ここに赴任して間もない頃のことだ。
私が卓球が好きだと言ったところ、同僚のグレッグが、自分も卓球が好きで、小さい頃に近くに卓球を大好きな歯医者がいて、その人に兄と一緒に教えてもらったと言った。
ここで私はピンときた。2000年の10月、ここに出張に来たときにインターネットでLower Alabama Table Tennis Club(南アラバマ卓球クラブ)というのを見つけて卓球をしに行ったことがある。期待して泊りがけで行くと、クラブというのは名ばかりで、そこは単なるロナルド・ピータースというじいさんの家で、大変な目に会ったことがあった(卓球王国2006年1月号の逆も~ション第1回でそのときのことを書いた)。
このじいさんが歯医者だったのだ。州の選手権にたったの36人しか参加する人がいないこのアラバマ州に、歯医者の卓球狂が二人もいるわけがない。
そう思いながら私はグレッグの話をなにくわぬ顔で聞いていて、しばらくしてから「ところでお前の出身はブリュートンだろ?」と聞いてやった。グレッグは目を丸くして驚いて「何で知ってるんだ?!」と言った。ブリュートンはここドーサンから車で2,3時間はかかる田舎の小さい町だから、アメリカ人でも知らない人がいるし、ましてや日本人の私が知っているはずのない町なのだ。
しばらくグレッグを驚かせた後、タネ明かしをしてやった。世の中は、いや、卓球界は狭い。