日本で最初の卓球本

卓球に興味のない人には申し訳ないが(本当はそういう読者が間違ってるのだが)、今日は卓球本コレクションの紹介だ。我が家には、あちこちで集めに集めた卓球関係の単行本があるのだが(日本で発売された単行本のほとんどを持っていると思う)、その中でもっとも貴重なのは、なんといっても、日本最初の卓球本、『ピンポン』(伊東卓夫著、明治35年)である。

東京高等師範学校(現・筑波大学)の坪井弦道が英国留学から卓球セットを持ち帰ったのが、日本への卓球の伝来であるが、その同じ年に、すでにこの本が発行されている。題名が卓球ではなくて『ピンポン』なのは、まだ卓球という呼称が存在していなかったからだ。卓球という単語が考え出されたのは大正7年で、卓球が伝わってから16年後のことだ。「卓越」にも通じるよい呼称だというのでこれに決めたらしい(だからこの本の著者の名前に『卓』の字が入っているのは偶然である)。

サーブのときに、なんとボールを手で直接ラケットに押し付けて回転をかける方法が紹介されていて面白い。ラバーもない時代の話だ。そういえば私の祖母もやっていた。なお、私の持っている本は大正時代の改版である。いつか本物を見たいものだ。