じゃがいもさんが、前回のブログ「ブラジル日系卓球大会で優勝!」に、こんなコメントを書いてくれました。
>これからはグルメレポートだけでなく、子供たちがどのように伸びていくのかのレポートも期待しています。
→本当にすみません(号泣)
私ったら、食べ物の事ばっかり書いて……。
今回は真面目に卓球についての記事を書きます!(←声高らかに!)
「子供たちがどのように伸びていくのか」それには優秀なコーチも必要ですね。
今回スポットを当てたのは子供ではなく、ブラジルで子供たちに卓球を教えている一人の日本人コーチです。
その名も、武田俊夫。
彼は現在、ブラジルはサンパウロにあるイタインケイコ卓球クラブでエリートクラスのコーチをしています。
頭が良い。
お茶目。
とっても気が利く。
兄貴肌。
情熱的。
ビールが好き。
コーヒー、コカコーラ・ライトも好き。
沢山食べる。
料理が上手いらしい。
ビシッと決める時とくだける時のメリハリがしっかりしている。
変わり者。(←良い意味で)
睡眠時間がかなり少ない。(←心配)
これが私から見た武田さんの姿。
「卓球」といっても遊び感覚でやっている人が多いブラジルで、武田さんがコーチをしているこのイタインケイコ卓球クラブはまさに日本のチームのよう。
とにかくイタインの子供たちは真面目で一生懸命、素直で良い子。子供らしくふざける時はちゃんとふざけることも出来ます。
中南米ではこんなチームは無いと言っても過言ではないでしょう。
カラオケではじける子供たち。
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武田さんの事を知ってる人は知っていますが、万が一知らない人のためにご紹介致します。すごい経歴の持ち主です。
耳あらば聞け。目あらば見よ!
武田 俊夫
大学卒業後、株式会社タマス入社
企画広報課に配属され平岡さんの部下に。三年後異例の(?)出世で同課のトップに
主な仕事はカタログ、卓レポの広告、及び国内トップ選手のラケット、ラバーの提供と調整
98年12月 退社 全日本で鬼頭明選手のベンチに
99年3~5月 ブラジルへ 講習会をやりながらチームを決める
99年11月 ブラジル、パラナ州のコーチに就任。ビザの取得がうまくいかずどうしようかと思っていたら鬼頭明選手から日本に帰って来てコーチをして欲しいとの電話があり帰国
00年10月 12月下旬の全日本まで京都に滞在し鬼頭明選手のコーチに
00年12月 名古屋での全日本で鬼頭選手と野平選手がダブルス優勝
01年 大阪の世界選手権まで卓球王国でバイト ビデオを何本か制作
01年9月 全日本まで再び鬼頭明選手のコーチに
02年4月 一年間 愛知の桜ヶ丘高の女子監督
03年7月 約半年 広島の加部スポ少でコーチ この時に森本耕平選手と出会い愛工大附属中へ
04年4月 約二年半 再就職支援の仕事で長野、静岡に
06年11月 ブラジル、イタインケイコ卓球クラブのコーチ就任
ね? なんだか色々と凄いでしょう?
武田さんの子供時代の話もとても面白いです。
興味ある人は直接聞いてみて下さい。
さて、ブラジルにみんなのヒーローがいます。なぜならかわいくて一生懸命、良い子で卓球が強いから。
名前はエドゥアルド・トモイケ。あだ名ドゥドゥ。日本式ペン右裏の日系人です。
そんなヒーローを育てたのが、この武田さん。
これは去年の写真です。
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ドゥドゥが8歳の時、武田さんの下で卓球を本格的に始めました。
体が小さく体力も無かったものの、運動神経が良く素直で頑張り屋、更に飲み込みが早かったところに目を付けた武田さん。彼にフットワーク練習をガンガンやらせます。
今から3年ほど前に両ハンドのコンビネーションや台上の細かい技術を教え始めました。
ドゥドゥの主な成績
卓球を始めて一年程で国内及びサンパウロのランキング1位
’11カブ ラテンアメリカチャンピオン 南米チャンピオン
’12カブ ラテンアメリカチャンピオン 南米チャンピオン
’13ホープス ラテンアメリカチャンピオン
’14カデット 南米チャンピオン
この二年程は国内及びサンパウロでのランキング1~3位を行ったり来たり
「あいつは体が小っちゃいし、パワーが無い。しょうがないから最近スマッシュを教え始めたんだけど、決まるとなかなかカッチョイイよ」By武田さん
ジェスィカ・ヤマダ(マルコス・ヤマダさんの娘さん)は武田さんが来てからずっと成績が右上がり。二年前にフランスのクラブチームで試合に出ていますが、武田さんと一緒に練習をしていないため技術の進歩がないのだとか。
ジェフィ・ヤマダ(ジェスィカの弟)も武田さんが来た翌年から国内の大会で優勝するようになりました(それまでは優勝はほとんどない)。
武田さん曰く、「この2、3年は故障や甘えもあり練習も試合もあまり良い結果が出せていない」のだとか。
最近では武田さんに指導してもらいたいと他のクラブから移籍してくる子もいるそうです。
練習も工夫されており、的当てゲームのような練習やトレーニングをやったかと思えばトップ選手がやるような打球点やテンポ、コースにこだわったシステム練習等と様々です。
武田さんは卓球以外に「礼儀」にとても厳しいです。叱る時はビシッと叱ります。
それでも休憩中や練習の前後には子供たちと冗談を言っている姿を見ると「厳しいだけじゃないんだな」とホッとします。
子供たちはきっと「自分たちは愛されている」とわかっているはず。
イタイン・ケイコ卓球クラブのエリートクラスの子供たちと。
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「ブラジルは物価が急上昇し日に日に生活が苦しくなっている」と言う武田さん。日本に帰ることも検討していると言っていましたが、武田さんがいなくなったらこの子達みんな辞めちゃうんじゃないかな。それくらいみんな楽しそうに練習していました。
武田さん、お茶目です。
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武田さんのお友達、お知り合いの方、武田さんは愚痴を言いながらも子供たちのために卓球の指導を続けています。どうかご安心を……と言いたいところですが、私からおせっかいなお願いがあります。
彼に愛のあるお言葉をかけてあげて下さい。
「武田さん、ちゃんと寝て下さいよ。体壊しますよ」
「武田さん、部屋片づけましょうよ。体壊しますよ」
「武田さん、ビール、コーヒー、コカコーラばっかり飲まないで下さい。体壊しますよ」
「武田さん、西田が今度ブラジルに遊びに来た時は一度でいいから手作り料理食べさせてやって下さい。体壊しますよ」
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武田さん、去年に引き続き今年も本当に、本っ当にお世話になりました!
こんなに面倒見が良くて頭が良くてお茶目な人、滅多にいませんよ。そりゃ入社して三年後異例の出世で同課のトップになるわ!
この前も言いましたが、武田さんが私に対して良くして下さった事を忘れても、私はその事を絶対に忘れません。