合宿に参加された皆様ありがとうございました。

ここ数か月、関東学生強化合宿の報告書を掲載させていただきましたが、明日より世界卓球に向けて帰国するためここで打ち切らさせていただき、参加された方々に御礼申し上げたいと思います。

皆さんが帰国された後わざわざ寄せ書きまで送っていただき本当にうれしかったです。

合宿後ベトナムの選手やコーチから、日本の選手は普段特別な練習をしているのではないか、もっと詳しく練習方法を教えてくれ、と多くの質問を受けましたが、今月の卓球王国にも掲載されているように、特別な練習をしているわけではなく、いかに練習時間を集中して、質の高い練習をするか、意識を高めて練習するかが大事なことだと伝えておきました。

練習中日本の選手たちは、報告書にあったように足が動けなくなるほど追い込みましたが、ベトナムの選手たちは日々の練習でそこまで頑張る姿をほとんど見かけたことがありません。

やはり選手、コーチ個々の意識が非常に重要だと思います。

最近ホーチミンチームの練習を見に行ったところ、まだまだですが、以前に比べ少し練習密度が上がっておりました。

また懇親会に参加された日系企業の方々も、全日本選手権の決勝戦がベトナムのNHKでも放映され、皆、町選手の活躍を非常に喜んでおりました。

各選手の皆さんはこれからも試合が続くと思いますが、皆さんの活躍を心よりお祈りしております。

ありがとうございました。

報告書 多田 光希 (中大 3年)

今回のベトナム合宿は私にとって良い経験となり、そしてとても充実した合宿となりました。

練習内容はフットワークを中心としたものが多く、改めてフットワークの大切さを感じました。また、その中で自分のボールにしながらいかにミスを減らすことが出来るか。また打点の速さ。捉える位置。相手のボールを利用するなど、細かな技術指導や分からない事なども親身に教えてくださいました。

そして、自分の中で悩んでいたものや迷いがなくなりました。

今回学んだフットワークやサーブ又レシーブからのシステム、多球のメニューを母体でも取り入れていきたいと思います。

(クチトンネル。左端多田選手)

ベトナムでの食事は、様々なベトナム料理を食べましたが、食べられない物もなくベトナム料理を堪能することが出来ました。

文化交流ではクチトンネル、また川や川の上で生活しているところを見たりしました。

特に印象的だったのは、川です。テレビで観るような世界を実体験することが出来、とても良い経験になり思い出となりました。

今回のベトナム合宿は正直、想像していた以上にきつかったです。

しかし、それ以上の達成感と充実感があり、一日一日がとても濃かったです。

今回の経験、学んだことをこれからに生かし、全日本や東京選手権で発揮したいと思います。

今回このベトナム遠征に携わってくださいました、伊藤さん、小笠原さん、長田君又関係者の皆様、今回このような貴重な経験をさせて頂き本当にありがとうございました。

報告書 山本 勝也 (早稲田大学 2年)

この度はベトナム遠征に参加させていただきありがとうございました。今回の遠征では様々なことを感じ、多くのことを学ぶことができました。それらのことを報告していきたいと思います。

まず、ベトナムは気温が30度前後と蒸し暑く日本の気候と大きく違いました。そのため打球感覚や食事の面においても日本と大きく違い、環境が今までと大きく変わった中で過ごしました。その中でコンディションをどのように整えパフォーマンスにつなげていくのかを海外に来たことで大きく学ぶことができました。このような経験は日本国内ではできない経験なのでとても良い経験となりました。

卓球においては、練習も試合もとても密度の濃いものでした。練習ではフットワークを多く使う練習から、パターン練習など試合に近い内容まで取り組み、バランスの良い練習をしました。試合ではベトナムの選手と公式戦に近い形で数多く行い、それらを行っていく中で自分の課題が見えてきました。ベトナム選手のボールはとても威力のあるもので強打をされた際に返球するのに困難な場合が多くありました。それに対し、私のボールは2,3球打たなければ抜けないことが多く、決められる球でもラリーになってしまうことが多くありました。その原因としてフォアハンドでの決定力不足が挙げられました。伊藤さんから打球点が遅いと指摘され、その後の練習で意識して取り組みました。そうすると以前よりも威力が増し、改善の余地が見られました。今後さらに磨きをかけていきたいと思います。

文化交流ではベトナム戦争の実態を肌で感じることができました。ベトナム戦争で実際に使われていた罠や敵から逃れるためのトンネルなどを実体験することができ、当時の状況を知ることが出来ました。当時は過酷な生活をしていたことがわかり戦争というものの背景を知ることが出来ました。またメコン川にも足を運ぶことができ、ボートに乗って自然を体感することが出来ました。このような体験は日本ではできないことなのでとても貴重な経験ができたと思います。

(クチトンネルにて、写真右下山本選手。)

ベトナム遠征に参加したことで私の人生においてとても良い経験になりました。今回の遠征で学んだことを今後、卓球のみならずそれ以外の部分でもつなげていきたいと思います。最後にこの遠征に携わってくださった伊藤さん、小笠原さん、富岡さんをはじめ、この遠征に関わってくださった方にとても感謝しています。本当にありがとうございました。

報告書 市川 志穂 (日大 2年)

今回、このような遠征に参加させて頂きありがとうございました。海外遠征に行く機会はそれほど多くないので、貴重な経験をすることができました。

まず、ベトナムに行って感じたのは、日本人選手とベトナム人選手では、プレースタイルが全然違うというところです。多くの女子の日本人選手はサーブから仕掛けていき、大胆なプレーではなくピッチの速いラリーで点数を取っていきます。しかしベトナム人選手は、相手に打たせてからカウンターで狙っていくプレーが多かったです。日本では決まるカウンターでも、ベトナムではそれ以上の威力で返ってくるので自分がきつい展開になってしまいました。

(写真は2011年ゴールデンラケット大会のものです。)

そして、日本人選手はとても集中力が高く、当たり前に最後まで集中して全力で練習します。また、試合で点差が離れていても終わるまで諦めません。それは日本人選手のいいところだなと思いました。

環境も全然違ってベトナムは冬でも30℃ほどあり、冷房の効いた練習場でしたが立っているだけで汗が出るほど暑くて、厳しい練習環境でした。私の今通っている日本大学では冷暖房が完備されていて、本当に恵まれた環境で練習していることに気付かされました。しかし本番の試合では、暑かったり、寒かったり、湿気が多かったり、いろいろな環境があります。それに対応していくためにもいろいろな環境で練習を行わなければならないとも思いました。

この強化合宿は富岡さん、伊藤さん、小笠原さん、長田さんをはじめ現地のスタッフの方々の協力がなければ成り立たないものでした。本当にありがとうございました。この貴重な経験を生かして結果という形で残したいと思います。また、機会があればよろしくお願いします。

報告書 生田 裕仁 (法政大学 3年)

今回、関東学生卓球連盟主催のベトナム合宿に参加させていただき自分にとって沢山学ぶ事が出来ました。普段日本で私たちは練習していますが正直凄く環境が良い中で練習することができています。夏は涼しく冬は暖かい状況で練習している人が多いと思います。一方ベトナムは一年中暑い国ではありますが練習場は冷房など殆ど効いてない状態で毎日練習しています。初めてベトナムにきましたがやはり今自分たちが卓球をやれている環境は凄くありがたいことで感謝していかなくてはいけないなと感じました。富岡さんからベトナムではラバーなどの用具は全然支給してもらえないこと、シューズがボロボロになっても替えられないという現状の人が沢山いるということも聞きました。自分たちが支給してもらっていることやいつでも買える状態にあることを当たり前と感じてはいけないとも感じることが出来ました。

また練習の面ではベトナムの選手はまず、ボールが重いということが分かりました。一球一球全力で打球していて練習していてボールに押される感がありました。それは凄く見習わなければいけないなと思いました。これからは一球一球全力で打って尚且つ安定性も重視を意識しながら練習していかなくてはいけないと思いました。  普段自分は技術指導してもらうことはないので伊藤さんと小笠原さんに指導して頂いてとても為になりすごくありがたかったです。バックハンドの面の出し方など切り替えの時の足の使い方など細かい部分もしっかり指導していただいて勉強にもなりました。

多球練習では大学に入ってから一番位ハードで足がとてもきつくなりこれからは足腰の強化をしていかなくてはいけないと思いました。伊藤さんと小笠原さんにはオンオフの切り替えも大事と言われすごく納得しました。合宿を総括して選手全員その点はしっかり実行することができたと思います。

練習だけではなく最終日の文化交流ではベトナムの文化にしっかり触れることができました。ベトナム戦争について学ぶことができ教科書でしか学ぶことが出来なかったのが現地で触れることが出来るというのは凄く貴重でした。本物の銃も打つことができいい経験になりました。木の実を食べたり蛇を首に巻いたりと二度とやることが内容なことも体験し日本とは別世界すぎて不思議な感覚でした。

(蛇を首に巻く生田キャプテン)

今回のベトナム合宿では練習は勿論ですが文化にも触れることが出来、自分にとってプラスことになることだらけでした。考え方も行く前とは変わって当たり前のことを当たり前に思ってしまってはいけないと改めて感じました。またこんな強い日本の選手の中に混じって練習もさせてもらって刺激になったし勉強にもなりました。そして富岡さんには何から何までお世話になりとても感謝しています。いろんな人の助けがあってこの合宿を行うことが出来たと思うので皆に感謝です。特にキャプテンらしいことはしてないけどキャプテンになれたのもいい経験でした。 最後に、伊藤さん、小笠原さん、富岡さん、長田、この合宿で沢山お世話になりました。本当にありがとうございます。また機会がありましたら是非よろしくお願いします。

報告書 小道野 結 (早稲田大学2年)

今回、関東学生卓球連盟海外強化合宿に参加させていただき、私にとってとても貴重な経験となりました。ベトナムでは、大きな環境の違いに多少戸惑う部分もありましたが、多くの方々のサポートのおかげで充実した合宿にすることができました。

(写真は2011年ゴールデンラケット大会で女子団体優勝した時のものです。)

向こうでの練習メニューはハードでしたが、とても内容の濃い、質の高い練習をすることができました。伊藤誠さんの講習の元で行われた練習は主にフットワーク中心でしたが、その中でも「決められるボールを打つこと・打点を高く・安定性」という課題が提示され、それを意識しながらの練習はとても難しかったです。特に印象に残っているのは、最終的にいかに楽をして良いボールを打つかということです。私は普段、フォームや体のバランスなどを考え、一生懸命振ることを考えて練習してきました。ですが、逆に力が入りすぎてしまい、良いボールを打つことができていないとわかりました。なので、私にとって大きく視野を広げることができ、さまざまな練習が大きな刺激となりました。

ベトナムの選手とも試合をする機会があり、そこでも多くのことを感じました。ベトナムの選手はパワーや回転量が優れていますが、スピードがなく、細かい技術は日本の選手よりも劣っています。なので台上での技術や早いリターンで崩すことができれば優位に試合展開を運ぶことができました。また、サーブの技術は日本の選手のほうが優れていると感じました。ですが私の場合パワーがないので、ラリーの際に中陣でゆっくり返球されると打たされる展開になり、ミスが出てしまいます。そこが大きな課題だと感じたので、母校に帰って課題克服に取り組みたいと思います。また、試合で「小柄で強いボールが打てない選手は、どのように強いボールに見せるかを考える」というアドバイスをいただき、そういう考え方もあるのかととても勉強になりました。

今回のベトナム遠征を行うにあたり、監督として全体の練習の管理をしていただいた伊藤誠さん、試合でのアドバイスやサポートをしていただいた小笠原さん、ベトナムの富岡さん、学連の長田さん、観光でお世話になったホアさん、ベトナムの選手のみなさん、そして一緒に行動してくれた日本の選手のみなさんに感謝したいです。たくさんの方々の支えがあってこの合宿を行うことができたことを忘れず、この合宿で得たことを今後に生かしていきたいです。また、このような合宿に参加できるよう、さらなる競技力向上を目指して日々精進していきたいと思います。本当にありがとうございました

報告書 町 飛鳥 (明治大学1年)

3月上旬から2週間、展示会に合わせて、日本に帰国いたしました。

いろいろな方々にお会いできて、嬉しかったです。

少し時間が開いてしまいましたが、報告書の続きを掲載していこうと思っております。

(町選手とベトナム代表クイン選手)

 

今回ベトナム遠征のメンバーに選んでいただきありがとうございました。私はこの遠征で初めてベトナムに行きましたが、日本との気温の違いに驚かされました。毎日30℃を超えるような暑さで練習するのはきつかったですが、とても良い練習をすることができ良かったと思います。

今回の遠征でベトナムの選手と練習して3つの課題を見つけることができました。1つ目はスイングについてです。私は大きなスイングで打つことが多く速いラリーの時に遅れてしまうのでもっと小さく速くすることを意識していきたいと思いました。世界のトップ選手で大きなスイングの人はあまりいませんし普段から気をつけたいと思います。現代の卓球はとにかく速いのでその速さについていけるようにしたいです。

2つ目は戻りの早さと前後の動きです。サーブ、レシーブの後の戻りやドライブを打ったあとの戻りなどが遅いと感じたので、素早く戻り連続攻撃が何本でもできるようにしたいです。戻りを早くするには1つ目で言ったようにスイングを小さく速くすることが重要だと思います。戻りが早ければ次の球を打つのに余裕ができるのでそこを目指したいです。それから前後の動きは左右の動きよりも重要だと私は思います。試合で最初に動くのは前後です。短いサーブが7割くらい出されるので如何に前後の動きが大事なのかがわかります。ですが練習の時、左右の動きばかりやっているのでストップされたとき動きが遅れてしまうのだと思います。試合で一番重要な前後の動の練習をもっとたくさんし前後に対する意識を高く持つことが大事だと思いました。

3つ目はチキータとチキータ処理についてです。最近の卓球ではチキータをするのは当たり前になっていますが、質の低いチキータは相手に狙われてしまう危険なボールだと感じました。強い選手のチキータは鋭いスイングで回転量が豊富で一撃で抜けてしまうほどの威力です。それぐらいの威力を目指したいです。逆にチキータへの対応が勝つための条件とも言えると思います。如何に相手に質の低いチキータをさせるか、そのボールを狙っていけるかだと思います。そのためにはロングサーブなどを有効に使うなど、工夫が必要だと思いました。これらの課題を克服し、これまでよりももっと成長していきたいです。

今回の遠征では最終日に文化交流でベトナムの文化に触れられたことも私の財産になりました。普通の人が経験できないようなことをさせていただいたことに感謝したいです。現地でお世話になった富岡さんには身の回りのことなどをしてもらいスムーズに行動することができ、本当にありがたかったです。スタッフの伊藤誠さんと小笠原さんには暑い中多球練習などもしてもらいましたし、色々なお話を聞かせていただき、楽しく過ごすことができました。それから学連で来ていただいた長田さんには全てのことをして頂き、この遠征が無事に終えられたのは長田さんのおかげだと思います。私たち選手の為に携わってくださった全ての方々に感謝の気持ちで一杯です。今回は本当にありがとうございました。

報告書 長田 拓也(関東学連副幹事長 日大)

この度は、ベトナムとの国交が40周年ということで、関東学連主催でベトナム強化合宿を行うにあたり、選手とのサポートという形でご同行させていただきました。

(写真左端、長田さん)

私は今回関東学連の役員として海外遠征に同行させていただいたのは初めてだったのですが、非常に実りの多い遠征となりました。まず、参加した選手団全員が非常に高い向上意欲を持っており、またモラルの高い人々で構成されていたことに、非常にありがたさを感じました。昨今、体育会の部活でモラルに反した行動を行い、マスコミに取り上げられるといった事例が後を絶ちませんが、今回の遠征では参加者全員が10分前集合を例外なく厳守し、全日程スケジュールを問題なく行うことが出来ました。今回の遠征を経て、参加された選手のかかわる大学はまず心配ないだろうとさえ感じるほどでした。

技術的な面では、海外の選手と練習をしたことにより、普段では経験できないボールに触れることが出来たと思います。また、日本の環境とは違い、ベトナムは年間通して終日気温が高く、空調も完全ではないことなどから、大変暑い中でハードな練習をすることとなりました。そういった経験も国内ではなかなかできないため、非常に貴重だったと感じております。練習の細かいメニューや意識のあり方については、伊藤様、小笠原様の綿密な計画と、わかりやすい解説、指導のおかげで短期間ではありましたが、間違いなくレベルアップが図れたのではないかと思います。特に驚いたのは、練習初日と最終日で、ベトナム選手の実力が目にわかるほど上がっていたことです。これは一つに、作成いただいたメニューが効果的なものであったことの事実的な表れだと考えております。日本の大学生たちは普段の練習で、誰かから細かいアドバイスを受けるという機会が少ないかと思うので、今回はいいきっかけになったという選手も少なくないと思います。

ベトナムは比較的物価なども安く、食事面や水分補給、その他のサポートにかなりお金を使ったような感覚だったのですが、日本円に換算してみるとむしろ安いほどでした。今回選手および引率者の負担金は5万円ということで、従来行っていた韓国遠征の半分ということでやらせていただきましたが、サフィール遠征と合わせても、年間の予算内でできるのではないかと考えております。これも大きな魅力の一つであると感じます。

また、スケジュールの中に、交流会としてベトナムに在住の日本人の方たち、そしてベトナム選手団と、食事会をする機会があり、選手たちも積極的にコミュニケーションをとっていたように感じました。スポーツの選手団として、強化遠征で技術向上を図るのは当然のことかもしれませんが、それ以外の部分でも成長をしようと取り組んでいる姿が見られたことは非常にうれしく感じました。

異文化交流では、戦時中に使われていたクチトンネルや、メコン川などに足を運ぶことができ、これもまた、普段ではできない貴重な経験をさせて頂くことが出来ました。この内容も、大学生が学ぶにふさわしいものであったと感じております。

もし、今後この合宿を恒例行事として行うのであれば、もっと準備を入念にすべきだと感じました。今回は限られた時間の中で、計画をし、実行したということもあり、ベトナム選手団のレベルは少し日本選手団に劣るものがあると感じました。ただ、もっと早く計画することが出来れば、トップ選手を集めることが出来ると現地の富岡様もおっしゃっていたので、次回行うのであれば、もっと準備に時間をかけたいと思いました。

また、サフィール遠征のように事前の練習会などを行ってもよいかと感じました。やはり会話を交わすのも初めてというような選手もおり、そういった選手の不安を少しでも軽減するために、ある程度コミュニケーションが取れる段階をつくるということも必要であったと思います。

 

最後になりましたが、今回の遠征が、けが人体調不良者一切なく無事に終了することが出来たのは、伊藤団長、小笠原監督、現地の富岡様の細かい気配り、サポートがあってのことだと感じております。また、私のつたないサポートにも何一つ文句を言わず、素直に練習に取り組んでくれた選手たちに感謝をしております。この遠征に参加した選手が、技術面のみならず、人間的にも関東学連の代表として、成長してくれることを期待して、私の報告書とさせて頂きます。

報告書 小笠原 剛士(早稲田大学監督)

■報告内容総括

本遠征は、関東学生卓球連盟所属の学生を対象とした強化の一環としての海外での強化合宿であり、開催地はベトナムのホーチミン市で、今年が日本ベトナム外交関係樹立40周年ということもあり選出されたと伺っています。

そのような背景のもとで行われた海外での強化合宿ということもあり、参加した各選手の卓球競技力向上もさることながら、国際・文化交流を体験することを通じて人間的な更なる成長のきっかけを掴んでもらうことを目標として取り組みました。

結果、「卓球競技力向上面」では、環境や練習メニューがいつもと異なるという負荷のかかる状況の中、各選手が目的意識とを持って練習に取り組み、選手同士が協力し高め合うことによって非常に質の高い内容にしてくれました。

「国際・文化交流面」では、練習を通じてベトナムの選手達とのコミュニケーションを積極的に取っているところが見受けられました。特に自分に追い込みをかける多球練習の際は、体力的にも厳しい状況で日本、ベトナム両国の選手同士が励ましあって取り組んでいたところが印象的です。また、ホーチミン在住の日本人卓球愛好家との交流は、卓球の話題だけでなく外国文化の理解とグローバルな視点を持つ貴重な機会になったと思います。

今回、ベトナムのコーチ陣からは、技術・練習メニューに加え「日本の選手の卓球に取り組む態度や姿勢を学びたい」と伺いました。上記に記載しましたように、日本の各選手が高い集中力を持って練習に取り組んでいた姿は、ベトナムの選手たちにとってもいい影響があったと考えています。そのような練習への取り組みの支えになっているのは、行動面(10分前行動等)で遠征の最初に決めたことを、各選手が確実に実行してくれたということが大きな要因だったと感じています。

 

本遠征にあたり、現地でのアレンジをしていただいた富岡武侯氏のサポートにより、不自由なく全てのスケジュールを終えることができたこと、また、このような機会を与えていただいた関東学生卓球連盟には大変感謝しています。

最後に私自身も、すばらしいスタッフ陣と選手にめぐまれ、学びの多い貴重な経験をさせていただきましたことに感謝申し上げたいと思います。

(写真左端、小笠原監督)

 

■練習メニュー及び競技力面の考察

n  11月30日

  • 練習メニュー

【午前】

①    フットワーク:フォアハンド・左右・1本‐1本(範囲2/3):10分×2回/1人

②    フットワーク:オールランダム(バックハンドの使用は連続2本まで):10分×2回/1人

③    フットワーク:F‐M‐F‐Bの繰り返し:10分×2回/1人

④    フットワーク:F‐M‐B(BH)→F‐M‐B(回り込みFH)→オール:10分×2回/1人

⑤    ゲーム練習:ベトナム選手との対戦

【午後】

⑥    講習:伊藤さんによる日本選手、ベトナム選手及びコーチ陣に対して

⑦    ドライブ対ドライブ:Fクロス・Bクロス・オール:各7分

⑧    SV+3球:SV(F~M前)→3球目(両ハンドで相手のミドルへ強打)→5球目(ライジングで攻める)

⑨    RV+4球:RV(F前をBH系技術で処理)→4球目(Bサイドへの戻り)→6球目(強打)

【トレーニング】

●  ランニング:400mトラック 男子6周/5周

 

⇒考察

・  練習メニュー②:バックハンドの連続使用は2本までの条件をつけた練習。このような条件をつけた練習を日常で行っているかは分からないが、各選手のプレーと共に意識にも負荷がかかっていると見受けられた。通常のオールランダムフットワークでは両ハンドを使い、ラリーのテンポが一定になる傾向があるが、本練習では、2本目のバックハンドで緩急をつけ全面をフォアハンドで待つ工夫が見受けられた。

・  練習メニュー④:バックへの回り込みの後、フォアサイドに飛びつく場面が多く、その飛びついた後のボールの対応が遅れる傾向が見受けられた。その要因としては、バックへの回り込みから、フォアサイドへの飛びついての打球点が下がっていることが考えられる。回り込んでからの飛びつき時に高い打点でとらえること意識したフットワークの使い方も必要と感じられた。

・  練習メニュー⑦:ドライブ対ドライブでは、ミスの傾向としてラケットの角にあたる「カチンコ」が見受けられた。ラリーが続く中で、ラケットが下から上への軌道になる傾向があり、飛んでくるボールの軌道に合わせたバックスイングの必要性が感じられた。

・  練習メニュー⑨:フォア前をバック系技術(チキータ等)で処理した後の、戻り方に各選手の違いが見受けられた。この練習に限られるのかもしれないが、4球目を自分のボールにして打球できている選手は、レシーブ後の戻りの1歩が大きい傾向があり、そのためには、レシーブへの入り方が大切だと感じられた。

 

n  12月1日

  • 練習メニュー

午前・午後試合

男子:予選リーグ2組から上位4名が決勝トーナメント方式

女子:総当りリーグ戦方式

 

⇒考察

ベトナム選手の特徴

・  体を使い、回転量が多く、力強いボールを打ってくる。

・  チキータの使用が少なく、レシーブではツツキを多く使用してくる。

・  攻撃技術はフォアハンド系で攻めてくる傾向が多い。

・  サーブ、レシーブについて、繊細さは見受けられない。

上記のようにベトナムの選手は、どちらかというと、少し古い卓球をする傾向があり、日本選手は男女共に成績は上回っていたものの下記のような課題があった。

・  コース取りが単調になり、両サイドへの返球が多く、ミドル攻めが少なくなっていた。

・  ラリーでのドライブの引き合いで、相手の威力のあるボールをおさえようとして力んでしまいミスにつながる傾向が見受けられた。

・  3球目など、下回転(ツツキ)を打たされてからの展開が多く、5球目攻撃のスイング位置が上から出しづらそうな様子が見受けられた。

・  ベトナム選手のサーブはショートサーブなら台上で2バウンドしないや、レシーブのストップも同様が多かったが、その次の処理(3球目や4球目)には慣れているため、ハーフロングとなったボールの処理があまくなるとそれを狙われるケースが見受けられた。

 

n  12月2日

  • 練習メニュー

【午前】

①    ドライブ対ドライブ

②    フットワーク:フォアハンド・左右・1本‐1本

③    フットワーク:オールランダム(バックハンドの使用は連続2本まで)

④    フットワーク:F‐M‐F‐Bの繰り返し

⑤    フットワーク:F‐M‐B(BH)→F‐M‐B(回り込みFH)→オール

【午後】 ~多球練習~

⑥    ドライブ(FH・BH)

⑦    ツツキ打ち(フォアハンド・左右1本1本)

⑧    ドライブ対ドライブ(2/3オール)

⑨    ブロック(オール)

⑩    F前ストップ→ツツキ打ち(オール)→強打

⑪    F前ストップ→回り込みドライブ(FH)→飛びつき→ミドルへの返球を強打(FH)

⑫    F前チキータ→Bサイドへの戻り(BH)→回り込みドライブ(FH)→飛びつき→バックへの返球を強打(BH)

(多球練習での1コマ)

⇒考察

・  各選手の疲れもピークに達している状態であったと思うが、午前の練習メニューは1日目とほぼ同様で、いい状態の力配分で取り組めていると見受けられた。

・  午後の多球練習では、各選手共に自分に厳しく追い込む姿勢で取り組んでおり、ベトナムの選手とも励ましあいながらコミュニケーションを取って苦しい練習を乗り越えていた。

 

以上、練習メニュー及び技術面の考察を私なりにさせていただきましたが、大学生になると自分で練習メニューを決めて取り組むことが多くなる中、条件等を与えられた練習に対し、自分で考えて、甘えなく取り組むことの大切さを各選手が気付いてくれたのではないかと思っています。また、このような厳しい練習を、前向きに、明るく取り組んだ今回の選手達に私自身、感動を覚えました。

 

今回参加した各選手が、今回経験した「卓球競技力向上面」と「国際・文化交流面」を基に人間的にも成長し、競技成績をあげていってくれることと共に、各学校で伝えていただき、更なる関東学生のレベル上げていってくれることを期待しています。

報告書 伊藤 誠(技術部長・シチズン)

今回強化合宿に参加された方々よりプログへの掲載許可を頂いておりますので、順次アップさせていただきたいと思います。

まずは団長の伊藤監督です。

(ホーチミン市選抜チーム代表より記念品を贈呈されました。)

<目的>

  1. 関東学生選手の競技力向上
  2. 国際文化交流
  3. 指導者としての力量アップとマネジメント力の向上

<強化ポイント>

全力で打つこと(決定打)、速さ(スイング、戻り、ピッチ)、安定性の3点に重点をおき、打球練習を行った。強く威力のあるボールを打つ為には、下半身の強化が必要と考え、1コマの時間を10分に設定し動く練習を多く取り入れた。

<感じたこと>

強いボールを打つためにスイングが大きくなり、大きいために戻りが遅く、必然的に台から下がらなければならず、中・後陣から一発で盛り返そうと力んで打ち、ミスを重ねていた。身体の前でボールを処理することが出来ないのも、フォームが大きいことが原因に挙げられる。

また、リズムが一定のため一度タイミングが合うと返球しやすく、相手を崩すことが出来ない。緩急を上手く使い、自分の体勢を立て直す時間を作ることも必要である。予測と読み、判断、決断、実行を大胆に行わなければ、相手にプレッシャーは与えられない。

日本選手の良いところは、何でもそつなく器用に技術を使えることと、指示したことを忠実に実行に移すことができるところと感じる。まじめに一生懸命であるが、いざ勝負が掛かった時に自分で決断し勝負できるか、最後の1本をがむしゃらに奪いに行けるか、積極性が欲しいところである。

最後の練習に半日多球練習を行ったが、厳しいメニューにも必死に食らいつき、ベトナム選手、日本選手、ベトナムコーチ、日本コーチが一体となり、練習場が熱気に溢れこれ以上ない雰囲気で練習できたことを非常にうれしく思いました。この雰囲気を自然に作ることが出来れば、練習の効率も上がり成果にも繋がると感じました。

(多球練習で、要点を説明する伊藤監督。)

<国際交流>

ベトナムチームとの交流試合の実施、練習メニューをベトナム選手に伝えること、ベトナムに住む日本人の方々や、ベトナムの子供たちと卓球で打ち合い親睦を深められたこと。ベトナム戦争を戦ったクチトンネルを見学し、戦争の惨さを感じた。東南アジア最大のメコン川を下り、大自然を肌で感じられたことも貴重な体験であった。

<その他、感想・意見>

今回の遠征は、初めて団長という立場で参加し、全体をまとめることは勿論、日本の代表として、失礼のないよう注意をはらい行動しました。

学生は皆しっかりとした意欲を持ち、卓球に交流に積極的に臨んでくれました。特に行動面では団体行動で一番大切な時間管理を徹底してくれ、10分前には全員が揃って集合しており、スムーズにスケジュールをこなすことが出来ました。この遠征で卓球の技術向上だけでなく、人間的にも成長できたと感じてもらえればうれしく思います。

学生としては初めてのベトナム遠征でしたが、地元ホーチミンで活躍されている富岡様の多大な協力により、何不自由なく目的を果たすことが出来、大変感謝しております。日越国交40周年ということで今回の遠征が実施となりましたが、双方で作り上げていく強化事業として継続し、更に良いものにしていきたいと思いました。また前回の遠征でも記しましたが、たくさんの若い指導者に国際経験を積んでもらい、学生指導に役立てて頂きたいと切に願います。

最後に今回の遠征が無事終えられたのも、長田マネージャーの気配りと事前準備の徹底、小笠原監督の学生への繊細な対応があったからと心から感謝しております。今後も関東学生卓球連盟、卓球界全体が発展出来るよう微力ながら尽力したいと思います。ありがとうございました。