キャンプと星空、そして死後の世界

夜はスタンの家の裏庭で焚き火をした。

スタンに誘われて腰掛台に寝そべって夜空を眺めた。田舎なので町の明かりがほとんどなく、異様に綺麗に星が見える。

スタンは「この宇宙に人間だけしかいないとは考えられない」などと語った。そのうち話は創造主の話になり、人間が死んだらどうなるかという話になった。
スタンは強烈に熱心なクリスチャンで、いつも隙を見ては神様のありがたさを我々に説こうとするのだ。妻である郁美さんもその話だけはシャットアウトで全然興味がないらしいのだが、スタンは別に不機嫌にもならず、淡々と自説を述べる。

私の考えは、人間の心は複雑なコンピューターと同じで単なる電気回路であり、魂などなく死後の世界もないというものだ。人間にとって精神活動があまりに重要なため、あたかもそれが宇宙の普遍的な存在のような気がする錯覚なのだ。この世に魂が存在すると思うのは、動物や鉱物にも言葉が通じると思うようなものだ。現実は、動物どころか外国人にさえ通じないというのに。

翌日も夕方まで卓球をして、別れを惜しんだ。