年別アーカイブ: 2008

SHONEN JUMP

同じく病院の待合室で「少年ジャンプ」を見つけた。こちらでは「SHONEN JUMP」として売られているようだ。値段は「たったの$29.95」とめちゃ高い。日本のように売れないのだから仕方がない。2008年10月号と書いてあったから、月刊なのだろう。

中を見ると、日本と同じようにページもコマも右から左に読むようになっていて、吹き出しの中のセリフだけが横書き英語となっている。目次のページには「この本は右から左に読みます」と注釈が書いてある。

20世紀初めにヨーロッパで日本文化が紹介されたとき「日本人は本を終わりから初めに向かって読みます」と書かれた。単に右から左に読むと書けばよいものを、読者に不思議に思わせようとわざとそんな書き方をしたのだ。いったいどこの国に「終わりから初めに向かって読む」文化があるというのか。どういう脳ミソの構造よ一体、と、この記事を読んだヨーロッパ人は思ったことだろう。

鹿狩り雑誌

病院の待合室で鹿狩りの雑誌を見た。
こちらでは女性や子供も銃を持って鹿狩りに行くのが楽しい娯楽となっている。

車椅子になってまで鹿狩りに行かなくてもよさそうなものだが、楽しいんだから仕方がない。

雑誌には、PIGZILLAやHOGZILLAなどという単語が見られたが、これは日本の怪獣映画ゴジラが元だと思われる。同然、辞書になど載っていない現代用語だ。

マイクとの議論

先週は工場の現場に入っていろいろと製造工程を見る機会が多かった。工程を見ながら製造責任者のマイクと神様の話をした。普段、ふざけたジョークを連発する皮肉屋のマイクなら、そうそう神様を信じているわけではないだろうと思ったからだが、甘かった。

まずマイクは、死後の世界はデビッドと同じく1000%信じているという。「どうしてお前は信じられないんだ」というので、「証拠がないからだ」と答えると、「聖書に書いてあるのが証拠だ」とのこと。キリスト教信者のいつもの理屈だ。

するとマイク、「もしかしてお前、進化論も信じてるのか」ときた。「イエス」と答えると、その場にいた製造メンバーを含めた4人が「しょうがないなコイツ」という感じで顔を見合わせて「ハハハ」と笑った。もはや私は完全に哀れな異教徒である。

マイクに言わせると、ビッグバンなどなく、この世は今から4000年前に神様が一度に創ったのだという。科学者が言う、何億年前の証拠も含めて神様が一度に創ったというのだ。どうして神様はわざわざそんな証拠まで創ったのだろうかなどと聞く必要はない。答えはとっくに知っている。「不信心者を試すため」なのだ。これまで何度も繰り返してきた問答だ。もちろん私はこういう議論の危険性をよく知っているので、反論など一切しない。ただ、感心したような顔をして聞き入るだけだ。

これまで何人かの同僚と神様の話をしたが、信じてないという人は一人も見つかっていない。アンケートによれば、アメリカ人の50%ぐらいの人は信じていないはずだから、おそらくこれは南部だからなのだろう。「学校では進化論を教えているし、テレビでも進化論を前提とした番組をやることが多いが、どうしてなんだろう」とわざと聞いてみるとマイクは「科学者たちはいつも声高に主張するからそういう趨勢になるだけのことで、真実を知っている我々はそういうのは聞き流して沈黙しているんだ」とのことだ。

また、興味深かったのは、デビッドもマイクも、自分は信じているが他の人に対しては「うわべだけのクリスチャンが多く、本当に信じていてクリスチャンと呼べるのは半分以下だろう」と言うことだ。彼らの間では信心深いことがモラルになっているので、自分を取り繕うために信じているふりをすることもあるのだ。となると、デビッドもマイクも含め、本当に信じているかどうかわからないということだ。カッコつけるために私の前では信じているふりをしている可能性があるのだ。

ともかくも、なんともありがたい話であった。

人形俳句写真『発見せり』『人間ポンプ』

新作が送られてきたのでとりあえず発表。
なんだかわかりませんがとにかく独特の世界を創造されているので慣れるとこれでよいような気になります。

人間ポンプで金魚を口から出す芸をやっている「父」が、なんとなく私に似てしまったと義姉から失礼なコメントがあった。私はそんな芸をしたことがないし、第一なぜ海水浴場で?

店で見つけた商品

先日、子供のローラースケートを買いにトイザラスに行った。ドーサンにもちゃんとトイザラスがあるのだ。私はマジックの道具とかパズルとか、そういったトッリッキーなものが好きで、そういったコーナーをみていたら、面白そうなものが目に入った。

なにやら豚の人形がパッケージされていて、これをどうやって使うのか考えると面白そうだ。しかし説明書きをよく見ると、単に豚の人形をサイコロ替わりに使って遊べというなんとも虚しいものだった。実際に遊ぶと少しは面白いのだろうか。どうみてもつまらなそうだ。なにがMixed Comboだ。

また、ドライブの最中にガソリンスタンドに併設されているコンビニで、殻ごと食べられるように強く揚げたピーナッツが売っていたので買ってみた。初めて見る商品だ。よく尻尾まで食べられるようにカリカリに揚げられた海老があるが、それと同じようなものだ。これは上手そうだと思ったのだが、いくら揚げてもピーナッツの殻のモサモサ感はそのままで(笑)、飲み込みにくく、とても上手いとは言いがたかった。もったいないので、子供には「殻まで食えるんだぞ」と楽しい気持ちにさせて、たらふく食わしてやった。

ズームレンズ型コーヒーカップ

先日、ネットで面白い写真を見つけた。『ズームレンズ型コーヒーカップ』だ。量産しているわけではなく、一個だけ作ってみただけのものらしいが、なかなか趣き深い。

用具マニア杉浦くんは、卓球用具のみならず、オーディオやカメラにも凝っていて、レンズなど一体何に使うのか分からないが10本以上も持っている。さぞ喜ぶだろうと思ってこの写真を送ったところ、以外にもそっけない返事だった。

彼にとってのレンズの魅力とは「コーティングによって反射が抑えられた深い色のレンズの表面そのものと、そのレンズの鏡筒に対する異様なまでの大きさ、そして金属鏡筒の質感」だそうだ。「見たところこれはキャノンのプラスチック鏡筒なので、まず金属の質感の点で魅力がない。さらに肝心のレンズがないのだから話にならない」そうで、最後に「これでは美人モデルの足の裏や手のひらだけを集めた写真集みたいなものだ」と締めくくった。

そんなこと言われても。彼のようなマニアを満足させるためには、コーヒーカップの底に本物のレンズを使うでもするしかなさそうだ。どうやって使うんだそんなコーヒーカップ。

卓球王国の写真

このブログのゲストブックに、「まさひこ」という友人から卓球王国の写真について質問があった。「このブログは卓球王国のサイトのくせに卓球の話題が少ないので話題を提供してやる」などと書いている。質問は、これらの写真が彼にはあり得ない不自然な格好だというので、いったいどういう理由であんな姿勢になったのかということだ。

まずは馬琳のループドライブの写真だ。ドライブをしているのにどうして膝がこんなに曲がっているのかとのこと。二つ考えられる。ひとつは、ボールのバウンドが思ったより低い、あるいはボールのところまで移動するのが間に合わなかったなどして打点が落ちてしまったため、打点を体に対して相対的に上に来るように膝を曲げたというもの。言うまでもなく、振りの中心は肩なので、あまりに体の下方で打球したらボールを上にこすりあげることはできない。もう一つの可能性は、楽に腕を大きく上に振り上げられるように無意識に体を沈めたというもの。もちろんこの場合は、体を沈めた分だけラケットの上への運動は減殺されるから、効率的ではない(だからこそ楽なわけだが)。一流選手でも疲れてくれば効率的ではないことをすることがあるということだ。左腕が体の後ろに行っているが、これは人間が歩くときの腕の振りと同じなので、それほど不自然には感じない。進化論的に言えば、四足動物が歩くときに前足2本を交互に出すことに由来する由緒正しい動きだ。わずか100年ほどで卓球界が作り上げた「自然なフリーハンドの使い方」などより、よほど自然な使い方だ。

次にフィリモンのスマッシュだが、これはどうみても松下の高いロビングに対してできるだけ高いところで打ち込もうとして飛び上がってスマッシュを打った後の写真だ。ただしちょっと目測を誤って、思ったより体の後ろで打ったもんだから体がそっくり返っている。ジャンピングスマッシュを日常的にしない人からは分かりにくいだろうが、まあ普通の写真だと思う。まさひこもひとつトランポリンでも使ってジャンピングスマッシュを練習してみてほしい。もっともそんなに高いロビングを入れてもらうこと自体、簡単ではないが。

帽子を被ってみた

先日、骨折したときに妻が病院でカイルと会ったのだが、カイルは私より2歳年上なのにもかかわらず、若く見えたという。太っているせいもあると思うが、妻によれば、キャップを被っているのが大きいのではないかとのことだ。

今日、ふとそれを思い出し、長男のキャップを被ってみた。

妻いわく「なんか、子供を物色している殺人鬼みたい・・」。

ひどすぎる。

病院でジョージ・ハリソン

「ジョージ・ハリソン」という名前を書いてしげしげと見つめたら不思議な感覚にとりつかれた。「誰だ?これは」という感じだ。自分の名前や字を何度も見たり書いたりしているとそのうち違和感に取りつかれる、いわゆる「ゲシュタルト崩壊」だ。http://ja.wikipedia.org/wiki/ゲシュタルト崩壊

ジョージ・ハリソンとは、中学2年生のときから慣れ親しんできたビートルズのメンバーの名前である。先日、骨折のため病院に行ったら、待合室においてあった雑誌にどうみても若き日のジョージ・ハリソンと当時の恋人であるパティ・ボイドの写真が載っていた。しかしよく見ると、それはジョージの息子のダニエル・ハリソンだった。あまりにそっくりなので、意識的に似せて撮影しているのだろう。特集のタイトルも、ジョージの名曲「ヒア・カムス・ザ・サン」のSunをSonに変えるというニヤリとさせられる洒落になっている。ジョージは生前、ダニエルに「君は僕よりもジョージ・ハリソンそっくりだね」と言っていたという。何を言ってるんだか。骨折の情けなさを紛らわす小さな楽しみだった。

今週、日本から出張に来ているNさんが高校時代にリンゴ・スターに会った話を聞いた。当時かれは札幌に住んでいたのだが、リンゴがCM撮影のために来日していて、札幌に来たのだという。もちろん極秘にである。ところがあるクラスメートの父親がその撮影の関係者だかで、リンゴが来ることをNさんに漏らしたのだ。Nさんは「絶対に押しかけたりしないからホテルを教えてくれ」と言って教えてもらい、即、別の友人と学校をサボって会いに行ったのだという。Nさんの有無をいわせぬ行動力は高校時代からのものだったようだ。リンゴは気前よく会ってくれて、もって行った手作りのアクセサリーを受け取ってもらったそうだ。うらやましい話だ。

ミュージシャンに会ったのでは、旅行に行ったワルシャワのホテルで、私の前にチェックインしていたのが、トーキング・ヘッズのデビッド・バーンだったことがある。あのデビッド・バーンの後ろに私は並んだのだ! こっちは向こうを良く知っているので、どうしても親しげにチラチラと顔を見て何度も目が合ってしまい、気まずかった。

トーキング・ヘッズは好きだったが、話しかけたりサインをもらったりするほど好きだったわけではないので、相手が有名人だからといってにわかファンになるのはみっともないと思い、結局なにもしなかった。それに、彼から見れば自分は何者でもなく、記憶に全然残らない存在であるのが虚しいという気持ちもあった。相手がジョン・レノンやポール・マッカートニーならそれでもかまわないが、それ以外ではそういうのは嫌だったのだ。やっぱりサインくらいもらっておけばよかったかな。

手術の麻酔

今回の手術では全身麻酔で眠らされた。麻酔に逆らうことは無理だと分かっているが、精神力でどこまで持ちこたえられるかを挑戦してみたが、まったく無力だった。

ベッドに寝かされて天井を見たまま廊下を移動する楽しい旅のあと、手術室に到着した。腕につけられていた注射針からなにやら冷たいものが入ってくるのが分かった。多分これが麻酔だろう。看護士たちが「バイクでどうやって転んだんだ?」とか「また行きたいか?」などと手術に似つかわしくない質問をしてくる。それが最後の記憶だ。全然勝負にならず。気がつくと手術は終わっていてもとの部屋のベッドに寝かされていた。麻酔が半分効いているので眠くて最高に気持ちがよかった。

18歳のときに自然気胸という肺に穴があく病気(病気というよりはもともと薄いところがあったのが弾みで破れるという、よくある病気らしい)で手術をしたが、そのときも麻酔に抵抗してみた。足から麻酔の注射をされると同時に「10まで数えて」と言われた。「なにを無意味なことを」と思いながら声に出して「1,2,3」と3まで数えたところまでは覚えている。その後、ずっと遠くから「伊藤条太くん」と呼ばれたのが聞こえて、ハッと気がついてかなり遅れて「はい」と返事をしたのが最後の記憶だ。多分、私が寝るまで何度も呼んでいたのに違いない。麻酔からさめたときは、とても苦しかった。というのも、口から食道まで長い管が通っていて、それが痛かったからだ。それがとれるまでの数時間が長かった。

これは初めて親元を離れた大学1年の6月のことだった。地元の中学の同級生の間では「条太は大学に行って急にタバコを吸いまくったために肺ガンになって、もうすぐ死ぬらしい」という噂になっていたと後で知った。だいぶ喜ばせてしまったようだが、あいにく今もアラバマで元気にしている。