年別アーカイブ: 2008

医学の進歩

ゼンメルワイスという19世紀の医師がいる。医師が手を消毒することによって感染症を防げることを発見した人だ。当時は、お産のときに多くの人が産褥熱で命を落としていた。出産するたびに死を覚悟していたのだ。出産しなくても結核にかかれば死ぬし、盲腸でさえ死の病であった。何百万年の人類の歴史で、今のように医学が進歩したのは、ほんのこの100年ほどのことなのだ。

ゼンメルワイスの時代には、そもそも細菌というものが発見されていないので、消毒するといっても、いったい何が手についているのかわからないし証明もできなかった。そこでゼンメルワイスは、目に見えない悪いものが手について、それが産婦を死亡させていると推定するしかなかった。それを示唆しているのが臭いだろうということで、カルキによってその臭いを消せばよいという理屈で消毒を始めたのだ。

ところが当時の医学会ではこれは証拠がないとしてオカルト扱いされて認められず、ゼンメルワイスは失意のうちに亡くなっている。「手を消毒する」こんな今では当たり前のことにさえ発見の歴史があり、それを知らないばかりに、それこそ数え切れないほどの人間が何百万年も延々と命を落としてきたのだ。それを免れている現代の我々を幸福と言わずなんといおう。私だって、もし現代の医学がなければ、18歳で自然気胸で死んでいたのだ。

こういう情報は私はもとから知っていたわけではなく、インターネットでつい最近知ったものだ。インターネットで歴史や科学の情報を検索していると時間がいくらあっても足りない。便利な時代になったものだ。

天国とはまさに今この時代のことだと思う。

知的好奇心

オランダの画家、レンブラントが膨大な骨董品をコレクションしていたことを知った。その中には、アンモナイトの化石などもあったが、17世紀当時の科学では、それが一体何なのかを知る物は誰もいなかった。化石が古代の生物だという説は当時もあったらしいが、進化論自体がまだ認められていないし、古代といっても、それが何年くらい前なのかを知る方法もなかった。

分からなかったのは化石だけではない。空に浮かんで見える太陽や月や星が何なのか、宇宙の始まりはどうなっているのか、光とは何なのか、こういうことがほとんど何も分からないままに当時の人々はその生を終えていったわけだ。どんな天才たちでさえもだ。私が月や星を見るたびに思うのは、その神秘や美しさではなく(そんなものは感じない)、その正体を知ることなく生を終えていった無数の人間たちのことだ。

その後の地道な科学の積み重ねによって、現代の我々は凡人でも「化石は何なのか、どういう原理でいつごろできたものか」を容易に知ることができる。知的好奇心という点ではこんなに幸せなことはない。現代に生まれた自分はなんと幸運なのだろうと思う。そしてこれを読んでいるあなたもその仲間なのだ。

テニスの『ポールまわし』

ゲストブックでKOさんという方から投稿があって、ネットを迂回するボールはテニスにもあって『ポールまわし』といわれていると教えていただいた。さっそくネットで調べてみると、すぐに見つかった。
http://yasu.www.noahis.com/blog/index.php?UID=1214975654
テニスでも「一度はやってみたい夢の打球」といわれているようだ。

「卓球でしかあり得ない」と浅はかなことを書いてしまって恥ずかしい。

となると、本当に卓球でしかあり得ないボールは、台より下で打球することができる「弾まないボール」しかないことになる。

卓球にしかあり得ないボール

先に書いた台の外からコートの隅に入るストレートだが、よく考えるとこれは卓球だけにあるコースだ。似たようなネットを使う球技であるテニス、バドミントン、バレーボールではまずあり得ないだろう。なぜ卓球だけにあるかといえば、それはコートが小さいからだ。コートが小さいので、人間の動きでネットの外側にまで容易に移動することができ、打球もできるわけだ。

卓球の試合を面白く解説するためには、このような卓球にしかないボールを上手く説明できたらよいと思うのだがどうだろう。

さて、99ストレートは稀なコースではあるが、それだけでは返球不可能とまではいえない。しかし卓球には、原理的にほぼ返球不可能なボールが存在する。それは、ネット際のコートの外に落ちたボールをコートよりもかなり低い位置で打球し、ボールがネットの下または外側を通るようにすると、ボールの頂点がちょうど相手コートの台の高さくらいになって、ほとんどバウンドしない、または瞬間的に2バウンドをしてしまって相手が打球するチャンスがないボールというのが可能なのだ。もちろん、そのような打球点が相手から与えられること自体がアクシデントなので、そうそう狙ってできることではないが、ときどき起こることだ。このボールにも『ミラクルボール』とかなんとか名前をつけたいものだ。

下の写真はその実例で、左から順に『インパクトの瞬間』『上昇中のボール』『相手コート上で軌道の頂点を迎えたボール(バウンド前)』の様子だ。明らかに頂点がネットより低くなっている。この後、ボールはコートに極めて短時間のうちに2回バウンドし、相手は打球を諦めている。なお、映像の出展は、リフレックススポーツ社で、93年エーテボリ大会での増田選手のプレーだ。

この打球が可能になるケースは、相手からクロスに鋭角に来たボールがネットに触れてポロリとネット横に落ちた場合だ。私はこれをどうしても自分でやってみたくて、2番弟子の田村にバッククロスのつっつきを上手にネットできるまで延々とやらせて、見事、再現できた。田村が「そんなことやりたかったのか・・」と悔しがったのは言うまでもない。

もちろんこれも、コート面よりも下で打球することが可能な卓球にしかあり得ないボールだ。

子供の自由な感性

9歳の息子が国語の勉強で、自由に何かを書く課題のところで、なかなか面白いことを書いた。

「テレビはぜんぜんはずかしがらない。みんなにじーと見られても、もじもじしないでじっとしている。」

普段、恥かしがりの三男らしい目の付けどころで、面白いなあと思った。でも、これを素直な子供の気持ちだと思ったら大間違いだ。

小学校4年生ぐらいのとき、詩を書かされた。クラスのある女子が「空の雲はどうして浮いているんだろう。空に磁石でもついているのかな」という意味の詩を書いて先生にえらく褒められた。「バカ、空に磁石などあるわけないだろ。そんなことわかってるくせに『子供らしい自由な感性』を演じて大人を喜ばせようと思って心にもない恥かしいことを書きやがって。だいたい、雲は磁石につかないだろ。」と苦々しく思ったのを思い出す。こういう、子供に対する幻想の欺瞞性みたいなものが私はとても嫌だった。こういうのは、素直な自由な感性などではなくて、そういう幻想を前提とした単なる作文技術なのだ。それならそう指導してくれればよかったのにと思う。私は「感じたことを書きなさい」という指導を本気にして、いつも本当に思っていることを書いていたので、作文で先生に褒められることはなかった。

念のため三男に「本当にテレビに対してそんなことを思っているのか、それとも人が喜びそうだから書いたのかどっち?」と聞くと、後者だという。安心した。前者だとしたら病院に連れて行かないといけない。

『小さい、速い、制御不能』DVD

例のDVDはすでに届いていて、何度か見た。
やっぱり画質が良い分だけカッコよさも増した感じだ。

英語の字幕がついているが、読むのが追いつかず、字幕がでるたびに一時停止をして流れを止めながら見ている情けなさだ。それでもやっぱり卓球に賭ける青年たちの厳しさ、想いに感じ入ってしまった。

当時、ゲナンに所属していた田崎俊雄選手も映っている。

さっそくこのDVDの販売サイトに感激のメールを出し、ついでにサイトの英語表記を多くすること、そして日本語字幕版DVDを出して欲しいことを力説した。日本中、世界中の卓球ファンがこんな映像を待っていると書いてやった。

一応、「日本語版を作る」と返事をもらったが、いつのことだろうか。とにかく、日本語版が出たらもう一度買わねばなるまい(英語版は2番弟子にでもくれてやろう)。映像作品というのは、時間の芸術なので、意味が分かればよいというものではない。いちいち一時停止をして字幕を読みながら鑑賞するなどとんでもない話だ。でも、本当に日本語版を作ってほとんど売れなかったらどうしよう。

下の写真はこのDVDからの、ワルドナー(この作品でも『天才』と表現されている)とボルのヨーロッパ選手権男子シングルス最終ゲームの映像だ。ワルドナーのボールのコースを見て欲しい。フォアサイドにはるか遠く離れた画面の外からボルのコートの右隅ピンポイントにストレートに打っている。卓球をやっている人ならこれがどれほどとんでもないコースかわかるだろう。フライトの99%が台の外、ネットのないところを飛ぶコースなのだ。こういうコースを表す決まった卓球用語はないので、私はこれを「台外ストレート」あるいは「ピンポイントストレート」「99ストレート」とでも名づけて、卓球界に定着させたい。テレビ中継もやりやすくなるはずだ。それにしても、一般愛好者のレベルだと、このコースを打てる状況、つまり、ネットの横から相手コートの隅が直接見える位置でボールを打つ機会すらないわけだが。何より凄いのは、ワルドナーは実戦中のボルの殺気あるシュートドライブに対して最終ゲームの大事な場面でこんなことをやっているということだ。

当然、こんな確率の低いコースはボルの「待ち」の中ではほとんどゼロにウエイトされていたので(だからこんなに左によって待っているのだ)、さすがに対応できずに頭からダイブしてしまっている。一方、ワルドナーは、万が一これを返されたときに備えてすでにコート中央まで戻っている。これらの位置取りをほとんど何も考えずに条件反射で行えなくては、卓球はできないのだ。

こんな映像を見ながら夜を過ごす。ああ、楽しい時代になったものだ。それにしてもこのDVD、パソコンでは再生できるのだが、DVDプレーヤーでは再生できなかった。DVDって本当にわけが分からない。

汚い物くらべ

今日はちょっと汚い話で恐縮です。

男子中学生はだいたい下品なことが好きな傾向があるわけだが、私も中学のとき、そういうことが可笑しくてたまらなかった。

当時、病院にいくと、粉末の薬が五角形に折った紙に入れられてもらうことがあったと思う。これをまねしてノートを折って五角形をつくり、中に集めたフケを入れて「秘伝の薬だ」といって友達に見せて驚かせてやった。当然、友達は「すげえ!」と感嘆の声を出し、もっと汚い薬をつくる競争が始まった。ツメ、耳クソ、鼻クソ、目ヤニ、手垢、歯クソなどをそれぞれが作った。どうせだからと封筒も作って効能を書いて、女子のところにもっていって「これでも飲みなさい」とやって開けさせた。さすがに喜ぶ女子はひとりもいなかった。それが楽しかったのだ。

当時の「汚いもの比べ」をもうひとつ思い出した。秋口に、ちょっと遠くの河に擬似野外炊事をしに行った。どこが擬似かというと、何かの本で原始生活に興味を持った私が、なるべく現代文明の利器を使わずにどこまで炊事をできるか挑戦しようということで、食べるのを前提にしない形だけの野外炊事を行ったのだ。まず現地で落ちていた空き缶を拾って洗って河の水を汲む。当然、火おこしも本で見たとおりに木をこすってやろうとしたのだが、3分ほどで断念し、ライターでつけ、それで空き缶をグツグツと煮はじめた。食料は持っていっていないから、生えていた雑草を入れたり、石で実をすりつぶしてペースト状にしたものをカレーと称して入れたりした。

そのうち誰かが、死んで腐った魚を拾ってきてこれを入れた。これがとてつもなく臭くて、臭いをかぐと吐き気がする。これがきっかけとなって「この世でもっとも汚い料理を作ろう」と目標が変わり、手垢、鼻くそ、鼻汁を入れ始めた。とうとうあるやつが小便を入れ、最後にみんなでその汁の臭いをかいで吐き気に涙を流してお終いにしたのだった。中三の秋の思い出だ。

えーと・・・大変失礼しました。

映画『卓球温泉』

ビデオテープで持っていた『卓球温泉』という映画を念のためにDVDにコピーをした。画像確認のためにちょっとだけ見たら、意外に面白くて最後まで見てしまった。

98年の公開当時は、いろんなことが気になってとにかく不愉快な恥ずかしい映画だと思っていたが、今見るとそうではなかった。シナリオも面白く、ちゃんと笑えるところもあった。なによりも脇を固めている役者たちが全員上手くて、見ていて本当に安心できるのがよかった。主要登場人物の山中聡は今も俳優をやっているようだが、卓球の腕前はかなりのものであることがそのフォームからうかがえる。

ただ、山中が主人公の松坂慶子と初めて卓球をするときに、一球目からいきなり相手のいないところに打って、驚いている松坂慶子に対して「卓球ってそういうもんでしょ」というところはとても違和感があった。どこにいるよそんな奴。

もうひとつ違和感があったのは、平凡な主婦である松坂慶子が、ある場面で、卓球の発祥とか、どういうスポーツであるかをみんなにとうとうと説明するところだ。そんなことをする彼女の動機がさっぱりわからないのだ。まるでそのときだけ、私のような熱心な卓球ファンが松坂に乗り移ったかのようでとても恥ずかしい場面だ(個人的な問題だが)。

あともうひとつ。山中聡、首を突き出してボール見すぎ。監督の指示だろうか。こういう奴は実際にいるが、あんまりみんなに見せたくはない。

映画の印象がよくなったら、牧瀬里穂もなんだかすごく可愛く見えてしまった。

そのうち卓球王国の連載でも取り上げようと思う。雑誌に書くネタはブログには書かないように気をつけていたのだが、考えてみるとブログを読んでいるのはたかだか300人程度なので、雑誌の読者が10万人以上であることを考えれば、何も気にすることはなかったのだ。

卓球検定

ヤフーのトップページを見ていたら「卓球検定」という文字が飛び込んできた。

http://minna.cert.yahoo.co.jp/bllnx/175623/

卓球のルールに関する問題が10問あり、次々と回答をしていくと最後に成績が表示されるものだ。私はもちろん全問正解だった。自信のある人はやってみてはどうだろう。

次はルールではなくて歴史上のエピソードの問題があると楽しいなと思う。たとえば次のようなものだ。

・最初にラバーを貼った人は何を流用したか
・世界選手権での、一回のラリーの継続時間の最長記録
・過去にあった絶大な威力のサーブ方法について

つまらないかね。

ムチャクチャな宣伝

高校の同級生から面白いサイトを見つけたと連絡があった。卓球用品のサイトなのだが、海外のメーカーの製品で外国語を自動翻訳機で翻訳したらしく、ムチャクチャな商品説明が書いてあるのだ。文章だけ紹介しよう。

まずはラケットだ

「○○○である間あなたが衝撃で感じることができる鋭くて太っていている感じはさらにほんとうは、表面でボールを捕らえます。 このユニークなキャラクタは最高専門家が長い間欲しかった者です。 薄い木曽Hinoki出ている層と同期する3個のユニークなuni方向の心材が単に驚くべきな感じを調整します。 ○○○の採用は他の7枚の層の刃より比較的簡単です。 あなたは時中に予想ほど強力なトップスピン攻撃とテーブルの創造的なテクニックを作ることができません。 また、あなたは○○○と共に攻撃的な攻撃用のプレーと制御プレーを非常に柔軟に実行できます。 本当に、○○○には、不思議な多才があります。」

次は、メンテナンス用具だ

「使用しやすくて故障の無い水の接着剤。
ITTFによる速度接着剤の禁止令はラケットの溶剤のようにどんなVolatile Organic Compoundも禁止します。 また、禁止令の精神はスポーツにおけるどんな毒性の、または、皮膚いらだたしい物質の使用にも水をさしています。 ○○○は清潔であって、安全です。 ボトルチップにおける白いスポンジは、表面をこするのを助けます。 どんな水の接着剤も接着剤を促進するより現実に強いです。 そして、あなたが刃からゴムを取り除くとき、力はあなたの刃の表面を破損します。 」
この支離滅裂な文章から、正しい翻訳を想像してみるのも一興だろう。

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