朱世爀の言葉3

●一時期、いろいろと粒高を変えていましたか? テンション系の粒高も使っていたと思います。

 

「テンション系粒高は少し使っていた。1年くらいかな。

あれはティモ(ボル)と(水谷)隼に勝つために使っていたラバーだよ。

ティモと隼にはテンション系、中国選手を含むその他の選手にはノンテンションの粒高を使っていた。

テンション系の特長はカットのスピードが速い。ツッツキも速い。

それによって、彼らから時間を奪う。

世界でもティモと隼は特別な選手で、ふたりは時間があればボールに変化をつけて返してくる。

スピードを変えたり、ボールを前に落とされたり、深く入れられたり、サイドを狙われたり、曲げたりなど、あらゆる変化をつけてくる。

遅いカットでは彼らにはノーチャンスだ。だからカットのスピードを上げるためにテンション系粒高を使った。

カットのスピードが速ければ、彼らは変化をつけることが難しくなる。

 

 

それにより、2011年のワールドカップでティモに勝つことができたんだ。

でもやはりテンション系は難しい。全部のボールが速くなってしまう。

言ったが、ティモと隼以外にはノンテンションのほうが良い。

それは中国選手もヨーロッパ選手も強く打つのを得意としているからだ。

スピードが遅いカットに対しても、あまり変化をつけてこない。

でもパワーのあるボールを打ってくるので、今度は私のほうに時間がほしい。

だからノンテンションのスピードの遅いカットで自分の時間を作るんだ。自分の体勢さえ戻れば、パワーのあるボールがきてもカットができる。

あるワールドツアーで、毎試合粒高を変えたことがある。

この選手にはこの粒高、次の選手にはこの粒高など、毎回変えた。

監督にはクレイジーだと言われたよ。君はフィーリングがないのか?とね。

でも自分がやりにくいよりも、相手が嫌がる選択肢を選んだほうがチャンスがある。やりやすくて、慣れられたカットマンほど勝てないからね」

朱世爀の言葉3” への 10 件のコメント

  1. 2011年のワールドカップ、ボル選手との激闘の裏にそんなエピソードがあったとは、、、
    貴重な話ですね。

  2. 彼の使用ラバーが特定できなかったのはこういった理由があったのですね…。しかし、対戦相手毎に合わせたラバーを考えて使いこなすセンスには脱帽せざるを得ません。今回の記事を通して更にチュセヒョク選手が好きになりました。

  3. やりやすくて、慣れられたカットマンほど勝てないからね

    重い言葉ですね。
    カットだけでなく異質全般に言える言葉です。

  4. 言うのは簡単だけど、これを実際に実践するのは恐ろしいほどの技量がいるでしょうね。
    改めてすごいカットマンだと思いました。
    自分がやりやすい用具より、相手が少しでもやりにくい用具を選んだ方がチャンスがある。この言葉はカットマンには金言では?

  5. 私の場合粒高を変えるとアジャストまでかなりの時間を要しますし、例えばカールP-4→スパイクP2の様に近いタイプの中の変更でもやはり適応まで時間を要します。
    そう考えると朱選手は本当に凄いことをやっていたんだなぁとただただ脱帽です。

  6. 極め尽くした人間は本当に不思議なことを考えますね。その一端を用具選びから伺い知ることができて幸せです。(回転がかかるかからないで選んでいる自分が恥ずかしい…)
    貴重なお話を引き出して下さりありがとうございました。

  7. 個人的にチュセヒュク選手の言う事はね、誰を相手にしてどう戦うかって事を分かりやすく、ドライブマンに言ってると思う。
    スピード系のテンションで戦うのもアリだし、粘着のように自分の時間を作って戦うのも戦術のうちだよって言ってる。
    ゆうさんみたいに変に意固地になっちゃダメって事を言ってるんだよ。

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