この度は、ベトナムとの国交が40周年ということで、関東学連主催でベトナム強化合宿を行うにあたり、選手とのサポートという形でご同行させていただきました。
私は今回関東学連の役員として海外遠征に同行させていただいたのは初めてだったのですが、非常に実りの多い遠征となりました。まず、参加した選手団全員が非常に高い向上意欲を持っており、またモラルの高い人々で構成されていたことに、非常にありがたさを感じました。昨今、体育会の部活でモラルに反した行動を行い、マスコミに取り上げられるといった事例が後を絶ちませんが、今回の遠征では参加者全員が10分前集合を例外なく厳守し、全日程スケジュールを問題なく行うことが出来ました。今回の遠征を経て、参加された選手のかかわる大学はまず心配ないだろうとさえ感じるほどでした。
技術的な面では、海外の選手と練習をしたことにより、普段では経験できないボールに触れることが出来たと思います。また、日本の環境とは違い、ベトナムは年間通して終日気温が高く、空調も完全ではないことなどから、大変暑い中でハードな練習をすることとなりました。そういった経験も国内ではなかなかできないため、非常に貴重だったと感じております。練習の細かいメニューや意識のあり方については、伊藤様、小笠原様の綿密な計画と、わかりやすい解説、指導のおかげで短期間ではありましたが、間違いなくレベルアップが図れたのではないかと思います。特に驚いたのは、練習初日と最終日で、ベトナム選手の実力が目にわかるほど上がっていたことです。これは一つに、作成いただいたメニューが効果的なものであったことの事実的な表れだと考えております。日本の大学生たちは普段の練習で、誰かから細かいアドバイスを受けるという機会が少ないかと思うので、今回はいいきっかけになったという選手も少なくないと思います。
ベトナムは比較的物価なども安く、食事面や水分補給、その他のサポートにかなりお金を使ったような感覚だったのですが、日本円に換算してみるとむしろ安いほどでした。今回選手および引率者の負担金は5万円ということで、従来行っていた韓国遠征の半分ということでやらせていただきましたが、サフィール遠征と合わせても、年間の予算内でできるのではないかと考えております。これも大きな魅力の一つであると感じます。
また、スケジュールの中に、交流会としてベトナムに在住の日本人の方たち、そしてベトナム選手団と、食事会をする機会があり、選手たちも積極的にコミュニケーションをとっていたように感じました。スポーツの選手団として、強化遠征で技術向上を図るのは当然のことかもしれませんが、それ以外の部分でも成長をしようと取り組んでいる姿が見られたことは非常にうれしく感じました。
異文化交流では、戦時中に使われていたクチトンネルや、メコン川などに足を運ぶことができ、これもまた、普段ではできない貴重な経験をさせて頂くことが出来ました。この内容も、大学生が学ぶにふさわしいものであったと感じております。
もし、今後この合宿を恒例行事として行うのであれば、もっと準備を入念にすべきだと感じました。今回は限られた時間の中で、計画をし、実行したということもあり、ベトナム選手団のレベルは少し日本選手団に劣るものがあると感じました。ただ、もっと早く計画することが出来れば、トップ選手を集めることが出来ると現地の富岡様もおっしゃっていたので、次回行うのであれば、もっと準備に時間をかけたいと思いました。
また、サフィール遠征のように事前の練習会などを行ってもよいかと感じました。やはり会話を交わすのも初めてというような選手もおり、そういった選手の不安を少しでも軽減するために、ある程度コミュニケーションが取れる段階をつくるということも必要であったと思います。
最後になりましたが、今回の遠征が、けが人体調不良者一切なく無事に終了することが出来たのは、伊藤団長、小笠原監督、現地の富岡様の細かい気配り、サポートがあってのことだと感じております。また、私のつたないサポートにも何一つ文句を言わず、素直に練習に取り組んでくれた選手たちに感謝をしております。この遠征に参加した選手が、技術面のみならず、人間的にも関東学連の代表として、成長してくれることを期待して、私の報告書とさせて頂きます。