『極東破壊学会』

先日書いた、大学の後輩の石川だが、彼の研究室では物体が壊れるときの現象を扱っていて、「破壊学会」という学会に属していた。れっきとした工学の国際学会なのだ。その中でも彼の研究室が属していたのは極東(Far East)支部なので、その名前たるや『極東破壊学会』というのだから穏やかではない。

石川はあるとき、その事務局になり、会計のために銀行に入出金をしに行ったのだが、窓口で受付嬢から「極東破壊学会さま、極東破壊学会さま」と呼ばれて他の客の視線を集めてしまったという。いったい、どんな危険思想の奴が来ているのかと思われたことだろう。

そもそも、そんな危険な奴らがおずおずと銀行などに「貯金」をしているというのが可笑しいし(危険団体らしく強盗とかヤクの売買をするのが本筋だろう)、正体がバレるような名前を名乗るはずもないのだが、客が驚くのはやはり当然だろう。