今回のイベントを取り仕切っている日本卓球協会の古市智子さんという方が、下見に訪れた。「雨が降っているから見るだけになりますね」と私は言ったのだが「気にしないでボールを打ちましょう」と、あれよと言う間にユニフォーム姿になってしまった。私がオモチャのラケットを貸そうとすると「大丈夫」と言ってご自分のペンのラケットを取り出した。
そういうわけで、生まれて初めて雨の中で卓球をするハメになった。古市さんは「ボール、落ちますね」と言うが、当たり前だと思うのだが。ちょっとの湿気でも落ちるのに、雨の中なのだから落ちるどころではない。
その後は、雨天の場合の開催場所を提供してくれることになっている『東部卓球センター』に挨拶をしに行った。古市さんはそこでも汗を掻きながら卓球。とにかく卓球をしたいようなのだ。
話を聞くと、古市さんは旧姓を下山さんと言い、専修大学卓球部のOGで、現役時代にはなんと全日本と全日本学生のダブルスで優勝しているつわものであった。パートナーは後に世界チャンピオンになった森沢幸子。ちなみに、昭和40年にはその森沢さんとシングルスで全日本の決勝を争ったそうだ。準々決勝では現役の世界チャンピオンだった深津尚子を破っている。つ、強すぎるだろそれは。
それを知った子供たちは色紙にサインを求めたが、古市さんはこれを固く辞退。その横で私は平然と卓球王国にサインをしたのだった。