川端康成『雪国』

演歌の世界で思い出したのが川端康成の『雪国』だ。私は小説というものをほとんど読まない。読まなくてはならないと思うのだが、結論にたどりつくまでの途中を楽しめないし、いつも他のことを考えてしまって話に入っていけないのだ。

人類の英知の鉱脈である『文学』というものを味わわなければ損だと思い、アメリカに赴任するときに古本屋で名作文学の文庫本を何冊か買った。そのひとつが、ノーベル文学賞を受賞した川端康成の『雪国』だ。

「夜の底が白くなった」などというフレーズに代表される表現は面白いと思ったが、いかんせん、話が全然面白くない。妻子ある主人公と芸者だか舞子だかのグダグダしたつき合いを描いたものだが、話のどこにも共感を呼ぶところがなく、それは面白いぐらいであった。

私は文学は一生理解できないのだろう。

それに、『雪国』というタイトルを見ると、学生時代に聞いた「女性は、出身地を聞かれたら東北の県名を言うよりは北国ですと言ったほうが感じがいい」という、週刊誌のバカげた記事を思い出して不愉快になる。九州や沖縄の出身の場合、やはり南国と言ったほうがいいのだろうか(笑)。