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カット型

卓球とはなんと多様な競技なのか。
天才のボールタッチと反射神経の水谷をもってしても、毎秒180回転の強烈なカットボールによってスイングの方向を鉛直方向に強制されフォームを狂わせられ、次第に疲労を蓄積させられて術中にはまっていく。カットボールにはときどき60回転のボールも混じる。それがまた感覚を微妙に狂わす。

しかも相手は守備型なので、一度や二度強打が入っただけでは点を獲れない。一か八かの強打ではダメなのだ。野球でいえば「ど真ん中に遅いストレートを投げるから10本連続ホームラン打ったら1点あげる。しかし一回でもホームランじゃなかったら相手の得点ね」と言われているようなものだ。勝利の行く手にはこういう相手も潜んでいるのだ。

おっと7-7だ

陳衛星

2番、水谷。陳衛星のカットを打ち抜けるか。

それにしても卓球とは特異な競技だ。あらゆるスポーツが攻撃型に移行している中で、唯一卓球だけがその「回転の威力」という強烈な要素によって、「守備型」などというスタイルが現存している。

まるで野球のピッチャーとバッターが同じルールで戦っているくらいこの二人のプレーに対する関心時は違うのだ。