進化論と創造論

ドッグはとてもいい奴だ。誰にでも優しく心底のお人よしであり、なおかつ敬虔なクリスチャンである。先日、アキラくんという日本人が、ドックに「アインシュタインの相対性理論をどう思う?」と聞いた。「アキラくんはジョークを言っているな」と私は思った。なぜそう思うかといえば、第一に、アキラくんはジョークが好きである。第二に、アキラくんのやけに真面目ぶりながらもどこか笑いをこらえたような力の入った表情、第三に、我々の仕事に相対性理論など少しの関係もなく、あきらかに場違いな話題だったからだ。

ドッグはこの質問に対して真面目な顔で「アイ・ライク・イット」と答えた。横で聞いていた私は大笑いをして「物理の理論に対して、正しいとか間違ってるならわかるが『好きだ』とはどういうことだよ」とツッコんだ。ドッグは笑いながら「それもそうだが、いい理論だと思うよ」と答えた。

続けてドッグは「互いに相容れない二つの理論があるんだ」とあらたまった真面目な顔で話し始めた。わたしはすぐにピンときて、ドッグの話をさえぎり、アキラくんに「ドッグは進化論と創造論の話を始める気だぞ!」と予言した。「ひとつは、人間は猿から進化して・・・」思ったとおりだ。

ドッグはひとしきり進化論と創造論を説明すると「俺は創造論が大好きなんだ」と言った。もちろんこれも予想通りだった。