月別アーカイブ: 11月 2016

不思議な心理

息子たちが妻から車のタイヤ交換を命じられて「今日じゃなくてもいいでしょ」と渋っていた。

私はそれに構わずいつものように「疲れたからマッサージしてくれ」と次男の前にうつ伏せになると、次男が

「すげえ、なんか俺、急にタイヤ交換したくなってきた」

と言った。マッサージの方が楽だろうがおい。

アメトーク

先日、アメトークという番組で、マイナーな部活経験者の芸能人がその部活のウンチクを披露するという企画をやっていた。

その中に、ノンスタイルという漫才コンビの井上という人が卓球部出身ということで出ていた。以前から知っている芸人だったので親近感を持ち「お願いだから間違ったことは言わないでくれ」と思って見ていたら残念ながら間違ったことを言っていた。

促進ルールを紹介したまではよかったのだが、なんと「自分たちのころはなかったが最近はこういうルールができた」と言ったのだ。トホホ。

実際には、促進ルールは1936年の世界選手権でポーランドのエーリッヒとルーマニアのパネスが0-0から1点取るのに2時間15分(所説ある)かかったことから、1937年の大会から適用されて以来、形を変えながら現在まで続いている。もちろん日本の中学生の大会でもだ。

井上が現役時代に促進ルールがなかったと思っていることから次の二つの事実が導かれる。

1.井上は卓球マニアではない

2.井上の周りの誰も促進ルールが適用されるほどラリーが続く技量がなかった。つまりレベルの低い部だった。

「マイナー部活特集」ということだったが、こういうデタラメを平気で放送され、誰にも間違いを指摘されず話題にもならないということが、これすなわちマイナースポーツだということなのである。

井上は、もうひとつのウンチクとして、試合中にタオルを使えるタイミングについて語った。これは正しい説明だったが「理由はわからない」と不思議がっていた。そんなもの、試合時間を長引かせないためと想像がつきそうなものだし、調べればすぐにわかるのになあ。

しかもだ。今の6本毎のタオリングのルールが制定されたのは2001年に卓球が11本制になったときからであり、1980年生まれの井上が卓球をしていたであろう1990年代は21点制のため、チェンジサービスのタイミングである5本毎だったのだ。

だから井上は、促進ルールについてではなくて、タオリングについてこそ「昔は5本毎だったが最近は6本毎になった」と言わなくてはならなかった。そして6本毎である理由も、その前の5本毎に近くてなおかつ今の2本毎のチェンジサービスのタイミングとして選んだのだろうと推測すべきだった。

さらに井上は、卓球では11-0では勝ってはならず1点を上げなくてはならない暗黙のルールがあると語った。もちろんそんなルールはない。やりたい人がやっているだけだ。司会者に「具体的にどうやって1点あげるのか。1点どうぞ、語りかけるのか」と聞かれた井上は「見たことがないから知らない」と語った。

実際にはあからさまなサービスミスかレシーブミスをするわけだが、ときどき間違ってギリギリのところに入ってしまって、逆に完封してしまうことも起きたりして(ちょっと前に福原がやった)そこが面白いわけだが、さすがにそこまで触れることを期待するのは無理か。

まあ、忙しいのだろうから仕方がないか。おかげでブログでこんな文句も書けて楽しかったから良しとしよう。

見事な捏造

私は野球には興味がないのだが、『アンビリバボー』というテレビ番組で、野球に関して見事な捏造をしていて非常に面白かった。

広島カープの黒田というピッチャーが、2006年に他球団へ移籍ができる権利を得たときに、ファンが、試合中の黒田に向けて観客席の横断幕でメッセージを送ったのだという。Office Lens 20161103-234049

その文面は

 我々は共に闘ってきた/今までもこれからも・・・/未来へ輝くその日まで/君が涙を流すなら/君の涙になってやる/Carpのエース黒田博樹

というもので、番組ではこれに

「本当は残留して欲しい。だが、たとえ移籍しても最大限のエールで背中を押してあげたいというファンの切なくも熱い思いだった」

とナレーションが入れられた。それに続いて黒田本人も「こういう経験はなかったので嬉しかった」と回想するシーンが入っている。Office Lens 20161103-234218Office Lens 20161103-234238

この横断幕のメッセージのいったいどこがそう読めるだろうか。

直接的には移籍して良いとも残ってほしいとも書いていないが「これからも共に闘う」とあるのだから、どちらかといえばこれは「残ってほしい」だろう。

これを「移籍しても応援する」と読めるのは考え過ぎの人か頭がオカしい人である。仮に本当はそういう意味だったとしても、この私がわからないようなあいまいなものがメッセージとして機能するわけがない。

ネットで検索してみたら、案の定、これは「残ってほしい」という横断幕だった。

http://blog.goo.ne.jp/radiota/e/5482a9bce757e68b61e38fc14e5ff6d9

書いた当事者である私設応援団連盟会長も、当時これを読んだ黒田本人も残留の願いと捉えている。だから番組内の黒田の回想も、その意味で「嬉しかった」と言っているのをつなげているだけなのだ。

どうせ誰も気がつかないのだから事実などどうでもよいのだろう。調べればすぐに嘘だとわかることでも全然気にしないで放送するのだ。

超メジャーな野球ですらこんなデタラメを放送されるのだから、新参者の卓球などどんな目に合うかわかったものではない。

油断はできないぞと改めて思った次第だ。