)

〈準々決勝〉
ヒップラー -11、7、6、-6、2、9 O.アサール(エジプト)
シェルベリ -7、4、7、6、9 オルト
エンゲマン 7、8、8、11 ミノ
チウ・ダン(ドイツ) 6、10、-8、3、-11、3 メイスナー

〈準決勝〉
シェルベリ 6、-15、5、4、8 ヒップラー
チウ・ダン 12、5、2、7 エンゲマン

〈決勝〉
チウ・ダン 8、6、6、5 シェルベリ
  • 準決勝、決勝とストレート勝ちのチウ・ダン(写真は2019年ジャパンオープン)

  • O.アサールを下したヒップラー(写真は2017年世界ジュニア)

  • こちらもベスト4のエンゲマン。現在はメガネは卒業(写真は2017年世界ジュニア)

 男子デュッセルドルフ・マスターズは1週間の中断期間を挟み、7月10~12日にかけて第5戦が開催された。今回は14名が出場したが、第1戦優勝のボル(ドイツ)、第2・3戦優勝のオフチャロフ(ドイツ)、第4戦優勝のシュテガー(ドイツ)とこれまでの優勝者3名全員が欠場。誰が優勝しても初優勝という中でトーナメントが行われた。

 結果はドゥダが優勝。決勝ではO.アサールにいきなり3ゲームを先行される苦しい試合展開となったが、4ゲームを連取して逆転優勝を飾った。第5戦の結果を受けて、ランキングも変動。今回3位のチウ・ダンが20ポイントを獲得し、総合120ポイントとなり今回欠場したオフチャロフ(110ポイント)を抜いてトップに立った。2人の後に第5戦の決勝を争ったドゥダとO.アサールが80ポイントで続き、5位は60ポイントのメンゲル(ドイツ)となっている。

 第6戦は来週末、7月17〜19日にかけて行われる。


〈1回戦〉
ムン・ファンボー(ドイツ) 4、3、5、6 フォックス(ドイツ)
エンゲマン(ドイツ) 6、6、8、9 メイスナー(ドイツ)
ホフマイヤー(ドイツ) 9、9、-4、8、9 クレイン(ドイツ)
シェルベリ(スウェーデン) 7、3、6、5 カイナート(スロバキア)
チウ・ダン(ドイツ) 2、7、9、6 スラニナ(ドイツ)
ヒップラー(ドイツ) -8、-4、-8、4、4、9、4 ファディエフ(ドイツ)

〈準々決勝〉
チウ・ダン 7、6、10、11 エンゲマン
O.アサール(エジプト) 8、5、5、-11、5 ホフマイヤー
シェルベリ 8、7、9、9 ムン・ファンボー
ドゥダ(ドイツ) 7、-13、5、1、-9、10 ヒップラー

〈準決勝〉
O.アサール 6、9、-7、-6、11、9 チウ・ダン
ドゥダ 5、-9、6、9、-5、2 シェルベリ

〈決勝〉
ドゥダ -8、-10、-9、4、7、7、2 O.アサール
  • 大逆転で決勝を制したドゥダ(写真は2019年ジャパンオープン)

 6月上旬からドイツ・デュッセルドルフにあるARAGセンターコートで毎週開催されているデュッセルドルフ・マスターズ。これまでは男子のみの試合が行われてきたが、7月4、5日には女子の試合も初めて行われた。ハン・イン、シャン・シャオナ、ミッテルハムらドイツ代表はじめ全14名でトーナメントを行った。

 第1回目の女子デュッセルドルフ・マスターズを制したのは、世界ランキング25位、今大会のトップシードだったハン・イン。ハン・インは準決勝でシャン・シャオナにストレートで快勝すると、決勝では快進撃を見せて勝ち上がった17歳のクレーに1ゲームを奪われるも3-1で勝利。さすがの実力を見せて第1戦で優勝を飾った。
 「シャン(シャオナ)には長い間勝っていなかったので、プレッシャーもなく攻撃を多くして戦った。それで少しプレッシャーをかけることができたのかもしれない。決勝は集中力が欠けた場面もありましたが、トーナメントでのパフォーマンスは全体的に問題ありませんでした。ソフィア(クレー)は良く頑張ったと思います。おめでとう!」(ハン・イン)

 20歳年上のハン・インに敗れるも、決勝進出と奮闘したクレー。1回戦でツツイとのフルゲームの接戦をくぐり抜けると、今大会の第2シード、世界ランキング39位のミッテルハムを準々決勝で下す金星。準決勝でもドイツ生まれの中国選手、ワン・ユアン(2017年U21ヨーロッパ選手権準優勝)に勝利して決勝まで勝ち上がる健闘を見せた。5月9日に17歳の誕生日を迎えたばかりのクレーは「2位という結果には満足しています。マスターズで決勝に進めたことはとてもうれしい」と語った。

 先週は男子の試合は行われなかったが、今週末から試合が再開。7月10〜12日に第5戦が開催される。

【女子デュッセルドルフ・マスターズ】
〈1回戦〉
マンツ(ドイツ) 6、6、1 ボンダレバ(ドイツ)
デヌッテ(ルクセンブルク) 13、-10、10、9 ベルガー(ドイツ)
シャン・シャオナ(ドイツ) 5、5、3 シュトルツ(ドイツ)
バラゾバ(スロバキア) 8、6、5 カウフマン(ドイツ)
ワン・ユアン(ドイツ) 4、2、10 プランコビッチ(ドイツ)
クレー(ドイツ) -8、10、-6、8、7 ツツイ(ドイツ)

〈準々決勝〉
ハン・イン(ドイツ) 7、4、7 マンツ
シャン・シャオナ 6、10、3 デヌッテ
ワン・ユアン 10、-4、9、-8、12 バラゾバ
クレー 8、-8、12、-9、5 ミッテルハム(ドイツ)

〈準決勝〉
ハン・イン 8、5、10 シャン・シャオナ
クレー 12、11、8 ワン・ユアン

〈決勝〉
ハン・イン 2、-8、3、7 クレー
  • トップシードの実力を見せたハン・イン(写真はTリーグでのプレー時)

 ドイツ卓球協会は東京五輪後、ドイツ女子代表監督に2003年世界選手権女子シングルス3位のボロス(クロアチア)が就任すると発表。ドイツ女子をリオ五輪団体銀メダルに導いたショップ(ドイツ)から監督の座を引き継ぐこととなる。

 現監督のショップは中国出身(中国名:施婕)。1993年にドイツに帰化し、長身からのカットを武器に1997年世界選手権団体で3位、2度のヨーロッパトップ12優勝(現在のヨーロッパトップ16)、アトランタからアテネまで五輪3大会連続出場と活躍した。
 2012年にドイツ女子監督に就任し、前述のリオ五輪団体銀メダルはじめ、3度のヨーロッパ選手権制覇(3連覇)、ヨーロッパ競技大会2連覇など、欧州随一の強豪を率いてタイトルを獲得してきた。東京五輪が終了し、監督を退いた後はドイツU15代表のコーチとして若手の育成を担当する予定だという。

 新監督となるボロスは投げ上げサービスからの力強い両ハンドドライブで2003年世界選手権で欧州女子として10年ぶりとなるシングルスメダルを獲得。ヨーロッパ勢の世界選手権女子シングルスメダリストはボロス以降17年間生まれていない。世界ランキングは最高2位、ヨーロッパ選手権で12枚のメダル獲得、2度ヨーロッパトップ12を制するなど輝かしい実績が認められ、2015年にはヨーロッパ卓球連合の殿堂入りを果たした欧州女子のレジェンドだ。
 現役を引退した後はオーストリアのヴェルナー・シュラガーアカデミーでコーチを務め、2017年からはドイツ卓球協会に勤務。協会のボーディングスクール(寄宿学校)のヘッドコーチとしてU23ドイツ代表の指導にあたっていた。その傍らで、クロアチアの大学に通いスポーツコーチングの修士号を取得している。

 今回の人事についてドイツ卓球協会のスポーツディレクター、プラオゼ(元ドイツ男子監督)は「かつて世界のトップで成功した、経験と知識を持つ2人の女性指導者がいることを幸せに思う。今後も彼女たちとともに成功することが目標だ」とコメントしている。
 日本に限らず、卓球界において女性指導者はまだまだ少数。そんな中、2代続けて女性が代表監督に就任するというのは珍しいケースだろう。アジアが席巻する卓球界で、欧州の強豪として存在感を放つドイツは、コーチングスタッフの登用に関しても先進的な取り組みを見せている。
  • 新監督として発表されたボロス(写真は2003年世界選手権)

  • 2012年からドイツ女子監督を務めるショップ(左から2人目)。リオ五輪では銀メダル獲得

 4回目の開催となったデュッセルドルフ・マスターズ。第2、3戦と2週連続優勝中のオフチャロフ、ボルシア・デュッセルドルフのメンバーも欠場となったが、ロンドン、リオ五輪団体メダリストのベテラン・シュテガーが初めて参戦して試合が行われた。
 試合のほうはドイツ代表の中堅どころがベスト4に勝ち上がり、準決勝、決勝と2試合続けてフルゲームの試合を制したシュテガーが初参戦で優勝を飾った。現在、世界ランキングは125位まで落ちているシュテガーだが、同27位のジャー、同39位のドゥダ、同52位のチウ・ダンと上位ランカーに連勝し、健在ぶりをアピール。「みんな良いプレーをした。毎日一緒に練習している仲なので、お互いに手の内は知っている。今回は私に幸運が味方してくれた」と優勝後に39歳のベテランは仲間を讃えるコメントを残した。

 一方、練習をしながら、4週連続での試合はなかなか疲労も溜まるようで、そのすべてに出場しているチウ・ダンは「少し疲れているかもしれない。良い試合だったけど、フレッシュな気持ちでは臨むのが難しかった」と語った。そんな事情もあってか、来週はデュッセルドルフ・マスターズは行われず。その代わりに、7月4・5日の2日間で女子選手によるデュッセルドルフ・マスターズの開催を発表。ハン・イン、シャン・シャオナ、ミッテルハムといったドイツ代表に加え、バラゾバ(スロバキア)、デヌッテ(ルクセンブルク)ら16名の選手が参戦して行われる予定だ。


〈1回戦〉
ジャー(アメリカ) 8、7、6、6 ケーラー(ドイツ)
シュテガー(ドイツ) 6、4、4、8 スラニーナ(ドイツ)
ヒップラー(ドイツ) 5、8、-10、6、-9、9 メイスナー(ドイツ)
チウ・ダン(ドイツ) 9、4、7、5 エンゲマン(ドイツ)
ムン・ファンボー(ドイツ) 8、9、-8、10、9 ミノ(エクアドル)
メンゲル(ドイツ) 8、10、9、9 ファディエフ(ドイツ)
O.アサール(エジプト) 7、-9、5、7、7 ホフマイヤー(ドイツ)

〈準々決勝〉
シュテガー -5、5、11、8、4 ジャー
ドゥダ -4、9、9、9、-10、-8、8 ヒップラー
チウ・ダン 8、6、-7、8、9 ムン・ファンボー
メンゲル 7、6、10、9 O.アサール

〈準決勝〉
シュテガー -4、6、6、9、-14、-9、10 ドゥダ
チウ・ダン 3、6、3、-9、-7、4 メンゲル

〈決勝〉
シュテガー -7、-8、15、7、-7、9、9 チウ・ダン


【獲得ポイントトップ10(第4戦終了時点)】
1位:オフチャロフ/110ポイント
2位:チウ・ダン/100ポイント
3位:O.アサール/60ポイント
3位:メンゲル/60ポイント
5位:ボル/50ポイント
5位:シュテガー/50ポイント
5位:ジャー/50ポイント
8位:ムン・ファンボー/45ポイント
9位:ヒップラー/35ポイント
10位:メイスナー/30ポイント
10位:エンゲマン/30ポイント
  • 健在ぶりを見せたシュテガー(写真は2019年世界選手権)

 第3週目を迎えたデュセルドルフ・マスターズ。6月10、11、14日にドイツ・ブンデスリーガのプレーオフ準決勝、決勝が行われたこともあり、ボルやフランチスカ(ともにドイツ)、K.カールソン(スウェーデン)らは欠場となり、今回は14名での戦い。また今週から3日間の日程で開催されることとなった。
 試合のほうはトップシードのオフチャロフが優勝。決勝ではO.アサールにフルゲームまで迫られたが、最後はなんとか振り切り、2週連続での優勝を飾った。これでオフチャロフは60ポイントを獲得し、2位以下に大きく差をつけた。

 デュッセルドルフ・マスターズにはドイツの若手も数多く参戦しているが、ここまでは世界で戦う上位ランカーの高い壁に阻まれ、上位には食い込めず。ドイツ卓球協会としては、新型コロナウイルス感染症による各種国際大会の中断期間をうまく活用し、若手に試合経験を積ませたい思いもあるのだが、ジャイアントキリングによる「成功体験」はなかなかつかめていない。その中で奮闘しているのが19歳のムン・ファンボー。第2戦では準決勝、第3戦でも準々決勝まで勝ち進み、チウ・ダンから2ゲームを奪った。
 ムン・ファンボーはドイツ生まれの中国選手で、父は選手としてブンデスリーガでプレーし、現在はフルダ・マーバーツェルでコーチを務めるムン・チンユ。ムン・ファンボーも父とともにフルダ・マーバーツェルに所属し、腕を磨いている。190㎝近い堂々たる体躯のサウスポーで、ツボにハマった時の両ハンドドライブは凄まじい威力。2018年の世界ジュニアでは戸上隼輔(明治大)と好ゲームを繰り広げた。

 来週も開催される予定のデュッセルドルフマスターズだが、次こそはトーナメントを盛り上げる若手勢の番狂わせに期待したい。


〈1回戦〉
メイスナー(ドイツ) -7、10、6、9、7 ケーラー(ドイツ)
O.アサール(エジプト) 3、5、6、3 アン・ユダン(ドイツ)
ムン・ファンボー(ドイツ) 6、3、7、10 スラニーナ(ドイツ)
ヒップラー(ドイツ) 7、5、8、-6、8 ファディエフ(ドイツ)
チウ・ダン(ドイツ) 8、5、7、8 ベルテルスマイヤー(ドイツ)
エンゲマン(ドイツ) 4、5、8、5 ホフマイヤー(ドイツ)

〈準々決勝〉
オフチャロフ 7、8、8、8 ヒップラー
チウ・ダン 4、6、4、-9、-8、7 ムン・ファンボー
O.アサール 5、-10、6、7、2 メイスナー
ジャー 12、9、-8、9、-8、11 エンゲマン

〈準決勝〉
オフチャロフ -7、6、7、8、5 チウ・ダン
O.アサール 4、-9、-10、4、9、8 ジャー

〈決勝〉
オフチャロフ 9、7、-10、-8、8、-8、6 O.アサール

【獲得ポイントトップ10(第3戦終了時点)】
1位:オフチャロフ/110ポイント
2位:チウ・ダン/70ポイント
3位:ボル/50ポイント
3位:O.アサール/50ポイント
5位:メンゲル/40ポイント
5位:ジャー/40ポイント
7位:ムン・ファンボー/35ポイント
8位:メイスナー/25ポイント
8位:ヒップラー/25ポイント
8位:エンゲマン/25ポイント
  • 健闘を見せているムン・ファンボー(写真は2018年世界ジュニア)

 6月14日に2019/2020シーズンのドイツ・ブンデスリーガ プレーオフ決勝が開催され、ザールブリュッケン(レギュラーシーズン1位)がオクセンハウゼン(同3位)を下し、悲願の初優勝を飾った。

【2019/2020 ドイツ・ブンデスリーガ プレーオフ決勝】
<ザールブリュッケン 3-1 オクセンハウゼン>
○フランチスカ 3、-6、10、-9、10 カルデラノ
○尚坤 8、7、-9、10 ゴーズィ
 ヨルジッチ -9、-10、12、-3 ディヤス○
○尚坤 9、6、9 カルデラノ

 ザールブリュッケンはフランチスカ(ドイツ)と尚坤(中国)、オクセンハウゼンはカルデラノ(ブラジル)とゴーズィ(フランス)、ともにツインエースを擁し、3番手の実力も高く、どちらが勝ってもおかしくはない両チームの対戦。決勝はトップから白熱した試合となる。

 1番のフランチスカとカルデラノの対戦は1、2ゲーム目を互いに奪い合うも、3ゲーム目をフランチスカが10点、第4ゲームをカルデラノが9点と僅差で奪取し、勝負は最終ゲームへ。雌雄を決する第5ゲームは台から距離を取ってプレーするカルデラノに対して、前陣でしっかり攻め切るフランチスカが6-2とリードし、追い上げられながらも10-8でマッチポイント。
 カルデラノも10-10まで粘ったが、最後は鮮烈なバックドライブでカルデラノを打ち抜いたフランチスカに軍配。キャプテンが優勝へ向けて大きな、大きな1勝をもたらした。

 フランチスカの勝利で楽になったか、2番は尚坤が会心のプレー。序盤から試合を優位に運び、ゴーズィを3-1で撃破。今シーズンよりチームに加入し、個人成績1位となる20勝4敗の成績を残した尚坤の勝利で、ザールブリュッケンが早々に王手をかける。

 連覇に向けて後がなくなったオクセンハウゼンの3番は、準決勝のボルシア・デュッセルドルフ戦でも0-2のビハインドから大逆転のきっかけを作ったディヤス(ポーランド)。スタートからアグレッシブにヨルジッチ(スロベニア)を攻め立てる。ゲームカウント2-0から1ゲームをヨルジッチに与えたが、4ゲーム目は0-3から11本連取を決めて、オクセンハウゼンが1点を奪い返す。

 しかし、オクセンハウゼン、準決勝の再現はならず。再び登場の尚坤がサービス・レシーブからコースを突いた3・4球目でカルデラノ得意の大きなラリー展開に持ち込ませず、完全に主導権を握る。左腕からのステディなプレーで快勝を収め、ザールブリュッケン悲願の初優勝を決めた。頼れる助っ人は、両腕を上に突き上げ、喜びを表現した。

 ザールブリュッケンはブンデスリーガ1部に昇格して2シーズン目の2010/2011シーズンにモンテイロ(ポルトガル)、トキッチ(スロベニア)、シュテガー(ドイツ)を擁して初めてプレーオフに進出。そこから10シーズン連続でプレーオフに進出する抜群の安定感を見せていた。しかし、2011/2012シーズンはレギュラーシーズン1位として決勝に進むも敗れるなど、過去3度決勝で涙を飲んだが、4度目の挑戦でついに念願のブンデスリーガの頂点に立った。

 敗れたオクセンハウゼンは、今シーズン限りでディヤス(ポーランド)、フェガール(オーストリア)、シドレンコ(ロシア)と3選手が他チームへ移籍。連覇で有終の美を飾りたかったが、ザールブリュッケンの2本柱の前に屈した。
  • ゴーズィ、カルデラノを撃破した尚坤(写真は2017年全中国運動会)