彼の抜群の記憶力の良さ

一心くんと話しをしていると、彼の抜群の記憶力に驚かされます。しかも、沢山の方から可愛がられているのが伝わってきます。

 

「渡辺さんにこうアドバイスを頂いて、とても参考になりました」

とか、

「あの方に相談したら、こう言われて、勉強になりました」

とか、

「あの時、コーチにこういわれて嬉しかったです」

とか。

 

ふむふむ、みんな優しいねぇ。と、うんうん頷いて聞いていたら

「あの日、泉さんに……」

と言われたので、「おっ、私も何か良いことを言ったのかな?」とワクワクして次の言葉を待っていました。すると、

 

「あの日、泉さんに『一心くんは指導者としての自覚が足りない』と言われてショックで、もっと勉強しなきゃいけないと思いました」

 

ビックリ! 何それ! 超、上から目線なんですけど!!! 

 

おばさんのくせに!!!

 

「え? 私、そんな失礼な事言いました?」

 

「はい、おっしゃいました」

 

「ごめんね~! 全然覚えてないんだけど、かなり失礼しました~!」

 

「いや、そうおっしゃって下さったので、指導者としての自覚を持ち、勉強をもっと頑張るようになりました」

 

……むむむ。この青年には何を言っても感謝されるのかもしれないぞ。

 

~続く~

一緒に卓球

一心くんがリマにいた2日間、家に連行し、一緒に卓球をしました。

 

試合をする2人。とっても楽しそう! 結果は引き分けでした!

息子も参加。

2日目は急いでいたこともあり、一心くんはラケットをホテルに忘れました。

ラケットを侍の刀と例えるなら、一心くんは秒殺されているでしょうね。

 

何十本もある旦那のラケットコレクションの中から好きなラケットを使う一心くん。短期間でアンチラバーも使いこなしているようでした。

 

泉さんの卓球の動画撮らせてください」と頼まれたので、西田泉、久しぶりに一肌脱ぎましたよ。

 

「西田泉の超ウルトラスーパーめちゃんこ止まる横回転がかかったストップショート~!」

 

是非一心くんに動画を見せてもらってくださいね! 拝観料は後で私が回収しにご自宅まで伺います。

 

~続く~

ワクチンを打たなかった理由

ペルーに渡航するにあたって、推奨されている予防接種がいくつかあります。

 

破傷風、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、黄熱です。

 

アシスタントの契約期間は最低でも半年だったので、オーナーの渡辺くんに「ワクチンは打っておいた方が安心ですからね」と言われていたものの、一心くんは打たずにペルーに来ました。

 

日本出国前、時間がなくて打てなかったそうです。

 

じゃあペルーで打てば良いじゃないかって?

 

なるほど! あなた、なかなか賢いですね!

 

ペルーで「血液検査」を受けに、病院へ行った時のことです。

 

人差し指に針を刺して採血するやつ。

 

一心くんは膝から崩れ落ちたそうです。

 

すっごい痛かったそうです。

 

うっわ~、わたしも最近と言っちゃ最近、同じくらいすっごい痛い思いをしたことがあったなぁ……(遠い目)。

 

出産。

 

まさに赤子を産み落とす、最後から2回目の陣痛でいきめなかったですからね、あまりにも痛くて。

確かに陣痛は来てたんですけど、体力を全て使い切っており、いきむことができませんでした。最後は気力で産み落としましたよ。

 

肝心の一心くんですが結局ワクチン打つのに気が引けてしまい、そのままズルズルと引き延ばし、打たずじまいになったそうです。

 

 

~続く~

一心くん、ペルーで手術!?

コーチを始めて1週間で栄養失調になり、椅子から立てなくなり、病院へ運ばれた一心くん。

 

容赦なくスペイン語で問診してくるドクターの言っていることが分からず、触診ではお腹を強めに押された時もあったので、痛くて「あー」だとか「うー」だとか言っていたそうです。

 

席を外していた渡辺くんが戻ってきて、ドクターの言っていることを通訳してくれました。

 

意識朦朧としていた一心くんが聞いたであろう言葉がこちら。

 

 

「この子は言葉(スペイン語)が話せないほど体調が悪いようだ! 手術になるかもしれない!」

 

 

「い~やいやいや!!! ただの栄養失調ですからっっっ(号泣)!!!」

by 一心

 

後で渡辺くんに聞いた話ですが、問診はほぼ寝ていたから会話になっていなかったそうです。

 

まぁ、ちゃんと起きていたとしても会話にはならなかったでしょうけど。

 

だって、スペイン語分からないんだから。

 

「当時知っているスペイン語といったら『オラ!(やあ!)』と『グラシアス(ありがとう)』だけでしたからね(爆笑)!」 by 一心

 

この時、もしも渡辺くんが居なかったら、一心くんは一体どう料理されていたのでしょう? 想像するだけでゾッとします。

 

 

~続く~

男性はストレスで痩せこける

アイスでお腹を壊した一心くんでしたが、ペルーに来てすぐに体調を悪くしたそうです。

 

男性って、そうやってすぐにお腹壊したりするんですよね。それに比べて、女性は本当に強いと思います。

 

『青年海外協力隊あるある』なのですが、「任国に行くと、男性はストレスで痩せこけるが、女性はむしろ太る」というのがあります。

 

本当、その通りになります。

 

私はグアテマラで太りました。もちろん、体調悪くしたり、お腹壊したり、デング熱にかかったり、食べ物が当たって全身蚊に刺されたようにブクブクになるアレルギー反応が出て野良犬がウロウロしている市場でお医者さんでもない人に注射を打たれたり(そしてすぐに回復した!)、バトミントンで本気で遊んでいたら裏太ももが肉離れになったりしました。それでも太りました。

 

しかしペルーで出産し、現在24時間体制でおっぱいを息子にあげ続けているとみるみるうちに痩せ、まるで毛をむしられた雌鶏(メンドリ)のような貧相な姿になってしまいました。

 

さて、肝心の一心くんですが、コーチを始めて1週間で栄養失調になり、椅子から立てなくなってしまったそうです。

 

 

~続く~

一心くんの言葉を、旦那は完全無視。

リマで3日間、一心くんと一緒にいました。

 

「僕、肉体改善を始めたので、食事には気を使っているんです!」という一心くんの言葉を完全に無視し、旦那はお手製のミートソーススパゲティを食べさせたり、ペルー料理のアンティクーチョ(牛の心臓の串刺し)や渡辺貴文さん風に言う「ドナーツ」、つまり「ピカロネス」というドーナツ型の甘いおやつを半ば強制的に食べさせていました。

 

「僕、アイスが大好きなんですけど、肉体改善始めたので食べるのをやめました。あと、ペルーのアイスって結構高いですしね」

 

「そうそう、ペルーのアイス、高いですよね! 小さいのでも、1つ120円はするんですよね」

 

そんな話をしていたら旦那が「はい、コレ、どうぞ」と一心くんに差し出したのがアイスでした。

 

「……えっ?

 

動揺する一心くん。

 

「……ペルーで食べる最後のアイスになるかもしれないし、ここは食べちゃいましょう!」という悪魔(私)の囁きで、アイスを食べた一心くん。

 

「美味しいっす!」

 

その後、私の家で卓球をしていたのですが「すみません、ちょっとトイレ借りても良いですか? 先ほどのアイスでお腹を冷やしてしまったみたいです……」

 

完全に旦那のせいですね。

 

 

~続く~

一心くんの荷物

一心くんがリマに着いたので、旦那と迎えに行きましたが、

 

あれ? ちょっと待って?

 

荷物、少なくない?

 

リュックと、中くらいのスーツケース1つだけ。

 

「4泊5日の卓球の遠征から帰ってきました」っていう格好してるけど。

 

後々話しを聞くと、日本を出発した時はリュック一つだけだったそうです。

 

 

えっ……?

 

 

それって「おばあちゃん家に2泊3日で行ってきます」ってやつですけど?

 

「そのリュックに何が入っていたんですか?」と聞くと、「服とラケットとシューズだけだったと思います」と返ってきました。

 

っく~! 痺れますね!

 

 

~続く~

一心くん、結果は陽性⁈

一心くんが日本に帰るため、ペルーでコロナウィルスの検査を受けました。

 

結果は陽性。

 

あー、そうですか、陽性ですか。

 

えっ? ちょっと待って? 陽性?

 

「そんなはずはない!」と、ホームステイ先のお母さんがモーレツに抗議しに行くと、一心くんの前後で結果の取り違いがあったらしく、本当は陰性だったそうです。

 

あの~、そこ、絶対に取り違わないでくださいます?(号泣)

 

ホームステイ先のお母さんがモーレツに抗議しに行かなかったら、一体どうなっていたのでしょう?

 

しかも、25人~30人くらいが一緒に検査を受けていたそうですが、一心くん以外全員「陽性」だったそうです。なんじゃそりゃ!!!

 

~続く~

渡辺拓也くんの、次元の超えた踏ん張り

ペルーに残って色々とチャレンジする予定でしたが、パンデミックの影響で思うように活動が出来なくなってしまったので、結局日本に帰ることになった一心くん。

 

ところで卓球クラブオーナーの渡辺拓也くんですが、経営破綻状態なのに、

 

結局ペルーに残ることになりました。

 

あの~、もしもし?

 

なんで?

 

っていうか、渡辺くんの踏ん張りが凄いですよね。

 

次元を超えてますよね。

 

ペルーで卓球クラブを経営して、日本からアシスタントを呼んで、パンデミックで外出禁止&経営破綻状態になりながらも日本に帰らないなんて!!!

 

私だったら「お父さん~、お母さん~! え~ん!」などと言いながら速攻日本に帰っていたでしょうに。

 

~続く~

一心、新たなチャレンジ

「俺、一心、19歳。俺はペルーで頑張るぜ!」と張り切っていたらパンデミックがやってきました。

 

ペルーでは卓球どころか外出まで禁止。不要な外出をしたら逮捕されます。

 

今までは オーナーの渡辺くんが用意してくれていたホテルで暮らしていましたが、卓球クラブは経営破綻寸前。

 

ついに教え子のペルー人のご家族のご厚意で、無料でホームステイを始めることになりました。

 

そして、新たなチャレンジが始まりました。

 

それは……

 

 

「スペイン語を学ぶ」こと。

 

 

えっ? 11か月もペルーにいたのに、スペイン語の勉強してなかったの?

 

はい。だって、必要なかったから。それが、何か?

 

アシスタント募集時に「語学サポート」って書いてあった通り、レッスン中はオーナーの渡辺くんがサポートしてくれていたので、特に必要がなかったそうです。

 

しかし、ホームステイになり、サポートしてくれる渡辺くんは居ません。

 

一人で何とかしなければいけない状況になって「ハッ!」っと気づいたそうです。

 

「あれ? この人の言っていることが全然わからないぞ」

 

「おや? 自分が伝えたいことも全然伝えられないぞ」

 

「そうか、言葉って大事なんだ!」

 

「うぉ~、これって、超面白い!!!」

 

「スペイン語の勉強を始めよう。そして、肉体改善として筋力トレーニングと食事改善を始めよう。卓球の技術や戦術も、一から勉強しなおそう!」

 

 

パンデミックで卓球の指導どころか不要な外出は出来ず、ホームステイ先では言葉も通じない。不憫な状況で、一心くんの目から鱗が落ちた瞬間だった。

 

 

~続く~