年別アーカイブ: 2008

赴任ということ

元旦に、することがないので、家族でバッティングセンターに行った。と、見覚えのある歩き方の人がいる。しかし彼は日本にいるはずで、ドーサンなどにいるはずがない。近づくと本人だったので驚いた。4年前にドーサンから帰任したはずの人が、年末年始の休みを利用してお忍びで家族で懐かしみに来ていたのだ。ちょっと感激した。何もない田舎のドーサンだが、子供にとっては故郷である。かつて4年半、自分が住んでいた家が今では別の人が住んですっかり変わってしまったのを見てしみじみとしたそうだ。

私が働いているドーサン工場には工場設立の77年から、日本人赴任者が常時10人以上滞在している。ほとんどの赴任者の任期は、2年から5年の間だ。中には2回も赴任した人も何人かいるが、だいたいは一回である。

初めて赴任すると、空港で赴任者たちの家族総出で歓迎を受ける。赴任者の数と任期から計算すると、平均すると4ヶ月に一人のペースで新しい赴任者が来て、入れ替わりに誰かが帰任していくことになる。始めは全員が先輩だが、そのうち自分が中堅になって、最後には自分が来たときにいた人たちは一人もいなくなる。そして最後の日、来たときと同じように空港でみんなに見送られて帰任するわけである。任期はだいたいは決まっているものの、いつ帰任命令が来るのかは基本的にわからない。帰任が近づくと、次は俺の番かな、などと思いながら何ヶ月か何年かを過ごすわけだ。いよいよ帰任が決まると、まわりの人も「帰る人」ということで、どこか別の感じの対応になる。私が赴任して11ヶ月経つが、その間に3人見送って1人を迎えた。

こういう光景を見ていてつくづく思うのは、これは人生そのものだということだ。学校なら卒業年が決まっているし皆いっしょにだが、赴任は違う。いつ迎えが来るかわからないし、来るときも去るときも一人だ。ただ人生と違うのは、赴任の場合には、多くの人は日本に帰るのを楽しみにしているところだ。しかしこちらの生活にも情がうつり、やはり帰るときには名残惜しい気持ちも出るようである。

人の一生をシミュレーションしているようで、なんともいえない気持ちになる。

少年犯罪

最近は凶悪な少年犯罪が増えていて、世の中どうにかなっているんじゃないだろうか。食べ物が悪いのか、ゲームが悪いのか、などというのが今のマスコミの世論であり、そう思っている人が大半だと思う。

ところがこれは、ウソなのだ。これを見ていただきたい。
http://mazzan.at.infoseek.co.jp/lesson2.html
これによれば、少年犯罪は減少し続けていて、もっとも凶悪だったのは団塊の世代である、今の50代だというのだ。マスコミは不安をあおって視聴率や発行部数を上げるために、故意に事実を隠蔽しているのだ。たとえば年配の人ほどテレビゲームなどに偏見を持っているため、ゲームが若者に悪影響があると思いたい。私はゲームをしないので、その気持ちはよく分かるが、そうは考えない。歴史を知っているからだ。小説だって初めて登場したときは「こんなものを読んだら空想癖が出て頭がおかしくなる」と古い世代に批判された。映画、テレビ、マンガも同じことだ。古い世代は、若い世代に何か悪いことがあると自分が気に入らない新しいもののせいにすることで気持ちがよくなるのだ。それをうまく利用しているのがマスコミだ。しかしデータの捏造、隠蔽はダメだ。

もし少年犯罪を食べ物やゲームと関連づけるとすれば、戦後少年犯罪は現象し続けているのだから、「ゲームとファーストフードは少年犯罪抑止になる」となってしまう。しかし、そういう結論を出す人はいないだろう。自分の価値観と合わないからだ。じゃ、そのときはどう考えるか。少年犯罪とゲーム、ファーストフードは関係がなく、何か他の理由があるに違いないと考えるのだ。自分の価値観と合っているときには関連性を認め、合わないときには無視する。社会学とはこういう恣意的な無意味な学問だとして批判しているのが、上に紹介した「反社会学講座」なのだ。

反社会学講座はどの記事もとても面白くてためになる。しかしこういう一見斬新な意見は往々にしてこれ自体が捏造だったりすることもあるので(「アポロは月に行っていない」などの主張のように)油断はできないが、今のところ私はこの人の主張を信じている。

新横浜『ラーメン博物館』

ブログへの書き込み日は日本の日付なので1月2日だが、時差の関係でこちらは今日が元旦である。昨日のアクセス数を見ると139件で、ブログ書き込み以来、ほぼ最低を記録した。さすがに元旦だ。しかし、元旦からのべ139人も読んでくれる人がいると考えると嬉しい。卓球王国の編集部員たちが、締め切りからの逃避のためにたびたびアクセスしているのではないことを願うばかりだ。

アメリカに来る前に、最後の贅沢として、新横浜の『ラーメン博物館』に行ってきた。あるビルの地下に、昭和30年代の町並みを再現し、全国からの名門ラーメン店が8軒出店している。ここには前から行きたいと思っていたのだが、一度失敗をしているのだ。横浜にジャパンオープンを見に行ったとき、帰りに急に思いついて、駅で場所を聞いたところ、それは新横浜駅にあり、横浜駅にはないという。それで、なぜか『カレーミュージアム』を薦められてそこに行ってしまった。

それで、今度こそはと新横浜駅で降りて『ラーメン博物館』に行ってきたわけである。予想通りの素晴らしいものだった。昭和30年代の町並みが素晴らしい。実は私はそんな風景はほとんど知らないのだが、なぜか懐かしい感じがする。再現されたタバコ屋に並んだ「しんせい」などという銘柄を見て、小学生のときに死んだひい婆さんを思い出したりした。その懲り方が徹底している。コの字型になった町並みの裏には狭い路地がめぐっていて、一般人の住居などが再現されているのだが、どの家を見ても、扉の向こうに本当に部屋があって人が住んでいるようで、板一枚のニセモノとは思えないできだ。会場に入るだけでも入場料を払わなくてはならないのだが、十分にその価値があった。

ラーメン店には、テレビのガチンコに出ていた有名な人の店もあった。食べ歩きできるように、300円のミニラーメンが各店に用意されている気の利きようだ。私は3軒をハシゴしたが、春木屋のラーメンが素晴らしかった。一見ただの醤油ラーメンだが、異様にダシの効いた汁がとんでもなく美味かった。東京に住んでいる人がうらやましい。

仙台にもラーメン博物館のだいぶ後にできた『ラーメン国技館』というのがあるのだが、どの店も特徴を出そうとしてとんでもなく脂っこくしたり巨大な具を入れたり食えないほどしょっぱくしたりするのだが、いまひとつである。たまたま入った店が悪いのだろうと思い、何度も行ったのだがダメだった。

日本に里帰りの際には、また『ラーメン博物館』に行きたいものだ。

正月

日本ではもう2008年になったようだが、こちらはまだ12月31日の昼だ。会社も休日ではなく、平日としてみんな普通に働いている。神様の誕生日に比べれば大晦日など特別意味はないようなのだ。ただしさすがに元旦は休日である。クリスマスの24日、25日あたりは店も休みだったし道路に車も少なく、ちょうど日本の正月のようだった。

昨日書いた、猫と電子レンジの訴訟について用具マニア杉崎君から驚いたというメールがあった。それで、念のために調べてみたら、これは都市伝説のようである。こういういい加減な情報は嫌いだ。

http://k-gensai.hp.infoseek.co.jp/mythsandtruths/t001microwavecat.html

年末のせいか、卓球王国2月号に書いた「インパクトに震える友人」繁則からもメールが来た。「ついに俺をネタにしたな」と書いてあった。さすがにわかったか。彼はビートルズごっこに常に参加していた高校時代の友人である(彼もジョン・レノンのファンだが、力関係で彼にはいつもポール役をやらせていた:8/15等参照)。

繁則はメールを1,2ヶ月に一度しか見ないので、仲間内では「飛脚より遅い」と言われている。今回も年末だからメールが来たのだ。このグログを読むとしても1ヶ月後だろう。今、なにやら埋蔵品の発掘などを仕事にしているようだが、自分が埋蔵されないように気をつけてほしいものだ。

繁則で思い出した。高校一年のときのことだ。当時、卓球の基本姿勢は猫背と決まっていて、先輩がみんなにその基本姿勢を指導したのだが、繁則は胴体が短いためか背筋が頑固なまでに伸びていて、どうしても猫背にならない。今にしてみれば何の問題もないのだが、その先輩はどうしてもそれが気に食わず、繁則の背中と腹を両手で押して無理やり曲げようとしたものだった(もちろん曲がらなかった)。なんという奇妙な光景だろう、卓球とはこんなことまでしなくてはならないスポーツなのか、と思ったものだ。なんとも愚かで滑稽な時代である。

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