息子が、家を流されて高校の体育館で暮らしている友達のところに遊びに行くと、偶然NHKが取材に来たという。フランスの大臣が仙台を訪れ、ついでに避難所を視察に来たらしい。
6:40からのニュースに出るというので、録画しながら家族みんなでテレビを見たが、画面の左端に腕が映っていただけだった。
息子は、なぜだかテレビ画面に映っているフランスのお菓子をもらって帰ってきた。
家を流されたという息子の友達は地震後、家に遊びに来たが「家、土台しかないです、マジです」とそれはもう得意そうに語った。その調子でみんなに言って回っているのだという。考えてみると、家を流されて仕事の心配をするのは大人であり、もともと家を建てたり働くことに関与していない中高生は、大人ほどにはショックを受けていないのだろう。また、亡くなった人たちへ思いをはせる想像力もない。自分の中学生時代を想像してみてもそんな感じがする。あまりモラルに合致することではないが、男子中学生はそんなもんなのだ。また、前向きに生きるためにはその方が都合が良いとも言える。良くはなくてもこれが現実だ。
大人の感覚で子供の心情をおもんばかると大抵は肩透かしをくう。子供は大人の感情移入したいようにはならないのだ。
先週行った床屋の御かみさんも、避難所になっている近くの小学校では、子供たちが毎日キャンプ気分で大喜びしていて「とてもテレビには映せない状態」だと言っていた。そりゃそうだ。
うちの子供も、避難所の友達に「自衛隊が設営した風呂に入りに来い」と誘われ、すんでのところで行くところだった。「迷惑だから行くなバカ」と止めなければ間違いなく行っていただろう。