腹をこわしたついでに思い出した。15年ほど前にイランに旅行をしたとき、生水を飲んではいけないとガイドに言われていたのに、つい氷入りのコーラを飲んでしまった。
その夜から激しい嘔吐と下痢が始まり、翌朝はほとんど瀕死の状態だった。ホテルの人が「吐いているときにはこれが良い」と言ってもってきたのが、どんぶりいっぱいの飲むヨーグルトで、これがなんと塩味。しかも表面にミントの葉が浮いている。気持ちが悪かったが、吐き気に良いといわれて藁をもつかむ思いで全部飲んであっという間に吐いた。正常なときでも吐いたかもしれないほどひどい味だった。
最近妻がアメリカ人に、お腹の調子が悪いというと、「それならこれよ」と、ミント味のクッキーをくれたのだという(もちろん妻はますます気持ち悪くなった)。イランとアメリカではずいぶんと文化が違うはずだが、ミントがこういうことに効くとされている点だけは同じようだ。
そういえばイランで腹を壊したとき、一緒のツアー客のひとりが梅干を出してくれた。ありがたく思って食べようとすると、ホテルの従業員が先に味見をして、予想通りものすごい顔になって「こんなの食ったらダメだ」と言った。そして持ってきたのが例の塩味ミントヨーグルトだったのだ。具合が悪くて可笑しいどころではなかったが、後で思い出して笑おうと思ったものだ。