石川はとにかく絶対に交差歩を使わないことで有名だが(私の中で)、それではバックの深いところからフォアを突かれたら、一体どうやって飛びついているのかを調べて見た。
下の写真は両方とも同じラリーであり、右の写真は左の写真を左右反転させて右利きの選手がイメージしやすいようにしたものである。特徴は、とにかく近い方の足の踏み出しが大きいことである。全盛時の江加良の回り込みを彷彿とさせる。そのあとで、さらにその足をもう一歩踏み出しながら打球をしている。
腰はほとんど回っていないが、両肩のラインは30度ほど回っているので、ひざ関節ではなく、腰から上のねじりで肩を回していることがわかる。もっと時間の余裕がないときは恐らく肩を回さず腕だけのスイングになることが予想される。相手のボールが速ければ速いほど、こちらのスイングに許される時間は短くなるし、また相手のボールのスピードを利用できるのでスイングは遅くて構わないわけだから、それがリーズナブルである。
これを我々一般人が参考にしようとすると、思い当たるのは、前進回転を打ち返すのは楽だが、切れた下回転などでフォアに振られた場合に、この程度の動きでボールが持ち上がるのだろうかという不安だ。それで、そういうボールが来たらどうするのかを調べて見たのだが、驚いたことに、誰の試合でも、そういうボールは来ないのだ。フォアに来るボールは、台上か、または前進回転の速いボールだけであり、我々がよくやるような、長いツッツキはフォアにいっさい来ないのだ。少なくとも先に分析した王励勤対馬琳、王皓対王励勤の全11ゲームを通して、そういう場面は1球たりともなかった。考えてみれば恐ろしい話だ。
というわけで、今のところ、その情報を得られないでいる。