月別アーカイブ: 8月 2014

『卓球ラウンジノア』でのサイン会

土曜に、仙台市内の卓球クラブ『卓球ラウンジノア』で初のサイン会を行った。

実はこの卓球クラブには昨年の1月、新しい卓球場ができたという情報を得て、ふらっと寄ってみたことがあるのだ。それをブログに書いたところ、オーナーの千葉さんという方から感謝のメールをいただいた間柄である。「こんな小さな卓球場を全国に紹介してくれて嬉しい」と、やたらと感謝をされたのだが、今回訪問してその理由が分かった。

千葉さんは、私が仙台在住とは知らず、わざわざ東京かどこかからやってきてタクシーで乗り付けたに違いないと思い込んでいたというのだ。卓球コラムニストなのだから全国の卓球場をネタ探しに回っていて暮らしていると思ったという。それなら楽しいのだが、実際には田村を連れて車を近くの工事現場に停めての訪問だったのだ。

まずは卓球台の上に広げられた昼食をいただき、その後でのサイン会となった。

クラブの生徒さんたちに『ようこそ卓球地獄へ』を合計で18冊もお買い上げいただき、それぞれ名前を入れてサインをした次第だ。ファンが18人来るのかと思ったらそうではなく、実際にいらしたのは数人で、ほとんどはご本人がいないところで宛名のリストを見ながら黙々とサインをしたのであった。

サインをした後はダブルスの試合を数試合行い、意外と汗だくになってしまった。クラブ員の中には糠塚重造選手の知り合いだという、マニアックといおうか同世代といおうか、そういう方もいらした。

写真は、ノアのブログhttp://www.takkyu-noa.net/から拝借した、クラブのスタッフの方々との記念撮影だ。右端からオーナーの千葉さん、私、千葉さんのお母さん兼スタッフ、インストラクターの大高さん、インストラクターの千葉さんだ。インストラクターの千葉さんは、オーナーと苗字が同じだがこれはたまたまで、夫婦でも兄弟親戚でもない。この千葉さんは全日本選手権4回出場の宮城県トップレベルの選手だが、卓球王国のDVD『アウト・オブ・コントロール』がめちゃくちゃ面白かったと絶賛してくれたのが嬉しかった。『ザ・ファイナル2013』も持っていてお気に入りだそうだ。しかし『スウェーデン時代』は未見だというので、薦めておいた。

また、オーナーの千葉さんが『ようこそ卓球地獄へ』の「悪臭を発するラバー」の話が面白かったと言っていたのが印象に残った。これまでいろいろな方々が面白かったところを指摘してくれたのだが、興味深いことに、ほとんど重複する意見がない。ある人は「ある営業マンの告白」がよいと語りある人は「卓球小説」がよいという。他にも「素質のない人」「アメリカ生活」「下痢」「中学時代のトレーニングの挿絵」など、意見はさまざまだ。それだけ見どころが多い本になっているということだろうと、ひそかに自画自賛している次第だ。これだけ書けば「ひそかに」じゃないが。

意外な結末

そのレバー焼きの店に今週も行ってきたのだが、そこで話は意外な展開を見せたのである。私の後から入ってきた常連と思われる客が、例の「レバー焼き」を頼んだのだ。数分後、私の時と同様、生のレバーが皿に盛られて客に差し出された。するとその客は店主に「ライター貸してください」と頼んだではないか。

「なにっ?」と思った私は本を読む姿勢のまま目玉が苦しくなるほどの横目でその客の動向を盗み見したが、そいつは・・・・煙草に火をつけて悠々と吸ったのであった。ガクッ。

不思議なレバー焼き

東京に出張のときに、よく一人で行く小さな飲み屋がある。先日行ったとき、メニューに書いてあった「レバー焼き」について、どういうものか店主に聞いてみた。串焼きのようなものなのか、野菜と一緒に炒めたようなものなのか、そういったことを聞きたかったのだが、彼の答えは異様なものだった。

「生のレバーをお客さんにお出ししますから、ライターであぶって食べてください」

・・・確かに私はこの店の常連であり、店主と顔見知りではあるが、いきなりこんな理不尽な冗談を言われるほど親しくはない。注文と会計以外の会話はしたことがないのだ。そもそも店主は冗談が好きなようにも見えないし冗談を言っている顔つきでもない。

戸惑っている私に気が付いてかどうかわからないが、店主はこれ以上の会話を拒否しているようにも見える。ちょっと気まずい時間が流れたが「迷ったらとにかくやってみる」といういつもの信念に従い、私はその「レバー焼き」とやらを頼んでみた。

数分後、私の前にレバーの刺身が置かれた。明らかに生だ。念のために周りを見渡してもコンロもライターもない。こんな「レバー焼き」が一体どこにあるというのか。たまらず私は「これ、焼いていないんですか」と言った。すると店主は「焼いた方が良かったですか?」と言う。気まずいながらも私が「・・・・はい」と言うと、店主はその皿を引っ込め、数分後、焼いたレバーを差し出しながら「焼いたのが良かったらレバーの串焼きって頼んでもらえればもっと安くできますから」と言った。

薄々わかったのが、これはおそらく、食中毒の問題で本来は出してはいけないレバ刺しを、どうしても食べたい客のために表向きレバー焼きとして出しているのだろう。わかる客だけが以心伝心で頼むというわけだ。しかし私は「レバー焼きってどういうのですか」と聞いたわけだから、明らかにそれを知らない客である。とはいえ、店主もありのままに「生で出す」と言ったわけだから、嘘はついていない。店主に非があるとすれば、ライターであぶってくださいなどと、冗談のようなことを付け加えたばかりに、私が全体を冗談である可能性を考えてしまったことだ。とはいえ、レバー焼きという名目で売っている以上、そう言わなければ店主の偽装は完結しないわけだからこれも仕方がない。結局、誰が悪かったのか、どうすればよかったのか未だにわからない。ま、出してはいけないものを出すのが悪いといえば悪いわけだが。

その日の最後、いつも頼んでいるお握りがサービスで二つ来たことが、無口な店主の私へのケジメであると受け取った。

意外な帰国子女

次男が珍しく面白いことを言った。

「ドラマやアニメを見ていると、よく”僕、お父さんの仕事の関係で小さい頃外国に住んでいたんだ”ってやつが出てくるけど、そんなやついるかよって思ったら俺だった」だそうだ。

確かにそうだ。次男の気持ちはよくわかる。どうしてこういう感覚になるかというと、ドラマやアニメで出てくるこういう人物は、ある特別な人間像を与えられているわけで、それが自分と合わなすぎるからだろう。その人間像とは、裕福で知的で孤独で物静かな感じだ。そういう人間像にしたいからこそわざわざ外国に住んでいた設定にするわけで、単なるわんぱく坊主にそんなややこしい過去を設定する理由がないし、したら無意味である。わが次男のような、底抜けに明るく軽薄で友達の多い人間は、帰国子女のイメージと全然合わないのだ。そういうことを自然に感じ取っての次男の反応だったのだろう。

日経新聞の書評に!

今日の日経新聞の夕刊の書評になんと『ようこそ卓球地獄へ』が取り上げられている。「目利きが選ぶ今週の3冊」というコーナーで、スポーツライターの藤島大という人が、マイクタイソンについての本と、サッカーについての本と並んで『ようこそ卓球地獄』を星4つで選んでくれているのだ。

感激だ。あんまり嬉しいので全文を引用しよう。

高貴なる競技なのに、ちょいとマイナー感がつきまとう。列島唯一の「卓球コラムニスト」の軽妙でふいに鋭利な筆致を支えるのは主流でない自覚と愛と自尊である。

さすがプロだ。たったこれだけの限られた字数でこの本の本質をなんと的確に表現し得ていることか。これがセールスにつながればなお良いが、正直に言えば、これまで読んでくださった方々の評判でもうとっくに満足している。

 

気になるアナウンス

駅のホームでのアナウンスで気になるところがある。

分かりやすいように気を使っているためだと思うのだが、駅名の前後の間を異様に空けるのだ。

「次の電車は中央特快    立川   行き    です」

という言い方だ。あんなに間を空けなくても普通の会話のペースでアナウンスしてよいと思うのだが、あれはやっぱり日本語がよく聞き取れない外国人向けなのだろうか。それならまだわからないこともないが、英語でのアナウンスのとき、たとえば盛岡などの駅名をモリオーカーなどと英語風のアクセントで言うのだけは勘弁してもらいたい。いったい何のためにあんなことをするのだろうか。せっかく正しい日本語を覚えようとしている外国人の妨げにさえなるではないか。ここでそのアナウンスを表現できないのが残念だ。ワタシ、ニホンゴワカリマセーン式のよくある日本語の下手な英語圏の外国人の日本語の物真似そのままなのだ。誰のためにあんなことをするのかと、聞くたびに苦笑している。

思わぬ理由

コンビニの店員がいちいち「カードで?」と聞きかえす理由が分かった。カードで払うと、店側が一定のパーセンテージをカード会社に払わなくてはならないので、彼らはなるべく現金で払ってほしいというのだ。そのため、少しでも客にプレッシャーをかけるために聴くのではないかという推測だ。

しかし、そういう背景がわからないと、いくら聞き返されたところで、いったい何を期待して何を聴かれているのかもわからないのだからまったく無駄な努力である。

ガムを買おうとしてレジに持って行って、本当は別のものを買ってほしい店員に「ガムですか?」と聞かれるようなものだ。わかるかそんなの。

カードでよろしかったですか?

私は買い物をするときは、どんなに少額でもクレジットカードを使える店ではクレジットをカードを使うようにしている。現金を補充する手間を省くためだ。以前はそんなことはしていなかったのだが、アメリカで生活していたときに、アメリカ人がみんなそのようにしていて、真似をしたらとても便利だったからだ。以来、日本に帰ってきてからもそれを続けている。

それで、コンビニでも必ずカードを使うのだが、店員とのやりとりでいつも嫌だなと思うことがある。レジでカードを出すと必ず「カードでお支払いでよろしかったですか?」などと聞かれるのだ。こちらがカードを突き出しているのにカードを使いたくないということが有り得るのだろうか。最初、質問の意味が分からず「は?」と聞き返したほどだ。もしかしてポイントカードと間違えてクレジットカードを出していることでも心配しているのだろうか。それなら現金を出していないことと矛盾しているし、仮にそうだとしても、それはカードを出した客のミスなのだから、バカバカしい確認などせずに迅速に処理をしてほしいものだ。

しかしこれはどこのコンビニに行っても同じように聞かれるので、そのような教育をされているのだろう。ファミレスの「よろしかったですか?」という異常な過去形の言葉遣いとともに、どうもこのような、何事かを心配した過剰な応対というのは嫌なものである。いわんや居酒屋の「喜んで〜」をや(そんなに働くのが嫌か?)。

頼むから普通にしてほしい。