ジュラシックパークの隣にはThe Mummyというアトラクションがあった。エジプトのミイラをテーマにした映画で、後で邦題を調べたら『ハムナプトラ』というらしい。パンフレットを読むと、真っ暗闇の中で前後左右に激しく揺れる乗り物だということで、またいたずらに物理的に激しいだけの乗り物だ。私はそういうバカバカしいのは嫌なので、乗らないつもりだったが、足立さんが「違うかもしれない」と言うので乗ってみた。
最初こそ、暗闇にミイラや棺おけなどが登場したが、すぐに真っ暗になり、突然前方に体験したことがないほど凄まじい急加速をした。足立さんに借りた帽子が頭から脱げるほどの加速だった。そして上下左右にもまれてから急停止し、今度はこれまた凄まじい加速でバックをされて、あっという間に終わった。45秒くらいだったと思う。
私は乗り物酔いしやすいので、座席から降りる前にはもう吐き気に襲われていた。1分もかけずに人を具合悪くさせる恐ろしい乗り物だった。当然、面白くもおかしくもない。ただ不愉快なだけだった。このあたりから、どうも私はもともと自分が嫌いなものばかりあるところに来てしまったことに薄々気づき始める。
出口で、暗闇でフラッシュを焚かれて撮影された写真が売っていた。「買うものか」と思ったが、意外に面白い写真だったので買ってしまった。そういえば隣の足立さんは乗っている間中ずっと「うわーっ」と思いっきり叫んでいた。足立さんもこういうのは大嫌いだそうだ。二人で嫌いな乗り物に乗って文句を言っているというわけだ。店員には間違いなくカップルだと思われたはずである。