月別アーカイブ: 12月 2017

昔の後輩

今日は、私の送別会に参加できなかった後輩Tくんの自宅に招かれた。後輩といっても10年以上前に他の職場に異動していった後輩だが、その異動の理由が今日明かされた。

Tくんは酒で数々の痛い目にあってきたという。あるとき、職場のK部長と先輩と酒を飲みながら麻雀をしたという。おそらく泊りの社員旅行か何かだと思われる。

一緒に麻雀をした先輩は普段はとても強いのに、その日に限ってやたらと弱く、部長に振り込むのだという。今思えば接待麻雀をしていたわけだ。しかしTくんはまったく遠慮せずにバンバン部長の牌で上がりまくり「Kさん、下手ですねー」とバカにしまくったという。するとそのK部長、本気で怒ってまったく口を利かなくなり、翌週月曜の朝に呼び出され「お前、飛ばしてやるからな」と言われたという。

そして何週間か後、本当に異動させられたのだが、さすがに麻雀が理由ではなく、それらしい仕事上の理由を説明されたという。

Tくんもまさか本当に麻雀が理由なわけはないだろうとずっと思っていたが、つい最近、当時の別の上司から「あれは本当に麻雀が原因だったんだ」と教えられたそうだ。

もっとも、Tくんはその異動先で今の奥さんを見つけたわけだから、人生何が幸いするかわからない。

Tくんは似たような失敗を他にもしていて、あるとき、他の職場の課長が受付嬢たちと合コンをしているのをたまたま目撃した。Tくんはその課長と口も利いたこともない間柄だったが、翌日「見ましたよー」と電子メールを送ったところ「あなたにそんなことを言われる筋合いはありません!」と本気で怒られ、なんと職場の上司にまで怒りの電話があったという。

これはしらふでメールを送ったわけだから、どうも酒に関係なくこの男は人を怒らせることが得意なようである。

私はといえば、入社して間もないTくんに「俺はこの会社にいるべきではない、卓球の仕事をしたいんだ」と力説し、卓球のビデオを強制的に見せていたという。私は全然覚えていないが、ともかく、そう言いながら28年も務め、やっとその日が来たわけだ。

うーん、いろいろと感慨深い。

古書『ピンポン使用法』

ヤフーオークションで古い卓球の本を買った。

『ピンポン使用法』という28ページばかりの冊子で、寺田清運動具部という、おそらく運動具店が発行した非売品だ。

発行年が書いていないのだが、巻末に乗っているルール集が大正十年制定とあり、最近の出来事として昭和2年の極東オリンピックの参加(したのか予定なのか不明)と書いてあるので、昭和初期あたりのものと思われる。

面白かったのは、グリップの紹介のところで「美術流」というのがあったことだ。なんでも、東京の美術学校の学生たちの間でポピュラーだったものだという。そういえば絵筆の持ち方に似ていなくもない。

サービスの回転のかけ方が凄い。フリーハンドでボールを押さえつけて出すのだ。そういえば私の祖母はこんな出し方をしていたものだった。昭和50年代だからとっくに禁止されていたはずだが(笑)。

そのくせ、巻末のルール集では「サーブは強球またはカッティングボールを許さず」と書いてあるのだからわけがわからない。

イギリスから日本に卓球が入ったころは、サービスでの攻撃は自由だったのが、日本国内では大正末期から昭和初期にかけて禁止された時期がある(「サービス」の語源が「奉仕」だから昔は攻撃が許されていなかったというのはデタラメだ)。

この頃の卓球本は、文章も写真も他の本のパクリが堂々と行われていたので、内容が継ぎはぎのため、一冊の本の中で矛盾することが出てきているものと思われる(と思ったら、元ネタの本も矛盾していた。単にいい加減だからのようだ)。

グリップや打法や立ち位置、姿勢、作戦などが細かく述べられてるが、回転については

「最後に魔球の図を掲ぐ 読者見て悟らるる所あるべし」

のひとことでかたづけられている。

わわ、わかるかこんな図で!

まだラケットにラバーが貼られていなかった時代の話だが、それにしても物凄い魔球だ。男爵のヒゲみたいに曲がって。

卓球に専念!

今月末で28年間務めた会社を辞めることにした。

卓球コラムニストなどと名乗ってはいたものの、実際には卓球とは関係のない会社員だったのだ。月に1回の雑誌のコラムだけで食べて行けるわけがない。

「卓球コラムニスト」などという職業はそもそも存在していないのだっ!

これまで会社勤めをしながら連載したり取材したりDVDを作ったりしていたわけだから誰かに「凄い!」と褒められそうなものだが、実際には「仕事に身が入っていないんじゃないか」「そんなに休める会社ってどんな会社よ」とか親族や知人から懸念だか疑念だかを呈される日々であった。

そういう日々に別れを告げ、いよいよ卓球関係に絞って活動をすることにしたので、これまでになく精力的にやっていこうと思う次第だ。何をするのかさっぱりわからないが、少なくとも精力は注ぐつもりだ。

送別会ではなんとも楽しいTシャツを送ってもらった。これを着て全日本の取材をするかどうかは・・・微妙だ。白い字があるために選手から「ボールが消える」とクレームが来るのが心配だ。

異常な常連Sさん

東京に出張するときは、いつも同じホテルに泊まり、夕食は行きつけの小さな居酒屋でとることにしている。かれこれ3年近く通っているので、その店の常連とも顔見知りだ。

しかし私は自分からは積極的に話しかけないので、未だに名前のよくわからない人もいる。

先日、その中の一人と初めて隣の席になり、話し込んだのだが、本物の異常なお方であった。スレスレというよりは完全にアウトといった趣きである。

名前は憶えていないので仮にSさんとする。私とほぼ同年代の男性だ。何からそんな話になったのか覚えていないが、Sさんは、酒を飲んで酔っ払うと、布団で寝るよりも地面で寝た方が気持ちが良いため、よく地面で朝まで寝るのだと言う。

それまでの話の怪しさから「もしかしてホームレス?」と思いながら恐る恐る話を進めると、なんと自宅マンションの入り口の前の通路で寝るという話であった。ホームレスではないと知ってホッとしたが、それはともかく、かなりの異常者だ。

話はそれで終わらない。「自宅の前の通路で寝る」行為によってマンションの住人から何度か警察に通報され、連行されているというのだ。一応話を合わせるため「それだけで連行ですか、ひどいですね」と言うと、「裸だったからかな」と言うではないか。よく聞くと、なんとSさん、すっぽんぽんの全裸で自宅マンション前の通路に朝まで寝る常習犯だったのだ。

これは・・・通報される。

実際のSさんは極めて温厚で紳士的であったから、そんなことをするとはとても信じられない思いであった。

ところがSさんは自らを、スイッチが入ると自分でも制御できないほど狂暴になる性癖の持ち主だという。そういう状態になると、あたりかまわず怒鳴り散らし、その音量で店のガラスもすべて割れるという。当然、警察に連行されるときも怒鳴りっぱなしだ。

最近その発作が起きたのは、まさにその店でのことで、常連の女性客がオスの飼い猫を去勢したと軽々しく語ったことだと言う。Sさんはこれに激怒し「オスの性欲という楽しみを人間の勝手な都合で奪っておいてその言い草はなんだっ!表へ出ろっ!」となったのだという。

・・・よくわからないが、とにかく何でスイッチが入るかわからない残留地雷のようなお方だということだけはよくわかった夜であった。

怒鳴り声で眼鏡を割られたのではたまったものではない。