ヘレン・ケラーの肉声

ヘレン・ケラーの展示を見ていて気になったことがひとつある。

彼女の有名な演説の映像が上映されていたのだが、どう見ても時代が合わない。1925年の演説だというのに、あまりにきれいなカラー映像なのだ。第一、ヘレンもサリバン先生も数多く残されている写真と顔が違いすぎる。それで管理人に「これは実物の映像なのか役者による再現なのか」と聞いたが、私の英語がまずいためか、要を得ない返事しか返ってこなかった。

後でネットで調べてみると、上映されていたのは
http://www.youtube.com/watch?v=rfr6YO-zLZc
で、やはり役者による再現映像であった。ヘレン・ケラーが亡くなったのは1968年だから、世界中を歴訪した彼女の実際の映像などいくらでもあるはずである。ところがそれはネットで探してもまったく見つからない。彼女が話している映像が見つからないのだ。

おそらく、彼女のイメージダウンを恐れ、ある程度印象の良いものだけを流布させているのだと思われる。目も見えなくて耳も聞こえないんだから、言葉が不自由なのは当然である。それでもいいから人情としては彼女の肉声を聞いてみたかったが、生家の展示からして再現映像では、たぶんそのチャンスはないのだろう。