受講生1 ショーン

受講生の紹介をしよう。まずはショーンだ。アラバマ州立大学の学生でIT技術を専攻している23歳。私が行く前日も来て練習をしたという。卓球は1年半前から始めたそうだが、ピータースには失礼だが、まともな指導者がいなかったわりにはかなり上手だ。バックハンドが素晴らしく、チキータのコツを教えたらたちどころにできるようになった。恐るべき運動能力だ。

フォアハンドのテイクバックが腕だけで引いてそれゆえに大きすぎて打点が低いので、その点をアドバイスした。これは理解はしてもなかなか変えることはできず、後で自分で努力するように言った。むちゃくちゃ大きい腕のテイクバックで、腕が水平より上に2時くらいまで上がるのだ。つまり、打球をする前に肩の関節を180度近くスイングしているのだ。それで空振りもせずにちゃんとボールに当たり、打点も台と同じかそれより低いぐらいなのに速いボールがバンバン入っているのだから物凄い身体能力である。テイクバックを小さくして打点を早くしたらさぞ強くなるだろう。

また、初心者によくあることだが、いつもフォアドライブを練習しているのだが、試合になるとなかなか使わず、レシーブや3球目を安易につっつくので「レベルが高くなると最初のチャンスボールを逃がしたら勝ち目はない」と教えた。これは技術ではなくて単なる戦術なので、すぐに覚え、自分でもその効果に驚いていた。

黒人だけあって見事なトレッドヘアーであった。顔が音楽評論家の渋谷陽一に似ていると思ったが、こうして並べてみるとあんまり似ていない。